自民党内で浮上しているパチンコ税の創設構想において、課税は自治体の判断に任せるべきだとの声も出ています。これについて記者から会見で質問された橋下徹・大阪市長は「枠がもらえれば確実に課税する」と断言しました。(7月17日の登庁会見より)

【スピーカー】 維新の会・代表 大阪市長 橋下徹 氏

【動画もぜひご覧ください】 2014年7月17日(木)橋下徹市長登庁会見「都構想の法定協議会の議論他について」

都構想の議論は役所とではなく、僕とやってほしい

記者:おはようございます。今日は市議会の特別委員会で野党が都構想への反論をするようですが、相変わらず市長を呼びませんね?

橋下徹 大阪市長(以下、橋下):だから……どうなんですかね? 呼んでくれれば答えますよ。法定協議会にも出てこないし、この大阪市議会内の委員会でも僕を呼ばないということで、誰とどういう議論をしたいのか、わかりませんね。

そうそう、前、毎日新聞の社説に文句言おうと思って途中で終わってしまったんですけど。もちろん、こちら側がやっていること(臨時議会の招集拒否)は自治法に違反しているということは承知してやっていますけれども、ボイコットする側について、もうちょっと適正な評価をやってもらいたいなと思いますけどね。

法定協議会だって、いずれかが多数をとればどちらかは少数なんですよ。僕らは今まで少数の立場でずーっと法定協議会をやってきたわけです。これはいろいろ賛否両論あるけれども、法律上、違法でないやり方で法定協議会のメンバーを入れ替えた、これはもう賛否両論あります。

ただどちらが多数をとろうが、どちらが少数であろうが、どういう立場に立とうが、その協議会に参加して議論するというのが本来の義務だと思いますよ。今回、我々維新の会のやり方に対して異を唱える、ということでボイコットしているんですけれども、そういう事をやらせないためにも僕は市長選挙をやったんですよ。

法定協議会でボイコットするくらいなら、市長選挙で堂々と戦えばよかったわけですから。今になって会議、協議の場に出てこない事のほうが、僕は事は重いと思いますけどね。それはもう重大な義務違反ですよ。議員なんですから。自分の意見はどうれあれ、協議の場に出て、そして意見を言うというのが本来の姿だと思いますよ。

記者:となると、中身の議論は9月議会ということになると思うんですが。

橋下:だから税財政の委員会でもするんじゃないですか? 僕はもうわかりませんけどね、どんな議論になるのか。委員会の問題点、二元代表制の問題点っていうのは、公選職が役所の職員にいくら質問したって、議論なんか深まりませんよ。だって大阪都構想を掲げているのは僕なんですから。僕と議論しないといけないわけで、市議会がどういうつもりなのかさっぱりわかりません。

記者:9月議会で議論をする、という前提でお伺いしたいんですが、少なくとも9月までは専決(処分)はしない、というお約束はして頂けますか?

橋下:それはしません。

記者:それは、議論せずに専決してしまう、ということがあり得るということですか?

橋下:それは無いです。必ず議会にはかけます。

記者:ということは9月議会までは専決しない、ということですか?

橋下:しないです。

記者:ああ、「しない」っていうのはそういう……。

橋下:確約を「しない」じゃなくて、専決は「しません」。9月議会に必ずかけます。そうでないと言っていることが無茶苦茶になってしまうんで。原案を作った上で、反対派の意見もそこでキチッとぶつけてもらうために、9月の議会には必ずかけます。

自公の府議団・市議団が総務大臣との面会を行うが、影響はあるか?

記者:今日、自公の府議団・市議団の幹部と、国会議員が、総務大臣に対して、都構想の法定協議会の議論に対してこれまでの経緯とか、自公からすれば反対派を排除したのは問題だ、ということを総務大臣に現状を訴えに行くようなんですけれども、(都構想の)協定書をまとめるにあたっては総務大臣の意見というのを付すことになっていると思うんですが、そこら辺への影響は特にはないとお考えですか?

橋下:これはですから、後は総務大臣のご判断だと思いますよ。経緯を聞いていただいて、総務大臣が「これは国の統治体系から問題だ」と認識されるのか、そうではなくて、「これは自治体内の問題だ」というふうに認識されるのか、どちらかですよね。やっぱりそこは、地方自治を預かっている最高責任者なわけですから、その意見というのは大変重いと認識しています。

ただ僕の認識では、これは自治体内の問題だと。ですから大臣が心配されてるね、市民不在にならないように、というのは確かにそうだと思いますので、そうであれば、ボイコットは止めるべきですよ。自民・公明・民主・共産、市民不在にならないためにも。だから法定協議会のなかで堂々と自分の意見を言えばいいじゃなですか。

今回の法定協議会の委員の入れ替えについては、これは賛否両論あるんです。ただ、やってはいけないという話ではないので。禁止はされていませんから。だから、朝日かどっかの記事に載っていましたけれども、「強権発動するのであれば国民の信を問え」と。集団的自衛権の話ですよ。

安倍首相は散々、衆議院選挙の時に「集団的自衛権の行使は認めていきますよ」ってことを言って、それで選挙をやっているのに、「もう一回国民の信を問え」という朝日の主張はさっぱりわからないです。自分たちの気に食わない事があれば総選挙をしろ、なんてどこまで上から目線なんだと思いますけどね。

強権的な措置をする場合には、国民の信を問え、市民の信を問え、と。まさにそのために僕は市長選挙をやったわけです。朝日は「法定協議会の委員の差し替えについては市長は権限がないんだから、市長選で問うのはおかしい」なんて言ってますけれども、シングルイシューの選挙を一番批判していたのは朝日なんですから。

集団的自衛権の行使についても、良いか悪いかを総選挙で問うということ自体、本来はおかしいっていうのは散々メディアが言ってたんですよ。シングルイシューで選挙するのは。

そりゃそうですよ、だって仮にね、次に集団的自衛権の行使を争点にして総選挙をやったとしても、それだけでみんな一票を投じるわけじゃないんですから。原発問題やらなんやら、いろんなことを考えて間接民主制の場合には議員を選ぶわけです。果たしてそこで自民党が敗れたからといって、そこで国民が集団的自衛権の行使を否定したかっていうのはわからないわけですよ。

だから選挙っていうのはそんなシングルイシューだけで出来るようなもんじゃなくて、結局は総合判断で、国民の民意をどういうふうに選挙から汲んでいくのかっていうのが、いわゆる政治家の役割でもあって。だから僕は今回、法定協議会の入れ替えについて、そこを一番の争点にしてメディアの皆さんにもそれを伝えて、タウンミーティングなんかでもそれを訴えかけて、それで僕が市長選挙に当選したと。

もちろん僕は法定協議会の委員の入れ替えの権限は持っていませんけれども、こういう選挙を通じて大阪市民の民意をどう汲むかっていうのは、最後は政治判断なわけでね。集団的自衛権の行使について総選挙をやれっていうのと全く同じ話。まあ朝日だけは論理がむちゃくちゃですからね。

まあいずれにせよ、法定協議会の委員の入れ替えについては賛否両論あるなかで、法律上は禁じられていない、ルールに基づいて出来る。そんななかである意味、強権の発動になるから、僕はワンクッション入れて市長選挙をやったと。その時に自民・民主・公明・共産は対立候補をたてて僕を倒せば良かったんです。それをやらずに、今になって法定協議会をボイコットするということのほうが、僕はよっぽど重大な職務違反だと思ってますから。

ここで20日間以内に議会を解散する自治法の義務に違反したって事で大騒ぎするくらいだったら、法定協議会に出席しないことをもっと取り上げて、しっかりとフェアに報道してもらいたいと思いますね。

パチンコ税の枠をもらえるなら、確実に課税する

記者:市長すいません、パチンコ税についてなんですけれども、自民党の税調会長が昨日の時点で、地方自治体がパチンコ税について自己調達する枠があってもいいのではないか、というふうに、自治体の判断に課税を委ねるべきだという趣旨の発言をされたんですけれども……。

橋下:枠をもらえたら課税します。パチンコ税を大阪はやりますよ。しっかりやります。それで財源をキチッと確保します。

記者:大きな財源として期待していらっしゃるという?

橋下:当然です。もっと課税すべきだと思いますからね。だからそういう枠が出来ればやります。

ただ、今の景品交換システムのことを真正面から認めないとダメでしょ? グレーですよ。あんなの世界から見たら笑われますよ。今のパチンコの仕組みっていうのは。これだけ国際標準ルールで開かれたビジネスルールを作っておくと言っておきながら、今の景品交換のあのシステムっていうのは、極めてグレー。

かつての戦後直後、高度成長時代の、まだ日本の社会ルールというのがしっかりと確立する前においては、そういう事もまあ良かったのかもわかりませんが、今の時代となってはもう、パチンコのルールっていうのは、僕はおかしいと思いますよ。

だからIR法案、いわゆる統合型カジノリゾート法案でカジノについてキチッとルール化するのであれば、パチンコについてもキチッとルール化をして、課税の枠をもらえるんだったら、キチッと課税します。それはもう自治体の責任で、交付税なんか貰わずに自分たちで課税出来るんだったら、自分たちでそれやればいいじゃないですか。