フラミンゴはもともと灰色

マイケル・アランダ氏:フラミンゴ、と聞いて思い浮かべる色はどんな色ですか? ピンク、ではないでしょうか?

実は、フラミンゴはピンクではないんですよね。この赤ちゃんフラミンゴを見てください。とっても可愛いし、ピンクじゃないですよね。灰色をしています。

なにかの間違いなどではありませんよ。病気なのでもありません。私たちがよく知っている、ピンク色のフラミンゴの羽毛、それは生まれつきのものではないのです。

では、フラミンゴは、いつ、どのようにして、バラ色に変わるのでしょうか?

餌が関係しているというのはなんとなくおわかりなのではないかと思いますが、実際、なにがどのように作用しているのでしょうか。

フラミンゴのごちそうは藻やエビ、二枚貝や甲殻類、それに軟体動物などです。それらの生物、とくに藻やエビは、カロチノイドと言う赤みがかったオレンジ色の色素の割合が高い生物たちに該当します。

とは言え、藻やエビ自体が目に見えるピンク色をしているわけではありませんよね。それは、カロチノイドはアスタキサンチンのようなほかの成分の一部分として存在していて、ピンク色が表立って表れてはいないことによります。

というのも、アスタキサンチンはタンパク質と結合しているのですが、アスタキサンチンとタンパク質との結合が、色素が光を吸収し、反射させる働きに影響しているからなのです。つまり、スペクトラムの赤い部分を反射する代わりに、青い光を反射しているからなのです。

人間も色が変わる可能性が

しかし、フラミンゴに食べられるとその作用は変化します。フラミンゴがカロチノイドが含まれた餌を消化すると、消化酵素がタンパク質から色素を分離するので、今度は赤色を反射させるようになるのです。その色素は、やがてフラミンゴの羽毛を育てるために蓄積される脂肪と結びつくようになります。

2~3年で、その蓄積された脂肪により、フラミンゴの羽毛は誰もが知る、素敵なピンク色へと徐々に変化させられるのです。

同じような現象はロブスターやエビを茹でた時にも見られます。熱による変化、殻に存在する、色素と結びついているタンパク質が熱処理により早急に変化させられたことによる現象で、灰色や茶色といった色からピンク色へと変化するのです。

実は人間にだって、同様のことが起こる場合があります。スーパーなどで大量の藻を買う、なんてことはないでしょうが、カロチノイドを多く含む、ニンジンやアプリコット、かぼちゃ、それにマンゴーなどを多く摂取していませんか?

カロチノイドを多く含む食品を大量に摂取すると、皮膚の色はオレンジ色っぽくなります。いわゆる、柑皮症と言われる症状になるわけですね。

しかし、幸い私たちには豊富な食物があり、つねにニンジンだけを食べている訳ではないのですから、体の色云々のことは通常、特に気にすることは無いのでしょうけどね。