パチンコとカジノの違いはマネロンできるかどうか

山本一太氏(以下、山本):みなさん、聞いていただいてお気づきになったように、我々が本当に不思議だと思っているのは、カジノ解禁の議論であまりそこを強調する人がいないと。もう1回言いますけども、依存症はまさに渡邉さんが言ったみたいに、依存症対策としてやればいいんであって、依存症対策をやるから、カジノがいいっていうわけじゃないんですよね。

つまり、もう1回言いますけども、防げないんですよね。防げるって言った人いないんだから。そこが一番の問題ですよね。

西田昌司氏(以下、西田):それとさっきからずっと言っているパチンコ。なんでパチンコのこと言わないんだと。パチンコもある種のギャンブル的な要素あるでしょ。だけども、パチンコとこれの違いは、要するに、今どうなっているか知らないんだけども、出る玉の量は知れているわけですよ。そんな何百万とか何千万の話にならないわけね。

そんなちっちゃなやつでも、負けちゃうとどんどん大きくなっちゃうんだけども。そういう庶民的なちっちゃなものぐらいはあってもいいかな、と思うんだけれども、こっち(カジノ)はぜんぜんちゃうわけでね。ものすごく大きいんですよ。

ものすごく大きな巨額なお金がマネロンできちゃう仕組み。それはかなり問題があるんじゃないのかと。それは、賭博的な、それこそ競輪、競馬、パチンコも全部やめちゃえっていうと、正しいようだけれども、息抜きするところがなくなっちゃうんですよね。だから、やっぱりそこはバランスね。

バランスは絶対必要なんだけども、カジノについては、バランスを越えたマネロンがないと、成り立たないと僕らは思うので、それはいかがかなという話なんですよね。

山本:そうすると、渡邉さん。日本には公営ギャンブルもあると。そこでみんながいろいろ、お金を遣う……。

渡邉美樹氏(以下、渡邉):楽しみもあると。

山本:だから、一番の違いは、例えば、競馬、競輪はマネロンはできない。そんな大きなお金も動かないということですね。

渡邉:だから、本当、マネロンできる仕組みかどうかということですよ。だって、パチンコでマネロンはやりようないですよね。でも、今回のカジノに関して言えば、とくにジャンケット使えば、マネロンできる。僕がその時聞いた話、「(カジノは)自由主義社会におけるマネロンができるシステムだ」って言ったわけですよ。パチンコとか競馬とはぜんぜん違うんですよ。これだけは異質のものなんですよ。それを国民のみなさんは理解するべきでしょうね。

山本:なるほど。

米国のスーパーパック問題

西田:まぁ、これね。同じくぜんぜん違うんだけど、スーパーパック(注:米国の政治資金管理団体)っちゅうのがアメリカにあるんですか。

山本:あるある。うんうん。

西田:これもマネロンそのものを、政治家が作っているんですよね。

山本:スーパーパックというのは、政治家がお金を集める委員会ね。

西田:これね、とんでもないですよ。要するに結局……。

山本:税理士ですからね。西やん。

西田:僕も最近、人から聞いたんだけど、大統領選挙に関係してね。要するに、片一方でものすごく公平なことやっているような法律の体系つくって、もう片方でこちらの方法を使ったら、白昼堂々とでたらめができる仕組みがあるんですよね、アメリカの社会には。それと同じ方向に行きそうな気がして本当に危険ですよ。これ本当に、国がおかしくなりますよ。こういうことやっちゃうと。

「カジノができると教育に悪い」は誤解?

山本:あともう1つね 。けっこう、慎重論唱える人たちの間で、我々は常にマネロンのことばかり言ってたけど、なんとなく、「カジノができると教育上よくない」「環境がわるくなる」みたいなことを言う人がいるんですけど、これは十分、手当できるんですよ。

渡邉:(環境が悪くなるとか)そんなことないですよね。ありますよ。カジノの、シンガポールのサンズ(注:シンガポールの総合リゾートホテル)もそうですけど、ラスベガスもそうですし。

ただ言えるのは、例えば、韓国とかスペインなんかもそうだったんですけど、カジノの占める割合が全体の10パーセント、20パーセントを超えてくると、空気がすさむんですよ。周りの町の空気が。本当に鉄火場なってくるんです。だから、すさまない空気をつくるだけの設備があれば、それはぜんぜん問題ないと思います。

山本:なるほどね。例えば、(韓国の)カンウォンランドじゃないけど、行ってみたら歩いている人が「お金貸してくれ」って言うとか。今日、車乗ってきたけど、帰りの車は(質に入れてしまって)もうないとか。そういう雰囲気がなくなるっていうことですよね。

渡邉:僕は海外で随分見てますけど、実際なかったですね。うーん、なかったですね。

カジノ解禁はあり得るか?

山本:さて、これから実施法案がいつでてくるかわからないけど、国会でいろいろ議論されてくるわけですが、カジノ構想そのもの全面否定しないとすると、どういう状況だったら、カジノ解禁あり得ると考えているか。まぁ、西やんは最初からないっていうのかもしんないけど、そこはいかがですか。

西田:僕はやってみて、そういうビジネスモデルとしてできるのか、と。さっき渡邉さんがおっしゃったように、健全なかたちで客を呼ぶ方向に。シンガポールですか? そうなってきていると。なにかそういう……。

山本:マカオね。マカオは今、IR型にしようとしている。

西田:マカオか。

渡邉:もう変わろうとしていますから。

西田:そういう方向でないと、じゃあ、今、そもそもこの付帯決議を生かしたいっていうとそれしかできない。そもそもがね。

渡邉:例えば考えたんだけど、「ジャンケットは駄目だよ」というのと、やっぱりシンガポールが一番最初にやろうとした、現金のみってすごいいいんです。

西田:そうね。

渡邉:現金だけですよと。いいよ、持ってきなさいよと。入るとき申告しなさいと、出るとき申告しなさいと。全部、データベース化しちゃうと誤魔化しきかなくなるんですよ。だけど、それがだめになったんで、ATMを置かなきゃしょうがないとか。それから、ジャンケットをやっぱり使おうとか。それから、お金を預けたら、中でお金を借りれるようにしようと。

シンガポールも最初は「現金だけだ」と、すごく健全なものをつくろうとしたんですよ。でも、できなかったんですよ。だから、我々は、日本はそれに挑戦したらいいですよ。10万円しかもって来ちゃ駄目だとか(笑)。それ以上使うなと。だから、ぜんぜん流行らないんでしょうね。でも、一般の国民はそれで十分じゃないですか。

西田:だけど、それ、普通に考えたらわかるけど現金で持ち運ぶの大変でしょ。一番いいのはジャンケット呼んで、要するに「いくらでも貸します」と。どんどんやっていって、1億ほど負けるわけね。あつくなってきたというところで、勝たすんですよ。もう一度、行きましょうとやってね。次、大負けさして、次勝てない。そうすると、借金だけ残って、取りに行くんですよ。これが昔のやくざがやっていることもそうだけども……。

渡邉:でも、ジャンケットも同じ。

西田:ジャンケットも同じですから。これ、2分の1だからね。勝ってやめたらね。絶対勝つんですよ。ところが、勝ってやめさせない。負けてやめさせるんだから。

山本:でも、そんな勝ってやめさせないのがジャンケットの手法であり、カジノの手法であり、カジノ経営者の手腕みたいですよね。

西田:そういうこと。

山本:ジャンケット、実際、知らないんだけど、欧米のメディアとか見ていると、ジャンケットの中には、やはり不法な活動に関わっている人もいるという記事もあるから、ドラッグトラフィッキングとか人身売買とか、本当かどうかわかりませんよ。やっぱり、ある意味で言うと、かなりグレーゾーンのある、商売だということなんですよね。

渡邉:やっていることを見たら、全部そうですよ。

西田:そうでしょ。

渡邉:実際、ほら、中国の方が一番重用しているのは、中国ってやっぱり現金ってあんまり外に持って行けないんですよね。だから、ジャンケット。中国でジャンケットにお金預けて、それで現地で貸してくれというやり方をしているわけですね。だから、そういう面で言うと、金融機能なんですよね。

西田:そうそう。その通り。

渡邉:これは駄目ですよ。

借金を取り立てるのもカジノの仕事

山本:もう1つ。私がもしカジノ経営していたとしたら、一番気にするのは、「どうやって借金を取り立てるか」ということだと思うんですよね。昔カジノの研究をしていた人から、これも又聞きだから、直接じゃないんだけど、やっぱり取り立てるための技術ってあるらしいですよ。

だって、そのまま日本で外国の富裕層がすごく借金していっちゃったら、取り立てられないでしょ。こういうことが本当に日本でできるかと。取り立てるって、技術的にも法律的にもすごく大変だって聞きましたけど。

西田:昔、だから、サラ金でたくさんいましたやん、そういう専門の人たちが(笑)。今はもう禁止なって駄目なったけど、そういうことなんですよ。

渡邉:なりますよね。そうすると、裏の社会が関わってきますよね。ジャンケットの最大の元は、中国人というのは基本的に借金を返さない文化があるらしいんですよ。だから、ジャンケットを仕事は中国人から借金を取り立てるっていう最大の手口だったんです。これ、マカオの方から聞きました。

カジノ法案をちゃんとウォッチして欲しい

山本:さて、ここまでいろいろ話をしてきたんですけど、これからどうするかということ。おそらく実施法案が今国会に出てくるのかどうかちょっと国対に聞かないとわからない。

西田:そら、無理でしょ。そら無理だと思います。

山本:いずれにせよ、プログラム法案じゃなくて、今度は中身に関わってくる法案なので、もちろんその推進派の方々のまじめにやっておられるし、多いのかも知れませんけども、我々としては、やはり国益を考え、日本の経済を考え、安倍政権の成長戦略を考え、これには慎重論をしっかり唱えていかざるを得ない。

みなさん、ちゃんと付帯決議。付帯って名前が良くないですけど、付帯決議でちゃんととってますから。これが無視されるというのは、相当、国会軽視になってくるので、我々としてはこれはしっかりやってもらうことに……。

西田:だから、一番は先ほど言ったように、マネロンの話。国会の中でてこなかった。しかし、それを付帯決議にやった。それを踏まえて、実施法案出てきたときには、今回のようにとりあえず通すようには、絶対無理ですよ。やっぱり議論をしていかなきゃ、衆(議院)も参(議院)もなってくるから、そこでいろんな知恵が出てくるのか。やっぱり、知恵出しても無理やから、あきらめるのか。その辺の議論でしょうね。

山本:そろそろ時間なっちゃったんですけども、ぜひ、このカジノ解禁の問題。身近な問題として考えていただいて、我々は今日言った、犯罪、とくにマネーロンダリングというものを本当に防ぐ仕組みになるのかどうか。

今日、我々がこの法案通すために参議院でもものすごく苦労して通した付帯決議の精神というものが、きちっと法案に反映されるかどうかということ。ぜひ、国民のみなさんにウォッチしてもらいたいと思います。

自民党に漂う閉塞感

山本:最後にもう1つ申し上げたいのは、自民党はすごくオープンな政党で、はっきり言って他の政党よりも、他の政党のこという必要ないと思うけど、若手もベテランもみんな思ったことを会議で言えると。この2人なんか言いまくってて、西やんなんか滅茶苦茶言ってますからね。

私もそうですけど、ちょっと気になるのは、昨今、官邸とかに気を遣い過ぎちゃって、例えば、安倍総理は懐が深いのに、なんかこう、自主規制してね。意見を言わなくなってくるというところが心配になってくる。そういう政党じゃないですよ。例えばカジノだって、参議院ですごく反対が多かったのに。

でも、「一太さんの言うとおりです」と、言う人はけっこういるわけですよ。エレベーターで、廊下で、メールで。「一太さんの言うとおりです」「ブログ毎日読んでます」「番組見ました」「西やんいいです。渡邉さんいいです」という人がいるのにも関わらず、なんかこう発言しない。これはちょっと、変えていかないといけない。

西田:ちょっとこのごろ、昔我々も一太先生から教えられましたけども、とにかく議論するのが我々の仕事だから。それで電子投票法ね、衆で通っていたけども、私が答弁したときですけどもね。

山本:ぶっつぶしました。申し訳ない。

西田:つぶしちゃって、よかったですよね。それができる、聞いてもらえる政党なんですよね。このごろ、そこが参の方は割といいと思うんだけど、衆側の議論があまりにも少ないというか、そこがちょっと、残念です。

山本:衆議院も志の高い良い議員がいっぱいいる訳じゃないですか。この6時間で通すっていうことが、みんなが異論を唱えてなかったことがすごい不思議なんですよね。だって、世論調査やったら、6割反対で、女性7割反対でしょ。そういう法案を6時間で通すというのは、総理には油断も、なんというか、油断もないしね。決して傲慢にもなってないんだけど。世の中から見たら、ちょっと、自民党は傲慢じゃないかって、見られませんかね。

渡邉:僕は、衆議院のことよくわからないですけど、小選挙区ってかなり影響出ているんじゃないですか。

西田:それはあるかもしれないよ。

渡邉:だって、公認しないよっていわれたら、もうそれでアウトだよという空気は感じますよね。

西田:なるほど、執行部に対しては……。

渡邉:絶対逆らえない。

西田:それはあるかもしれない。

渡邉:官邸から出てきたっていったら、じゃあ、反対だけど賛成しようっていうのが、すごく感じますよね。小選挙区の弊害じゃないかなと思いますよね。

西田:そらそうかもしれませんよね。だから、我々の場合はね、とにかくいったん置かれれば、6年でしょ。途中でね。反対しようがなにしようが、6年経ったらね、だいたい、どうなっているかわからないんだから。だって、そうだから。だからいいんですよ。だから私は、参議院やっているんでね。損な役割ですよ。

山本:そうですね。参議院は西やんと俺もそうだけど、全県一区で、衆議院の力もちろん借りるし、県議にも応援してもらうし。私も群馬県で衆議院のみんなとももちろん仲良いし、県議もいいからいいんですけども。もともと、最新のデータで比べれば、得票率も投票率も全部衆議院に勝ってますから。あっ、すいません、慢しちゃった。それは良いんですけども。

ということでみなさん。こういう人が参議院にはいるんですよ。やっぱり総理が大好きなんですけども、例えば、総理が第二次安倍内閣ができたときに、2013年かな。なにかで、IRについて推進することを、日本最高戦略かなにかで閣議決定した。そのときの大臣だっていうこと。

わざわざ丁寧に教えてくれる人がいて、「だから、一太さん、問題になったら、困る」。だから、問題になんかなんねーよ。俺は別にIRの推進の時の閣議決定には署名しているけど、(衆議院の審議時間が)6時間で来るなんて思ってないし。だからといって、この中身について文句を言っちゃいけないことはないので。

この2人はやっぱりどんなときも、ちきっと正論を言うんです、いかなる時も。だから、こういう人が参議院にいって、本当に、うれしかったです。まあ、我々は我々で、きちっと日本の経済とか、国益とか、安倍政権のことを考えて、カジノ法案について言いたいことは言っていきたいと思います。

渡邉:よろしくお願いします。

山本:300対3でも、中谷さんいるから、4か。300対4でもがんばりましょう。はい。ということで、みなさん、本当にありがとうございました。

西田:ありがとうごございます。

渡邉:よろしく願いします。

山本:今日はどうもありがとうございました。

渡邉:どうもありがとうございました。先輩ありがとうざいます。

西田:どうも・・・・・・。

(拍手)