カラヴァッジョが切り拓いた光と影の表現方法

今日は、キアロスクーロ(Chiaroscuro)について、それがどのような意味か、どのように美術史に影響を与えたかお話します。みなさんこんにちは、カリンです。Little Art Talks へようこそ。

キアロスクーロとはイタリア語で、透明で明るいことを意味するキアーロ(Chiaro)と、曖昧で暗いことを意味するスクーロ(Scuro)が合わさった言葉です。

この言葉は、ドローイングあるいは絵画上での光と影の配置に対し、最初に用いられました。イタリア美術の議論では、三次元のオブジェや人物像の肉付けや、ボリュームの感覚を得ることに用いられます。さらに、この言葉は、絵画上のモノクロームや二色使いのイメージの意味でもしばしば用いられます。これは、一般的には、英語やフランス語の同義語で「グリザイユ(Grisaille)」としても知られています。

この言葉は、当初の意味を拡大し、今では主に、明と暗の間の強いコントラストを指しています。キアロスクーロは、色のある紙に描かれたルネサンス時代のドローイングに由来し、そこでは、光に向かっている基準となる色調を白い水彩で、陰に向かっている部分を不透明のインク、あるいは水彩で描かれました。

この技法は、ルネサンス時代の巨匠ダヴィンチによって発明されました。彼は、ゆるやかな光と影のグラデーションによって深みを描写する方法を発見したのです。その1世紀後、イタリアのバロック画家のカラヴァッジョが、作品により劇的な効果を与えるため、キアロスクーロを新たな方法で使います。

背後は暗く、火が灯されたロウソクや開かれた窓といった唯一の光源が、全体を通じて高い色調のコントラストをもたらし、ドラマチックに演出しています。この表現にはすぐに追随者があらわれ、この様式はカラヴァッジェスキと呼ばれ、ヨーロッパ中に広まりました。カラヴァッジョがキアロスクーロに与えた影響力は計り知れません。

というのも、当時の大部分の芸術家たちとは異なり、カラヴァッジョは工房を設けず、芸術に対する哲学を共有し、その技法を普及するための、弟子を持たなかったのです。にもかかわらず、彼のようなキアロスクーロの使用法は、ルーベンス、リベラ、ベルニーニ、そしてレンブラントなどの芸術家たちに認められます。1920年代になって美術史家のロベルト・ロンギは、以下のように書いています。

「リベラ、ベルニーニ、ラ・トゥールそしてレンブラントは、カラヴァッジョなしには存在し得なかっただろう。そして、ドラクロワ、クールベ、マネの作品もまったく違ったものになっていただろう」