SNSは個人の信用につながらない?
メタップス佐藤氏が語る、FinTech時代の情報価値

Big Dataによって変わるFinance #1/1

2016年9月28日、FinTechが切り開く未来と日本の姿、そしてそのあり方を探求する「楽天フィンテックカンファレンス2016」が開催されました。パネルディスカッション「Big Dataによって変わるFinance, Life, Society」では、モデレーターの楽天・北川拓也氏の進行のもと、Kreditechホセ・ガルシア モレノ=トレス氏、楽天・森正弥氏、メタップス・佐藤航陽氏の4名が登壇。佐藤氏は、「世界の頭脳へ」というビジョンを掲げる自社の事業を紹介し、フィンテック領域における信用力のはかり方について語りました。

「世界の頭脳へ」メタップスの事業内容

北川拓也氏(以下、北川):ありがとうございます。次はメタップスの佐藤さん。会社のビジョンが「世界の頭脳へ」ということですね。よろしくお願いします。

佐藤航陽氏(以下、佐藤):メタップスの佐藤と申します。簡単に会社のご紹介をさせていただきます。

今、北川さんがおっしゃったように、ビジョンそのものがこれ(「世界の頭脳へ」)であるので。データをどこまで蓄積して、学習して、それを経済的な価値に変えられるかというところを追求している会社です。

もともとビッグデータの解析、後はマシンラーニングを金融や広告の領域に活かして収益化していくということをずっとやってきて、倍々で伸びていっています。私は成長率を落とさないということをコンセプトとしてすごく持っているので、基本的には倍々で伸ばしていくと。

金融に関しては、決済が軸になっています。今はちょっとデータが古いですけど、年間で言うとだいたい1,200億円くらい、オンライン上での決済をさばいています。決済以外のeコマースやアプリの領域を合わせると、だいたいグループ全体で年間2,400〜2,500億さばいています。

加盟店が、だいたい25万店舗くらい使っていただいています。一応ヘッドクオーターは日本にあるんですけど、売上の60パーセント近くが海外から出ています。一番大きいのが中国、次に韓国、それで日本と。だいたい1対1対1くらいでバランスをとっています。

今後やっていくことは、データとAIを使って、1つの経済圏を作ろうということをテーマに動いています。ファイナンスと言われる領域、決済を軸としたものですね。後はマーケティングと言われるサービス、それとコンシューマ向けのサービス。合わせてデータを統合管理していくと。

そこでシステムを学習していって、単一の事業では得られないような速度でPDCAを回していくということをシステムベースでやっていこうと、今動いています。

フィンテックと言いますか、ファイナンスの領域に関しては、ペイメントを軸に、投資、融資、保険、後は資産管理とか。金融領域は全部出ようということを動いています。

一番わかりやすいのはローンですかね。決済のデータをリアルタイムに見て、そこからいくら貸せるんだっけというのを、決算書ベースではなくて、実際のオンライン決済の流通をベースに貸していくということができたり。

後は、仮想通貨はまさに決済の領域であるので、ここもやっていこうと考えています。機械学習の領域で言うと、グループの全部のデータを集めていって、お金の流れを予測していくということをやろうと思っています。

まだ始まったばかりではあるんですけど、もともと広告は「ユーザーがお金を払ってくれるか」というのをゴールとしているんですよね。

なので、そこに特化してデータを集めていって、「じゃあ、お金ってどうなっているんだっけ?」ということを、科学的に解明していこうということで動いています。会社としてはこんな感じになっています。

SNSのデータは個人の信用につながらない

北川:ありがとうございます。どの会社も非常におもしろいので、1個ずつ聞こうと思います。

まず第一のトピックとして、みなさんに聞いていきたいのが、今後、パーソナルファイナンス、お金を借りたりすることがどのように変わっていくのかということについて、ご意見を聞いていきたいと思います。

とくに気になるのは、人のクレディビリティ(信用)ですね。というのは今後、ビッグデータが出てきた世界には、どのようにできていくのか。

また、どういったデータが個人の信用をつくるのに役に立ってくるのかという話を、そういったデータの分析を専門にされている方もいらっしゃいますので、具体的に聞いていきたいと思います。

今後の世界では、自分のクレジット・信用を作るために、個人がどんどんデータを提供しにいく時代がやって来ると思っています。その場合、どういったデータを企業に提供したら、よりお金が借りやすくなる世界になってくるのかという観点で、もしなにかインサイトがあれば聞かせていただければと思います。では、佐藤さんから始めましょうか。

佐藤:個人的には、今のソーシャルデータやオープンデータのような、誰でも取れるデータはあまり与信とか信用にはつながらないんじゃないかなと思っています。

どこを見ているかわかっちゃったら、けっこうチートができちゃいますよね。(ソーシャルの)友達を増やしてみたりとかをしてしまうので。

北川:(笑)。

佐藤:生活に必須な債権のデータに関してはすごく価値があると思っていて、公共料金とか家賃とか、電話の通信料とか、止められると困るようなデータですよね。

そこのデータに関しては、与信とか融資に関してはかなり使えるんじゃないかなと思っています。

逆に、そのデータがないと、ビジネスモデルというのは組みづらくなってくると。どちらかというと、モデルの正確さというよりかは、どういうデータを持っているかというのが、金融系の事業をやっている会社にとって生命線になってくるのかなと思います。

北川:佐藤さんは、データを集める際に、そういったところとどのように提携していくかという考えはありますか?

佐藤:今は2軸で動いていて、私たちしか持っていない事業から得られるデータと、後はYouTubeやFacebook、Twitterなどの誰でも得られるデータですよね。

そこをどちらも組み合わせて相関を得たり、私たちの持っているデータだけで見つけてみたり。いろいろと試しているんですけれど、オープンデータに関しては、今のところはざっくりとしたマーケットの統計を理解するくらいしか使えないなと思っています。

北川:意外と政府データが使えたりしますよね。

佐藤:そうですね、マクロを理解するという意味ではすごくいいんですけど、個々人の与信を判断するという意味では、Twitterでなにをつぶやいたとか、Facebookに何を投稿しているのかとかはあまり参考にならないと思っています。

北川:なるほど、ありがとうございます。森さんはなにかありますか?

FinTech領域における信用のはかり方

森正弥氏(以下、森):僕は、Kreditechさんのお話をぜひうかがいたいところですけど、ポイントとしては、今までのクレディビリティをはかるのとは違う、新しいクレディビリティをはかる手法がいっぱい増えてきている。

例えば、我々もいろんな研究をしていますけど、ソーシャルというのは1つありますよね。1つの例としてわかるのは、不正をする人というのは、徒党を組むというのがわかっているわけですよ。

どういう意味かというと、不正をする人たちというのは集団になって、お互いを高く評価し合うんですよ。

オークションサイトのレビュー情報などで、「このユーザーは非常に信頼できるユーザーです」みたいなことをお互いに評価し合うわけです。評価し合ってお互いの評価値を上げて、あるタイミングで不正を始めるんですよ。

それは、ソーシャルのデータとタイムシリーズのデータを分析していくと、もう丸ごと、この人たちは不正のグループだというのがわかったりするんですね。今までの分析ではそういうことはわかってなかったと。

インターネットを使った、フィンテックと呼ばれている分野は、そういった分析の仕方でクレディビリティをはかるということはあるかなと思います。

北川:ありがとうございます。では、ホセさん。

ホセ・ガルシア モレノ=トレス氏(以下、ホセ):我々は毎日毎日意識しないで、いろんなデータを積み上げているわけです。

我々は携帯を持ち歩いているわけで、私がジムに行く回数も、パチンコに行く回数も、携帯が把握しているわけです。それによって、信用というものの見方が抜本的に大きく変わります。

というのも、我々はデータを生成する主体となっているわけです。そういったデータはクラウドにあるわけです。そして、多くのプレイヤーが、これらにアクセスすることができます。

生活するだけで、多くのデータを生成しています。これらのデータを無意識で生成しているわけですけれど、これによって我々の振る舞いをよくつかむことができます。

どういったことにお金をかけているか、どれくらい頻繁に旅行するか、何時ごろ家に帰るかなど、多くのことを学ぶことができます。

そして、お金をどれだけ稼いでいるかということだけではなく、どういう振る舞いをしているのか、どれだけ責任感があるのか、自分の趣味はどれだけ変わっているのか、それらのデータは、お客さまの信用力をアセスメントするにあたって変わってきます。過去のみのやり方とは違います。

かつての状況だけではなく、今現在どうであるかということを見ることができます。クレジットスコアを高くするために、責任あるかたちで毎月お金を使って、そしてお金を貯めてクリスマスのプレゼントを買う際にはローンを受けなくてもいいようにする。

このような振る舞い、やり取りというものは、我々が生活しているだけで記録されているわけです。技術がつながっているわけですから、そこの信用が変わると思います。

北川:GPSデータもおもしろいと思います。位置情報というものは、人々の信用力を判断するにあたって、役に立つものであるわけです。ソーシャルで嘘をつくのは簡単ですけれども、位置情報をごまかすのは難しいんです。

佐藤:けっこう、価値を出すのが苦労するデータだなとは思っていますね。Googleみたいに相当マネタイズのモデルがしっかりしてないと、経済的な価値に変換するのは、購買データなどに比べると、ちょっとハードルは高いなと思っています。

GPSのデータは人の信用力に活かせるか

北川:実際にGPSのデータを使って、人の信用力を決められたりしていますか?

ホセ:今見ているのは、ポイント・オブ・インタレスト・ラウンドです。一番近い病院はどこなのか、最も近い公立の学校はどこなのか、また私立の小学校はどこなのかといったようなことです。

どこにプライオリティを置くかということ、どこに最も支出をするかということにも関わっています。同じような潜在顧客で同じような金額の人は、もしかするとまったく違うリスクプロファイルを持っているかもしれません。

例えば2時間くらい通勤する、子供たちがいい学校に行けるようにしたりとか、またはナイトライフが楽しめるようなエリアにするのか。公共交通機関とは遠いかもしれないけど、もしかすると自家用車があるかもしれない。

それによってキーデータポイントを見ていきます。自宅のロケーション、それから勤務先のロケーション、そして3つめのロケーションは、今どこにいるかという現在位置です。

昼間にローンの申込みを行っているときには、家でもなくてオフィスでもなくて、そのような場合は仕事を失いかけているのかどうか。

例えば、真夜中にナイトライフのエリアからローンを申し込んだときには、なんのために必要なのか。先ほど言ったのは50歳の銀行家で、非常にいい所得がある場合には、そんなに大きな違いはでない。しかし、まだ大学を卒業して仕事に就いたばかりの学生だと違いが出てきます。

北川:マネタイズする上において、データだけあっても仕方ないというのはおっしゃる通りです。ただ、人がどれくらい信用できるのかとか、その人のライフスタイルをインディケートするものとして、ロケーションデータというのはその他の性質を読み取るのに役に立ちそうだという話です。

:そこはおっしゃる通りだと思います。GPSのデータをどう活かせるかといったらすごく難しいんですけど。今、さまざまなヒントを言われたので、ちょっと考えなきゃと思いましたよね(笑)。

佐藤:あと思うのが、ROI(投資利益率)はあると思っています。相当データマイニングなどにコストとリソースもかかるんだけど、それに対するリターンがどれくらいあるかという。そこの問題がまだあるなと思っています。

とくに映像データや画像データって、やっぱりいろいろ食うじゃないですか(笑)。なので、通常の金融の予測などと比べると、ちょっと骨が折れるなという。

そこまでやるほどの規模かどうかというのが、ちょっと重要なのかなと思いました。相当大きな会社であればROIと合うと思うんですけれども。

:今思ったのは、今までのファイナンスビジネスというのは、お客さまからすごくいっぱい属性情報を取っていたんですよ。家を持っているかとか、自動車を持っているかとか、子供は何人いるかとか。

そういう情報をいっぱい取っていたわけですけれど、そういう情報を取らなくても、GPS情報を活かせば、もしかしたらリーチできる範囲ですよね。そういう意味では、今すごい、インサイトをいただいたような気がしました。

北川:パチンコに通いつめているかどうかみたいなことは、確かに大事な気がしますよね。ありがとうございます。

<続きは近日公開>

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