人間の感覚は五感だけではない?

ハンク・グリーン氏:五感について学んだことは誰しもあると思います。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、そして触覚。しかしこれらがすべてではないのです。冷たいとか熱いといった感覚、あるいは体のバランスを保つ感覚などはどうでしょうか。

実は、科学者たちは、さらなる感覚を追加しようとしています。その3つがこちら。

温度を感じるというのが重要というのは当然かもしれません。サーモセプションと呼びます。体温を一定に保ち、熱すぎたり冷たすぎたりということを知らせてくれます。火傷や凍傷から体を守ります。

ではどうするのか。一過性受容器電位チャンネルに関して潜在的なメカニズムを科学者たちは発見しました。TRPファミリーとも呼ばれます。

これらには多くのチャンネルがあり、多くの刺激に反応します。これらがどう働くかというのは今も研究中です。1つ確かなことは、これらが温度の変化に対応しているということです。

科学者はこれらについて完璧に理解しているわけではありませんが、温かくなったり冷たくなったり、肉体的な刺激チャンネルによって、より開かれるのです。

これらの1つ、TRPV1は、痛みのある熱に対してその役割を果たします。摂氏40度ほどで不快な熱さの時、受容体が機能します。それに対してTRPM8は、摂氏20度以下の冷たい刺激に反応します。つまりだいたい室温以下の温度です。

これらのチャンネルは、ほかのものと一緒に体中にあります。侵害受容器や痛みの感覚がある時、チャンネルが起動し細胞にカルシウムを発生させます。そして脳に痛みの温度の信号を送ります。

それらのすべての情報は第一体性感覚野に行き、脳のてっぺんにある折りたたまれたぶ厚い組織で、触感、痛み、振動といったほとんどの自動的な感覚がそこで処理されます。そして温度を意識し、キャンプファイヤーから手を引っ込めるとかジャケットを着るとかの判断をするわけです。

空間で自分の体を認識する感覚

では、空間で自分の体がどこにあるかについて考えたことはありますか? 固有受容性感覚です。ラテン語でいう「one's own grasp」から来た言葉です。

見ずにキーボードを打ったり、足を見ずに歩いたりする能力です。肌の数多くの特定の受容体、関節、筋肉によってその動きが支えられています。例えば筋紡錘は、筋肉の長さや、筋肉の動きの早さに反応します。その間、ゴルジ腱器官が筋肉の張りや行使についての信号を送ります。そして皮膚機械受容器が、肌や関節の伸びや圧に反応します。

これらすべての受容体の動きが、脳、特に小脳に四肢の動きや位置の情報を送ります。小脳は、バランス、姿勢、随意運動の調整をします。

奇妙なことに、科学者は小脳を持たずに生まれた女性の例を発見しました。バランスにやや問題があるものの、なんとかなっているのです。つまり、固有受容性感覚についてはまだ研究の余地があるということです。

これとは別に、人間には平衡感覚があります。歩いたり走ったり、動くときはいつも必要なバランス感覚です。耳は聞くために重要ですが、平衡感覚にとっても重要なのです。

とくに内耳。前庭器官をもち、液体に満ちた半円の管が毛細胞と並んで存在します。

頭が動くと、毛細胞が液体にザブンと跳ね返り、脳に信号を送ります。

とくに脳幹の前庭神経核に送ります。それぞれの管が別々の動きに対応していて、上下と左右に対応しています。半円の管の真下にある耳石器も似ています。しかし液体に加え、カルシウム炭酸塩で出来た小さな結晶があります。

頭が動くと、それらの結晶が膜の毛細胞にあたり、脳幹に信号を送ります。そして脳が目、関節、筋肉に情報を送り、理路整然と体が対応できるようにします。

このシステムの問題はバランスの組織に関係します。耳石器の結晶がちゃんとしていないと、めまいの原因になります。半円の管にも落ち、液体の動きを妨げ、毛細胞に予想外の圧力をかけます。その圧は目が見ているものに反し、頭が動くとクラクラします。

これら3つの感覚は私たちの環境をうまく安全に導くために非常に重要です。今までの感覚がリストに入らなくても、忘れると痛い目を見るのです。