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kintoneに乗ってニシムの風土改革が動き出す(全1記事)

2016.12.19

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保守的な風土だからこそ「小さく始めた」--昭和38年創業の企業がkintoneを迎え入れるまで

提供:サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社が主催する「Cybozu Days 2016」のなかで、「kintone hive ~kintone AWARD ファイナリストによる事例講演〜」が行われました。今回は34件から、5人のファイナリストを選出。本パートでは、ニシム電子工業株式会社の藤川由樹氏が登壇。「保守的な風土」と紹介する自社で、どのようにkintoneを浸透させ、業務効率化に至ったのかを語りました。

総数1万6,310票でファイナリストを決定

伊佐政隆氏(以下、伊佐):みなさま、kintone hiveへ、ようこそいらっしゃいました。

このkintone hiveは、kintoneのユーザーさん同士で集まってアイデアを交換する場になっています。今日は特別に、Cybozu Daysという大きなイベントのなかで特別版を開催しております。

ちょっと遅れましたけど、私の自己紹介からさせてください。伊佐政隆といいます。サイボウズに入って今12年目になりました。仕事ではマーケティング、営業、子会社の事業立ち上げなどを経て、サイボウズ ガルーンのプロダクトマネージャー、事業責任者を経て、今はkintoneの責任者をやらせてもらっています。

それでは、今日みなさんにお集まりいただきましたのは「kintone AWARD 2016」のファイナリストの方々のプレゼンテーションを前に、これまでどのような流れだったのかを、ちょっとだけおさらいをしていきましょう。

まず、5月にエントリーをスタートしまして、今年は34件ものエントリーをいただいています。

みなさまにエントリーいただきました内容は、本当に甲乙つけがたい、それぞれすばらしい改善事例だったんですけれど、今年はkintoneらしく、よりオープンにやっていこうということで「Webでの一般投票」にしてみました。Webにエントリーしていただいた内容をそのままあげて、ボタンをポチッと押すと投票できるんです。

これもすばらしいなと思ったんですが、例えば、安倍首相のご夫人・安倍昭恵さんから応援メッセージをいただいているんです。こんな方までも、「すばらしい改善活動がされているんだったら、みんなで応援しようよ」と言ってくださったり。

「kintoneなんて使ってなかったよ」「知らなかったよ」という方もですね、「なんかすばらしい改善活動がみんなでシェアされているようですよ。よかったら見てくださいね」と、こんなかたちで情報が流通していくようになりました。

このような取り組みのなかで、総数1万6,310票もの投票をいただきまして、1位から5位までがWeb投票、1次審査でファイナリストが決定しました。

今日、5位までの企業さまが、ファイナリストとしてご登壇をされます。グランプリを決めますのは、今日参加していただいているみなさま、そして、特別ゲストとして協力をいただいてます審査員のみなさまです。

審査員のみなさま、ご紹介したいと思います。昨年から審査員長を務めていただいております、一橋大学、楠木(建)教授です。よろしくお願いします。

(会場拍手)

そして昨年、kintone AWARD 2015のファイナリストに選ばれましたお三方です。どうぞみなさま、お立ちください。中島工業の普天間(大介)さん、サイバーエージェントの鹿倉(良太)さん、NKアグリの三原(洋一)さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

それでは、さっそくファイナリストの方の講演に移りたいと思います。まず初めにご講演いただきますのは、ニシム電子工業の藤川(由樹)さんです。

1人目は、昭和38年創業のニシム電子工業

藤川由樹氏(以下、藤川):こんにちは。本日はよろしくお願いします。

まず初めに、私の自己紹介をさせていただきます。福岡のニシム電子工業から参りました、藤川由樹と申します。入社2年目です。佐賀県の唐津市出身です。学生時代は法律を専攻していましたが、今はなぜかネットワーク関係の仕事を行っています。

私の部署のメンバーは、好きなものはみんなバラバラなのですが、「kintoneで会社を変えていこう」という思いとともに、今回、ニシム電子工業にkintoneを浸透させていきました。

ニシム電子工業の紹介をさせていただきます。当社は九州電力のグループ会社で、九州を中心に全国に19拠点展開しています。

主に、通信関係の事業を行っています。昭和38年創業のインフラ会社ですので、安全第一な会社です。会社はちょっと堅く、保守的な風土です。物事を変えていくことに時間がかかります。あまり非効率なことが多いと世のなかのスピードについていけないので、風土を変えていこうと、今、改革を行っています。

風土改革を行っていくなかで、会社を変えるために、社員が業務改善したり、気づきを挙げる場所を作りました。その場所を作ったことで、社員の業務改善した意見が今これだけ挙がっています。

この気づきをよく見てみると、共通するキーワードに「情報共有」がありました。情報共有を解決していくために、業務をIT化していこうと会社で進めていました。しかし、なかなか浸透するスピードが遅く、実現までには至らない状況でした。

私はサービス開発グループという部署に所属しています。ICTを使った新しいサービスの開発・研究を行っているのですが、そのなかでkintoneに出会いました。

情報共有に強く、誰でも業務改善アプリを作ることができる。また、どういった業務にも合わせていくことができる。kintoneを使えば、風土改革に使っていけるのではないかと思いました。

たくさん挙がっている気付きを、kintoneで1つひとつ解決していくことにより、堅い会社を柔らかく変えていけるのではと思い、当グループで「会社でkintoneを使っていこう」と始めました。

残業時間解消のために工程管理アプリを作成

今1万件以上、業務改善や気づきが挙がっています。そのなかで、kintoneで解決できそうな気づきを探しました。そうすると、工事グループが挙げていた気づきが目に留まりました。

通信工事グループでは、光インターネットの回線開通工事という業務があります。この業務で、残業が多いという問題が発生していたのです。

この回線開通工事は、回線を保有するお客さまから毎日50〜60件もの新しい工事依頼が来ます。作業量がものすごく多いです。工事担当である当社と、九州のエリア工事担当である協力会社の間でうまく連携して、この作業をさばいていく必要がありました。そのために管理業務を行っていたのですが、その管理業務に非効率な問題がありました。

まず1つ目です。作業工程を管理するためにエクセルを使っていたのですが、この工程表にかける時間がものすごく多かったのです。1日1人がつきっきりで、このエクセルを作っていました。非常に作業コストがもったいない気がします。

2つ目の問題です。当社と協力会社の間で作業をうまく効率的にするために、調整作業も行わないといけないのですが、それ時間外にしなければならない問題がありました。日中は工事現場に出ていますので、時間外に事務所に戻り、調整作業を2社とも行っていました。「この時間外の調整作業ももったいない」ということです。

「これらの問題を解決していくために、システムを導入すればいいのではないか」と工事グループで意見を挙げていたのですが、業務が忙しいなかでシステムを導入することもなかなかできず、起案するまでで終わっていました。

そこで、当グループで「kintoneを使ってみてはいかがでしょうか? kintoneだったら、すぐに解決できるかもしれません」と話を持っていきました。

そして、kintoneを進めたのですが、そのきっかけ作りを私がすることになりました。「kintone、誰でも作れるのだったら、新人でも始めれるんじゃないか」ということで、私がまずとっかかりを行うことになりました。そうして、工程管理をするアプリを作っていきました。

3ヶ月で全拠点の協力会社間で使えるアプリに

まず、簡単なプロトタイプを作り、協力会社の1拠点ずつ、使ってもらうところを増やしていきました。そして、改良を重ねて、3ヶ月で協力会社の全拠点と当社の間で使えるアプリに成長しました。このアプリは今、現場でタブレットベースで利用してもらっています。

現場に新しいものを入れる際は嫌な顔をされることが多いですが、それを防止するために、実際に現場でこのアプリを使う際は「工事の件名とボリュームを見てコメントを書く」、また「調整したい工事にフラグを立てる」という、簡単な操作に限定しています。操作を簡単にすることで、現場でも嫌な顔をされず、使ってもらえるようになりました。

また、お客さまの依頼データをそのままkintoneに取り込むことで、一瞬で作業ボリュームとスケジュール工程を実装できるようになりました。これで、エクセルに160時間かける必要がまったくなくなりました。

また、このアプリは現場で「見やすい」と評判なのですが、これはカレンダーPlusというプラグインを使っています。カスタマイズを一切していませんので、メンテナンスがとても簡単でした。

このアプリを作成後、そのまま工事グループにまるっとお渡ししました。アプリを作ったことで、工事グループが挙げていた気づきを改善することができました。

このアプリ、私の手を離れた後も、一緒に作った工事グループの担当者の方が「変えたい」と思う独自業務を、自分の手で変えられるようになりました。一緒に作っていくうちに、作り方を覚えていました。そうして、今でもkintoneで現場業務は変わり続けています。

もともと、「kintoneでできなければ、エクセルに戻そう」というスタンスで始めたのですが、今では「現場業務でkintoneがなければ進めていくのは難しい」と、担当者は言ってくれました。

業務がだんだんスマートになっていくことで、徐々に残業も減っていきました。こうやって、「変えたい」と意見を挙げている人に対して、kintoneを紹介していきました。

小さく始める・キーマンを探す・専門家に相談する

紹介していくなかで、「こうやっていればよかった」と思ったことを、3つ紹介します。

まず1つ目は、「小さく始める」です。すぐにkintoneを触ってもらうことを、大切にしました。やりたいことなど、たくさん要望を言われるのですが、30パーセントくらい聞いて、簡単なプロトタイプをすぐ作り、すぐ触ってもらう……を大切にしました。

そうすることで、相手も「kintoneで本当にできるのか」と、kintoneの魅力がだんだんわかってもらえます。また、私も、相手の方がなにを本当に変えたいのか、見えてくるようになります。初めから要望を聞いて、大きいアプリを作ろうとするのはやめましょう。

2つ目です。「社内のキーマンを探す」です。今回の社内のキーマンには、「業務を変えたい」と意見を挙げていた方々がなってくれました。アプリを一緒に作っていき、現場にリリースする際に、各所内に実際に使ってもらえるように働きかけてくれたのは、キーマンの方々でした。

業務に不満を持っている方や、「変えたい」と思っている方は、社内に必ずいると思います。探し出して、kintoneを教えてみてはいかがでしょうか。

3つ目です。「社外の専門家に相談する」です。kintone界隈では、kintoneエバンジェリストと呼ばれる専門家の方々がいます。ご存知の方も多いとは思いますが、この方々はkintone技術的なことだけではなく、kintoneを社内で進めていくコツなども相談に乗ってくれます。困っていることがある方は、積極的に相談してみてはいかがでしょうか。私も、このお二方には大変お世話になりました。

業務をIT化していくことは、誰にでもできるわけではないし、難しいところもあります。しかし、業務のkintone化は、「ちょっとのきっかけ」「ちょっとのサポート」があれば、誰でもできるということがわかりました。また、当社の風土改革のプラットフォームに、kintoneがちょっとずつ浸透しつつあることも、今実感しています。

「もう一歩大きく会社を変えるために前進したい」と思い、今回、kintone AWARDにエントリーさせていただきました。ファイナリストに残り、このようなすばらしい成功事例を持つ方々と同じ大きな舞台に立つことで、ニシム電子工業の社員のみなさんに「うちの会社も、もっとおもしろく変えることができるのではないか」と感じてほしいと思っています。

ニシム電子工業の風土改革は、まだまだkintoneで続いていきます。今回、「特別ではないどこにでもいる新人の私がちょっとkintoneで変えた」という事例ですが、この場に立つまで至ることができました。

みなさまの会社にも、私と同じ境遇の方、いらっしゃるのではないでしょうか? また、「ちょっとなにか変えてみたい」と思う方も、いらっしゃるのではないでしょうか? この場に立ってお話しできたことで、なにか少しでも参考になれば幸いです。

以上です。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

人を巻き込んだkintone活用事例

伊佐:初めてのプレゼンテーションですか? お疲れさまでした(笑)。

藤川:ありがとうございます。汗が……(笑)。

伊佐:いやー、そうですよね。緊張しますね。でも、心動かされましたね。社内の方いらっしゃいますか?

藤川:あ、はい。一緒に来ています。

伊佐:全社の方に見ていただきたい内容ですね。どうしても「『風土改革やろうよ』って社長が言ってるから」という話が飲み会などでもよく出ますけれども、なかなか簡単に「いいよ」とは言わないというか。

藤川:そうですね。

伊佐:やったらいいことはわかっているんだけれど「もう変える必要ないんじゃないか」「新しいこと、覚えたくないよね」と言われてしまうことが多いなかで、藤川さんの気持ちがもっと社内の、「今回kintone AWARDに出て、こういうところで発表してきたよ」という内容を、またみんなにフィードバックして改善を進めていただければと。

シェアしていただいた内容もすばらしかったですね。3つのポイント、わかりやすかったです。私も、人を巻き込むのは、すごく重要と思います。社内の方、社外の方の力も借りながら、改善を進めていく。これが正攻法なんだと、改めて思いました。

それでは藤川さん、ありがとうございます。改めてみなさん、藤川さんに拍手でお送りください。ありがとうございました。

藤川:ありがとうございました。

(会場拍手)

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