多くの人を幸せにするために、弁護士志望からITへ

佐俣:今、そもそも何でこういう会社やっているのかみたいなことを伺ってみたいんですけれども。

福山:何で起業しようと思ったかは、ソーシャルゲームをつくっていて、もともと世界で使われるようなサービスをつくりたいとか、日本だけにとどまらないものをという思いが個人的にすごくあって。

ソーシャルゲームを選んだのは、その時、どこで作っても世界中にFacebookのプラットホームとかがあって、使えるサービスにしやすかったからなんですけれども、作るゲームがことごとく3カ月後ぐらいにもう誰も使っていないみたいになった。

よっぽど成功しないと難しいんだなと感じ、だったら今度は、10年後になっても20年後になってもずっと使われるようなサービスをつくりたいなと思って、次は自分でやってみようかなと思ったのが……。

佐俣:そもそも何でインターネットのサービスをやろうと思ったんですか? シンガポールの会社もITの会社ですね。

福山:そうですね、インターネットを選んだのは、僕は法学部出身で、もともと弁護士になりたかったんですけれども、マジレスするとですね。

佐俣:マジレス、マジレスしてください(笑)。

福山:どっちのストーリーにすれば(笑)。マジレスのほうでいきますと、弁護士になろうと思って法学部に入って伊藤塾にも入ったんですけれども、その時ちょうどmixiとかがバンって大学の中でブームが来て、弁護士というのは格好いいし、お客さんのことを幸せにできるんですけれども、触れられるお客さんの数というのは、1億人とかにならないじゃないですか。

お客さんの分は売上を上げられるけれども、お客さんの数に限りがあるので、その中でmixiとかを見ると、みんなが使っていて、こういうふうに自分が作ったものをみんなが使っている、みたいな。

佐俣:たくさんの人に提供できるという。

博報堂が本屋さんだと思っていた

福山:そういうのがすごいなと思って、ITがいいなと思ったのがきっけですね。みんな就職になると博報堂とかへ行くんですけれども、本屋さんかと思って、全然知らないじゃないですか。

佐俣:それは知らな過ぎですね(笑)。

福山:商社とかに行くんですけれども、商社が何やっているかはあんまりみんなよくわからないで行くじゃないですか。それよりかは、自分が「あ、こういうサービスやっている」とかそういうふうなのがいいなと思ってITに進みましたね。

その時いろいろな人のブログを読んでいたんですけれども、当時RSSとかもよくわからなかったので、ひたすらブックマークだけして、F5を押して更新しないかな、更新しないかなというのをずっと見ていて、誰かがRSSというのがあるよと教えてくれて、テクノロジーすげぇ! と思ったのが結構大きかったですね。

佐俣:へぇー。

福山:IT系を一通り受けてサイバーエージェントさんも役員面接で落ちて。

やるんだったら全力で

福山:そういったことがありながらもITに入って、何で起業したかの話でいくと、ソーシャルゲーム以外のことをやりたいなと思って。自分の中でブレストをして、シンガポールであんまり友達がいなかったので、今も友達はあんまりいないんですけれども。

そのアイデアをぶつける人がいなかったので、スカイプで上から順にオンラインで会った人に全員にこのアイデアどう? と送ってみたんですよね。それで、みんな無視するか、「ああ、いいね」みたいに適当に流された中で唯一、今一緒にやっているサニーというパートナーが「おお、そのアイデアいいじゃん、やろうよ」みたいなことを言ってくれて、「じゃ、やろうかな」と。

だから、ちょっと怖かったんですよね。起業するのはやっぱりお金もなくなるし、お母さんにも怒られるんじゃないかと思って、僕はどっかに就職しながら週末とかでやって、アイデアがうまくいったらやろうみたいな、ありがちな言い訳経営みたいのをやろうと思って。そのつもりだったんですけれども、サニーは、「いや、だめだよ。やるんだったら全力でやろうよ。フルタイムでやろうよ」みたいな感じで熱く口説かれて、やることにしましたね。

それで今、何であんなに熱かったのと聞くと、彼は、ちょうどその前の月に会社を売却した後で暇だったらしくて、彼だけフルタイムでやって僕だけ半分というのはちょっと、という思いが強かったらしくて、今思えば何でだと思うんですけれども。なので、彼はカリフォルニアにいて、僕はシンガポールにいて、1回しか会ったことがなかったんですけれども、それで起業することにしましたね。

佐俣:へぇー。

サニーはアンリ氏がtwitterで紹介

福山:アンリさんのお話をしていいですか?

佐俣:はい、いいです。

福山:サニーとの出会いは、アンリさんなんですよ。知っていました?

佐俣:知っています。

福山:Twitterでですよね。僕が大学4年のときに、「シリコンバレーに行ってみよう!」的ないわゆるミーハーな大学生だったので、行こうと思ったんですけれども、成田に着いた時にホテルを用意してないことに気づいたんですよね。なので、やばいと思って「誰か泊めてください」ってつぶやいたら、アンリさんがメンションで現地に住んでいる方を紹介してくれて、「こいつんちに泊まれ」と言って……。

佐俣:1日か2日ぐらい泊めてくれるかなと思って、僕の友達が向こうにいたのでお願いしたら、何日いたんだっけ?

福山:2週間ぐらいいましたね。

佐俣: 2週間ぐらい住みやがりましてですね(笑)。

福山:ありがとうございました。そこでサニーと出会って。あっちというのは全部、車で移動なんですよ。僕のデフォルトでは電車なので、高円寺ではずっと電車だったので、僕、車の運転もできないんですよね。

でも、Appleとかへ行くのに歩くと超時間がかかるので、運転はできないし、タクシーは超高いし、UBERもなかったので、やべぇと思ったら、サニーがすごいいいやつで、じゃ僕が運転してあげるよと言って、打ち合わせを全部キャンセルして僕といろいろ回ってくれたんですよね。

佐俣:超いいやつ。

福山:超いいやつなんですよ。その時、彼はデザイン会社を経営していたんですよね。デザイナー、かつ、いいやつという僕の持ってないスキルを2つを持っているので、こいつはイケているなと思って、スカイプで話した際に彼と起業しようと思って始めたのがそれですね。なので、アンリさんのおかげです。

アメリカで日本をからかわれて…

佐俣:ドラマ過ぎますね。

福山:確かに。それで起業して……。

佐俣:会社をやるならアメリカでやろうというので、2人で創業……。でも、そもそもシンガポールとアメリカにいて。

福山:そうですね。アメリカは自然と、どこでやる? アメリカでしょう、みたいな感じで決まったんですけれども、個人的には高校の時にミズーリ州に1年間だけ留学していました。

もっとも、本当かどうかわからないですけれども、親がニューヨークで出会ったらしくて、母が英語の教師ということもあり、僕が幼いときに学校で悪いことをすると英語で僕の陰口を言うんですよね。

それがすごいむかついて、何で? 何でだよと思って、英語を学びたいなと思って留学することにして、高校で1年間、ジャック・ドーシーが生まれたミズーリ州に留学したんですけれども、ミズーリ州というのはあんまり都会ではなくて、もちろん日本人も僕の行った学校にはいなかったんですね。

僕、行く前は、日本てすごいんじゃないかみたいなスタンスでみんな来るかなと思ったんですよね。御飯もおいしいしテクノロジーもあるし、日本最高! みたいな感じのスタンスで来るかと思いきや、すごいばかにされて。

「まだ侍が歩いているんだろう」とか、「プレステ9は出た?」みたいな感じで半分冗談で半分本気だと思うんですけれども、ちょっといじられて。何か悔しいなというか、こいつら見返してやりたいなというすごいコンプレックスがあったんですよね。

その時、ちょうどイチローとかゴジラ松井が野球でメジャーに行って、テレビでみんながイチローとかゴジラとか叫んでいるわけですよね。なので、すごいことをやればこいつらでもバイネームであれしてくれるんだと思って、野球はもう無理かもしれないけれども、自分のインダストリーでやりたいなとアメリカでは思っていたんですよね。

ホームレスからスタートした起業人生

佐俣:なるほど。もう2人でアメリカでやろうといって、アメリカに。

福山:そうです。それで2011年の7月にアメリカのthe CrunchとかMashableとか全部読んでいたら、全然イケてないサービスが、「資金調達しました」みたいに出るじゃないですか。アメリカって誰でも資金調達できるんじゃないかと思って、行ったんですが。

佐俣:行ってみたら?

福山:はい。嘘っぱちで。

佐俣:(笑)。

福山:今メルカリの石塚さんがアメリカにもともと住んでいらっしゃったんですけれども、ちょうど日本いらっしゃるということで車が空いていたので、車だけ無料で借りることができたんですよね。

お金がないし、サニーも「どうする? 車で寝たらただじゃね?」という発想になって、でも、道路だと警察来るんじゃね? みたいになって、ちょうどそこでタコベルというあっちのファーストフードのチェーンが24時間営業と書いてあったので、タコベルの駐車場で車で寝ればいけるんじゃね? と思って、初めのオフィスはタコベルでした。追い出されるまで。

佐俣:ホームレスに近いんですかね。

福山:そうです。3人でミニバンで、スーツケースも入っていたのでめちゃめちゃハードでした。そこは追い出されたんですけれども、その後、ミッションシックスティーンスというサンフランシスコで一番危ない場所で、1泊10ドルのホテルを見つけたんですよね。

交渉したら1つのベッドでよければ3人でも1泊10ドルでいいと言われて、来た! と思って。サニーを選んだ理由がいいやつだったんで絶対うまくやれば、サニーは床で寝るだろうと思ったんですよね。2人だったらまあまあシェアできるじゃないですか。そこまでいいやつじゃなくて、サニーは。僕もベッドで寝るよ、という顔をし始めて。サニー見てないといいんですけれども(笑)。

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