自然エネルギー発電と漁業を1つの施設で!
万能すぎる海上プラント計画が九州で進行中

まず問いかけから - 自然エネルギー #1/2

海に囲まれた日本で注目される洋上再生エネルギー開発ですが、実用化に向けては、エネルギー変換効率の悪さや漁業権との兼ね合い等の難問が立ちはだかっています。これらの課題を一挙に解決できる未来的な海上プラント計画について、九州大学の応用力学研究所で所長をつとめる大屋裕二氏が、実証実験中のデータも交えながら語りました。(TEDxFukuoka 2014より)

メガフロートと漁業の共存

大屋裕二氏(以下、大屋):私たちは今まで化石燃料を焚いてきましたので、たくさんのCO2をこの世界に排出してきています。その代わりの脱石油、脱石炭、脱原発のエネルギーっていうのはどんなものがあるのか、本当に代替エネルギーが見つかるのかっていう問題があります。私たちはそこで、問いかけをするわけです。見つかるのか? って。

つまり、全ての研究、人生においても多分そうでしょうけど、願掛けよりも問いかけから始まります。こうなりたい、とか、ああなりたい、とかいうお祈りよりも「何故?」ってところから始まると思います。

それで私たちは、与えられた面積、つまり与えられた土地と海の面積で、どれだけの自然エネルギーを取り込めるか。私の研究分野ではそういうことをしているわけです。自然エネルギーをどうしたら効率的に取り込めるか、どういう風に使うか。

その使い方もですね、いろんな使い方がありますけれど、やっぱり大規模過ぎて地球環境を傷めるようであってはいけないわけです。だから地球に優しい自然エネルギーの使い方とは、そういうことを考えます。

そこで今から提案しますけど、いろんな自然エネルギーを高効率に取り出して、そしてそれをどういう風に合わせて使うか。

2つ説明しますけど、まずは海です。海に漁業協調型のプラットフォームという浮島、浮体を作ります。そこにエネルギーファームを置きたい、というような発想です。まずそのエネルギーファーム、浮島で海に出ると、風は陸よりもずっと強いんです。だから風力のエネルギーをたくさん取り込めるし、それと太陽光、浮体というプラットフォームを作りますから、太陽光パネルも置けるわけです。

それで太陽光も使う、そのまわりに波が荒ければ、波のエネルギーも使える。潮流が下に流れていれば、潮流も使って、電気を上に、プラットフォームに上げる。そういう風に、そこにある自然エネルギーをひとつのエリアでたくさん使わせてもらおう、とこういう風な発想です。

その時に、私たちの日本はですね、四面海に取り囲まれて海洋国家日本なんですけど、漁業権とか、海の人たちの漁業があるわけです。それを無視して勝手にすることは、絶対に出来ません。だから漁師の人たちと話し合いながら、いつでも漁業の人たちのためにもなるような、そういうプランを立てていかなければいけない。それが2番目の、漁業・水産業との共存です。

どういうことかというと、(浮島)まわりに養殖の生け簀、そういうものを考えます。そうすると漁業の方たちも、新しい養殖が出来て魚を少しは安定的に獲れるようになる。それと島があるとですね、藻、海藻ですね、そういったものを生成することも出来ます。

3番目は、いろんな使い方が出来ます。防災基地にもなりますし、将来は海の都市になるかもしれない。もっと大きく。この三角形がひとつの基本要素で、それが自己増殖してどんどんどんどん大きくすることが出来ます。「スマートフロート」って呼びたいかな。そういう風な感じです。

そういうことをやると、日本のいろんな産業の裾野に繋がるわけです。とてもいろんな分野に広がって、産業化が進むと思います。

アイデア1つで発電量が10倍に

2つ目はこれ、陸の上を使うんです。日本は土地が狭いですから、なかなか使いにくい。例えば今、太陽光発電でも土地を探してますとか、そういうコマーシャルが出たりするでしょう? それだけ今、太陽光発電は政府に援助されてますから、そこに太陽光パネルをたくさん置くと儲かるわけですね。

そういうことなんですが、そこにいつまでたってもFITって、フィードインタリフ(固定価格買取制度)って言うんですけど、そういうものに依存していては、本当に自然エネルギーを使うことが出来ません。

そこでどうするかっていうと、やっぱりそこでもいろんなアイデアをつぎ込みます。ここにひとつ考えました。皆さんソーラータワーっていうのをご存知ですかね? ここに出てるものは、スペインのマンサナレスってとこで20年くらい前に実験されたプラントなんですけど、太陽光が集熱部に降り注いで、そこで熱上昇風がグッとおこって、煙突効果みたいに風の流れがグーッと上がるんです。こんな風に。それでタービンを回して発電するっていうプラントなんです。

これはとてもシンプルで、効率は悪いんですけどシンプルだから復活しようとしてます。私たちは考えました、もっと効率を上げられないかと。ちょっと考えただけで(アイデアが出てきました)。

それはですね、上方に向かってちょっと拡大するタワーにするんです。少し、4度開きくらいかな。そうすると、根っこでタービンの回り方が全然違くなります。ここに書いてありますように、すでにうちの実験室レベルでは6倍の発電量になってます。ちょっと変えるだけで。

それと、これは太陽に依存してますから、じゃあ夜はどうしますかと。太陽光で上昇流を発生させるって、夜は太陽ないじゃんってなるでしょう。太陽光パネルと同じです。

その時に、昔のトイレのあれを思い出すわけです。トイレの先っぽに風が当たると嫌な匂いがくみ出される。古い方はご存知かな? そういう上空の風を利用するの。上空の風が、タワーのてっぺんの出口で低圧部を作ってくれます。低圧部、圧力が低い所っていうのは、風が大好きなんですね。風の大好物。そこで、低い圧力のところへ向かって、周辺から風が集まってスーッとまた流れが起こる。その流れを利用して、タービンを夜も回すことが出来る。

そうすると、夜も昼も合わせて、マンサナレスのタワーよりも10倍くらい発電力が上がるだろうと予想してます。実際そういう結果が出てますが、それを私たちは名付けて「ウインドソーラータワー」と呼んでます。

でも、それだけではまだまだ、まだまだなんです。自然エネルギーの使い方は。それで考えたのは、太陽光パネルも中に置こうと。そうすると集熱させられる。太陽光パネルの変換効率はまだ10%かそこらで、その下に熱をたくさん出すわけですね。その熱も上昇流で使う。つまり、コージェネレーションの大規模なやつです。

そうすればかなり、今のメガソーラー基地にちょっとこう、数十メートルの高さのタワーを建てれば、そこのメガソーラーの同じエリアで1.5倍~2倍くらいの発電量を取り出すことが出来ます。これが2つのアイデアです。これをやるために今、いろんな研究をしてます。

限られた土地から超高効率でエネルギーを取り出す

何故そんなことを言うかというと、今までお話したように、再生エネルギーというか太陽光でも風力でも、取り出すためにはものすごく広い広い面積がいるわけです。よく言われるでしょ。太陽光パネルで原発と同じ規模の電力を取り出したい、と言われると、東京の山手線の内側の面積全部に太陽光パネルを置かなくちゃいけない。そんな土地が日本にありますか? 

ですので、超高効率にすることで、与えられた土地、与えられた面積だけでたくさんのエネルギーを取り出したい。そこで、私たちがそういうことを考える時に、ひとつの技術指図を持っています。それはここで英語で書いてますけど紹介しますが、レンズ風車っていいます。

これはですね、普通の風車に輪っかがついてますね、まんまるの輪。「輪が輪を呼ぶ」って一番良い言葉なんですが。その輪を付けることによって、風を集めることができるんです。その輪が渦を後ろに作って、渦は低圧を作って、圧力が低いところは風が大好きってさっきも言いましたけど、風が自らその輪の中に、つまりそのブレードタービンの中に飛び込んでくれます。

そしたら発電量は風速の3乗ですよ。2乗3乗って、お分かりですかね。ちょっと風があがるだけで発電量が数倍になります。

それで今、伊都キャンパスに置いてるやつは、2倍も3倍も発電量が上がります。且つですね、これは副産物的なものなんですけど、とても静かになりました。今日はお話する時間がありませんけど、風車の先端から出る風切り音って皆さんご存知ですか? シャッシャッっていう。ああいう風きり音がほとんどないです。飛行機の両翼の先にも、ウイングレッドという、先端から出る渦を小さくするための細工があるんです。それをこの輪が代わりにします。とても静かです。

それと、私たちは今まで何十台も置いてますが鳥の衝突は一回も無い。それから雷にも強いです。すぐアースが出来ますから。とても自然に、自然に溶け込んでいきます。だから某会社のコマーシャルに勝手に出演させられていました(笑)。気がつかれた人いますかね? 日曜の夜の番組ですから、福岡では。

その後ですね、海の風を利用したいっていうので、博多湾の中に小さなステーションを浮かべました。これはですね、Google Mapでも見えるんです。皆さんも見ていただけたら。これは、本当はムービーでお見せしたいんですけど、こういうものを浮かべてます。

直径だいたい18mくらいで、全部で8kWで小さな発電プラントなんですけど、それをパイロットステーションとして、海の上にこう浮かべてこう発電すれば、エネルギーを結構たくさん採れますよ、っていう実証をしてます。すでに、これと同じタイプの風車をここから3kmくらい離れたアイランドシティー、福岡の方ならご存知でしょうけど、その港の橋の近くに置いてます。

とても風評が良いんですけど、その風車とこれと比べてですね、こちらのほうが海の上だから1年間の総発電量が2倍になりました。

その横(画像左)のこれ、魚なんですよね。どういうことかというと、ああいう物を浮かべるとそこはすぐ魚礁になります。魚礁というのは魚が集まってくるんですね。見えるでしょう。これはRKBさん(福岡のTBS系列局)か何かの番組か何かかな。その時に有名な潜水作業士の方が潜って撮られたんですけど、5種類くらいの魚がいっぱいいます。これが漁業協調型なんです。

ですので、どういうことを考えているかというと、これをもっと規模を大きくしたい。数倍大きく、100m規模くらいにすると、1メガか2メガWくらい出て数百世帯をまかなうことが出来ます。それぐらいでちょうど良いじゃないかと。数百世帯。つまり魚村。

日本はですね、ぐるっと周ると6キロに1カ所くらいは漁村があります。ですのでそういうところに、漁業は今衰退していて高齢化社会でちょっと大変ですが、こういう養殖もできて電力の発電も出来る、そういうのを一緒にやりませんかっていうような提案ですね。

私たちはその為の浮体を、研究所で仲間が研究しています。シミュレーションはフー先生というとても優秀な先生が計算して、風も波の流れも計算出来るんですけど。これは玄界灘でですね、50年に1回来るようなすごい波浪にも耐えられるような設計をしています。そこには大きな水槽があって、その下で実験をします。

それを日本のとある場所に持って行って、こういう風な浮体を浮かべてエネルギーファームにして、そこで生け簀を置いて。本当は生け簀って、海の下のほうに沈めたほうがいいんですって。生け簀を上げるだけでも魚にストレスをかけるから。下のほうに沈めておいて、自動給仕機でエサをあげるようにできないかとか、いろいろ考えています。それが新しい養殖のシステムで。

だから、風が強くて波があるところでも養殖が出来るようにしたいと、そういうちょっと外洋でもしたいと、そんなことを考えています。これが漁業協調のエネルギーファームで、これだったら漁業組合の方も賛同していただけて、一緒に出来ないかってことです。

「想い」も含めた全てのエネルギーは宇宙中で共鳴している

話はこれからだいぶ脱線して行きますから、ここは勘弁してくださいね。

世界の産業革命は、今まで第1次、第2次とありました。第1次産業革命はワット、第2次産業革命はフォード。今までは結局、地球の資源を収奪する産業構造だったんです。第3次は環境産業で、これがうまくいくと地球と共生出来るような産業構造になるかと。

それをビジネスに。ビジネスにしないと日本の場合、世界の場合でも普及することは難しいです。いくら高邁な理論を立てても、それが事業性を、ビジネス性を持たないと普及するのは難しい。ですからそういうことを打ち出すわけです。もしそういうことがうまくいくと、この新しい世界、さっき「ワールドシフト」といった名前が出ましたが、パラダイムシフトですね、そういうもっと大きな意味で地球に変化が起きるでしょうと。

何故かというと、ガイア仮説というのを皆さんご存知でしょう。地球はそれぞれ、それ自体が、1個の生命体なんです。少し飛躍すると最新の宇宙論、それからミクロの世界では、完璧に常識はありません。例えば皆さん、そこの壁を抜けられますかって言ったら、抜けられるんですね。私たちの身体はスカスカです。それから現代宇宙論の最先端によると、超ひも理論などによると、ここに別の世界があっても構わない。あの世かも知れません。それはリサ・ランドールという女流物理学者が言っているでしょう。そういうのも証明されてます。

ミクロの世界では、そこにあるものがあっても、無くてもどっちでもいいんです。あると思えばあるし、無いと思えば無い。そういう風な、常識の世界が全く起こりません。そういうミクロの世界のいろんな現象が時々私たちのマクロの世界に、ピュっとオーダーします。その時に私たちは「え? 何これ」って驚くわけですけど、そういうのは、空海とかウィリアム・ブレイクが言ってます。1滴の粒とか1粒の砂とか。

僕らはこの宇宙というエネルギーの場で、お互いに共鳴し合ってるんです。ちょっと想いを発すると、ずーっと宇宙空間に伝わって、また戻ってくるんです。ユングでは集合的無意識とか言われてて、深層では皆さんと私たちは繋がってる。だから今日は、簡単な10分間くらいのプレゼンで、皆さんの気持ちにちょっとインプットさせていただいたかなと思うけれど、深層意識の中でまた深くメッセージが入っていくかも知れませんので、受け取れる方は受け取ってくださいね。

小保方さんだって、再生細胞は彼女は常に問いを発してて、問いかけが強いから彼女にアイデアが降りて来たんじゃないかなと私たちは思うわけです。だから、問いかけるということはとても大切なんです。より根源的な問いをもって、私は誰なのか、地球は何なのか、この宇宙は何なのか、そういう問いかけをもつことがとても大切です。

「あなたは今、何か問うとうと?」。「振り子は揺れてこそ安定を保つ」っていう言葉があって、あちこち揺れてていいんです。真実は何かなんて、もうわかりません。皆さんにこれをプレゼントして終わりたいと思います。

天空のニコニコマーク。月と木星と金星。これは福岡工業大学の溝田先生が撮影されたものです。皆さん、どうもありがとう。以上です。

<続きは近日公開>

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