「認可保育園を増やせばなんとかなる」ではない--当事者らが望む、これからの保育の在り方とは?

ゲストによるトークセッション #3/4

「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログエントリから約1年。保活問題の今はどうなっているのでしょうか。2017年3月1日、“フリーランスの保活”にフォーカスしたイベント「#フリーランスが保活に思うこと」が行われました。主催はプロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会とハフィントンポスト。本パートでは登壇した3名が、多様化する働き方の中で求められる保育の在り方について語りました。

「子連れってアリじゃない?」と思ってもらうことが大事

竹下隆一郎氏(以下、竹下):ありがとうございます。菊地さんいかがですかね? 仕事を証明するのは、けっこう難しいし、大変だなと思っているんですが。

菊地加奈子氏(以下、菊地):私はまったく働いてなくてゼロからだったので、社労士試験の合格証とか、そういうものをつけたんです(笑)。「つけてください」って言われたので、合格証書のコピーをつけて。すごい気合いが入っている人だなって思われたかもしれないんですけど(笑)。

収入見込ということで、うなぎのぼりの収入見込を。「20万、40万、60万」みたいに書いていって(笑)。でも、結局初月の収入は、私は4,000円しかなかったんです。でも、本当にそれぐらい「稼ぎますよ」というアピールはしたんです。

ただ、ちょっとずれちゃうかもしれませんけれども。0歳の子供たちにいくら税金がかかっているのかというと、みなさんもご存じだと思いますけど、40万ぐらいお金がかかっているんです。フリーランスの立場として、当時まだぜんぜんそこまで到達していない状況で、そんなに「絶対に私を入れてよ」というのもおこがましいなという気持ちもちょっとあったんですね。

なので、そこは「なんで私を入れてくれないのよ」という気持ちにはならなくて。うまくすり合わせて、「フリーランスだからこそ、自分が『こういう働き方もあるんだよ』というのを見せつつ、ゆったりやっていってもいいのかな」と思っていたら、すんなりに入れたというような感じですね。

竹下:なるほど。じゃあ対応するってことが大事になんですかね。

菊地:そうですね。お客さまのところにも子供を抱っこして普通に連れて行ったり。嫌な顔もされましたけれども、それで少しずつ壁が崩れていけばいいのかな。菊地さんといえば、子供を連れてくる人だって思われたり。

講演先にも連れていきました。AsMamaさんってご存じですか? 私の顧問先でもあるんですけれども、大阪とか札幌で講演するといったときに、現地でAsMamaのママサポさんがいて、そこで子供の面倒を見てくれるというような関係を作ったりとか。

うまく自分のなかで柔軟にいろんな方法を考えつつ、楽しく切り抜けられたので、あまり「なんでよ、なんでよ?」という気持ちはそんなになかったなと思います。

竹下:今、うまく伝えるのは本当に大事だと思って。保育園のことをわかんない人も、悪気があるというよりは、本当にたまたま自分の視界に入ってこなかったり、その人の働き方がまったく違って入ってこなかったりする人が多いと思うんですよね。やはりそこは対応するのが大事ですよね。

菊地:そうですね。今日もこうやってお子さんを連れて来られてきて。

竹下:いいですよね。

菊地:「子連れってアリじゃない?」というふうに世の中に思ってもらうことが、すごく大事だと思うんですね。アピールって思われちゃうかもしれないですけど。でも、いいんですよ、アピールで、本当に(笑)。どんどんアピールしていく人が増えれば、会社だって、受け入れ先にベビーベッドを会議室に用意するとか、そういう体制を作ってくれたらもっともっと働きやすくなるかなと思います。

子供を武器にしたくない、淡々と現実を伝えたい

竹下:新倉さん、その点いかがですか?

新倉暁子氏(以下、新倉):そうですね、やはり私たち当事者以外の方の周りの方も、みなさんが自分事として捉えることで世の中が変わってくるんじゃないかと思って。

私、保活は終わってるんですけれども、終わったあとでも、こうやってなにかの力になればと思って、とにかく自分事に据えるということが問題解決になってくるんじゃないかなと、大きすぎますけれども、そういうふうに思って活動をしています。

竹下:自分事に捉えてもらうというのはなかなか難しいと思いますけど、はい(笑)。

新倉:難しいんです。でも例えば、消費税、税金とかが認可保育園に使われているわけじゃないですか。自分が払っているこの税金をどういうふうに使われているのか、もっと興味も出てくると思うし、そうすると政治にも興味が出てくるし。

だから「この税金が、私の息子の子供のこれにあたってるんだな」と、ちょっと想像して、最初は、そこから少しずつ目を向ければいいのかなと思います。

竹下:確かに。想像するのは大事ですよね。吉野さん、いかがでしょうか?

吉野ユリ子氏(以下、吉野):私もふだんは保育園に子供を預けているんですけれども、小さい子なのでお熱をよく出すので、途中で呼び出しが来るんです。途中で呼び出されると、親とか誰も近くに住んでいないので、どうしようもなくて。仕方なく何度か取材先に連れて行ってしまったこともあって。

私は自分がそういう裏方の仕事なので「女優さんだったりとかメインの人が目の前にいるところで、裏方の私がなんでこんな問題を抱えてくるんだ」みたいな、すごく思うんですけれども(笑)。もうこれは社会の問題にしてしまおうと思ったんですね。私の子供じゃなくて、日本の社会の子供みたいな感じで。

今のところパッと見た感じ、それによって、私にはもう仕事を頼むのはやめようと思った人はいないようなんですけど。それでなにか仕事が減るとしたら、「そうじゃない人と仕事をしていくために、与えられた出来事なんだな」と思うようにしていました。

本当にサステイナブルな世の中を作るために、ときどき自分が踏み石になってもいいのかな。それで、みんなで少しずつ「子供がお熱出すと、保育園は預かってくれないんだ」ということを知ってくれる人がいてもいい。ただ、子供を武器というか、言い訳の材料にはしたくないので、淡々と現実を伝えていきたい。

というのも、私が自分が子供がいなかった頃に、海外出張のお仕事を女性のカメラマンさんに頼もうとしたら、その方がお子さんを産んでいらっしゃったことを、私も知ってたか知らなかったかすら覚えていなくて。子供がいる人・いない人に、自分のなかでぜんぜん興味がなかった。それによって仕事のやり方が変わるということを想像すらできてなかった頃に、海外出張の仕事をご相談したら、「ちょっと調整します」と言って、なかなかお返事が来なくって。なんだかんだしていたら、「吉野さんは子供を持って働く女の人の気持ちがわかっていない!」とキレられてしまったことがあったんです。

振り返っても、「普通に『子供を預けなくちゃいけないので、ちょっと調整が必要です』って言ってくれればよかったのにな」と、今になったら思うんですけど。お子さんのこととか、最後にキレる瞬間まで言われなかったので、ぜんぜんわからなかったんですけど。

だから、こちらも構えすぎずに、被害者意識だったりとかを変に持たずに、お互いに「まあ、こういう現実ですよね」という感じで、落ちついてやっていければいいのかなって思います。

「子供に使う時間ムダだ」と思ったらおしまい

竹下:ありがとうございます。残り15分ぐらいは、会場からご質問を受けたいと思うんですが、もしどなたか「こういうことを聞いたい」というのがあれば。

質問者1:はじめまして。私はフリーでライターをしています。

私自身は、もう子供は認可の保育園に入ってるんですけれども、保活を2回経験してまして、その保活の経験の記事を書いたものが一度ハフィントンポストさんに転載されたこともあります。認可保育園を増やせばなんとかなるとは思っていなくて、やっぱりハコ(=保育園)の制限というのはあると思うので。

みなさんがおっしゃっているように、民間のサービスがもっと参入するとか、「保育の多様性みたいのに目を向けてもいいんじゃない?」と私も思うんですけども。やっぱり、現状みんな認可がいいと思っているのは、サービスの安定もあるんですけども。正味な話、お金の問題もすごいあるなと思っているんですね。

民間のサービスは認可の保育園に比べて高いし、まだフリーランスでお仕事が安定していないところに、「そこまで保育料払えない」と思っていらっしゃる方もすごく多いと思うんです。私自身もそうだったんですけれども。

それをもっと未来の自分に対する投資だと考えて「いつかリターンがあるから、ちょっと高い保育料を払っても、民間とかほかのサービスをどんどん活用していこう」と思えるためのモチベーションというか……。どういうふうにしたら、そういうふうにみんなが思えるようになると思いますか?

別に会社員の人でもいいと思うんですけれども、「『これからの未来を切り開くために、もっと民間のサービスを使っていこう』と思えるための、背中を後押ししてくれるものはなにかないかな?」と思うんですけれども。なにかご意見があればお聞きしたいです。

竹下:すごくいいご質問ですね。どなたに答えていただきたい?

質問者1:じゃあ、吉野さんにお願いしてもいいでしょうか。

吉野:ありがとうございます。1つは、先ほど申し上げていたみたいに、政府とか補助金とかの制度がもっと充実したらいいかなと思います。

あと民間のサービス側も、例えば今私が通っているネイルサロンは、系列の託児施設があって、そこに預けてたら1時間500円で預かってくれる。まあ、それは仕事の時間じゃないですけれども、そういうサービスがあったりするので。

例えば、クライアントをたくさん持っている企業さんであれば、クライアントのお子さんを、打ち合わせのときに連れてきても預かれるみたいなことが増えたりとか。今みたいに、「ただ子供を預かって終わり」という預かり方だけじゃなくて、なにかほかの仕事とリンクさせていったり。それこそドコモポイントみたいなやつで子供が預けられるようになるとか。

なにかもっといろんな、託児サービスだけ、孤立したシステムじゃないやり方で、もう「ここお金儲けのチャンスですよ」というふうに、なにかいろんなビジネス、起業される方々に訴えられるような状況を作りたいなとは思うんです。

リターンがあるとはいえ……必ずリターンがあるかどうかわからないですし、だいたい本当に仕事によっては保育料のほうが高くなっちゃう日もあるので、けっこう悩むときもあります。

もう1つは、自分の仕事のために子供を預けている。1つの仕事のために子供を預けていると考えるんじゃなくて、「子供にお金を使うことが、この日本という社会への投資だ」という考え方で、「一番大事な投資は未来を担う人たちへの投資だ」という視点に立つ。

自分自身が今、時間の割き方とかを考えても「子供に使う時間はムダだ」って思っちゃったらおしまいなんです。なので、「後世の人たちに使う時間というのが、私が生きていく上で一番必要な時間なんだ」というふうに考えるようにはしています。合っていますか?(笑)。

質問者1:ありがとうございます。

入園後も勤務内容の変更によっては退園もあり得る

竹下:すごくいいご質問ありがとうございました。ほかの方、もしよろしければ。

質問者2:今日はありがとうございます。主に保育園を経営していらっしゃる菊地さんにうかがいたいんですけれども。

今日、フリーランスの協会の方と共催ということなので、たぶんフリーランスに関心がある方とかフリーランスの方がいっぱい来ていらっしゃるのかなって思います。

フルタイムで会社員として働いているときに認可保育園に受かって。保育園に入ったあと、例えば、何年か働いて「フリーランスになりたい」「時短勤務をしたい」って思ったときって、「在園の状況を満たしていない」みたいな感じで退園になることはあるんですかね?

菊地:ありますね。毎年更新して在職証明というのを出すので、うちの職員でも短くなっちゃう……。最初は「フルタイム復帰です」って予定で出して通ったんだけれども、やっぱり週3しか働いていないとになると、また毎年出さなければいけないので。

質問者2:私自身が、今、生後2ヶ月から子供を認可保育園に預けていて、もう2年間ぐらい預けてるんですけど、「もう入ったら6年間フルタイムで働くしか選択肢がないのかな?」っていうのが、今すごく気になっていて、今日このイベントに来たんですけど。やっぱり今の制度的には、子供が退園になる可能性もあるってことですよね?

菊地:そうですね。場合によってはあります。

質問者2:わかりました。ありがとうございます。

竹下:ありがとうございました。ほかにご質問あれば。

司会者:ちょっと今、最初の質問でお金の話があったので。各テーブルの中央にアンケートを置かせていただいてるんですが、フリーランスというか、柔軟な働き方で保活の経験がある方にうかがったアンケートで、「結果的に利用している保育サービスにかかる予算、教えてください」という質問をとっています。

ちょっとまだ途中なのでN数(アンケートの母数)が少ないんですが、「9万円以上」という方が17パーセントいらして。お子さん複数名いらっしゃれば、それの合計数なんですけれども。こちらもよかったらご覧いただけたらなと思います。すみません、挟んで。

竹下:ぜひお願いします。すごい興味深いデータですね。

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