アートの“時代”と“運動”の違い

カリン・ユエン氏:美術史は“時代”と“運動”に分かれています。この2つの違いは、時間と目的です。

芸術における時代というのは、芸術家によって意識的に形成される芸術運動とは違い、歴史的な時代に基づきます。なぜなら、その芸術作品は同じ時代、同じ地理的環境で作られているので、美術史家たちはそれらを結び付けるのです。そうすると、文化、宗教、芸術の主題の趣向において、芸術はさまざまな類似性を共有します。

例えば、中世の芸術は中世に作られたものなので、ローマ帝国崩壊後とルネッサンス期の前となります。とてもわかりやすいですね。したがって、時代には古代、メソポタミア時代、エジプト時代、ビザンティン時代、ルネッサンス時代、バロック時代とありますが、これはほんの一部の区分です。

そして芸術運動は、一般的にある目的を持った芸術家のグループによって形成されており、関連した芸術スタイルやイデオロギーの共有が見られます。彼らは目的を明確に表現するため、ミーティングを行い、マニフェストや出版物を作ります。基本的には、芸術がどうあるべきかという彼らの考えを表現しているものです。

ある芸術運動は、写実主義、印象主義、表現主義、立体派(キュビスム)、超現実主義(シュールレアリスム)、そしてポップアートを含みます。

芸術時代と芸術運動の境界は常に明確ではありません。しかし、時代は後から決められる一方、運動は芸術家によって作られます。

彼らは自身をマニエリストの芸術家のように、マニエリストとは呼びません。自分たちが目指すゴールやイデオロギーを持っているのです。

ゴールやイデオロギーは、教会や国家が定める、「何がいい芸術なのか」という趣向とは別のものです。今日作られている芸術は、「現代芸術」という大きな傘の元で集まった類のものです。しかし、将来には、現代美術よりもより具体的な名前をつけられるでしょう。

なぜなら、これはとても困惑してしまうからです。もしみなさんが、私が何を話しているのがわからないのであれば、今が番組を終わらす時ですね。そしてぜひ、近代美術と現代美術の違いがなにかを説明するビデオを見るようお勧めします。そのビデオでは、近代美術、ポストモダンアート、アンチモダンアート、そして現代美術を説明しています。