最も伝わるメッセージには体温と体重がある

小泉進次郎氏(以下、小泉):みなさんおはようございます。今日は勤労感謝の日ということで、みなさん本当に朝からお疲れさまです。

(会場笑)

大学生で休みの日に、これだけ多くみなさん集まっている。今日、間違いなく言えることは、「私よりもみなさんは本当に真面目でよく働いているな」だと思います。

今日、次に出てくるのは、私よりスピーチが上手い細野(豪志)……政治家としての先輩ですけど。

(会場笑)

私からはですね、今日はせっかくですからみなさんに、「言葉とビジョン」ということでお話をしたいと思います。ちなみに、僕になにか質問がある、聞きたいことがあると用意してきたって人います?

(会場挙手)

あ、少しいますね! もし時間があれば、その時間も少し作れればなと思いますが、最初に僕がみなさんに今日1日「どこか気に留めておいて、ビジョンを学んでもらいたいな」と思うことを言葉というものを通じて、お話をしたいと思います。

まず、最近の出来事から言いますと、私自身もすごく関心を持って見ていたのは、アメリカの大統領選挙です。トランプ次期大統領が決まりましたけど……。相手はヒラリーさんでしたね。ものすごく印象的だったのは11月9日、最後の日です。

最後の日の、ヒラリーさんの敗北宣言。そしてトランプさんの勝利宣言。この2つに表れたことが、僕にとってものすごく印象的に感じました。

「人間味をあまり感じない」と言われたヒラリーさんが最も人間味あふれる、感動的なスピーチをされたのが敗北宣言でした。どこかすべてを受け入れたような、やわらかさと深みのある表情をされて。あれだけ厳しい現実を受け止めなければいけない。優しい笑顔を浮かべながら、メッセージを最後に残した、素晴らしいスピーチでした。

一方、大統領らしくない発言をずっと続け、勝利宣言をしたトランプさん。彼が最後にしたのは、大統領らしいスピーチだった。

ここに、政治の難しさがあるなぁと思いました。もしも、ヒラリーさんがあの敗北宣言で見せたような、やわらかな表情と人間味のある、そういったスピーチだったら、大統領選挙の結果はどうだったんだろうかとか。

逆に言えばトランプさんは、最後の勝利宣言のように大統領らしい発言が続いていたら勝てなかったんだろうなとか。言葉ってどういう意見が出るか難しいですねぇ。

そんな中で私は今日はみなさんに……堀(義人)さんが、今日このスピーチを大変ハードルを上げてくれたんですけど。

(会場笑)

「私がどんな思いで自分の言葉にこだわりを持っているか」ということをお話をして、そこからみなさんにもなにか受け取ってもらえたらいいなと思います。

私が常に心がけていることは、自分の話している言葉に、体温と体重をのせることです。実際、言葉に体温と体重はありません。温度を測ることはできないし、体重を量ることもできません。

だけど必ず、言葉には温度・体温、それがのります。そして、受け取る側の感じる重量、それが必ずあると僕は信じています。だからこそ、今日も後ろにはマスコミのみなさんがいますけど、30分話したってそのまま報じてくれるところはありません。

(会場笑)

いかに、切り取られるところが……致命傷は負わない言葉を選びながら、最も伝わるメッセージを選ぶには、そこに体温と体重がなきゃダメなんです。

小泉氏が持つ、誰にも相手にされなかった経験

じゃあなぜ僕がそういう思いを持つに至ったか。それは、人に話を聞いてもらえない体験があるからです。相手にされなかった経験があるからです。いくら思いを伝えようと思っても、思いを伝えることができない体験があったからです。

みなさんは今、たぶん…20歳前後? ですよね。覚えているかわかりませんが、私が初当選したのは、28歳のときでした。今35歳なんですけど。今から7年前に民主党が、細野先生が与党になったときです。

今日は言葉がテーマなのに、言葉では言い表せないくらい(笑)。本当に厳しい選挙で、とにかく雰囲気は、今のこの自民党に対する政治状況が当たり前だと思っているみなさんからすれば、まったく想像できないかもしれませんが。とにかく自民党は嫌い、という空気。

なぜ自民党が嫌いなのか。それは、ずっと歴代総理を見ると、世襲の国会議員が総理大臣になって、毎年変わって、それが今の日本の政治を生んでいるんだという思いがやはり強かったんですね。

そして、「もうこれは我慢できない」ということで、民主党政権が生まれたのが2009年。私はそのときに初めての選挙で自民党から出てますから、とにかく「自民党の候補は嫌だ」と言う空気に加えて、さらに「世襲の小泉純一郎の息子だ」「2世3世なんてけしからん」という思いがそこに乗っかってくる。

ちなみに私は2世3世ではなくて、4世です。

(会場笑)

もっと大変だった! そういった中で選挙をやっていると、街中で名刺を渡そうとしても、受け取ってもらえない。目の前で破られる。握手もしてもらえない。そして目の前には大きな空間があるのにも関わらず、街頭演説をしているとわざわざ近寄って来て足を踏んでから行く人。

(会場笑)

そして住宅街で街頭演説をしているときに、一軒家の2階の窓がガーっと開いて、「あ、中で聞いていてくれてたんだ!」「頑張って、とか手を振ってくれるかな」と思ったら、なんと、太鼓を取り出してガンガン鳴らされて妨害されたこと。今でも忘れません、あの光景は。あの家の人は今でも太鼓を持っているんだろうかと思いながら……。

(会場笑)

世襲反対と言われてね、ペットボトルを投げつけられたこともあります。今でもコンビニ・スーパー行くと銘柄は忘れません、恨みはないけど買いません。

(会場笑)

そして選挙の演説カーの助手席に乗って、街中に「小泉進次郎です」と手を振って、歩いている人が近寄って来てくれて「ありがとうございます」って握手してくれるかなと思ったらツバを吐かれたあの時。

そういったことが、自分の中で全部残ってる。しかもそれが初めての選挙だから、これはおそらく一生忘れない。あれが自分の原点です。

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