いじめられっ子だった少年時代

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):今日は11月4日だから、明後日『情熱大陸』の来週の予告に出て、13日放送なんですね。最後うちのお母さんに……あ、これ内緒にしとこう(笑)。

西野:何? 気になる気になる。

のぶみ:たぶんそこ、放送されないからいいんですよね。最後にうちのお母さんに『いのちのはな』を読み聞かせましょうっていう話だったんですよ。

西野:はいはい。

のぶみ:僕小学校のとき、いじめられてて、自殺未遂を2回してて、中学校のとき不登校になって、高校生のときは160人のチーマーの総長になって。

ほんでその話をしてて、それで「波乱万丈な人生で、ああいう絵本を書きました」といって。『情熱大陸』の人がお母さんにインタビューをしたんですよ。

西野:はいはい。

のぶみ:そしたら、「のぶみは、小学校のときは、すごい友達が多くて、高校生のときは美術部でした」「絵本は高3のときから描きはじめて」って言ってて、「えー!?」って思って。「ちょっと待って! 怖い怖い」って思って。

山口トンボ氏(以下、トンボ):なるなる。

西野:怖い話っすよね。

のぶみ:高校のとき、金髪でロン毛で、ヒップホップ系の格好して、警棒を入れて、靴は安全靴を履いてたんですよ。

西野:戦う気満々のやつですよね。

のぶみ:美術部じゃないですよね(笑)。

(会場笑)

西野:どういうことなんっすか。

のぶみ:お母さんに、「いや、美術部じゃないよね」「小学校のときも、毎日すごいいじめられてたんだよ」って言ったら、「○○君が僕のこといじめてたんだよ」って言ったら、「あの子だったの?」って言いだして。うちのお母さんは、僕が警察に何回も捕まったんだけど、1回も迎えに来なかったんですよね。

西野:はいはいはい、なるほど。

あいまいな母の記憶

のぶみ:あとで気づいたのは、うちのお母さんって、キリスト教の牧師なんですよ。うちの子はいい子だっていうふうにしたかったみたいなんですよ。

西野:はー!

のぶみ:いじめられてもないし、警察にも1回もお世話になってませんよって、『情熱大陸』というすごい番組がきたから、息子に恥かかせちゃいけないと思って、ぜーんぶ隠して。

西野:隠すもなにも、のぶみさんがすでにいろんなところで話されていることは、お母さんご存知ですよね?

のぶみ:お母さんは、それを信じたくなかったんです。だから、その当時も警察には迎えにこなかったし。ほんで、「美術部じゃないよね?」って言って、それをずっと話を追及してたら、僕は高校の必修科目を美術にしたんですよ。そしたら、お母さんの中で美術部っていうことになったみたいで。

トンボ:なるほどー。

のぶみ:ほんでもう、チーマ―の時代は際限なく狭めたいから、高校のときに絵本を作ってることにしちゃったんですよね(笑)。

(会場笑)

西野:それはどこまでお母さん信じられてるんですか? 自分が嘘ついてるっていうことはわかってるんですか? それとも、お母さんの中でも記憶が変わってたりするんですか?

のぶみ:「高校生のときに、俺絵本書いてないよね」って言ったんですよ。「あー、そうだった!」とか言ってて。

西野:天然で。

のぶみ:もう、なくしたいんですよ。

トンボ:記憶がもう変わっちゃってるっていう。

西野:変わっちゃってるか。

のぶみ:ちょっと認知症なのかなと思って。

西野:そうであってほしいみたいな。

のぶみ:「今?」って思って。

相方をいじるときの芸人あるある

西野:でも、お母さんのほうの気持ちがちょっとわかって、例えば僕も、エピソードトークをしゃべるときに、「こないだ親戚の親父がこんなことしてね」っていう話なんです。元ネタは。

だけれお客さんは親戚の親父のこと知らないから、ときどき僕、「梶原がね…」って言う。

(会場笑)

トンボ:まあまあ、ぜんぜんね。

西野:梶原のせいにするとき、あるっすよね。

トンボ:わかりやすい。

西野:そっちのほうが、わかりやすいから。作り話なんですけど、捏造もしているんですけど、そっちのほうがウケるから。

「親戚の親父が、こないだムカついたことがあって」って言うよりも、「梶原にこないだ、またムカついて」って言ってるうちに、この話を九州でしゃべって、大阪公演でしゃべって、札幌公演でしゃべって、名古屋公演でしゃべったあたりぐらいから、もうほんまに、梶原にムカついてきて。

(会場笑)

のぶみ:なんでだよ(笑)。

西野:もう自分の中で、梶原がやったことになっちゃって。

のぶみ:なっちゃうんですよね。

西野:これけっこうね、芸人あるあるなんですよね。

トンボ:あるかもしれない。

西野:ずっと喋ってるうちに、記憶がちょっとごちゃごちゃなってきて。

のぶみ:嘘が本当になる。

西野:嘘が本当になっちゃってるみたいなの。