学習法の好みはパフォーマンスに影響する?

ハンク・グリーン氏:不運なことに、誰かが何かを何回にもわたって説明しても理解できなかったのに、一度画像や写真を見た瞬間に考えがつながったということはありませんか?

もしそうであれば、あなた自身を視覚的学習者と思うかもしれませんね。

またもし、あなたが読んだり聞くことで成果をあげるのならば、言語的学習者と思うかもしれません。

私たちはそれを学習法として区別しますが、実際のところ、本当に異なるタイプの学生に分類する方法は存在するのでしょうか? 

実は、多角的なプレゼンテーション方法、とくに視覚は多くの人々の学習を助けます。心理学者と教育専門家は学習法について調査をし、学習者の好む学習法よりはむしろ、彼らが持っている本来の特徴が「学生がどうしたらよく学べるか」に影響するのではないかと考えました。

専門家たちは、学生がどんな学習法を好んでいるのかを解明するための調査から始めます。そして彼らは、視覚教材の使用など、特別なプレゼンテーション方法で教えようとし、そしてその後、学生がどれだけ学んだかを調べるための追跡テストを行います。

この方法で研究者たちは、自分のことを言語的学習者と定義した学生が、情報をただ話しただけの学習よりも、本当によく学べているのかを確かめるのです。

しかし、2008年の報告によると、ある調査が、「自分の好んでいる方法で学習した場合に一番よく学べる」ということを発見しました。そしてこれには大きな欠点があります。

ある参加者は、調査の最初の段階から明確な学習法を持っていなかったため、研究者たちは元々の参加者から3分の2を排除しました。さらに、もし参加者が「極端」だと研究者たちが思った場合、それが一体なにを意味するかを定義せず、研究者たちは異常値を出した参加者をデータから除きました。そして彼らは実際のテストの点数を最後のレポートで報告していません。

したがって、学習法は私たちが持っている本来の特徴によるものではないことがわかります。しかし、それはすべての学生が読書にすべての時間を費やしたら驚異的に学べるということではありません。むしろ、人々はさまざまな方法で、とくに視覚的方法で教えられたほうがよく学べると言えます。

ある調査で、学生が単語のリストを聞いた場合、見た場合、両方を組み合わせた場合の3パターンで、どの方法がもっともよく覚えるのかを研究者たちが調べました。そうすると、たとえ自分が耳で学ぶタイプだと思った人でも、全員が印刷した単語リストを見た場合にもっともよく覚えられたことがわかったのです。学習法の好みは関係なかったのです。

似たような研究では、学生が基本的な物理と化学の概念をシンプルな文章を読んだ場合と写真を見た場合、どちらの方法でよりよく学習できるのかを調べました。そして、全員が写真を使ったほうがよく学習できることがわかったのです。

したがって、あなたが視覚で学ぶタイプかどうかという質問は、「おそらくあるタイプはそうでしょう。でもほとんどがそうだと言えます」と答えることができるでしょう。