「日本のデザインは世界一発達している」 世界的デザイン会社のCEOが語る、これからのデザインの役割とは?

TEDxTokyo - Owen Rogers #1/2

過去と現在では、商品やサービスにおいてデザインの果たす役割が大きく変わってきています。今求められている「デザイン」とはどういうものなのか、デザイン会社として有名なIDEOの共同経営者、オーウェン・ロジャーズ氏が語りました。(TED×Tokyo 2010より)

デザイン業界で起こっていること

オーウェン・ロジャーズ氏(以下、オーウェン):今日のトークなんですけれども、これまでのスピーチの皆さんを見ていてですね、すごく刺激的で大変いろいろなアイデアが浮かんでいるので、ありがとうございます、ということを言いたいと思います。ただ、このプレゼンにも是非注目をしていただければと思います。

「こんにちは」と書いてありますが、これは私が知っている唯一の日本語なんですね。今日のスピーチでは、デザインとは何かというお話はしません。デザインという業界の中で起こっていることについてお話したいと思います。

まずは、私がいつも抱いている問題について。日本でもこの写真のように「飲みに行く」ということがよくあると思うんですね。私も昨日も飲みにいったんですけれども、そういった時にされる、とても怖い質問というものがあるんです。昨日の飲み会でももやはりその怖い質問が来ました。

「お仕事は何をしているんですか」という質問をよくされるんですけれども、この質問をされると「ああどうしよう」と心配になり、ドキドキして何て答えたらいいのだろうと思ってしまうわけです。

私はデザイナーなんですね。これはとてもシンプルな言い方だと思うんですが。ただ、「デザイナーです」って言うと、だいたいの方が「じゃ、何をデザインされてるんですか」っていう2つ目の質問をしてくるわけです。こういう質問が来てしまうと、もう、どう答えていいかわからない。なので今日は、「デザインって」ってところでお話をしたいと思います。

ソファーにくぎ付けになった12歳

デザインというのは、本当に個人的なものから大きな企業、もしくは国家レベルのものにもなり得るんですけれども、一概に「これがデザインです」というようなことを言うのは難しいかも知れない。

昨日、弟と話をしていたんですけれども、彼はジャーナリストになりたくって。ただ、みんながジャーナリストやデザイナーになれるし、各人にデザインやジャーナリストのスキルがある。なのでまだここにチャンスがあると話していました。では私の頭の中で、デザインというものをどう捉えているのか皆さんにシェアしたいと思います。

私が12歳の頃、コヴェントガーデンでお買い物をしていたときに、このロン・アラッドという人がデザインしたソファーを見つけたんです。私はこのソファーを見て、本当にもう、目がそこに止まったままになりました。私はこの椅子に座り、「欲しいな」と思ったんですけれども、私の部屋にも入らないし、12歳だったので部屋には小さなベッドしかなくて(笑)。

これよりも小さなソファーはベッドルームに入るんで、お父さんに頼んで買ってもらおうかなと思ったんです。そんなことがあり、ちょっとそこから早送りをしまして、14年経って大学に行くようになります。

世の中を助けるプロダクトが”デザイン”である

大学に入ってアートの勉強をするんですが、すごく面白いなと思っていることは、デザインということにかかわっていくと、形状、それから機能ということに関して、いろんな議論がなされると。だいたいの形は機能があってできていく物であると。

こういった議論っていうのは、クリエイティビティに関わるディスカッションがなされる時には必ず出てくる話だと思うんです。そうした中で私がデザインと言う時には、いろんなものを統合して、世の中を助けるためにという風に考えています。

例えば、今の「形状と機能」という話でいきますと、この椅子はディスカッションによって作られたと思うんですね。これはすごいデザイン的に良い椅子だと言われていますけれども、でもこれ、すごく座りにくいんですよね。これはデザインの中では、とてもクラシックだと言われてますが機能的ではないと。

今度この写真にあるのは、パラフィンで出来ているラジオです。1962年の物ですけれども、発展途上国におきましても、パラフィンでラジオが聞けると。パラフィンが無くなると、また管の中にパラフィンを入れてラジオをまた聞くことができる。何度も何度も使えるものなんですね。

時代とともに変わる「商品の果たす役割」

この写真は、ちょっと暗くて申し訳ないんですが、これは「リバ・アクラマ」というボートなんです。これを見ると、この商品は贅沢品の市場を活性化させた商品であるということが、言えると思います。

先ほど、ここでお話されたジャスパさんとお話していたんですが、ここ10年くらいで、何か違うことが起きたんじゃないかという風に思っているんですね。例えば、「ドットコム」のバブルが弾けたりですね。それからいろんなことが経済において変わってきていると言えるかと思います。

人にも経済の変化というのが影響を与えているのだと思っています。消費者も危機というものを感じ取っています。フォーム、形状というアイデアを美学へ、といった風にアイデアの転換が起こるのではないかと私は考えています。

昔のデザインというのは、「どういう風に見えるのか」というところに、もともとはあったと思うんですけども、今日のここのスライドに書いてある通り、エステティックス(美学)とは何だろう、美しいとは何だろうというアイデアからスタートします。

もう一つのディベートの「機能」の部分ですけれども、ここ100年くらいは、どのようにその商品が機能するのか、メカニカルな部分にフォーカスされていたと思うんですが、それが今度は「目的」に変わりつつあるわけです。これがどうしてここに存在するのか、どういう風に使われるのかというところにフォーカスされているということですね。

商品やサービスにとってのデザインとは

まとめますと、デザインというものがその形状、機能というところにフォーカスされたところから、美学、それから目的のほうに移っているということですね。これもビジネスで見ていきますと、いろんなことが起きているということがわかっていただけると思います。

まず、スターバックスの例を選びたいと思います。スターバックスは2008年に、株が40ドルから8ドルまで落ちたということがありましたけども、そうした状況を切り抜けた会社であるという風に考えています。

スターバックスの新しくできたお店に行かれると、もちろん15年前もスターバックスというのはすごく洗練されたコーヒーショップだったわけですが、LEDのライトがあったりですとか、使われているお水の40%がリサイクルされていたりします。ただ、それをスターバックスは声高に話しているわけではないんですよ。

今スライドにあるものは、広告会社の博報堂が作ったものなんですけども、広告代理店というのはいつも、物をたくさん売るということに注目して、広告を作っているわけなんですが、この広告はちょっと違うんですね。この広告の後ろに「意味」があるわけです。日本の人々に対して、すごくメッセージを伝えたと。

この靴をお見せしたいんですが、ナイキなんです。この靴の絵を見せると、みんなが「何て素晴らしい靴なんだろう、素晴らしい」と、この靴を買いたいと言うんですけれども、この靴はリサイクル可能な、まあ、ゴミから出来ている靴なんですね。この靴を履くと、「カッコいい」となりますし、また自然のために、環境のためになっているという感情を持てるわけなんですね。

デザインは日本が一番発展している

もちろん私たちはこれからも、物を買い続けるわけですけれども、そういった時に、私はこの商品が欲しいのだろうか? そして、これが好きで、しかもそれが、私の価値観というものを反映するんだろうか? っていうのを考えて買っていくんですね。

2つ前のプレゼンテーョンに戻るんですけども、私は世界中いろいろまわっていてですね、美学、それから、目的というところから考えると、日本が一番発展しているところだと思うんです。ビジネスの中にもデザインを上手に入れているところなのではないかと考えています。

ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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