氷が滑る理由を考察

オリビア・ゴードン氏:寒い日に雪の積もった舗道を歩いたことはありますか? 見えなかった氷のかけらを踏んで、滑って、尻もちをついたことはありませんか?

科学者たちは滑りやすくなる原因は氷の表面の極薄の水の層だと考えています。しかし、それがどのように形成されるのかについては、まだ完全には理解できていないようです。多くの固体にはそのような層はありません。氷はほかの固体とは違うのです。

研究者たちはいくつかの考えにたどり着きました。圧力、摩擦、そして水の分子の相互作用などです。

数十年もの間、人々はアイススケートをしている時のように、氷に圧力をかけることで氷の上の層を溶かすことができると考えてきました。これは氷が液体の水よりも密度が低いという、不可思議な性質によって起こりえます。

熱力学的に、アイススケートのシューズの刃の真下のように、氷に圧力が加わると、体積が減ってその圧力を下げようとする作用が働きます。液体の水は氷よりも少ない面積で済みます。そして、溶解温度はやや低いので固形部分は少ししか解けません。だからその上を滑ることができるのです。

そして、スケートで氷の上を滑ると、水は再び凍ります。これで意味は通りますが、完全には理解されていません。体重の重いスケーターでさえ、溶解温度はたった数度低い程度なので、本当に冷たい氷しか凍ったままでいられないということになります。しかも、普通の靴を履いた人はアイススケートの細い刃よりも与えられる圧力は小さくなります。

ほかに可能性を上げるとすれば、靴が氷を擦ることによる摩擦は、氷を解かすほどの熱を生み出すということです。それが本当だとしても立っているときにも氷はやはり滑りやすいのです。この説明もまだ理由を十分には説明できていませんね。

3つ目の理論もあります。物理学者のマイケル・ファラデーは1850年の研究で、2つの氷の塊をお互いに圧迫すると、両方とも凍るということを発見しました。液体の表面の層は、空気に触れないと固形化するということがわかったのです。

これにより、現代の科学者たちは表面溶解という理論を研究し始めました。表面溶解とは、氷の表面の水の分子を1つの場所に留めるようなほかの分子がその上方に存在しない場合、氷の表面の水の分子は内側の分子よりも動き回ることができるという考えです。表面の分子は不安定であるため、凍結温度よりも低い場合でも液体のような層を作るのに十分なエネルギーがあるのです。

簡単に言えば、氷は本質的に滑りやすいということです。これらの説明はまだ証明されたとも証明されていないとも言えません。科学者たちはその説明を混ぜ合わせて考えており、水の不可思議さはすべて未解決だということです。

次に氷のかけらに足をとられそうになったら、氷はとても冷たい個体であるということだけは忘れないでくださいね。