自然にまつわる5人の芸術家

フランス人画家のアンリ・ルソーはかつてこう言いました。「自然を観察し、見た物を描くことほど喜ばしいものはない。想像してほしい。田舎に行って、そして太陽や植物、咲き誇っているすべてのものを見る。そして、自分自身に言い聞かせる。そう、すべてが私のものだ」。

みなさん、良い日曜日をお過ごしでしょうか。今回は自然についての「5 Artist in 5 Minutes」をお送りいたします。

アナ・アトキンス(Anna Atkins)はイギリスの植物学者であり、写真家です。1842年に彼女の友人ジョン・ハーシェル卿は、写真処理技術であるサイアノタイプ(注:青写真。鉄塩の化学反応を利用した写真・複写技法で、光の明暗が青色の濃淡として写る)を発明しました。

彼女は、乾燥した藻類のコンタクトプリント(注:密着印画)を制作しました。そして、私家版の『英国の藻類の写真 サイアノタイプの印象(Photographs of British Algae: Cyanotype Impressions)』という本を出版しました。これは写真が挿入された最初の本と考えられています。そして彼女は、最初の女性の写真家のひとりとして知られています。

アンリ・ルソー(1844-1910年)は、冒頭の引用句の芸術家です。彼は、フランスの後期印象派の素朴派の画家でした。彼は「ル・ドゥアニエ」、つまり税官吏という愛称で呼ばれていて、これは彼が税関職員であったことに由来しています。

彼は、40代前半に本格的に絵画制作を開始し、49歳にフルタイムで絵に専念するために退職しました。彼の最も知られた作品はジャングルの場面にもかかわらず、一度もフランス国外に出たことはありません。

彼は「自然にまさる師はない」と言い、パリの自然植物園の挿絵本と野生動物の剥製を研究しました。また、しばしばメキシコを旅行した兵士の語りの、亜熱帯風景の描写を聞いていました。存命中は、平坦で子供のような様式は嘲笑を受けましたが、後に、若い世代の前衛の芸術家たちへの影響を与えたとして評価されました。

今なお活躍するアーティストたち

アンセル・アダムス(Ansel Adams)は、アメリカの写真家であり環境保護活動家です。彼は、アメリカ西部ヨセミテ国立公園を撮影した、大きなフォーマットの黒白の風景写真で知られています。アダムスは「コントロールの名人」であり、技術論にまつわる多くの本を書いています。

彼は、フレッド・アーチャー(Fred Archer)と共同で、最適な露出と原像時間を決定する、ゾーンシステムというプロセスを考案しました。また、写真家が、撮影する前から最終的なプリントがどのように見えるか、正確に予想できるように、事前視覚化(previsualization)の手法を提唱しました。

アグネス・ディーンス(Agnes Denes)は、幅広い種類のメディアで制作したハンガリー系アメリカ人のコンセプチュアルアーティストです。彼女の最も知られた作品は『Wheatfield a Confrontation』でしょう。公的な芸術財団の支援によって6ヶ月間、ロウアー・マンハッタンの世界貿易センターとウォール街近くの2エーカーの土地に黄金の小麦畑を作りました。

そこは現在、バッテリー・パーク・シティと、ニューヨーク世界金融センターになっています。

デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)は、1960年代のポップアート運動に貢献した重要なイギリス人芸術家です。彼は20世紀における最も影響力のあるイギリス人の芸術家のひとりとみなされています。彼は、数年間居住したロサンゼルスのスイミングプールを描いたアクリル絵画でも知られています。90年代にヨークシャーに定期的に戻り、1997年に友人の勧めもあって風景画を描き始めました。

当初は子供の頃の記憶から絵を描いていましたが、2005年からは屋外制作をするようになります。ます、水彩で集中して習作を描き、それから、複数のキャンバスを一緒に設置して、壁画サイズの大きな画面の絵画を制作します。作品を視覚化する助けとして、彼は毎日写真を撮影しています。

ホックニーは新しいことに躊躇なく取り組み、版画や写真なども手がけました。彼はまた大画面の絵画に似た構成の映像も制作しました。同様に数多くのiPadやiPhoneで描いた絵画を好んで友人に送っていました。