絶対に成功するプレゼンの秘密とは?
藤原和博氏が説く“自分語り”からの脱却

自分と組織のスパイラルシナジー 正解のない問いに向き合う力 #2/2

<a href="https://www.keiomcc.com/xing/"target="_blank">「クロシング」では、思考が交差し「そうか!」「わかった!」「これだ!」に出会う瞬間を目指しています。慶應義塾の社会人教育機関、慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)が主催する著名で多彩な講師による講演会、夕学五十講を素材に、深い学び、新しい視点、思わぬ発想、意外な出会いを探索します。今回は、教育改革実践家・藤原和博氏が登壇した「正解のない問いに向き合う力」の講演内容の後編をお届けします。

提供:慶應丸の内シティキャンパス

「正解のない問いに向き合う力」とは

藤原和博氏(以下、藤原):最初にいつもお聞きしているんですが、私「生・藤原」と今日初めて会う人だけちょっと手を挙げてください……ほとんどじゃん。はい、わかりました。

その方々に聞きたいんですが、初めて会うんだけど、顔をよく見ていただくと、ある歌手に似てるもんですから。わかりますか?

これぐらいの世代の方だとわかると思うので、隣の方と相談されないでいただいて、僕が「どうぞ」と言ったら、その歌手名を各地方の会場の方も含めて、ドンと言ってもらいたいんです。

ドンと言ってもらうというのは、どういう意味かと言うと、後のテーマもこれになるんですけども、日本人というのは正解主義で教育され過ぎちゃっているために、正解を言いたいあまり、こういう感じでやるんですよね。人が言うのをちょっと聞き耳立てておいて、それに乗せて、合わせてやろうみたいなね。

これではダメなんで、前後左右の人がなんと言おうと構わず、いきなりドンと言ってもらいたいと。

イメージが湧かない人は、自分の好きな歌手を言えばいいです。浜崎あゆみでもいいし、北島三郎でもいいので、それをドンと言ってみて、どれぐらい揃うかをちょっとやっていましょう。いきますよ。私、生・藤原がけっこう似ている歌手がいますよね? それは誰でしょう? どうぞ。

参加者:さだまさし。

藤原:たぶん地方会場も、「さだまさし」で揃ったんじゃないかと思いますけれども。これは僕、この8年間で900数十回やってまして、今月末に僕の1,000回興業という感じで、講演を1,000回迎えることになります。ほぼ揃うんですが、一部、谷村新司が混じることもあるんですね(笑)。

(会場笑)

藤原:そのさだまさしさんとは、僕が27歳の時に出会ってまして、向こうが驚きました。とにかく、弟よりも似てる他人が現れたので。彼のほうが3歳年上なんです。

それで、もうずっと付き合いが続いてまして、そういう意味では、リクルートのさだまさしが、2003年からは教育界のさだまさしということで通ってるわけです。

自己紹介と自分プレゼンの違い

自己紹介と自分プレゼンが違うという話です。なぜ私が自己紹介と言わないで自分プレゼンと言っているかということなのね。

自己紹介というのはどういうことかというと、みなさんの頭の中には残らず、自分の認知、自己認知ということがありますね。「自分はどういう人で、どういうことをした人で、どういう人だ」と。それを、起承転結をはっきりさせて語り起こそうと。これは自己紹介です。

例えばそれをパワーポイントでやろうと、(プレゼンソフトの)「Prezi(プレジ)」でやろうと、それは自己紹介なんですよ。プレゼンとは言わないんです。

なぜかというと、自分の頭の中にあることを起承転結で、流れるように語り起こす。これは説明であって、プレゼンじゃないんです。

つまり、これはエクスプラネーションではありますが、エクスプラネーションした結果、相手の頭の中にどんな像が結ばれるか、どれぐらい伝わるか、ということとは無関係なんです。

ここは非常に大事なところなんですが、プレゼンと言ったら、相手の頭の中なんです。相手の頭の中に映写室があると思って、相手の頭の中の映写室に何を映し込むかというのがプレゼンというものなんですよ。わかります?

自分の中にあることを、頭にあることを言うだけだったら説明、エクスプラネーション。プレゼンというんだったら、相手の頭の中にどんな映像を映し込むかです。だから、相手の頭の中にどんな世界観があるかをヒアリングすることがものすごく大事です。

成功するプレゼンテーションの秘訣

例えば、もし僕に50分しかプレゼンの時間が与えられていないとすれば、そこで企画も何も全部起こさなきゃならないとすれば、僕はおそらく47分間ヒアリングに徹しますね。

相手の世界観を引き出して、「ABCのうちどれが一番イメージが高いか」あるいは「PとQという要素はあるのかどうか」「ぜんぜんないXYZ……Xは絶対言っちゃいけない、Yはまあまあいいかな、Zもいらないな」という感じ。

こういうヒアリングをかけていて、最後の3分で僕が売りたいCという商品があったとします、このCという商品をこのAという要素とYという要素だけで語ると、こういうことをやりますと。わかります?

Cという知らない(商品の)ことを言うと、人間は知らないことを言われると恐怖する動物なんです。そのCという要素に、このAという要素とYという要素をうまく組み合わせて、(相手に)「A+Yを2で割ったようなもの」と言うのが一番簡単ですけど、きっとそんなものじゃないでしょう。

例えば、「(売りたい)シャンプー=C」だとしたら、「昔使っていらっしゃったAという商品の良さと、最近気になるとおっしゃっていたYという商品の良さを足して2で割ったものです」と言えば安心しますよね。今のような簡単なトークにはなりませんよ、もうちょっと掛け算が必要だったりしますけれども。

要するに、相手の世界観の中でそれを編集してあげると、相手は自分の考えだと思いますので、そのプレゼンはものすごく通りやすくなります。

わかります? 今、ものすごく大事なことを言ってるんですよ。たぶんこれがわかった人は、明日からプレゼンの通り方がぜんぜん違ってきます。

いいですか? もう1回言いますね。自己紹介とか説明というのは、自分の頭の中のものを言うこと。それはエクスプラネーションね。プレゼンというのは、相手の頭の中なのよと。一番理想的なのは、相手の中にある要素を使ってそれを編集してあげること。それが成功するプレゼンの秘密だということなんです。

これ、目からうろこだった人だけちょっと手を挙げてみて? そうですよね、はい。その人は残らずこの本を読んでくださいね。『もうその話し方では通じません。』

つまり、なぜ僕が「さだまさし」というイメージを使ったかわかりますよね? みなさんの頭の中にさだまさしという回路があったからなんです。

いちいち説明するより、それをいじるほうが早かったわけです。ということで、相手の頭の中にあるものを使って語るというのが、話を通じさせる、ものすごく大事なことです。

相手との共通点を2分間で探し出すブレスト

続いて今度は、同じことの延長で、同じ2人でどれぐらい早く脳と脳がつながるかということをチャレンジしてもらいます。脳と脳をつなげて、自分の脳を拡張して相手の脳と共有するという。これがどれだけ早いモードでできるかという練習です。

何をやってもらうかというと、僕が「スタート」と言ったら、どちらかにインタビュアーをやってもらいます。どちらかはインタビューに答えます。

2分間しか与えないんだけど、2分間は無礼講ですから、何を聞いてもいいです。例えばいきなり、「離婚経験はありますか?」って聞いてもいいんですよ。

聞かれたほう、インタビューを受けるほうには特権が1つだけありまして、嫌なことは言わなくていいです。要するに、言いたくないことは黙っちゃえばいいです。

とにかくどんどん質問していきまして、何をやってほしいかというと、インタビュアー側が自分と相手との共通点を探り出すと。こういうことやってもらいます。自分と相手の共通点を探り出すゲームですね。

でも、その共通点には簡単な条件が2つあります。1つは、それが出てきた瞬間に両方がちょっとうれしくなっちゃうような共通点、つまりちょっとレアなもので、なおかつそのネタで30分ぐらい話せるようなネタを2分間で2つ以上見つけられるかどうかという話。

けっこうチャレンジだと思います。さっとつながらないとこれはできない。それで、インタビュアーの能力だけが求められるかというと、そうじゃないんですよ。

インタビューされる側が「こっちはどうなの?」「あっちはどうなの?」という。要するに、相手の世界観もなんとなく想像しながら、「これを聞いてきたということはこうかな?」みたいな感じで、やっぱり助け船を出さないとダメ。いいですか?

例えば、「眼鏡を掛けてる人」という共通点、こういう志の低いことではダメですよ。わかりますよね? もう2段階ぐらい深堀してもらう。

一番すごいのは、やっぱりぜんぜん関係ない人と、今日バラバラ入って来て隣に座っている人が、いろいろ聞いてみたら、小学校が一緒だったみたいなこと、それは感動じゃないですか、もう抱き合ってもいいぐらいですよね。ここから先の講演聞かなくていいですよ。もう飲みに行っちゃっていいと思います。

というようなわけで、いいですか? 別に感動まで行かなくていいです。ちょっとうれしくなっちゃう共通点。

例えば、野球が共通点だったとき、それだったら100万人、1,000万人いますよね。だけどちょっと深掘りして、実はあの楽天が弱いときからずっと応援してて、銀次のファンだとか言えば、それは特別ですよ。それはもう、「今日絶対飲みに行こう」ってなりますよね。そういう共通点を2分間で2つ以上探せるかどうか。つまり、脳がどれぐらい早くつながって、共有ドメインがどれぐらい築けるかなんです。

では、いきましょう。3、2、1、スタート。

(インタビュー2分間)

藤原:はい、じゃあそこまでにしていただいて、ちょっといったん落ち着いていただけますかね。

研修より役に立つ、チームビルディングの方法

ちょっとアンケートします、1つ以上はうれしくなっちゃう共通点が見つかったというところは手を挙げてください。2つ以上は? 3つ以上は? ああ、立派ですね。わかりました。

結局、1つだと点の関係です、2つだと線の関係、3つだと面の関係になるわけです。4つぐらい見つかると、もうある種立体みたいになるでしょう。

そうすると、その人と自分とは共有のドメイン、要するに共通して考えられる世界観の一部を持っちゃうんで、そっから先は仕事が非常にしやすくなると思います。わかります?

だいたい3、4と(共通点が)見つかっていって、それが5、6となっていったら、もう結婚してもいいって感じになると思いますよ。

もうわかると思うんですが、これは非常に簡単なワークで。これをやるだけで人との絆が見つかっちゃうでしょ。

だから、みなさんの職場で自分の部下や同僚を捕まえて、縦横斜めにバンバンやるだけで絆が見つかりますから、ひとりでにチームビルディングの役に立つわけです。ややこしい研修を受ける必要はないんですよ。こういうことをやればいいんです。

こういうことをやらないで、例えば朝来て、「おはようございます」とか言って、もうパソコンの前で(仕事を)やってるだけでは、見つからないですよ。だって、個人的なことを聞くって怖いもん。

今の若い子って、親とか先生にかなりバツを出されちゃってるので、セルフエスティームといって、自己肯定感が低いんですね。

自己肯定感が低いとどうなるかというと、自分が傷つきたくないというのがすごいベースにあるので、人を傷つけるのが怖いんです。例えば、人に「ちょっと大丈夫かな?」という質問をするのも怖がっちゃうんですね。

そうすると、今みたいな、みなさんの勇気を持った個人的な質問はまずできないですよ。だからこういうモードを作って、ある種研修みたいなかたちで、「はい、どうぞ」と言ってやらないとダメなんです。わかります?

失敗や挫折体験を共有したほうが絆が深まる

もう1つだけ言うと、もしみなさんがやる場合は、今度は同じ時間(2分間)でちょっと違うモードでやってみるのがいいんです。

なにかというと、今日は僕がみなさんを急がせたから、どういう質問をしたかというと、たぶんプラスモード(のこと)だけを聞いてると思うんです。得意なこと、好きなこと、関心のあること、そういうことだけ。

本当はマイナスモード、例えば最近した失敗とか挫折とかコンプレックス、それから病気。そういうこともあるはずなんですね。

マイナスモードというのは、やっぱり改めて聞かないと聞きにくいから、それをもうガンガン聞いていいというモードにしてやりますよね。そうすると、たぶん人事部長をやってる人はすぐわかると思うんですが。

人間というのは、マイナスモードで共有点を発見したときのほうが絆が深まるんですよ。マイナスモードのほうが大事だったりするんです。

例えば、僕は順風満帆でリクルートライフを送っていたかというと、30歳のときにもう営業本部長みたいなかたちになってたんだけど、その直前、次長のときにメニエール(病)という、目まいのする病気になっちゃうんですね。

どういう目まいかというと、貧血になったときのような目まいじゃなくて、みなさんが見ている私、正対しているこの像がぐるっと回っちゃうんですよ。すっごい気持ち悪いです。

結局、人間はその視野に対して姿勢を保とうとするので、次の瞬間、なんだか知らないけど転んでるとか。ひどくなるとビルが曲がって見えるとか道路が襲ってくるとか、そういう(ように)ちょっとひどくなる。僕はそこまでにはならなかったんだけど。

それにしても、5年ぐらい後遺症があったかな? 毎日とにかく注射で、この辺を麻痺させて2週間ぐらい。その後5年ぐらい悩んじゃうわけですね。要するに、後遺症が残るわけです。

なので、僕は営業を統括して、普通だと取締役営業本部長から常務かなんかを狙って、自分の勢力を広めて社長を狙うみたいなことをやるじゃないですか。それをやるとたぶん死ぬなと思ったので、30歳のときに切り替えちゃって、特別職といって、S職という専門家職になっちゃって、それで30代ずっと年収を固定してやってたんですね。

そういう僕の話でも、例えば病気の話が共通する人がいると思うんですよ。メニエールになったことがある人、今なっている人はちょっと手を挙げてください。だからもう、その人は無条件にお友達ですよね。「この講演もういいや、ちょっと(飲みに)行きますか」みたいな感じね。

というわけで、プラスモードとマイナスモードの両方をやっていただくと、関係がより深まりますし、絆も発見して、それが深まりますので。どうですか? 非常に簡単なツール。「これ使えるな」と思った人だけちょっと拍手くれる?

(会場拍手)

自分と組織のスパイラルシナジー

元リクルートのトップ営業で公教育改革の実践家でもある藤原和博氏。 プロ生活32年、50歳まで現役投手で中年の星と称された山本昌氏。 個人と組織の関係を研究する若き経営学者服部泰宏准教授。 「自分と組織のスパイラルシナジー」では三者三様の生き方・見解には、個人の生き方、組織人の使命の間を行き来しながら「働く意味」を考え抜いているという共通項があります。

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1 藤原和博氏「稼ぎたければレアカードになれ」年収1,000万〜1億円を目指す人生戦略
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