"世界で最後の日本楽観主義者"が語る、日本経済の未来が明るい4つの理由

Japan's Bright Economic Future #1/2

人口減少問題など一見根深そうな日本経済の病巣。しかし政府の各委員会のメンバーを歴任し、自らを「最後の日本楽観主義者」だとするイェスパー・コール氏は、日本経済の今後とその底力について「全く心配いらない」と語り、その根拠を提示しました。(TEDxTokyo 2012より)

日本の"借金"は確かに大きい額だが、問題はない

イェスパー・コール氏(以下、ジェスパー):私は今、実は世界で最も難しい職業に就いています。私はつまり、最後の日本楽観主義者なんです。

私は金融経済政策の世界に身を置いているんですけども、日本に関して楽観的なことを私の同僚に言ったとします。そうすると、まるで「エルビス・プレスリーって生きてるって知ってた?」って、そんなことを言ったときのような目でこちらを見返してくるんですね。エルビスは確かに死んでいます。けれども、日本経済の可能性はまだ死んでいない。まだまだ生きていると思います。今は過小評価をされているだけと思います。

それどころか、日本経済というのはネクストフロンティア、つまり、次の時代の境界線に来ていると思っています。では、その理由を少しお話しましょう。

ニュースをご覧になると、経済であれ、金融であれ、とにかく「D」という言葉で始まるものが多いですね。

債務、デフレ、人口減少。1990年代、これは日本の問題だろ? って言われてたんです。ですけれども、今はヨーロッパもアメリカも……アメリカの方いらっしゃいますか? あ、中国の方ですか。中国の土地の資産も下がってきていますね。そして中国の人口というのも、減少の兆しが出てます。ですので、この問題が起きているのは、もはや日本だけではないんですね。

では、まず「債務」ということについて見ていきましょう。

「債務」。確かにたくさんあります。GDPの230%が債務。そしてギリシャでは、債務が160%ぐらいの段階でした。しかし、日本はギリシャとは違います。日本はまだ、世界の中でも大きな債権国です。ギリシャとは状況が違います、ギリシャはドイツからお金を借りていました。そこです。ちなみに私はドイツ人なんですね、だから日本に来て良かったなと思ってますけれども(笑)。

ですから、日本は大きな債権国です。世界の他の国にはお金を借りていない。基本的に、アメリカやヨーロッパの債務というものを日本は担っています。

では「デフレ」はどうでしょうか。デフレは確かにあります。でも、デフレスパイラルはありません。確かに物の価格は下がりました。でも、1980年代後半というのは、日本というのは元々物価が、世界基準に比べて高かったんですね。そして今、同等になってきた。

それから不動産というのを見てみましょう。日本の不動産というのは、大体90%くらいが下落してしまいました。特に東京では19%くらい減少してしまいました。そして絶対値で見ますと、今(2012年)は1981年代くらいのレベルに来ています。これだけ大きなデフレがあったにもかかわらず、社会はうまく機能しています。もちろん問題はあると思うんですよ。でも安定している、ちゃんと機能しています。

人口減少が日本にもたらす影響とは?

じゃ、「人口減少」。人口減少に目を向けていきましょう。「どうしてそんなに日本に楽観的なの? 日本には人口減少があるじゃない。600年後には432人しか日本人が残らないって知ってた?」って言われそうですね。でも、ドイツだって600年後はヨーロッパのサッカーチャンピオンになってます。何回もなってると思いますよ。今年たまたまならなかっただけですよね。私はいつかドイツがイタリアに勝つと思ってますけれども。(※この講演は2012年に行われたものです)

話を戻しますと、日本は違います。非常に面白いダイナミックが今、日本の中にあります。

日本の人口構造というものを見ますと、今、日本はスイートスポットにあります。ま、600年後のことは忘れてください。次の5年、次の10年というのを見ていきましょう。

これは日本の雇用者所得をあらわした表です。基本的には働き始める、そして毎年毎年給与を得る。そして40代に入り、40代~50代中盤までの間が、一番所得が高くなる年代層です。

ただ問題があります。所得というのは50才でピークを迎えまして、その後は非常に急激に下がっていくんです。ですから、デフレの80%は基本的にミック・ジャガー世代から来ているんです。……ベビー・ブームの世代、団塊世代のことです。過去12年間、彼らが55才~65才を迎えていました。ただ、彼ら団塊世代というのはみんな今はもう基本的に定年して、タクシードライバーになっています。

だから、いいニュースとしては、若い世代が、世代交代を迎えているんです。ですから日本の人口構造というのは、今スイートスポットにいる。日本の所得の基準はこれから高くなってくるということなんです。他の国と比べても、日本には賃金上の問題はないということですね。ですから「さよなら、デフレ」というのが、こうしたスイートスポットから起こってくるということです。

日本の持つ知的財産は強力な武器になる

もう一点挙げましょう、これを見てください。なんで日本の心配をする必要があるんでしょうか? 日本はいまだに、イノベーションという点で強力な国です。研究開発費を国内総生産比で見てみると、日本は他の国を圧倒的に上回っています。GDPのうち、約3.5%が研究開発費に投資されています。これはアメリカ、ドイツと比べても非常に大きな数字です。

そして一番重要なのは、1990年代に銀行が倒産した、デフレがあった、政策的には大混乱があった、そのような中で過去20年間、企業が投資をし続けたんです。これは非常に、目に見えて良い投資だと思います。

みなさんご存知ですか? スマートフォンの42%は日本企業によって製造されています。そしてそれは、日本企業しか生産できないような技術なんです。彼らはそういった技術力を持っているからです。

それから航空会社。航空会社の航空機というのは、日本で作られている飛行機の50%というのは、日本でしか航空部品が作れません。ですから日本は、十分な知的財産権を持っていて、競争する準備がもう出来ているという状態です。

確かに研究開発の面では良い、さまざまなポジティブな要素がありますけども、では国内に目を向けましょう。

私は2つのエリアに目を向けるべきだと思っています。まず最初、人口構造によって、高齢化によって、団塊世代、ミック・ジャガーの世代が高齢化を迎えるという時代に入ってきますので、これから介護・医療のヘルスケア産業というものが大きく伸びていきます。ヘルスケア産業というのは、毎年10年間5%~15%伸びるという風に言われています。これは素晴らしいビジネスチャンスですね。もし私に1億円くれるなら、私はルイ・ヴィトンの病院チェーンというものを設立しますよ。ただ、問題はここからなんです。

ヘルスケア産業というのは成長産業である。しかしながら日本政府は、数ヶ月前に計算したんですけれども、約70万人の医療従事者、看護師、介護士などが不足するということが言われています。私が内閣府のほうへ行って、この計算に関わっていたんですけれども、「今、移民を考えているんだよ、この人手不足を解消するために」という風に言われました。でも、私は「それで解決するの?」と言いました。私もドイツ人ですよね、移民の問題を解決しないと、ま、ほとんど日本人になってきていますけどね。

ただ、ポイントとしては、ここでミスマッチが起きているんです。人手不足がある。その一方で、フィリピン人の看護師の2%しか看護師の認定試験を合格できないという風に言ってますけれども、実は、日本人の50%も看護師認定試験を受かってないんです。

私だったら、「看護師さん、ノーベル賞がとれるほど勉強しなくてもいいから、おむつを替えてよ」って風に言いますね。日本で看護師になろうとしたら、非常に大変なんです。そして10年間看護師として勤務して、一体いくらもらえますか? スターバックスのパートタイムと同じくらいしかもらえません。

1円硬貨に象徴される日本の底力

それからもう一つの問題が「農業」です。農業というのは非常にエキサイティングなエリアだと思います。素晴らしいリソースがある。しかしながら、農家の平均年齢は70才です。そしてどの産業国と比べても、生産性が低い。日本の農業の生産性をイタリアのそれと比べてみると、イタリアのレベルにも満たないわけですね。

イタリアというのは、ヨーロッパで一番生産性が低いわけです。もし仮に土地改革などを通じてイタリアのレベルまで農業の生産性を上げることができたら、日本は貿易黒字を出すことができると思います。ですから、政府が変わらなければいけない。政府が規制緩和を行わなければいけません。それが、これからの本当の挑戦だと思っています。

改めてお伝えしましょう。私は日本に対して楽観的な考えを持っています。人口構造のスイートスポットがあります。そして知的財産もある。そういったポジティブな要素があります。

じゃ、最後にひとつ。日本は沈んでいません。象徴的なのは日本の硬貨です。「円」です。日本は先進国の中で、水に浮かぶ硬貨を持っている唯一の国なんです。ご清聴ありがとうございました。

(※数字は全て2012年当時のもの)

<続きは近日公開>

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