タトゥーで皮膚に色がつくしくみ

マイケル・アランダ氏:この永遠で、持ち運びできる芸術は確実に私たちの文化の1つです。でもそれはどんな働きをするのでしょうか? なにがタトゥーを永遠のものにするのでしょうか? そして、完全に取り除くことはできるのでしょうか?

肌の組織とインクの化合物を利用することでタトゥーを入れることができます。

肌は細胞の主要な3つの層によって形成されています。一番上には表皮があり、外部にさらされています。その下には真皮があり、毛穴と汗腺がたくさんあります。そしてその下には脂肪と結合層の皮下組織があります。

タトゥーの針がインクを表皮に突き刺します。でも実際にはインクを注入しているのではありません。インク用のハケのような色素でコーティングされているのです。

インクは毛細管現象を通って吸収されます。組織を通って真皮へと吸い込まれるだけです。これは十分深くまで到達するので、時間が経つにつれ、表皮から皮膚細胞が剥がれるときにインクも剥がれ落ちることはないのです。そのためにタトゥーを入れるのは痛いのです。

真皮は圧感や温度、痛みを感じる神経末端が張り巡らされています。小さな針の束を表皮に詰め込むことは、そういった多くの受容体を活性化させることになります。骨の部分にタトゥーを入れることはかなり痛みを伴うと話す人もいます。これは、クッションの役割をする脂肪がないからです。しかし、それを立証する科学的根拠はありません。

おそらく、みなさんのもっとも感覚が鋭い身体の部分、例えば手や顔などにタトゥーを入れることは相当痛いだろうと想像がつきますよね。なぜならそこには神経末端がかなりの密度で存在するからです。

タトゥーを消す大変さは色に左右される

現在、タトゥーを入れることはかなり痛みを伴うにも関わらず、多くのタトゥーアーティストは施術の前にアスピリンなどの痛み止めを飲まないように勧めています。そういった薬は血管を細くしてしまうからです。

血管が細くなると、タトゥーを入れる作業がさらに難しくなってしまいます。血管が細くなるということは、針を刺すとさらに出血しやすくなるということです。そして、タトゥーを入れている部分を見難くしてしまいます。それはタトゥーアーティストにとっては大変な作業となります。ですからアスピリンを飲むのは作業が終わってからにしましょう。

肌が治るのには数週間かかります。タトゥーを入れることは身体に対して免疫をつけることになり、インクが感染菌であるかのように攻撃します。普通、みなさんの白血球細胞は怪我をした後にきれいにし、外敵を破壊し、呑み込む役目を持ちます。白血球細胞はインクの最小粒のいくつかを除去します。このせいでタトゥーを入れた後の数週間でタトゥーが薄くなるのです。

しかし、インクの色素粒の多くは大きすぎて除去されません。ですから白血球細胞が除去しきれなかったものはすべて、近くにある繊維芽細胞と呼ばれる結合細胞によって吸収されるのです。そしてインクは永遠にそこに留まります。

こういった理由でタトゥーは永久なのです。多くの場合はね。実際は、すばらしいタトゥーでも時間とともに薄くなっていきます。肌が加齢するほど、繊維芽細胞は死に絶え、新しい細胞に代わり、インクは細胞が生まれ変わる度に少しだけ移動します。

タトゥーの色褪せは日光にさらされているせいでもあります。つまり日光の中の紫外線がタトゥーの色素を破壊し、白血球細胞によって除去されるのです。

もちろん、変なタトゥーを消したい場合にも、リンプ・ビズキットが昔ほど好きでなくなった時でも、タトゥーを消すには技術が必要です。多くの場合はね。

レーザーの熱によってインクの色素粒をもっと小さな粒にすることでタトゥーを除去することができます。これでようやく望み通り、白血球細胞はタトゥーを除去することができました。

しかし、タトゥーを消すのがどのくらい大変かは、タトゥーの色によって決まります。黒いタトゥーは比較的消しやすいです。なぜなら黒いタトゥーは光の波長をほぼ全て吸収し、波長で処理された場合には暖かくなって分解されるからです。赤や緑、青、白のような色は特別なレーザーを必要とします。使われている波長は分子によって最も簡単に吸収される色です。

しかし、普通のレーザーを使ってもすべてのインクを取り去ることができるわけではありません。しかも相当痛くて、傷が付くことも含めて全て自分の責任です。

もしタトゥーを入れようと思うなら、気持ちが変わったらすぐに除去できるだなんて思わないでください。タトゥーが一般的になるにつれ、より良いインクが開発され、除去技術が上がることを祈っています。でも、私が繰り返したように、インクを入れる前によく考えてくださいね。