2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤岡清高氏(以下、藤岡):ライフロボティクスの技術的なブレイクスルーはどのように起こったのでしょうか?
尹祐根氏(以下、尹):技術的なブレイクスルーは、「トランスパンダー」テクノロジーをベースにした、肘がないロボットアームを生み出したところです。
この基本コンセプトは、2007年くらいに複数のメンバーから生み出し、ロボット分野における発明にもつながっています。
これまでずっとロボットアームの研究をやっていて、私も人の腕のような垂直多関節型ロボットをたくさん使ってきました。垂直多関節型ロボットは、とても扱いが難しいんです。肘はいろんなところにぶつかるので、とても邪魔です。肘がある限り、プロしか使えないロボットだと感じています。
これを協働ロボットとして世のなかに広げるためには、どうすればいいのか。答えは、素人でも簡単に使える道具にすることだと考えました。
例えば、誰でも鉛筆は使えますよね。ロボットもそのようにならないと、本格的に広がらないだろうと思いました。これを実現するためにロボットがどうあるべきかと考えたとき、肘があるのは、やはりダメだと考えました。
どうやって肘をなくせばいいかを、何人かのメンバーで話をしているなか、基本コンセプトが出てきました。さらに考え抜いた結果、今のトランスパンダーの基本技術が誕生しました。トランスパンダーを使った、肘のないロボットアーム「CORO」は世界で初めてです。
そしてメンバーと試行錯誤しながら最初のプロトタイプを作りました。ブレイクスルーがなにかと言われると、脳みそがちぎれるほど考えまくったということです。
単純に「ひらめたらGO!」でうまくいく話ではなく、何年間も成果が出るまで地道に、愚直に、ひたすらトライアンドエラーをくり返しながら開発してきました。
藤岡:肘のないアームロボットがライフロボティクスの強みとなり、こうして発展されてきたのですね。
尹:そのとおりです。従来のロボットは、「人の腕のような垂直多関節型ロボット」「動く範囲が狭いけど高速で動くパラレル型ロボット」「水平に物を動かすのが得意なスカラー型ロボット」の、大きく3つのタイプに分類されます。
COROは従来の3タイプに属さない、まったく新しい4つ目のロボットと言われています。アカデミックな世界からも、トランスパンダーを使ったロボットは、革新的な評価を受けています。
藤岡:お金が入らないままひたすら働く6~7年間という時間は、すごく長かったと思うのですがどのような気持ちで乗り越えてきたのですか?
尹:この国は生産性向上だけでなく、必ず労働人口減少に伴う諸問題が発生します。しかし、諸問題は従来のロボット技術では解決できず、新たな解決手段や方法を実現しないと日本が滅びてしまう……という考えが前提にありました。
所属している組織がどうこうといった、小さな話をしても仕方がないんです。日本が滅びると、すべて終わりです。
日本を滅ぼさないためになにができるのか。私には、たまたまこれからの日本や世界に通用するロボット技術がある。ならば、次の子供たちの世代に向けて、できることをしたい。人として当たり前のことを、当たり前にしていく。それしかありません。だから、ライフロボティクスを創業し、事業化を進めています。
藤岡:ライフロボティクスは、ロボットで日本をどのように変えたいのでしょうか?
尹:基本的には、ロボットは道具です。みんながロボットのことを「ロボット」と言わなくなることが、普及している証拠になると考えています。
例えば、パソコンが導入されただけで、話題となっていた時代がありました。今では誰もが使うので、パソコンが導入されていることを、あえて人に伝えたりしませんよね。
ロボットも同じようにしたいと考えています。ロボットが当たり前のように導入され、別に誰もすごいと思わない。今はロボットが導入されたら「すごい」と言われますが、それは普及していない証拠です。
全世界で普通にロボットが導入されている世界をつくります。日本はこれまで以上に人が減ることで経済が小さくなっていくため、労働者と生産性の問題は必ず起きます。それを支えられるのは、ロボットしかありません。
「移民を受け入れればいい」という意見もありますが、さまざまな要因からその選択肢は難しいと考えています。
「日本はどうやって生き残るか」「日本だけでなく世界を支える新しい産業とは」の問いに対しては、協働ロボットが答えになるはずです。
藤岡:日本のこれからの課題をロボットで救おう、ということですね。
尹:はい。今は団塊の世代が高齢者となり、団塊ジュニアである僕たちの世代が主として支えています。しかし、団塊ジュニアが65〜70歳になると、下の世代は人口が少ないので、支えるのは極めて難しい。海外から人が来るのも難しい状況では、ロボットで支えるしかありません。
これはすでに日本が直面し始めた危機です。「日本が生きるための、ロボットを使った基盤産業構築」が僕らのビジネスなのです。
ロボットで単にお金儲けをしたいのではなく、日本を根底から支えるために、ライフロボティクスは存在しています。単なる協働ロボットメーカーではなく、生産性向上・労働環境の改善・人手不足の解消というさまざまな側面を持つ世界的な社会問題を解決するために、本気で取り組んでいる会社です。
私たちの協働ロボットを中心とした事業で、今の日本が持つ問題を解決できれば、これから日本と同様に、人口減少に陥る中国やインドなどでも、私たちのビジネスを展開できます。
日本は輸出で外貨を稼ぐことが重要です。そうすることが日本を衰退から救い、今後も発展していく礎になると考えています。それくらい重要な局面にきているのです。
藤岡:ライフロボティクスの課題はなんですか?
尹:人材です。人材が圧倒的に足りていません。エンジニア、営業、メンテナンス、総務、人事など、すべてが足りません。なぜなら、僕たちの成長スピード以上にお客様のニーズが顕在化しているからです。
僕たちは名刺にもホームページにも「ベンチャー」という言葉を使っていません。それは、ベンチャーという言葉に甘えたくないからです。
「ベンチャーだから、ここは許してもらえるだろう」という言いわけをしたくないのです。それは単なる甘えだと思っています。メーカーとしてお客様には安心して使っていただくために、そのような言いわけはすべてやめました。
お客様からの期待を超える商品を作るためのプレッシャーを、自分たちに課しています。
藤岡:求める人物像について教えてください。
尹:人として当たり前ですが、誠実で嘘をつかない人です。
また、感情ではなくて論理的にコミュニケーションがとれる人です。仕事をしていると必ず失敗をします。特にチャレンジする人ほど失敗をします。その失敗を隠さず、正直にメンバーに伝え、その原因を正確に分析し、次に生かすことが非常に重要だと考えています。
もう1つは、常識を疑う人。私たちは「redefine(再定義)」を大切にしています。すべてに対して「本当にそうなの?」と、しっかりと自分の頭で考えられる人です。ほかの人に言われたからではなく、自分の頭で考えて行動することが重要です。
私は、「なにかやってね」とお願いした数日後に「なにしてるの?」と聞きます。そのときに「尹さんに言われたからやっています」と言うのは、ダメです。それでは、単に言われたことを盲目的に取り組んでいるだけです。
自分の脳みそをフルに動かして考え、納得していない場合はしっかりとディスカッションすべきです。これをライフロボティクスでは非常に大切にしています。そうでないとライフロボティクスで働いている意味がなく、個人の成長にもつながりません。
尹:私たちが設定した厳しい選考基準をクリアした、本当のプロフェッショナルと一緒に働くことができます。このため、大半が中途採用です。
また、一般的にはリスクをとらないと言われる「家族持ち」が多いのも、大きな特徴の1つですね。
個人に与えられる仕事の裁量がとても広く、他部署との連携もはやくて深いです。ディスカッションにおいても上下関係の壁はありません。入社したばかりの人でさえ、私に対して反対意見を言うことがあります。そのため、私の意見も採用されないことが多々あります。
そのような意味で、風通しはとてもいいです。これからの日本を支える基盤産業となるべく圧倒的な働きがいのもと、人として、社会人として大きな成長を実感できます。なぜなら、私が求めるものがすべて世界トップレベルだからです。
さらに、「自分の頭で考える」を徹底しています。意見に対して「なぜ思い付いたか」「根拠はなにか?」「定量的・論理的な説明は?」などを徹底的に聞きます。ディスカッションは相当きついと思います。
藤岡:常に考えることが要求される。その分、成長できる環境はありそうですね。
尹:確実にあります。逆を言えばそれをしないと人は伸びません。
ライフロボティクスは、成長したいという強い意欲がある人以外は採用しません。そうでないと入社後とても苦労しますから。
私は産総研でのロボット研究を通じてアメリカのMITやスタンフォードなど世界トップの研究者・エンジニアのスキル・思考方法・働き方を知りました。そして、彼らと同レベル以上のものをメンバーに求めます。
ライフロボティクスは日本を支えるために世界トップの会社になるためには、彼らと勝負して勝つ必要があります。ライフロボティクスで働くということは、そういうことなのです。
求める成果のレベルは高く、スピードも要求します。そのため、ライフロボティクスの事業にコミットし、努力を惜しまず成長に貪欲な人、チャレンジしたい人には最適な会社です。
逆に、それを望まない方は合わないかと思います。「今流行のロボットスタートアップに行きたい」ではなく、「自分の限界や世界に挑戦してやろう!」くらいの意気込みが必要です。
藤岡:貴重なお話ありがとうございました。
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