チャットボットにはどんな可能性があるのか?

山田真紗義氏(以下、山田):みなさん、こんにちは。ユーザーローカルの山田と申します。

本日最後のセッションなんですけれども、チャットボットについてお話を進めていきたいと思います。

「チャットボットってそもそもなに?」という話なんですけど、ユーザーと自動で会話するプログラムのことですね。チャットするロボット。ボットというのはロボットのことです。

去年ぐらいからかなり活用が進んで、いろいろと話題になっているのですが、整理しながらお話ししていきたいと思います。

本日のお話の内容なんですけど、パネリストのご紹介から、そもそもチャットボットにどんな可能性があるのかを考えつつ、あとは「Twitterが熱狂した夜~犀川創平AIの場合~」。これはなんのことかよくわからないかもしれないんですが、要は事例の話です。それと、顧客を熱狂させるためのエッセンスというかポイントですね。そちらの解説と特典のご案内ということになっております。

さっそくChapter1なんですけれども、まずはパネリストのお2人に自己紹介していただきたいと思います。まず堀田さんお願いします。

堀田高大氏(以下、堀田):はじめまして。株式会社電通の堀田と申します。よろしくお願いします。

電気通信大学というところを卒業しまして、そもそも画像処理を研究していました。

その知見を活かして、今、会社のなかで、チャットボットのようなテクノロジーを使った事業開発やPRのプランニングを主にやっています。

山田:ありがとうございます。続いて、もう1人のパネラーなんですが、本郷ですね。よろしくお願いいたします。

本郷寛氏(以下、本郷):ユーザーローカルの本郷と申します。

私は2013年に東大の大学院を卒業しまして、新卒でユーザーローカルに入社しました。大学院時代の研究としては、データマイニングとデータの可視化をやっていました。

この仕事を通じて堀田さんに初めて会ったと思っていたんですが、僕は大学院の時の研究がビジュアリゼーションだったんですけど、堀田さんが画像処理やVR系のことをやっていて、実は研究室つながりがあって、一緒に合宿をしていたりしました。実は同期なんです。

ユーザーローカルのなかでは、ソーシャルデータの分析や、レコメンデーションエンジンを作ったり、けっこう開発寄りで仕事をしているんですけれども、最近は、今回のセッション内容であるチャットボットのほうに力を入れて開発をしています。今日はよろしくお願いいたします。

チャットボットを個人が作れる時代に

山田:ありがとうございます。では、さっそくなんですけれども、チャットボットの可能性や今どんなところで活用されているのかというところについて、実はまだ事例が多くはない現状ではありますので、そのあたりを含めてお話を、本郷さんからお願いしたいと思います。

本郷:私のほうからは、チャットボットの背景というか、そのあたりの話をしたいと思います。

まずこちらのランキングをご覧ください。こちらが2015年の12月に、バリューズさんから発表されているデータで、国内のアプリユーザー、アクティブユーザーのランキングになっています。

1位から見ていくと、1位LINE、2位Facebook、以下Twitter、Yahoo! Japan、McDonald's Japanとなっています。

こうやって見ていくと、1位のLINE、2位のFacebook、3位のTwitter、6位にFacebookのMessengerがあるんですけど、これらはどれも対話型サービスになっていまして、こういったものが主流になっているという背景がございます。

こういった背景があるなかで、2016年の3月・4月に、LINEさんとFacebookさんがボットのプラットフォームを一般向けに公開をしました。

公開前にもMicrosoftさんの「りんな」とか、あとはリクルートさんの「パン田一郎」というようなボットが、たくさんあったんですけど、一般公開というか、誰でも簡単にボットを作れるプラットフォームがあるわけじゃなくて。この場合だったら、LINEのビジネスコネクトを使って有料のバージョンで作らなきゃいけないという状況にありました。

2016年の3月、4月にこちらが公開されて、今はいろいろな企業や個人が簡単に作れるような状況になっています。

Facebookが公開している情報でいうと、一番新しい情報で2016年の9月にFacebook自身が公開しているんですけど、約3万件以上のFacebookのMessenger Botができていると言われています。

山田:チャット型のインターフェースを持ったサービスがよく使われているということと、そういったサービスを展開している、巨大プラットフォームというのが、誰でもボットを作れる環境を用意したというところが、2つ要因としてあるわけですね。

本郷:そこが大きいと思います。

山田:ありがとうございます。

「検索」から「チャットボット」へ

本郷:次に見ていただきたいのが、これまでの情報サービスの進化です。

1番目に見ていただきたいのが、1990年代はディレクトリ検索というようなものがあって。2000年代にGoogleさんの全文検索全盛の時代が来て。2010年頃からアプリに移ってきたというようなことがあって。

じゃあ、2020年ぐらいにはどう進化するのかということなんですけど、2020年ぐらいにはこのチャットボットが来る可能性があるのではないかと、ユーザーローカルとしては思っています。

みなさんも検索を使うと思うんですけど、検索の問題として1つあるのが、どんなキーワードで検索をしたらいいのかわからないというのがけっこう大きい問題としてあります。

例えば、一例を出すんですけど、肩がこっている場合に検索エンジンで検索するときに、「肩がこる」と検索エンジンの検索窓に入力すると、メカニズムのことが出てきたりとか、肩こりの原因と対処法を小学生でもわかるように図で解説するとか、あまりほしいような情報ではないものが出てきたりしてしまうという問題があります。

実際にほしい情報としては、「肩がこっているなあ……」という場合には、例えば「御茶ノ水駅の近くに、いいマッサージ店がありますよ!」とか「20時なら空いてますけど、予約しますか?」といったことを自分としては求めているんですけど、そういった情報にたどり着けないという問題があります。

山田:かなり気の利いた答えを返してくれることを想定しているってことですよね。

本郷:そうですね。ただ、チャットボットのいい点としては、文脈を理解できるとか、その人の状況を理解できるとか、ただ1対1という感じじゃなくて、もう少し気の利いたことまで広く含められるのがチャットボットのいい点かなと思っています。

とはいっても、「検索エンジンの検索結果一覧から調べるほうが早いんじゃないか」「今の人だったらアプリのほうが慣れているから、別にチャットボットは必要ないんじゃないか」というようなことを言われたりするんですけれども。

例えば、サポートデスクを考えたときに、ヘルプを読まないで電話してきたり、電話注文する人は今でも多くて。実は僕自身もやっちゃったりするんですけど、あまりヘルプを読みたくないということがあったりするかなと思います。

山田:「電話かけるほうが早いよね」と思っちゃうことってありますよね。そういう人たちは一定数いる、と。

本郷:チャットボットを使うことによって、電話だと1人に対して1人のオペレーターがいて1対1のコミュニケーションしかできないところを、複数人の対応ができます。あとは24時間途切れることなくサポートできるといったメリットもあります。

なので、1人に対して1人のオペレーターが必要になる場合には、オペレーターを何人か用意しなきゃいけないんですけど、そのオペレーターを例えば50パーセントカットして、そこを機械的に、一時返信だけでもいいんですけど、代替できるようなかたちにできるのかなと感じています。

コールセンターに対する不満を解消できる?

次に、各フェーズで必要なコミュニケーションを見ていきたいと思います。こちらが顧客化の、上の青いほうが顧客化前の段階で、下の赤いほうが顧客化のあとの段階を指しています。

顧客化の前のほうは、接触・認知でまずは知ってほしい。それで、興味・関心があって、比較・検討があって、顧客化にいたるという感じなんですけど。そのあととしては、維持・ファン化ということで、丁寧にサポートをしていくというようなファネルになっています。

しかし、この前の段階のほうは、けっこう高度な会話スキルが必要になっていて、少し難しい感じになっています。それに対して、あとの維持・ファン化というほうはやりとりが明確なので、けっこうテンプレート的な応答で、機械的なものに向いているという感じです。

なので、ファネルの後半の顧客サポート領域のほうが、実際にはチャットボットにはすごく向いているところではあります。

山田:ありがとうございます。チャットというインターフェースが普及して、ユーザーがそのインターフェースに慣れてしまっているということと、プラットフォームがそれに対応しているということ。それはどこで活用するかというと、顧客サポート領域ということですね。

本郷:はい。

山田:コールセンター業界のアンケートを、私ちょっと事前に調べたんですけど。コールセンターに対する不満のトップ3が、「つながらない」。もう1つが「待ち時間が長い」。3つ目が、自動音声に従ってなにか入力しなきゃいけないのがありますよね。あれをガイダンスに従ってやるのがめんどくさいということがあるのですが、電話だと同時対応できないというところを少なくとも解消できるのかなということは聞いていて思いました。

以上が、今までのチャットボットについてのお話なんですけど、今いろいろなことが言われています。「活用はどのフェーズでやるのか?」みたいなところでは「維持・ファン化」、ファネルの後半という話があったんですけど。

今回は事例を1つ持ってきているんですけど、少し特殊な事例ということを事前に私も資料を見て感じました。

そのあたり、こちらですね。「Twitter民が熱狂した夜~犀川創平AIの場合~」と。かなり特殊なタイトルになってるんですが、堀田さんから概要を教えていただきたいと思います。

小説の主人公をチャットボット化

堀田:「小説の主人公をチャットボット化」と(スライドに)書いてあります。これは、小説の登場人物のセリフをユーザーローカルさんのAIチャットボットに学習をさせて開発をしています。 この話の発端としては、講談社さんの小説レーベルである講談社タイガで、森博嗣先生が最新刊を出すと。そのときの本のPRとしてなにかできないかというご相談を受けて、このキャンペーンを実施しました。

基本としては、この森博嗣先生のファンのTwitterの分析をしたところ、森博嗣先生の小説のなかで『すべてがFになる』という小説がありまして、その小説がアニメ化とかからゲーム化、ドラマ化までしていて、けっこうライトなファンからコアなファンまでいらっしゃった。なので、この犀川先生(『すべてがFになる』の主人公)を軸にして、この最新刊のPRをなにかできないかということをまず考えました。

今回、最新刊が「Wシリーズ」と言うんですけれども、その世界観をどうやったら表現できるかというところで、実際具体的な内容は読んでもらうとわかるんですけど、「今の技術で再現するのはAIだろう」というところに落ちました。

そのなかで、ちょうどユーザーローカルさんから、AIのチャットボットの仕組みをリリースしましたということが出ていましたので、ご相談をして、この犀川創平先生のAIを作るということをやってみました。

山田:森博嗣先生がずっと書いていらっしゃった小説に犀川創平という人が出てきていると。新刊の登場人物というより、ずっと出ていた登場人物ということですかね。

堀田:そうです。別のシリーズの登場人物で、アニメ化やゲーム化がされていて、すごく人気が出ていました。

山田:なるほど。登場人物が共通で、新しい「W」というシリーズが。

堀田:登場人物は共通ではないんです。

山田:あ、ないんですね。なるほど(笑)。ただ、犀川創平という人物が、森博嗣さんのファンのTwitterの投稿の分析で幅広いファン層がいるということがわかって、それをフックに新刊のプロモーションをしようとしたということですね。

堀田:そうです。

山田:ありがとうございます。「公開4日で5,000人以上のフォロワーを獲得」と(スライドに)書いてあるんですけど、多いは多いと思うんですけど、最終的にどれぐらいの期間でどれぐらいまで増えたんですかね?

堀田:このキャンペーン自体は1ヵ月間の期間限定でやりまして、1ヵ月後には8,500人。

山田:かなり初動がよかったんですね。

堀田:はい。そうです。1日目で1,500人を超えるフォロワーが集まりました。

山田:Twitter的な感じですね。拡散効果が高いTwitterならではですよね。

堀田:はい。