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YOUTH TALK 山本麻友美 氏(全1記事)

MERYで見つけた「目的から出発するデザイナー」という生き方--山本麻友美、27歳のリアル

「若手デザイナーがもっと成長できる場を」をコンセプトに開催されている「UI Crunch U25」。10月25日に行われたVol.2 のYOUTH TALKに登壇したのは、2012年にDeNAに入社し、現在はペロリにて「MERY」や会社全体のデザイン・ブランディングを手がける山本麻友美氏です。入社してから数年は自分の進むべき方向性に悩んでいたと言う山本氏が見つけた「目的から出発するデザイナー」という道。

目的から出発するデザイナー

山本麻友美氏:今日は「目的から出発するデザイナー」というテーマでお話したいと思っています。

先ほどの真鍋大度さんのお話はすごくクリエイティブなお話だったんですけれど、私からは「キャリア」がテーマということで、私が25歳のときに悩んでいたことや、今27歳なんですが、そこから2年間でどういうかたちで考え方が変わってきたかというお話をできればと思っています。

まず、自己紹介をさせてください。山本麻友美と申します。2012年にDeNAに新卒入社しました。最初は企画職として入社をし、「comm」というチャットサービスがあったんですけど、その企画とUIデザインをやっていました。

そのあとゲーム事業部に異動してUIデザインを担当し、2015年から「MERY」をやっているペロリという会社に異動して、現在常駐しています。

MERYは、女の子向けのキュレーションアプリです。ここでCIデザインをやったり、ブランディングをやったりしています。

「どうやって」「何を届けたい」?

突然ですが、歌うのが好きな人って、世の中にたくさんいると思います。私も好きなんですけれど、「歌いたいな」と思ったときに私がなにをするかというと、カラオケに行きます。

では、美空ひばりさんはどうすると思いますか? 美空ひばりさんもきっと歌うことが好きだったと思うんですけど、カラオケには行かず、歌手になっています。

では、「(美空ひばりさんと)私との違いはなにか?」と考えたときに、「自分の歌で感動を届けたい」という思いがあるかどうかというところが違いかなと思っています。

「自分の歌で楽しみたい」という人と、「自分の歌で感動を届けたい」という人。手段は同じでも、あり方はまったく違うなと思います。

例えば、初音ミクってどうでしょう? さっきの枠に当てはめると、「ボーカロイドで感動を届けたい」となるかなと思います。これは、美空ひばりさんと手段は違えど、感動を届けたいという目的は共通しているんじゃないかなと思っています。

どちらに重きを置くかで、その人のあり方はぜんぜん変わってくると思っています。「どうやって?」なのか、それとも「何を届けたい?」なのか? 自分はどちらの思いが強いのかということについて、私が考えてきたことをお話ししたいと思います。

「私はいったい何職人になりたいんだろう?」

先ほども言ったんですけど、私は2012年、22歳のときに、新卒でDeNAに入社して、そのあとさまざまなサービスにいろんなかたちで関わってきました。最初はcommというチャットサービスの企画をやったり、UXデザインをやったり、そのあとゲームでUIデザインをやったり。

ただ、その間ずっとモヤモヤしていたことがあります。当時、上司によく言われていたのは、「“〇〇といえばこの人”という存在になれ」ということでした。たぶん、けっこう言われたことがある方もいらっしゃると思うんですけれど。

当時私がやっていたことというと、commでは仕様決めから、ワイヤー作成までしたり。ゲームではUIもやるし、ときにはLPも作るし、コーディングもたまにやるし。Flashをやったり、パーツのデザインをやったり。確かにやりすぎていた感はありました。

そんなときに周りを見ると、DeNAには職人がとにかくたくさんいました。キャラデザ職人、タイポグラフィ職人とか、その人たちってすごいんですよね。

キャラデザ職人の方は、例えば「小学校1年のときからずっとセーラームーンの絵を描いていて、歴代セーラームーンの制服は全部描けます」とか。女の子からフランケンシュタイン、ドラゴンまで全部描けちゃうみたいな、スペシャリストもいるし。

「街中で看板を見ると文字詰めしたくなります」と言っているタイポ職人の人もいるんですね。

「すごい人がいっぱいいるな」と思いつつ、「私はいったい何職人になりたいんだろう?」ということを考えていた時期がありました。

「これが好き」ということもそんなに強い思いはなかったし、でも全部やってみたことがあるわけでもないし、これから全部必要になりそうだし。何職人になるか、ずっと決めきれずにいました。

MERYに異動して気がついたこと

そんな頃にDeNAがMERYを買収して、MERYに異動する機会がめぐってきました。

(スライドを指して)こういう感じで異動が決まったんですけれど、上司に「デザイナーが必要だから行ってきて」と言われ、「何のデザイナーですか?」と聞いたら、「たぶん、全部」と。

たぶん今までのDeNAではあまりなかったんですけれど、MERYはまだ本当にできあがったばかりだったし、人数も少なかったし、これからどんなことをやっていくかも決まってなかったので、こういう状況でした。

実際、私がMERYに行ってしたことは、本当にたくさんあります。アプリも作ったし、CMもやるし、グッズもいろいろ作ったり、イベントもやったり。

こういうことをいろいろやっていくなかで、この仕事をやっていてよかったなと思う瞬間がけっこうありました。

どういうときかというと、例えば、ツイートで自分が携わったCMが「すごいかわいい!」と言われていたり、自分の作ったグッズがお客さんの手元に届いたときに、それを見て「疲れが吹っ飛んだ!」と言っている女の子がいたり、「こんなのが当たるなんて、運使い果たしてるよ」と言っている女の子がいたり。そういう反応を見たときに、「これが私の一番の原動力なのかもしれないな」ということに気づきました。

「何を届ける?」が私の原動力

今までは「どうやって?」「何を届けたい?」ということの、「どうやって?」のほうばかり自分は探していたなと。「何職人か?」というだけじゃなくて、「ユーザーに自分は何を届けたいのか?」ということ、こっちが私の原動力なんじゃないかということに気づきました。

「どうやって」が手段、「何を届けたいか」が目的だとしたら、目的から出発するデザイナーも、1つの道としてあるんじゃないかなということに気づきました。

「自分が何職人か」が見つからなくても、目的から出発するデザイナーとして進んだ先に、例えばボーカロイドみたいな今までなかった手段を見つけることができるかもしれないし、自分が今まで出会ったことがなかった職業に出会うかもしれない。

目的を達成するための手段はさまざま

実際、私は今、MERYで“キュン感”や“わくわく”を届けるということを突き詰めて考えています。

それを考えたときの、手段は1つじゃなくて。グッズもやらなきゃいけない、イベントもやらなきゃいけない。もしかしたらUIも“わくわく”の要素になるかもしれない、とにかく手段がさまざまあります。

手段がさまざまということは、必要なスキルもさまざまで、自分で全部作ることはもうできません。なので、今はチームで協力してMERYの世界観を作り上げています。

こういう働き方も25歳のときに考えられていたらよかったなと思って、今日はそのメッセージをみなさんに伝えられればなと思いました。以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)

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