卵・バター・油を使わずにお菓子をおいしく作る方法

ハンク・グリーン氏:脂肪を気にせずに思う存分ケーキなどを食べたいと思いませんか? または動物性の食材をカットしたいと思う方もいるかもしれません。お菓子を作る人の中には、バターや油、卵の代わりにアップルソースで代用する人たちがいるのです。ではなぜ、アップルソースの中に含まれる炭水化物が、ペイストリーの油分やタンパク質の代わりになるのでしょうか?

お菓子やパンを焼くことは簡単に言えば化学反応です。ですからまず始めに、これらの食材が合わさるとどうなるのかを知る必要があります。水と小麦粉が混ざると小麦粉の中に含まれる2つのタンパク質、グリアジンとグルテニンはほぐれて互いに合わさり、長いひも状のグルテンを形成します。

ですからあなたがパンを作る時、まず生地に水を加えてグルテンを作ります。そして非常に伸びるグルテンのネットワークができるまで生地を捏ね続けます。それらすべてのグルテンは美味しい噛み応えのあるパンのカギとなるのです。しかしお菓子を焼くシェフはグルテンを抑えることにより、ケーキやパイが軽くふわっとした口当たりになるようにするのです。

どうすればそうなるのでしょうか? 脂肪分を加えるのです。ペイストリーの中の油分は疎水性です。つまり、バターと油の分子は水と結合するのを嫌がるのです。それらの脂肪分の分子は小麦粉のタンパク質をコーティングするため、水との関わりが抑えられ、結果的にグルテンが過剰に形成されてしまうことを避けられます。言い方を変えれば、パイ生地内のバターこそがパイを柔らかくサクサクにしてくれているのです。

ですからシェフが脂肪分をアップルソースで代用する時、これと同様の効果を得るために、若干これとは異なる科学的方法で調理するのです。アップルソースは多糖類のペクチンと呼ばれる物質が大量に含まれています。これは通常リンゴやベリー類などの果物を含む植物の中で、細胞壁の結合を保つ物質です。しかしペクチンは油分のように小麦プロテインをコーティングしてくれはしません。

代わりに、水分がゼリー状の網のような形状になるように働きかけるのです。そうすることで小麦の分子と水分が関わるのを抑えることができますし、グルテンの形成も抑えられます。しかしアップルソースを使ったベーキングは難しいでしょう。なぜならアップルソースそのものに含まれる水分が多いからです。それゆえ、アップルソースをたくさん入れすぎると、マフィンはパンのようになってしまいます。

アップルソースが代用できるのは油分だけではありません。卵の代わりにもなるのです。卵は焼き菓子を作る時、生地に重みをもたせたり、口当たりを良くしてくれます。非加熱の卵白は極端に言えば、タンパク質の塊が水分の中を漂っているものだと言えるでしょう。

卵白を加熱すると、それらのタンパク質の塊はほぐれ、互いにくっつくようになるので、それにより生地がしっかりと形成されるのです。ペクチンを加熱するとき、多糖の分子が互いに結びつき、水などの他の分子とも結びつくので、結果的に複雑に絡み合ったネットワークが形成されるのです。

ジャムやゼリーを例としましょう。あのゼラチンのような形状はこのペクチンのおかげです。ですからアップルソースも、卵がそうしてくれるように、ケーキが柔らかく、程よい口当たりをするよう助けとなるのです。美味しいっていいですね!