2024.11.28
中国や北朝鮮によるサイバー攻撃を日本が名指しで非難 脅威アクターに対する「パブリックアトリビューション」の意義
10 Dangerous Fashion Trends(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:ファッションとはおかしなものです。スキニージーンズは履き心地が悪いですよね。それにお風呂に入っている時間よりも、口髭や顎髭にワックスを塗っている時間のほうが長いような友達はいませんか?
みなさんはファッションのせいで殺されたり、焼かれたり、毒を盛られたりはしないでしょうが、常にそんなにラッキーというわけではないかもしれません。歴史的には、少し危険な洋服や、化粧品、アクセサリーが流行ったことがありました。
そのせいで着る人や、作る人たちを危険にさらしてきたのです。みなさんがやっていたとしても、みなさんが絶対に着たがらないようなものがいくつか存在します。
では、17世紀から始めましょう。その頃、スカートは巨大で、おしゃれな男性たちはカツラをかぶり、最先端のカラーはグリーンでした。
1775年、スウェーデン人の化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレは酸性亜ヒ酸銅を開発しました。これは、ほかのどんな緑色着色料よりも、鮮やかで、長持ちする黄緑の色素でした。そしてこれはヒ素から作られていたため、とても毒性の強いものでした。
ドイツ人科学者はすぐにシェーレの配合方法を改良しました。さらに鮮やかな緑色の色素であるアセト亜ヒ酸第二銅を開発したのです。一般的にこの色はエメラルドグリーン、もしくはパリスグリーンとして知られています。
人々はこの色を大変気に入り、造花から舞踏会用のドレスまで、あらゆるものに使用しました。ファッション好きな人々が緑色の手袋やストッキング、靴下を着用している時に汗をかくことで毒素が肌に入り込み危険性が出てきました。
その結果、化学熱傷や皮膚潰瘍が起こり、さらに有害物質が体内に取り込まれることになったのです。毒性のある破片、とくに壁紙や人々が舞踏会で着用するドレスなどからも塗装物から剥がれ落ちることもありました。ヒ素をたくさん吸い込みすぎてしまうと、有毒物質は嘔吐や潰瘍、神経障害を引き起こし、最終的には死に至ることもあります。
しかし、ヒ素色素だけが有害なわけではありません。洋服や靴に用いられる初期の頃の合成染料のいくつかは、重大な健康被害をもたらしていたのです。
アニリンは1820年代に初めてアイから抽出された有毒な有機化合物です。吸引すると、血液細胞が酸素を運ぶ能力を妨げます。しかし、1856年、ウィリアム・ヘンリー・パーキンという化学専攻の学生がアニリンを使って、抗マラリア剤を発明しました。
この時、彼は紫色の染料であるモーベインを偶然作りだしました。すぐに、アニリン染料は大ブームとなりました。
比較すると、その鮮やかな赤と深みのある黒は、自然の染料の色調を弱く見せるほどでした。しかし、みなさんには次になにが起こったのか想像がつきますよね? 人々はアニリンで染色された靴下や手袋、シャツなどを着用したり、アニリンを原料とした研磨剤によって磨かれた靴を履いたりしました。
そして、頻繁に皮膚が炎症を起こしたり、頭痛や目まいに襲われたりしたのです。彼らの血液中に染料による有毒物質が流れ込んだことが原因でした。
次なる危険な流行は、どちらかと言うと単独で起こった悲劇的な出来事でした。この時の原因は塩化亜鉛で、生地の染色に使われたわけではなく、ウールを保護するためのコーティング剤に使われていました。その化合物は腐食性も水溶性も高いため、当時も、今でもさまざまな方法で利用されています。
1898年12月、イギリスのバーミンガムで、吹雪の後の道路の清掃のために60人以上の男性が雇われました。その全員に防寒用のウールのコートが配られたのです。すばらしいですよね? しかし、多くの男性たちは膝やウエスト部分に大きな皮膚損傷が起き、病院へと運ばれることになったのです。
そのコートには過剰な塩化亜鉛が使われており、雪でコートが濡れたときに有毒物質が肌に触れ、化学火傷を引き起こしたことがわかりました。
長い間アスベストが間違った使われ方をしてきたことについて、以前に(別の動画で)お話ししましたよね。しかし、アスベストが死をもたらすことを知らなかった頃は、しばしば防護材として使用されていました。
アスベストは生地に編み込むことができる軽い繊維からできており、難燃剤としても有名です。古代ローマから1980年代前半まで、多くの危険で、火と関係のある仕事がアスベストを含むユニフォームの着用と関わっていました。とくに消防士たちがそうです。
しかし、アスベストの繊維は人間の健康にとって、とてつもなく危険なものです。洋服に編み込まれていたとしても、アスベストの繊維は小さな破片に分解され、肺に入り込むことができるのです。肺の中に大量の繊維が蓄積されると、炎症を引き起こしたり、酸素を吸引する能力を傷つけたり、妨害したり、呼吸困難になったりします。
アスベストは発がん性物質でもあります。大量のアスベストに触れた人々は中皮腫と呼ばれる珍しい肺がんにかかる傾向があります。アスベストを保護材として使っていたとしても、結局私たちの身体にかなりのダメージを与えていたのです。
それ以外で、予想よりも有害な繊維として証明されているのは、ビスコースレーヨンです。
1800年代後半、化学者たちは天然のシルクに代わる人工の代替品を探していました。天然のシルクは生産するのにかなり時間もかかり、とても高価なものだったからです。
1905年、イギリスの企業が新しい素材の製造を始めました。木材パルプを分解した粘り気のある液体を使用しました。これには多くの天然の木材のセルロース高分子を含んでいました。
それを寝かせ、いくつかの化学物質に漬け、シルクに見た目も手触りも似た繊維を取り出すのです。今では、私たちはその繊維をレーヨンと呼んでいます。ビスコースレーヨンを製造する過程でポイントとなるのは、二硫化炭素と呼ばれる化合物です。想像がつくかもしれませんが、この二硫化炭素はとても有毒なのです。
その繊維は着用する分にはとても安全ですが、工場作業者たちは影響を受けました。長期に渡って二硫化炭素に触れ続けると、心臓血管と神経システムにダメージを受けます。これは躁病の発作から突然の発作まで、症状に幅のある作業者たちの間で行動や健康の障害に関連していました。しかし、こんな危険がありながら、人工シルクの人気は1900年代まで上がる一方でした。
みなさんはルイス・キャロルの不思議の国のアリスに出てくるマッド・ハッターをご存知でしょう。あの、奇妙で紅茶をたくさん飲むキャラクターです。彼は現実にも存在したかもしれません。実は、「mad as a hatter(気が狂っている)」という英語の慣用句は1800年代半ばの産業帽子の製造業者のことを指しているのです。
彼らは仕事をしていただけなのに、水銀の毒に侵されていました。多くの帽子はフェルトか、小さな動物の毛皮から作られていました。フェルトを作るために、帽子屋たちはキャロッティングと呼ばれる方法を用いていました。硝酸水銀を含むオレンジ溶液の中で生皮を洗って、皮と毛をはがし、薄い素材にするのです。
しかし、彼らがおしゃれな帽子のために払った代償が水銀中毒でした。それは帽子屋たちの中枢神経システムに大きな損傷を与えました。水銀による病気、もしくは水銀中毒症は心の状態や身体に大きな影響を与えます。
例えば、震えや歩行困難、話したり書いたりすることも難しくなります。帽子自体は一般的には有毒な影響はなかったので、帽子屋の職業的な病気とされていました。そして、国がフェルト帽子製造で水銀を使用するのを禁止し始めるのに50年かそれ以上がかかったのです。
では、化粧品についてはどうでしょうか? 1500年代に起きたあるファッショントレンドは、まばゆいばかりの白肌への執着でした。
16世紀から17世紀半ばのイギリスで、女性はベネチアの鉛白と呼ばれる白くするペーストを顔に塗っていました。その色素は、粉状の白鉛である炭酸塩を作る二酸化炭素の存在するところで、ビネガーとしても知られている酢酸と金属鉛を混ぜ合わせることで作られていました。これにより驚くほど雪のように白い顔にすることができたのです。
しかし時間とともに、人々の肌を蝕み、傷や頭痛、吐き気、筋肉損傷、脱毛などを引き起こし、最終的には死期を早めることもありました。
1898年、マリ・キュリーとピエール・キュリーはあの有名な放射能を発見しました。2人は閃ウラン鉱、もしくは瀝青ウラン鉱と呼ばれる放射性鉱物から塩化ラジウムを取り出すことに成功したのです。
研究から数十年たった1910年に、彼らは純金属としてラジウムを分離させました。この発見は科学研究者たちを興奮させただけではなく、科学的根拠のある消費財の流れが世界中に広まることになりました。
では、ラジウムメイクにいてお話ししましょう。ロンドンに拠点を置くRadiorは1917年に、フェイスクリームや、石鹸、パウダーやブラシなどの商品にラジウムを使用しました。
1930年代には、パリの女性たちはTho-Radiaというブランドの化粧品を使用しました。これはソリウム塩化物とラジウム臭化物から作られたものです。放射性要素が高いほど、よいとされていました。幸運なことに、こういった商品の多くはごく少量のラジウムしか含まれていなかったので、ほとんど無害でした。
しかし、消費者がいつか健康を害する可能性はあります。代わりに、ラジウムを含む商品が製造されていた工場で深刻な中毒被害が出ていました。とくに「ラジウムガールズ」と呼ばれ、アメリカで働く4,000人もの工場労働者グループが被害を受けました。
彼女たちは蛍光塗料で時計の表面を塗装する仕事をしており、毎日放射能ダストをたくさん浴びていたのです。1920年代までに、彼女たちは貧血の症状が出るようになり、ラジウム顎や骨肉腫に苦しめられるようになっていました。20年間で、彼女たちの被害状況によりラジウムを混ぜた商品はほとんど市場から消えました。
人々は単純に美を求めるために顔に有毒物質を塗っていただけではありません。彼らはもっと魅力的に見えるように、目にも有毒物質を注いでいたのです。ここで問題になる有毒物質はアトロピンであり、これはデッドリーナイトシェードやアトロパ・ベラドンナと呼ばれる毒性の植物から抽出した加工物です。
「ベラドンナ」とはイタリア語で「美しい女性」という意味で、危険な美容手術に由来します。いくつかの古代文明では、女性たちはデッドリーナイトシェードの実から採った果汁の滴を目に注入していたと言われています。
これは、魅力的なくりくりとした目に見せるため、瞳孔を拡張したり大きくしたりする目的がありました。アトロピンは平滑筋弛緩剤であり、虹彩は入ってくる光の分量を増やしたり、縮小したりする平滑筋でできています。目にアストロピンを増やすことで、虹彩が光に反応するのを止めることになります。
目に過度のアトロピンを注入することはかなりおそろしい行為です。目を常に広げることは光に網膜をさらしすぎてしまい、感覚組織にダメージを与え、そして視覚にも影響があります。しかも、目の筋肉を不自然な位置にずらすことは、内部の眼圧に影響を与え、視神経にも損害を与えます。これらは失明につながる可能性もあるのです。
最近でも、医者たちはアトロピンを筋肉弛緩や麻酔効果として使用しており、目の検査をする前に虹彩を開くために使われることが多いです。しかしその際にはごく少量、管理できる量だけを使います。
最後に、可燃性のファッションアクセサリーで盛大にいきましょう。セルロイドは当初もっとも成功を収めた合成プラスチックでした。
とても安価で、軽く、強度も高く、そしてどんな形の型も容易に作ることができました。1800年代後半から1900年代初めにセルロイドのアクセサリーはどこにでも存在しました。ボタンやジュエリー、メガネのフレーム、おもちゃ、それに女性が使う髪のクシにも使われていました。
しかし、人々が知らなかったのは、セルロイドがニトロセルロースと呼ばれる化合物が製造の過程で使われていたということでした。現在のセルロイドは、少し前にもお話した、天然の植物ポリマーです。木材パルプやコットンのように、セルロースを硝酸に触れさせたとしても、可燃性の高いニトロセルロースになります。そして爆発しやすい性質があるため、綿火薬とも呼ばれています。
セルロイドのアクセサリーの人気沸騰により、カールアイロンや電球の近くで使用していただけで、人々の髪のなかでクシが燃えたり、体に火が付いたという記事が新聞で見られるようになりました。また、セルロイド製品を窓のすぐ近くや、夏の暑い日に鏡の近くに置いておいただけで、お店全部が焼け落ちてしまったという報告さえもありました。
比較してみると、現代のスキニージーンズや口髭用のワックスはさほど悪いものでもないように思えませんか? お話ししたように、流行のせいで肌に火傷を負ったり、髪に火が付いたりすることに比べれば、ファッションの失敗など安全なものです。
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