2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
The Bernoullis: When Math is the Family Business(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:化学や数学の授業を受けていた時に、特定の人たちの名前を使っていませんでしたか? オイラー、ラプラス、ガウスなど、功績を残した人の名前が使われている原理や定理、方程式は数多くあります。
ベルヌーイの最速降下曲線問題、流体におけるベルヌーイの定理、ベルヌーイの確率分布などと耳にしても不思議ではありません。しかし、これらは1人のベルヌーイではないのです。
17世紀から18世紀にかけて、ベルヌーイ一族には3世代に渡って数学に秀でた人物が8人もいました。その中でもヤコブ、ヨハン、ダニエルの3人はずば抜けていたのです。
1623年生まれのニコラス・ベルヌーイが一族の始まりでした。ニコラスにはヤコブ、自分に因んだニコラウス、ヨハンという3人の息子ができます。ニコラウスは画家、議員となりましたが、残りの兄弟は著名な数学者になります。
兄のヤコブは、こんにち学校で学ぶ微積分に関する多くの業績を残しました。
とりわけ最も重要な業績は確率論でしょう。大数の法則といわれる問題を解決し、ベルヌーイ分布として知られる法則を発見します。どちらもランダムに発生する出来事の収束を予測するものです。
例えばサイコロを連続で降ったとします。3回振った時に、1、4、6と出るときもあれば、3回連続で2が出る時もあります。
ランダムですね。
ところが何度も何度もサイコロを振り続ければ、出た目の平均した数は3.5に収束していくのです。
何千回という膨大な回数振り続ければ、どの目も同じ回数だけ出るはずです。それで結局は3.5に限りなく近づくわけですね。ヤコブはこれを数学的に証明し、現在の確率論の基礎を築きました。コインを投げるような、結果が2択の場合に用いられるベルヌーイ分布にも同じ考えが含まれています。
ヤコブは数学や科学で頻繁に用いられる有名な定数、eも発見しました。バクテリアから銀行の口座数まで、連続して数が増え続ける現象を表現する際に用いられます。興味が尽きませんね。
ヤコブの弟であるヨハンも数学に興味を持ちます。
1696年に、2点を結んだ下向きの曲線に沿って玉を落とした時に1番早くなる曲線はどれか、という問題を提起します。ギリシャ語の「最速(brachistos)」、「時間(chronos)」という単語を用いて、最速降下曲線問題(brachistochrone problem)と名付けました。
2点を結んだ直線が1番速い経路だろうと思うかもしれません。しかし、直線は最短の経路ですが、最速ではありません。サイクロイドと呼ばれる曲線で結ばれた経路だと、重力で玉を加速させるため2点を最速で転がるのです。
ガリレオをはじめとした幾人かがそうした概念に気づいてはいましたが、ヨハンが初めて微積分を用いて証明しました。一方でヤコブは微積分学を多方面に発展させつつ、同時にその解も独自に発見しました。
ヨハンはさらに、0を0で割る、∞を∞で割るといった解も見つけています。今ではロピタルの定理として知られていますが、ロピタルが出版した教科書にヨハンが微積分を講義した内容として載せられていました。
ヨハンの3人の息子も数学者でしたが、今に残る影響を与えたのはダニエルでしょう。
彼は流体力学において、ベルヌーイの定理という流体における圧力と速度の関係をあらわした原則を発見しました。ベルヌーイの定理は、翼の上側を流れる気体が下側より速く流れるという、飛行機が飛ぶ仕組みにも関係しています。
物理学ではオイラーとの共同研究で、ベルヌーイ=オイラーの梁理論という、梁が力を受けた時のたわみ具合を表す方法を考案します。この梁理論に基づいた物理学は、梁、橋、ビルといった現在の数多くの工学分野において力を発揮しています。理解しないとだめですね。
ダニエルはさらに、リスクを数学的に測定する方法や、気体の運動論についても発展させました。
ベルヌーイ一家が多大な成功を収めたのは、その時代と場所に一因があります。ニュートンとライプニツが微積分を考案し、世界のあらゆることを分析する強力な道具が手に入った時代でした。数学と科学の才能にあふれたベルヌーイ一家は、そうした道具を使ってこの世の仕組みを解き明かしていきました。
教科書に何度も名前が出てくるのもうなずけますね。……内容を理解するのは中々難しいですけど。
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