「オートファジー」ってなに?
大隅良典氏がノーベル賞を受賞した理由を解説

Nobels 2016: How Your Cells Stave Off Starvation

2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典氏。受賞理由は「オートファジー」と呼ばれるしくみを解明したことですが、オートファジーとは細胞が自分の使えなくなったプロテインや細胞小器官をリサイクルすること。このしくみをパンを焼く時に使われるイースト菌のなかに見つけたのが大隅氏でした。今回の「SciShow」では、このオートファジーの概要を解説するとともに、最新の生物学のニュースもお届けします。

ノーベル賞大隅氏の研究「オートファジー」とは?

オリビア・ゴードン氏:2016年ノーベル賞ウイーク、つまり、科学の世界にとってはクリスマスのような季節がやってきましたよ!

私がここにいるということは、受賞者が誰だったかはもう知っています。その人は私たちの身体に関すること、そしてその働きに関することを間違いなく一番熟知しているでしょう。「ノーベル医学・生理学賞」のことです。今年の受賞者は細胞生物学者の大隅良典さんでした。

彼は「オートファジー」と呼ばれる現象の研究分野で受賞しました。オートファジーとは、細胞が自分が死なないために養分を保全する方法のことです。大隅さんは、このプロセスの発生学的根拠をパンのイースト菌のなかに見つけたということでこの賞を受賞しました。

オートファジーはギリシャ語の「自食」からきていて、細胞が自分の使えなくなったプロテインや細胞小器官をリサイクルすることをいいます。それはとくに細胞がストレスを感じた時に生じます。

オートファジーの間、細胞は自分の古くなった成分を自分で分解できる特定の場所に移動させ、それにより化学化合物をリサイクルすることができるのです。

例えるなら、ガラクタの山のなかに廃棄物、例えば動かなくなった錆びた古い車があるとします。その車のほとんどの部品はまだ使えるので、分解し、また組み立てやり直すことができるのと同じです。

オートファジーは1960年代から生物学者たちはすでに知っていましたが、1993年に大隅さんが論文を発表するまで、実際にどのようにそれが働くのかはよく理解されてはいませんでした。

はじめに、大隅さんは「オートファジー」が起こる様子を見る必要がありました。リサイクルする様子は小さすぎて、普通の顕微鏡では見ることができないのです。そこで彼は、リサイクル済みの細胞の一部の働きを停止させ、古くなったすべての部分が増強するのを観察する必要がありました。

イースト菌のなかには「液胞」と呼ばれる細胞小器官があります。それで彼はイーストの遺伝子の一部を変え、停止させました。そうすることにより、細胞はオートファジーによって液胞に物質を送ります。しかし、それは分解する代わりに積み重なり、その山が顕微鏡を使って見えるようになるというわけです。

それから大隅さんは、違った遺伝子に変え観察することにより、初期の段階で液胞に古いパーツを送る役割を持っているのはどれなのかを研究しました。これが実際のオートファジーのプロセスなのです。

彼は、もし山のような物質が液胞の中に積み重ならなかったなら、それをそこに送る働きをするはずの遺伝子が停止させられたことになる、と考えました。彼はこの方法を用いてオートファジーに不可欠な15の遺伝子を特定しました。そしてこの発見は、もっと複雑な生物の中で起こるこのプロセスを研究する基盤となったのです。

オートファジーはすべての生物の、通常の細胞機能に欠かせないものだということがわかってきました。それには人間も含まれます。オートファジーのプロセスの中で起こる問題は、人間の病気の大きな原因となっているのです。それには、糖尿病や、ある種のガンも含まれます。

それで研究者たちはオートファジーをターゲットとするそれらの病気の治療方法を探しているのです。それは大隅さんの働きなくしては不可能だったでしょう。

ほかにもある生物学のニュース

「化学・物理学賞」に関してもすぐに報告しますが、ここでさらなる生物学のニュースがあります。細かくいうと、10代の脳の生物学です。ティーンは、リスクを取りながら賞賛を求めるということが言われています。

研究者たちによれば、その両方の行動は、青少年がよく学べるように、進化による順応をしたためではないかというのです。大人に比べてティーンは賞賛に敏感です。生物学者は、これにより私たちが家族を離れる前にもっとリスクを取るように励ますことにより、独立する助けになると考えています。

しかし新しい研究では、UCLAのハーバード大学とコロンビア大学の心理学者たちは、褒美を目指すことがどれだけティーンの学習に影響を与えるのかを研究しました。10代の若者と大人の被験者たちはMRIスキャナが脳をスキャンしている間に簡単な学習ゲームを行いました。

被験者たちはポジティブな強化とトライアルと失敗を通し、ゲームをすることを学びました。その強化とは、単純に「正解」「不正解」という言葉だけでした。それと同時に被験者たちには、それとは関係のない物体の写真が見せられました。例えば鳥の巣などの関係のない写真です。

結果によると、若者たちは大人よりもゲームをするのには長けていましたので、強化により学習することにも長けていると言えることがわかりました。それと同時に、若者たちは、強化の言葉と出てきたランダムな物体の写真も覚えていました。とくに、間違えた時の写真をよく覚えていました。

それにより研究者たちは、彼らの脳は、予期せぬことが起きた時に、その詳細を記憶するのが大人より優れているとわかったのです。

さらに、若者たちは学ぶ時、違った脳の働きのパターンを見せました。大人の場合、「線条体」と呼ばれる脳の部位が、強化のプロセスを担う部位として知られています。そして彼らがゲームをしたとき、研究者が確認できた活発に動く脳の部位はほとんどが線条体の部位でした。

しかし、若者の場合は線条体だけではなく、脳のほかの部位「海馬」も同時に使われていたのです。海馬は特定の種類の記憶を司る部位です。また、若者のほうが線条体と海馬の間のコミニュケーションが多くみられました。

つまり、この脳の2つの部位は行ったり来たりしてメモを比べ、強化と記憶は相互に高め合うのです。これらを総合して言えるのは、若者の脳の方が褒美を求める傾向が高く、結果的にそれから学習することができるということです。

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