石破氏のプラモデル愛

山本一太氏(以下、山本):ここから、前回の直滑降ストリームでお約束したプラモデル。これについて今日ぜひ語っていただきたいたいと思います。今日、石破事務所から大事なものが届いたんですけど、これちょっと解説していただけますか?

石破茂氏(以下、石破):これですね。写りますかしら。

これ知ってる方いますか? 日本模型の200分の1、「DDG163あまつかぜ」っていうね。本当にエポックメーキングっていうのはこのことだ。DDGって今で言うとイージス艦ですよね。

山本:なるほど。

石破:Dはデストロイヤー、駆逐艦なんだけど、Gってのはガイデッドミサイルっていうね。

山本:誘導弾。

石破:誘導弾ですね。対空戦闘艦、対空護衛艦、この船が出てきた時に、本当に日本の船って変わったなって思いました。当時、1968年だったと思いますが。日本模型、もう今ないんだけどね。これがこの『護衛艦シリーズ』と200分の1の『戦艦ヤマト』を出したんですね。

山本:作った。

石破:作った?

山本:私が作った、石破さんにはまったく及ばないんですけど、大和。長門。それから、思い出すと、タイガー戦車。

石破:タイガーね。

山本:シャーマン戦車。

石破:パンサー。3号戦車。

山本:ええ、それから、零戦。紫電改。これ作りました。

石破:紫電改ね。最後の防空戦闘機ですよね。

山本:そう。

石破:それで、とにかく当時これはもう高かったです。だからよっぽどいい成績とらないと買ってもらえなくて、これを買ってもらいたいがばかりに勉強したというところはないわけではない。

山本:それはいつ?

石破:中1です。

山本:じゃあこれを買ってもらうために石破少年が勉強したわけですね。

石破:そう。1番じゃなくて、3番とか4番で、買ってやらないって言われると「家出でもするかな」みたいなことになるわけですが。

(会場笑)

されちゃたまらん、って言って買ってくれたりするんですけどね。

プラモデルから見えてくる防衛思想

ですので、これは当時のものです。まだ、プラモデル屋さんの奥にあったりして。すごいと思って。でも今の海上自衛官で、これ知ってる人はもういないんですよね。これが現役の時に乗ったって人はもういないですけどね。

だけどDDGっていう対空護衛艦っていうのはここから始まるわけですね。だからイージスを論じる時にはここから話し始めないと話がなかなかストーリーにならないところがあって。

だから、プラモデル好きですってこともあるんですけど、言い訳っぽく言うと、これを作ることによって、この船ってどんな性能を持ってるんだろうか、なにができてなにができないんだろうかということは、本当に作っていてよく頭に入るところがありますよね。

だからやっぱり防衛って、効率と装備と人員と運用とシビリアンコントロールの主体として、可能な限り知ってないと、それはなかなか自衛隊を日本国の独立と平和のために使うってのは難しいかもしれないなって思いますね。

山本:なるほど。そうすると石破さんはプラモデルを作ったころから、もう安全保障に興味があったんですかね?

私、ここはやっぱり全然石破さんと違うところだと思うんですけど。作ったんだけど、安全保障のところまで行けなくて、例えば『シャーマン戦車』、機動力はあるけど走行よえーなとか。『ティーガー戦車』なんかは砲弾通らないなとか、もう『紫電改』、『零戦』に比べてこんなに優れてるのかとか。『零戦』が『グラマン』が出てきて、今まで有利だったいろんな条件が覆されて、それで『紫電改』が出てくる。そこで止まっちゃった。

さらに石破さんはプラモデルを作りながら、その先の防衛に思いをはせてたっていうと、もうつまり中学、高校ぐらいからプラモデル作りながら、飛行機、戦車、戦艦、こういうものに慣れ親しんで、さらになんとなく安全保障の問題に思いをいたしてたんでしょうか? 政治家になるずっと前から。

石破:いや、私は政治家になろうっていうのは、銀行員のころ、父親が73で死んで、私24でしたけどね。その時に田中角栄さんに、「お前跡継ぎになれ」って言われるまで政治家になる気がなかったから、だから将来安全保障の仕事をしよう、そのためにプラモデルを、とかそういう思いはなかったですよ。

だからプラモデルって一時すごく旅客機に凝ったり、すごく自動車に凝ったりね、なんとなくそのときでなにが好きかって違ったりするので、平和的な旅客機とか、国産車シリーズとかね、そんなものも作ったりしてました。

ですけど、やはり防衛の仕事するようになって、例えば同じ戦車でも……、政治家って言を左右にして、その場を逃れなきゃいけないことってありますよね。だけど政治家ってそういうことがあるけど、兵器は嘘つかないんですよ。

だからその国の戦車見て、その国の駆逐艦見て、その国の航空母艦見て、その国の戦闘機見ると、この国の防衛思想ってこういうものなんだなっていうのが垣間見えますよね。だからイスラエルみたいに本当に周り中、友好国じゃない国に囲まれている国の戦車とかね、徹底的にリアリズムに徹するとこうなるんだなっていう戦車ですよ。

山本:なるほど。非常に深いプラモデル論なんですけど、1つプラモデルに戻っていうと、プラモデルはだいたい2種類あって、動くやつと動かないやつってあったでしょ。動くやつじゃなくて、どっちかっていうと、モーターが入ってないもののほうを好んでいたんですか?

石破:子供のころは、モーターで船が走るとか戦車がリモコンで動くとか自動車がリモコンで動くとか、そういうのが好きでしたけど、大人になってからは別に動かしてもおもしろいってことないんで。本当にディテールまでこだわる。そういうものになりましたね。

今の自民党は党内議論が弱い?

山本:ありがとうございます。プラモデル論で最後までいっちゃうとあれなので、少し政治の話をいよいよしたいと思うんですけど。

今日この番組、オンザスポットでアンケートができるので、ちょっとやってみたいと思います。4択、いいですか? 政治家石破茂、石破さんにやってほしいことを4択でいきたいと思います。

(1)党内議論を活性化させる。(2)憲法改正を成し遂げる。後押しすると言ってもいいかもしれませんが。(3)地方創生を推進する。(4)生涯最高のプラモデルを完成させる。この4択でみなさん、ここでオンザスポットのアンケートをとりたいと思います。

はい。そこで、(1)の党内議論を活性化させるというところで、ここは同じ思いだと思うんですけども、今、安倍内閣が非常に強い基盤でいろんなことやって、ご存じの通り安倍総理をずっと応援している私としては、長期政権こそ日本の国益だと思ってるんですが。

ただ、その、石破さんと私は、石破さんのほうがずっと政治家としてのキャリア長いんですけども、知っている昔の自民党に比べると、結構党内議論が弱いというか、みんなおとなしくなり過ぎちゃってて。

石破:なりましたね、本当に。

山本:はい。これだけ安倍総理を一途に応援してきた私が言うんだから、なんですけど。もっといろんなことを党内で言ってもいいと思うんですよね。いろんな意見がもっと出てもいいと思うんですよね。

そこをぜひ、やっぱり石破さんにやってもらいたいと。なんとなくみんなが遠慮しちゃって、昔の、部会とか成長会の激論、こういうものはちょっと減ってきていると。それは時代の流れにもよると思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか?

石破:自民党というのは、広く国民政党なんで、国民にはいろんな意見があるはずなんですよ。それを代弁するというか、自分の中で咀嚼して、自民党の部会なんかで述べるのは国会議員の責任で、なにも言わないっていうのは、「本当に国民そう思ってますか?」っていうことだと思うんですね。

だから国民が思っていること、だって週末選挙区に帰ればみんないろんなこと言うじゃないですか? TPPにしたって、あるいは安全保障法制にしたって、今度の陛下のお気持ちのご表明にしたって、いろんなこと言うじゃないですか?

それを自民党が国民政党であるがゆえに、いろんな意見を言わなきゃ、それはなんのために自民党議員でいるんだろうねっていうことなんですよ。だから侃侃諤諤の議論をすることと、決まったらみんな従うっていうのは、どっちも自民党の実現しなきゃいけないことだと私は思います。