『Pornohub』のレポートは男たちのパナマ文書

乙君氏(以下、乙君):はい次、超人気アダルトサイト、これは『Pornohub』ですね。1年間の統計レポートを公開、総視聴時間はなんと5246世紀分に相当するということ。

山田玲司氏(以下、山田):これさダウンロード数なんでしょ? 違うの? 何数なの?

乙君:いや、つまりダウンロード数ですよ。

山田:だからこれ、自分が買ったものを観ている人は入ってないんだよね。全部だと何世紀になるんだ(笑)。

乙君:あー確かに。

山田:でしょ? これネットに関わってる……。

乙君:ある1つのアダルトサイトだけなんで。

山田:えっ! もうミラクル? 

(会場笑)

山田:これミラクルすぎるね。

乙君:だからこれ以外にも幾千とあるんですよアダルトのあれは。

山田:そうなんだ、じゃあこのサイトすごいね。

乙君:ストリーミングか、ストリーミングかもね。でもまあまあそれでもですよ。

山田:で、この話、乙君から「やりましょう」って言われて、俺おもしろかったんだ。なにがおもしろかったって「好っきやなあ、どんだけみとんねん」って話で、あと検索ワードが超おもしろくて、どの検索ワードでエロ動画を探しているかってやつで、なんだっけ1位出てる? なんだっけ?

乙君:1位なんだっけ。

山田:熟女がめっちゃ高いっていうのがおもしろくて。

乙君:けっこう高いんですよ、うん。

山田:熟女人気すごいよね。3位とか? もっと?

スタッフ:レズビアン。

山田:レズビアン? 百合が一番強いの?

乙君:それはたぶん男も女も観れるから? 

山田:いや違うんじゃない? 男の百合好き半端ないでしょ。 

乙君:男の百合好き半端ないですね。

山田:って勝手に思ってるけどそうじゃないのかな? で、そのあとに割れてるのがおもしろくて、熟女とティーンに分かれていて(笑)。日本はとくにそうで、真ん中の『タラレバ』層完璧にスルーっていうさ。

(会場笑)

山田:女として一番成熟している連中を完全に無視してさ、手前と後にいくって、この空洞化がすごくおもしろいなって。ドーナツ現象みたいなね。女子のドーナツ現象が起こっていて、この数字、男たちのパナマ文書でしょ。調べんじゃねーよ! 

(会場笑)

1位が「lesbien」、2位は……

山田:すごい額になってるよ! タックスヘイブンじゃなくてこれポルノヘイブンだなと思って、俺はこれをどう思ってるかというと、「まあいいんじゃないの」って思っていて、要するに、今地球環境の話すると、少子化問題っていいことなんだよね。

だからポルノサイトとか観れるくらいのインフラが整っている世界に住んでいる人間が少なくなるっていうのは、環境にはいいんだよね。環境にやさしい結果です、これは。平和的な、戦争とか飢餓とかで人が死んで減るみたいなことよりも、ポルノで減るってほうがよっぽど平和的な解決、平和的な人口減少。

乙君:まあね。

山田:国力みたいな話になると、またすぐ労働がどうのって話になるんだけど、地球全体からみるとまあいいことじゃない? 

乙君:これ内訳言っていいですか? 一番視聴しているのがアメリカです。これがもう半端ないですね。その次がUKなんですけど、イギリスがアメリカの4分の1です。その次がカナダ、これがイギリスの半分くらい。で、インドまああんまり変わらない。そしてジャパンなんですよ、5位。

山田:これさ、英語圏での調査だよね。

乙君:ある意味そうです。

山田:じゃないと日本人。

乙君:でももう英語でみんな検索しますよ。

山田:マジっすか! やってんすか! 

乙君:えっ(笑)。

(会場笑)

山田:「teen」とか打っちゃうんすか? 「JC」とか打つんですか?

(会場笑)

乙君:いや「Japanese」で。

(会場笑)

山田:Japaneseもあがってましたね。

乙君:公式でやめてくれ!

(会場笑)

山田:そうなんすか。

乙君:1位が「lesbien」、2位が「step mom」、継母。

山田:うえ、まじで! そうなんだ、じゃあ継母? 養母。

乙君:つまり熟女ですよね。

山田:だよね。

乙君:3位が「milf」ってこれちょっと4チャンに聞いたんだけど忘れちゃった。4位が「teen」、で5位「step sister」。

山田:「step sister」。

乙君:つまり義理の姉。

山田:あーそう、なるほどね。

乙君:アメリカの1位が「step mom」なんですよ。2位が「lesbien」。日本の1位が「japanese」ですけど、「japanese teen」がきますね。

山田:そういえば日本に「ナイスですね」の人いるじゃん。何監督でしたっけ? AVの。村西さん! 村西さん、どんな時でもたたなきゃいけない仕事していて、「それでもたたないときはどうするんですか?」って聞いたら、女房の妹のことを考えるって言っていた。

(会場笑)

乙君:えー! それが一番エロいんだ。

『君の名は。』のヒットは恋愛へのノスタルジー

山田:今「step sister」、タブーだから盛り上がるんだろうね、国際的にね。

それはともかくいいんですけど、この間、恋愛はオワコンかって話を岡田さんがしててね、岡田さんの番組で、俺が『君の名は。』とかを評論する時にもうみんな、1人でも平気だわ、少しも寒くないわとか言って我慢してファンタジーの世界に逃げたりいろいろしてたけど、結局泣きながら目が覚めるくらいさみしいんだよってことじゃねーのって言って、俺は「恋愛回帰の願望みたいなものがあの映画のヒットの裏にあったんじゃない?」っていうようなことを言ったら、岡田さんいわく、「山田君はそう言うけど、実は、恋愛そのものがオワコンなんじゃないかって、俺は思ってるんだ」って話をしててさ。これなかなかおもしろいなって思って、つまり恋愛なるものがコンテンツとして終わりを迎えているんじゃないかみたいな感じ。

それによってみんなポルノこんなに観てる、みたいなことが文脈として繋がるんだけど。でもちょっと待って、岡田さんが言ってることはすごくおもしろいんだけど、もしかしたら、岡田さんがそこでまたおもしろいこと言ってて、ちょっと前の世代が失ったものを、今の世代は求めがちってことを言っていて、だから「恋愛ってものが昔あったよね」って。

乙君:あーノスタルジー。

山田:ノスタルジーとして『君の名は。』みたいなものを求めてたんじゃないかってことを言ってて、その話ちょっとおもしろいなって思ってたんだけど、これよくよく考えてみるとあれかもしれないね。親の世代が夢中になったことを子供の世代も追体験しようとするって傾向がやっぱりあるよね。どの世代も。

一番顕著なのが団塊ジュニアだったと思うんだけど、団塊ジュニアのお父さんお母さんってフリーセックスの時代に生きてて、セックス、ドラッグ、ロックンロールなんだよ、あの人たちって。要するに、団塊世代っていうのは無法地帯なんだよあの人たち。で、平和とか言ってたんだよ。今の40才くらいの人たちってそれの子供たちなんだよ。

あれがなにをしてたかというと、90年代センター街で大暴れしてたんだよ、だからかかと落とししてたわけ。

乙君:センター街で?

山田:スニーカーよこせって言ってたわけ。で、援交してたわけ、90年代のただれた文化。だからしみちゃんがまさにそうだよね。

しみちゃん:そうです。

山田:90年代のあのエログロの混乱みたいなものっていうのは、親の世代がそうだったからかもしれないって思うわけ。そうすると逆算して今の若い子たちって親の世代が恋愛世代なんだよ、バブル世代だから。

乙君:あー。20年ごとにね。

山田:そうそう。っていうふうに考えるともしかしたら80年代ブームってファッションできてたんだけど、テクノもそうだったよね、80年代にすごいはやってるんだけど、いよいよあの当時の「恋愛イエーイ」みたいな時代っていうのがおもしろいなあって、みんなどっかで思ってるとか、あこがれているというか。『君の名は。』で出てくる観光地をデートするみたいなのってさ、あのバブルの当時のノリなんだよ。

乙君:へえー。

山田:実際デートだよ。しばらくこの国はデートがなくなってたの。だからデートが戻ってくるのかなっていう気もちょっと思ってて、このあたりはなかなかおもしろいとは思うなって思って。やっぱり恋愛ってオワコンっていうか、潜在的には求められてるんだけど、それが可能かどうかっていうとまた話が別です、って次元に今あるかなって気がするんだよね。

この話でちょっと思うのが、ポルノは実際のセックス……、アメリカ人ってセックスむちゃくちゃするじゃん。だけどポルノを観るんだと思うとやっぱり別腹なんですねって話じゃんねこれって(笑)。

乙君:それは違うものでしょ。マスターベーションと……。

山田:そうそう違う。そういうことは世界的には(違う)。ただ日本においては、アメリカ人ってめちゃくちゃセックスするけど中国人もそうだけど、なんていうのかな、この国はバーチャル物で代用するって文化が進み過ぎて、「恋愛そもそも面倒くさい」「デートそもそも面倒くさい」みたいな感じできすぎた結果、なんつーのかな、ポケモンって昆虫採集みたいなもんじゃん。

そもそものセックスは自然界のものであって、昆虫採集みたいなものなんだけど、もう昆虫もいなくなって、みたいな。だから代用で。日本がとくに代用でセックスってもんをごまかして、顕著なんじゃないかって感じはするんだよね。

乙君:まあ、それはそうなんじゃないですかね。あんなに手の込んだエロゲーとか作るの日本人だけですからね、シチュエーションもそうですし。