2024.12.10
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A Brief History of Life: Rise of the Humans(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:今日は、地球生命の歴史ミニシリーズ完結編として、6,500万年前から現在に至る、新生代についてのお話をお送りします。
新生代とは、その名のとおり、私たちが今まさに生きている時代を指します。新生代においては、動植物のすべての現生種が、今ある姿に進化しました。しかし、すべての生命が同じペースで進化したとは限りません。
多くの無脊椎動物や、脊椎動物の一部は、中生代の終わりに恐竜が絶滅したころから、ほぼその姿を変えていません。
しかし、中生代中期から存在した哺乳類が、地球を席巻した時代でもありました。
新生代は、3つの「紀」に分かれます。近年、名称の入れ替えがありましたが、今日では「パレオジン」「ネオジン」(注:古第三紀、新第三紀を指す。2004年以降たびたび改訂が行われたが、和定訳がまだ無くカタカナ表記されることもある)「第四紀」として分類され、さらに下位の「世」に分類されます。
ではまず、パレオジン(古第三紀)から始めましょう。6,500万年前の恐竜絶滅から、2,300万年前までに相当し、「暁新世」「始新世」「漸新世」に細分化されます。
暁新世は、「非鳥類型恐竜」(注:鳥類も恐竜に含まれるとする場合、このように恐竜を定義する)の絶滅直後である、6,500万年前から5,600万年前に相当します。また、絶滅しなかった恐竜、つまり鳥類が、多様性を誇った時代でもあります。
恐竜がいなくなった後の生態系には、ぽっかりと大きな穴が空きました。食料を得る戦略や身体機能が、未使用のまま残されました。生命が1つの環境で居場所を作るのは、至難の技です。通常であれば、2種の動物が同じ環境で生息することは不可能です。
恐竜がいなくなると、哺乳類がその空き場所を活用しました。中生代初期にはすでに誕生していた哺乳類が、新生代に豊かな多様性を増したのは、このような理由からだったのです。
5,600万年前から3,300万年前の始新世に入るころには、哺乳類は多様性を増し、その形態が定まりました。げっ歯類や霊長類などの現生の分類目が生まれました。巨大で奇態を呈するティタノテリウム、ウインタテリウムといった絶滅してしまったものもありました。レイヨウに似た小さな哺乳類は、海に入り鯨の祖先となりました。
3,300万年前から2,300万年前の漸新世は、初期の肉食動物が発生しました。しかし、私たちが通常「肉食動物」と聞いて思い浮かべるようなものではありません。
肉をエサとする動物は、すでに存在していましたが、この場合は、ネコやイヌのような、食肉目(ネコ目)という分類上の哺乳類の一群を指します。また、さまざまな種類のサイが、広範囲に生息していました。
パレオジン(古第三紀)は温暖でした。大量絶滅こそ起こりはしましたが、温かで極氷のない、中生代の気候を受け継いでいました。
しかし、大陸の移動により、気候変動が起こります。南極大陸が南極を覆い隠し、その周りを冷たい海流が周回しました。そして、海流に地球規模の大変動が起きたのです。南極大陸は氷で覆われました。
ネオジンを始めとする新生代の後期は、たいへん特殊な1つの生命体の誕生により、特徴づけられました。そしてこの生命体は、ほかのすべての種の進化に変更をきたしたのです。
その生命体とは、草類です。
草類はあまりにもありふれているため、普段は考えることすらないでしょう。ただ単に地面に生えているだけで、いつでもどこにでもあります。しかし草類は、実は進化の過程においては比較的、新しい部類に属します。
草類が初めて姿を現したのは、中生代終期ころです。炭素の生産方法から、C4型植物と呼ばれる草類が出現するのは、さらに時代を下った3,500万年前から2,500万年前の間です。これらはたいへん重要な役割を果たし、他種に影響を及ぼしてきたした主な変化は、現代に至る1,000万年の間に起こりました。
草類は、たいへん食べにくいことが重要なポイントです。固くて栄養価は低く、細胞組織には草食動物を遠ざけるために細かなシリカ(二酸化ケイ素)が充填されています。
専門用語ではプラントオパールなどと呼ばれていますが、端的にいえば、砂です。砂を噛むと、歯は驚くほど損傷します。
しかし、哺乳類の多くは、草類を食べることをあきらめるのではなく、咀嚼と消化とを著しく発達させました。
歯の上部を発達させ、容易に擦り減らないようにしました。また、4つに分化した構造を持つ牛のように、なるべく多くの養分を摂取できるよう、胃を複雑に発達させました。
さらに、新たに誕生した、広々とした草原の生息地を走り回ることに適した、長い脚を発達させたのです。
ウマやレイヨウは、ネオジン(新第三世)の勝者です。しかし、それは彼等だけに留まりませんでした。
草類は、たいへん広範囲に分布し、人類を含む多くの生物が、エサとして活用しました。ヒトは、砂粒がたくさん入った葉は食べませんが、トウモロコシ、ムギ、コメなどの穀類を主食とします。これらはすべて、草類に該当します。また、ヒトは、家畜に草や穀物を飼料として与えます。
つまり、新生代のそれ以降の時代から現代に至るまで、哺乳類の進化は、草が豊富に生えた生息地の拡大と深い関係で結ばれていたのです。パレオジン(古第三紀)の草食動物は、(ヤギのように)樹木や潅木の葉をたべる動物(browers)がほとんどでした。ネオジン(新第三紀)になると(ヒツジのように)地面の葉を食べるもの(grazers)の数の方が上回りました。
ネオジン(新第三紀)は2つの紀に分かれます。中新世と鮮新世です。2,300万年前に端を発した中新世には、大陸はすでに今日の形態に近いものになっていました。
海流も現代の状態に近づき、気候はより冷涼になりました。巨大ザメ、カルカロドン・メガロドンが海を回遊し、ウマやラクダといった地面の草をたべる草食動物が、広域に渡り生息していました。
中新生の後期には、類人猿の1つの群が、東アフリカで直立二足歩行を始めていました。530万年から260万年前の鮮新世にかけて、北米大陸と南米大陸が衝突し合体しました。
鮮新世には、動物たちは新たにできた大陸の橋を渡り、異なる大陸に生息地を求めました。オポッサムは北アメリカ大陸に群れをなしました。このあたりをドライブした人ならご存知でしょうが、彼らは今でも生息しています。ラクダやクマは、南米大陸にまで移動し、同様に現在も生息しています。
アフリカのアファール州には、初期の人類の親戚にあたるアウストラロピテクス・アファレンシスが生息していました。アウストラロピテクスが上体を起こしたのは、気候変動への対応です。
ネオジン終期には、気候変動はますます激しくなりました。南極大陸はすでに極氷に閉ざされ、鮮新世に入ると、北極の気温も下降しました。地球の両極が長期間凍ったのは、古生代初期以来、おそらく始めての事態です。260万年前、第四紀が始まったころには、それ以前の穏やかな時代とは異なる様相を呈するようになりました。
第四紀は、更新世、完新世に分かれます。お気づきのとおり、末尾の完新世は、私たちが今生きている時代です。
260万年前から2万年前の更新世は、氷河期と呼ばれることもあります。これは、複数の氷河期が連続し、地球の表面を氷が覆ったり、退いたりするサイクルが何度も起こったものです。
周期的に氷が増えたり、減ったりする理由としては、予測可能な細かい地球軌道の変動です。氷面に太陽光が多く当たれば、凍るよりも溶解する量が増え、逆もまた然りです。
大気中の二酸化炭素もまた、このサイクルにおける気温の変動を忠実に追っています。CO2が減少すると、気温もまた下降の線を辿ります。
温かな毛で覆われたマンモスや、サーベルタイガー、そして「ゲーム・オブ・スローンズ」に出てくる想像上の生物ではない、実在したダイアウルフなど、寒冷な気候に栄えた動物と人類は、更新世に共存していました。
人類は現生していますが、この時代の動物はほとんどが絶滅しています。更新世の巨型動物類が絶滅してしまった原因は、周期的に氷河を形成した気候変動や、槍を持って飢えた人類の到来の双方だと考えられます。
いわゆる旧人類、別名ハイデルベルゲンシスは、40万年前ころに誕生しました。
やがて、20万年少し前に、解剖学的現生人類が誕生します。私たちホモサピエンスは、ネアンデルタール人のような同じ分化系列にあるほかの人類と共存していました。現在、生き残っているのは私たち現生人類だけですが、ある期間は、他の多くの種の人類が同時に生息していたのです。
初期の人類は、現代の私たちの真のアイデンティティである、複雑な文化や伝統を発展させてはいませんでしたが、それは時間の問題でした。4万年前にはアートが発見されています。
私たちの大きな脳は、おそらく予測不能な気候変動に対応して発達したものだと見られます。氷河ができたり消えたりする環境下において、生き延びるには柔軟性が求められるからです。道具や火もまた、大きな助けになりました。
更新世はすでに終了したと見なされてはいますが、私たちは、厳密にいえば更新世の氷河期の、間氷期にいます。最終的には氷河が再び出現するはずですが、今は単にその時期ではないだけです。
直近の完新世は、ほんのわずかな期間で、一番新しい間氷期に該当します。わずか12,000年年足らず前のことです。
正式に完新世の定義とされているわけではありませんが、この時期は、人類が農耕と牧畜とを覚えた時期とも重なります。
さて、これまで40億年近く前に誕生した生命について、このミニシリーズをお届けしてきました。これに比べれば、わずか2万年の人類の歴史など、とるに足りません。しかも、先史時代に対する有史時代などは、地質時代的なスケールに比べれば、ほんの一瞬に過ぎません。
人類は、ほんの一瞬しか生きてはいないのです。しかし、比較的若い種族であるにも関わらず、核実験やプラスティックの使用など、地球の地質に多大な影響を及ぼして来ました。
一部の研究者たちは、21世紀は新たな「世」の始まりと定義するに十分な理由があると唱えています。「アントロポシン」、もしくは「人間の世」です。
地質学の学会には正式に採用されてはいませんが、この名称は、非公式な場では盛んに活用されています。
みなさん。「アントロポシン」にようこそ。地質時代における、一番新しい時間の区分です。人類がここまで到達するには、わずか40億年しかかかりませんでした。
このミニシリーズを最後までご視聴いただき、まことにありがとうございます。
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