今回の経緯

司会者:ただいまより、2016年度第三四半期の決算に関します説明を始めさせていただきます。

最初に本日の出席者をご紹介申し上げます。代表執行役社長、綱川智でございます。代表執行役専務、平田政善でございます。社会取締役で監査委員会委員長、佐藤良二でございます。

それでは、まず綱川より冒頭お話を申し上げます。

綱川智(以下、綱川):綱川でございます。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は2度にわたり、178期、第三四半期報告の提出延長に伴い、延期しておりました第三四半期決算について発表させていただきます。

独立監査人からは、第三四半期の、四半期連結財務諸表に対し、結論を不表明とする、と四半期レビュー報告書を受領しております。

当社といたしましては、監査人のご理解を得るべく、最善を尽くしてまいりました。監査委員会からも、一連の捜査はすべて完了し、調査の結果、2016年度第三四半期以外の期で、CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社に関わる損失を認識すべき、具体的な証拠は発見されず、また、「具体的に修正を行うべき重要な事故はなかった」、との結論に至った旨の報告を受けておりますが、このような結果になり、誠に遺憾であります。

監査人から、具体的に修正を行うべき重要な指摘を受けていない以上、四半期報告書の提出期限の延長申請を改めて提出させていただいたとしても、今後、独立監査人から適正意見の表明をいただける目途が立たないことから、これ以上、株主・投資家をはじめとする、ステークホルダーのみなさまにご迷惑・ご心配をおかけすることはできませんので、極めて異例ではございますが、独立監査人からの結論の不表明という状態で第三四半期決算について公表させていただくことといたしました。

これまで、株主・投資家をはじめとする、ステークホルダーのみなさまには、決算ができない状況が続き、またこのような事態に至ったことに関しまして、大変なご迷惑・ご心配をおかけしておりますことを、心からお詫びを申し上げます。

本日、まず、これまでの四半期報告書提出期限延長の理由となった調査の概要及び結果につきましては、取締役監査委員会委員長の佐藤からご説明させていただきます。

東芝が置かれている状況

続きまして、2016年度第三四半期決算につきましては、代表執行役専務の平田からご説明させていただきますが、佐藤からの説明の前に、私から当社の状況についてかんたんにご説明を申し上げます。

まず、事業の状況についてですが、当社事業は、巨額の損失原因となった海外原子力事業を除き、概ね順調に推移しております。

なお、海外原子力事業につきましては、3月29日にご説明差し上げた通り、ウェスティングハウス社等が米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続き申し立てを行ったため、当社の連結対象からは除外されております。この非連結化は海外原子力事業のリスクを遮断することを目指す当社の方針にも合致すると判断しております。

また、当社は財務状態の改善に向けて、2016年度に約1600億円の保有資産の売却を行うとともに、役員の報酬返上、役職者の給与減額、役職者・一般者の給与減額、諸手当・日当などの削減といった緊急対策等のあらゆる施策を実施してまいりました。

加えまして、メモリ事業のマジョリティ譲渡を含む外部資本導入を検討しており、2017年4月1日付けでメモリ事業の分社化を完了し、現在、譲渡先の選定プロセスを進めております。

当社としては、このような施策の実施に加え、メモリ事業の事業価値も考慮すれば、実質的には十分な財務的基盤を保持しているものと考えております。

資金の状況について

次に、資金の状況についてご説明いたします。

これまで当社はメインバンク、準メインバンクのみなさまをはじめとする借入先金融機関様から支援・協力を継続して得るべく、誠実に説明を重ねてまいりました。メインバンク、準メインバンクのみなさまを中心に、引き続きのご支援をいただいております。今後、資金面の不足の事態にいたらないよう、万全の体制を構築し、必要な措置を講じてまいります。

最後に、2016年度通期の決算手続きについてご説明をいたします。2016年度第3四半期決算手続きの延長により、年度決算に関する監査手続きは時間を要するものと考えておりますが、5月中には決算内容を公表する予定であります。

当社は、社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、ICTソリューションといった注力事業を中心に、たしかな技術で持続可能な社会に貢献していくことが我々の社会的使命であると認識しております。この社会的使命を完遂するために当社は全力を尽くします。

決算延長により毀損した信頼の回復に向け、引き続き誠心誠意全力で取り組んでまいりますので、ご支援、ご理解をいただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。それでは、佐藤からご説明をいたします。

監査委員会の見解

佐藤良二氏(以下、佐藤):佐藤でございます。監査委員会としての見解と、四半期報告書提出期限延長の理由となった調査の概要および結果についてご説明します。

まず、監査委員会としての見解を説明します。

当社とウェスチングハウス社は、昨年12月より今月まで独立監査人との協議、および独立監査人からの示唆にもとづき、弁護士等の独立した第三者を起用して、ウェスチングハウス社のストーン・アンド・ウェブスター社買収に伴う損失に係る一連の調査を真摯に実施してまいりました。

3ヶ月以上にわたる調査において、一部経営者について、限定された範囲・期間で、不適切なプレッシャーとみなされる言動が認められました。この一部経営者については、ウェスチングハウス社の経営に関与させない等、抜本的な措置を講ずることを執行側に要請し、その後、措置が実施されたことを確認してります。

一方、不適切なプレッシャーとみなされうる言動が認められたものの、当社およびウェスチングハウス社の内部統制は有効に機能しており、財務諸表に影響を与えなかったと判断しております。

続いて、独立監査人によるレビューの結果についてです。

独立監査人からは、本日、2016年第1から第3四半期の四半期報告書について、大変残念ながら結論を不表明とする報告書を受領しております。独立監査人は、最終的な調査結果の評価が完了しておらず、その結果、四半期連結財務諸表の修正が必要となるか否かについて判断することができなかったとしています。

一方、監査委員会としては、2016年度第3四半期以外の期で本件損失を認識すべき具体的な証拠は発見できなかったと判断しており、一連の調査は完了したものと判断しております。当社は独立監査人の理解を得るべく、これまで多岐にわたる調査を実施し、最善を尽くしてまいりましたが、このような結果になりましたことは誠に遺憾に存じます。

調査の概要

続いて、調査の概要を説明いたします。これらの4つの調査は、3ヶ月以上にわたって行われました。調査においては60万通以上に及ぶメールの調査や、数十名を対象としたインタビュー調査を実施しました。

調査1では昨年12月にウェスティングハウス社が買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社に関して多額の損失を計上する可能性が判明したことを受け、2016年第3四半期より前の会計期間におけるCB&Iストーン・アンド・スター社買収に伴う損失の認識可能性の有無について調べました。

当社は、当社およびウェスティングハウス社の役員・従業員、合計15名に対してインタビューを実施するとともに、これらの役員・従業員らの電子メールのデジタルフォレンジック調査を実施した結果、当社およびウェスティングハウス社が2016年12月以前に財務諸表に織り込むことができるような角度をもって本件損失を認識しえたとの証拠は認められませんでした。

調査2では、ストーン・アンド・ウェブスター社の買収に伴う取得価格配分手続きの過程における、一部経営者における不適切なプレッシャーを存在を示唆する内部通報にかかる調査を実施しました。

調査では、内部通報にて言及された不適切なプレッシャーをかけたとされる者、目撃者などとされる者の合計25名に対するインタビューおよび、これら関係者の電子メールのデジタルフォレンジック調査を実施しました。

その調査の過程で、一部経営者による不適切なプレッシャーについて他の関係者からも供述があったため、当社、ウェスチングハウス社、その他当社グループ会社に調査範囲を拡大し、調査3を行うことを決定いたしました。

調査3では調査2の調査をさらに拡大し、一部経営者による不適切なプレッシャー等の存否やその影響範囲を調査しました。調査の過程で関係する役員および従業員、合計40名を超える対象者にインタビューを実施するとともに対象者60万件に及ぶ電子メールのデジタルフォレンジック調査を実施しました。

その結果、一部経営者につき、本件損失を不適切な程度まで低減するため、不適切なプレッシャーとみなされる言動が認められました。この一部経営者については、ウェスティングハウス社の経営に関与させない等、抜本的な措置を講ずることを執行側に要請した次第です。

調査4では独立監査法人からの示唆に従い、調査1の追加調査として、特定の4件の事象にかかる会計処理における本件損失の認識可能性の有無を調べるために、調査1で収集した電子メールを追加で調査した結果、当該事象4件についても、本件損失を認識した事実は確認できませんでした。

最後に本件調査の経緯についてご説明します。

ここにありますとおり、昨年12月末に損失計上の可能性について公表して以来、以降、3ヶ月以上に渡り独立監査人からいただいた度重なる示唆、ご指摘に対して監査委員会としては、真摯に調査を実施したうえで、すべて回答しております。監査委員会としては、一連の調査はすべて完了し、調査の結果、連結財務諸表の数値に影響をおよぼす事象はなかったとの結論に至っております。

私からの説明は以上です。