惑星間の航行に重要な役割を果たすラプターエンジン

では惑星間の宇宙船とロケットブースターに関する、いくつかのカギとなる要素についてお話いたします。

我々が開発を始める際、デザイン上もっとも難しいとされる2つの要素を取り入れました。1つは「ラプターエンジン」といって、史上もっとも高い圧がかかるエンジンで、重さをはかるのにもっとも高い推進力だと言われています。

それは完全燃焼型のエンジンで、入手できる燃料と酸化剤を使った、理論上速度の最大限まで出せます。我々は酸素とメタンの密度を高めるためにサブクーリングします。それで、ボリュームポイントに近くなった時に、ほとんどのロケットで、我々のケースでは推進燃料がほとんど凍結ポイントになっていましたが、それにより、10から12パーセントの進歩がみられました。

それは実際のロケットでの結果では非常に大きな違いを生み出しました。そのうえ、ターボポンプのキャビテーションのリスクをなくしてくれ、非常に冷たい推進燃料を扱う際、高圧のターボポンプを送りやすくしてくれるのです。

ここでカギとなるのは、バキュームバージョンのラプターの比推力は382秒だということです。これは火星のミッションを行う上で非常に大事な点です。もし我々にその数字が到達できれば、または少なくともその数値のうちの数秒に到達できれば、結果的に少し超越することができるでしょう。ですからこのロケットブースターはさまざまな面で「ファルコン9」ブースターのスケールアップしたバージョンであると言えるでしょう。

たくさんの共通点を見ることができます。例えばグリッドフィン、明らかにベースとしてたくさんのエンジンをクラスタリングしているわけですが、大きな違いは主要な構造がカーボンファイバーの先進のフォームであり、アルミニウムリチウムではありません。

それに我々は加圧を利用し、ヘリウムと窒素を取り除きました。それでこちらは42個のラプターエンジンを使います。たくさんのエンジンのように感じますが、我々は「ファルコン9」の時には9個のエンジンを使いました。「ファルコンヘビー」は来年初めに打ち上げられる予定ですが、ベースには27個のエンジンが使われています。ですからエンジンをたくさんつけるということに関してはかなりの経験を積んでいると言えるでしょう。

これにより、もしエンジンのいくつかが機能しなくなったとしても、余剰のエンジンにより、ミッションを続けることができるでしょう。

しかし、ブースターの主な仕事は、宇宙船の速度を約時速8,500キロメートルまで加速することです。これはすべて速度にかかっていて、高さの問題ではありません。それがブースターの仕事です。ブースターは槍投げ選手のようなもので、その槍は宇宙船ということになります。

ほかの惑星のケースで言いますと、そんなに重力井戸がそんなに深くありません。ですから、火星、月、木星、ひょっとしたらいつかは金星も、金星はちょっと難しい星ですが、太陽系であれば必要なのは宇宙船だけということになります。

低い重力井戸であればブースターは必要ありません。ですから、月、火星、木星や冥王星ではブースターは必要ありません。必要なのは宇宙船だけです。ブースターは重い重力井戸のためのものです。

宇宙船の構造

それから我々は帰還と着地の両方で必要な推進燃料の最適化をすることができています。着地するには、残っている推進燃料のおよそ7パーセントが必要となりますが、最適化することによりそれを6パーセントまで下げられるのではないかと考えています。

それに着地の正確さにも自信があります。もしみなさんが「ファルコン9」の着陸をご覧になられたらおわかりかと思いますが、的の中心部の本当に近くに着陸します。そして小型エンジンの操作と追加をすることにより、着地台のすぐ後ろにブースターを付けることができると考えています。

ベースにあるこれらのフィンは発射地点におけるマイナーな位置のミスマッチをなくすために中心を指すのに非常に重要な役目をします。

底はこのようになっています。我々がしなければならないのは、中心とエンジンで平行にしたり操作したりすることです。中心のクラスターには7つのエンジンがあります。それらにより、ロケットを動かしたり操作したりします。

そのほかのエンジンはポジションを正します。エンジンを動かすための隙間が必要ではなくなるので、エンジンの数を最大にすることができるのです。このようにデザインされているため、フライト中のどんな時にいくつかのエンジンを失ったとしても安全にミッションを続けることができるのです。

宇宙船そのものに関してですが、トップには加圧された区画があります。あとでそちらは簡単に説明いたします。その下には非加圧のカーゴがあり、そこは詰め込まれた非常に密集したフォーマットとなっています。

その下には液状の酸素タンクがあります。液状酸素タンクはこの車両の中で一番難しい部位と言えるでしょう。なぜならそこはもっとも冷たい状態の推進燃料を扱えるようでなければなりませんし、タンクそのものは実際の機体だからです。ですから機体の構造とタンクの構造が合体しているのです。

現代のすべてのロケットや飛行機を例とするならば、羽が実際には燃料タンクになっています。エンジンはたくさんのシーンに耐えなければならず、何度もの再突入をし、ガス状酸素を通さず、反応もしないという難しい特徴を持っていなければなりません。これは宇宙船のなかで一番難しい部分です。あとでいくつかその絵をお見せいたしますが、実際我々もその部分から着手しました。

そして酸素タンクの下には燃料タンクがあり、その次はエンジンコーンの底に直接エンジンが取り付けられています。それから6台のバキューム、高性能のバキュームエンジンがペリメーターの周りについており、それらは動きません。それからCレベルバージョンのエンジンは平衡を保つのに動きますし、操作することができます。

宇宙に出て外側のエンジンの差動推力があればある程度の操縦は可能です。カーゴと火星の間で、タンカーで何回再補充をするかによりますが、450トンまで可能です。目標では少なくとも乗客100人乗せることですが、将来的にはそれが200かそれ以上までに伸びることでしょう。

宇宙船では映画鑑賞やレストランでの食事が可能

こちらの表は初見ではわかりにくいと思いますが、後でビデオを見て詳細を知り、そのうちの数値を分析したいと思われる方のためにお見せすることにしました。

左側の列は一番わかりやすいと思いますが、旅行時間を表しています。ですからあなたが地球と火星のどのランデブーを狙っているかによりますが、秒速6キロメートル、航行は80日まで短くなります。時間が経つにつれてこの点は明らかに改善できると思います。最終的に将来、30日ほどで火星に行けるようになるのではないかと私は考えています。

ですから昔の人がどのように旅をしたのかを考えればこの旅行は可能です。昔は日常的に船の6ヵ月以上の旅行をしていましたからね。

着地に関しては熱遮断の技術が非常に重要になります。我々は「ドラゴン・スペースクラフト」を使って熱遮断の技術を洗練してきました。今我々は「ピカ」の「バージョン3」ですが、バージョンごとに確固としたものとなってきており、焼灼が少なく、耐性が高く、改装の必要性が減ってきています。

熱遮断は基本的に大きなブレーキパッドで、ブレーキパッドが上手に作れれば改装のコストも減らすことができますし、取り換えることなくたくさんの飛行をすることができるようになるのです。

こちらが乗組員の乗る区間の様子です。

宇宙船に実際に乗った時の感じを体験していただけたでしょうか。これを魅力のあるものとし、人々が実際に行きたいと思うようにするためにはとても楽しくて、興奮を誘うようであり、狭いとかつまらなそうだとか感じさせるようであってはならないのです。

乗客が乗る区画は無重力のゲームができたり、飛び回ったり、映画を見たり、講義の聞ける講堂やキャビン、レストランなんかを設置することができます。そうするなら行くのが楽しそうになります。きっと楽しんでいただけることでしょう。

火星における推進燃料プラントのことですが、こちらのスライドを詳しく説明はいたしませんが、後でよく考慮されたい方がいるかもしれません。カギとなる材料は火星にあります。

推進燃料プラントを作るのは比較的容易です。なぜなら大気は主にCO2ですし、いたるところに氷があります。CO2とH2Oを合わせてメタンと酸素ができます。課題となる点はエネルギー源ですが、大きな太陽光パネルを作ることによって解決できると考えています。

火星旅行の費用は最終的に10万ドルを切る

費用についてですが、カギとなるのは、行きたいと思う人たちが行けるようにするということです。それは時間の経過とともに最適化されると思われます。初期のフライトの費用は少し高価になると見込まれます。しかしチケット1枚当たり20万ドル以下にすることができますから、時間が経過するにつれて10万ドル以下にすることができるかもしれません。1人の人がどれくらいの密度に耐え得るかによって変わってくるでしょう。

現状での見積もりでは火星に着くまでに1トンにつき14万ドルです。ですから1人の乗客とその荷物、消費する食物や生命維持のためのものを入れてもそれを下回るでしょうから、火星に引っ越しをするのには最終的に10万ドルを切るようになるでしょう。

それから資金源ですが、「スチール・アンダーパンツ」「打ち上げ衛星」「宇宙ステーションへのカーゴの輸送」「キックスターター」があります。もちろんそれに利益が続きます。

ですから明らかにこの試みに資金を提供するのは挑戦となります。我々は満足できるネットキャッシュの流れを、たくさんの衛星を打ち上げたり、NASAへの宇宙ステーションのサービスを提供したり、宇宙ステーションへのカーゴの輸送、などにより生み出すつもりでいます。

それにたくさんの人が個人の分野で火星への資金へ興味を持っていると思いますし、政治分野のサイドでも興味を持ってくれるかもしれないと考えています。究極的にこれは巨大な公共と個人のパートナーシップとなり、そのようにしてアメリカ合衆国は築かれていったと私は考えています。世界の多くのその他の国々も公共と個人のパートナーシップにより構築されているのです。私はそのようなことが起こると考えています。

現状では自分が持っている範囲で可能な資源を用いてできるだけの進歩をできるように努力していて、できるだけ前進し、それは可能なことだとお見せいたしました。夢は現実のものとして作り出すことができるのです。

サポートは時間を追うごとに大きくなると私は考えています。私も個人的にこのために資金を提供できるように貯蓄しています。人類が多惑星種となれるように自分が寄付をできるということ以外に個人的に貯蓄をする動機は持っていません。

(会場拍手)

SpaceXの歴史

こちらが(プロジェクトの)タイムラインです。このようなことはあまり得意ではありませんが、しかし我々がどのように始まったかをお見せしたいと思います。

2002年時点でSpaceXはカーペットとマリアッチ楽団で成り立っていました。

(会場笑)

たったそれだけだったのです。SpaceXのすべてはそれだけでした。ご覧の通り、私はただ踊っていました。これはマリアッチ楽団とお祝いをしているところですね。私はマリアッチ楽団が大好きです。

このように我々は2002年に始まりました。正直に、なにかをするにも、ロケットを軌道に乗せることなど、それ以外のことも、火星を真剣に考えることも、10パーセントくらいのチャンスしかないと思っていました。しかしもし、宇宙アリーナに入る新しい入口と強いイデオロギー上の動機がなければ、星々の間で宇宙を負う文明になるという軌道に決して乗れないように思いました。

69年に人類は月に行くことができ、スペースシャトルは低い軌道に行くことができましたが、スペースシャトルはリタイアし、そのトレンドのラインもゼロになってしまいました。

多くの人が理解しないのは、技術は自動的に進歩しないのです。本当に強いエンジニアリングの才能が多く問題に取り組むときにだけ、それは進歩できるのです。そして、歴史上では文明がある程度の技術レベルに到達した後に崩壊し、それ以下に落ち、その後たった1,000年後にもう一度発見されるという例がたくさんあるのです。

基本的になにをしているかわからなかった2002年から、考えられる限りでもっとも小さい有効な環状ロケット「ファルコン1」、それは半トンも軌道に運ぶことができました。そして4年後、我々は初めての車両を開発し設計しました。メインエンジン、上位ステージエンジン、エアフレーム、そして発射システムをドロップしました。

そして2006年に初めて打ち上げに挑戦しましたが失敗しました。そのときは残念ながら60秒ほどしかもちませんでした。しかし2006年には始めてから4年後に初めてNASAとの契約をもらうことができました。NASAがSpaceXをサポートしてくれていることに本当に感謝をしたいと思います。

我々のロケットは墜落しましたが、すばらしい年でした。私はNASAの一番のファンなのです。ですから私たちを信じてくださった方々に感謝いたします。ありがとうございます。

(会場拍手)

それで2006年は悲しみの時でしたが、2008年についに「ファルコン1」の4度目の発射に成功しました。そのとき我々の費用は尽きようとしていました。実際、私は3回分の打ち上げに必要な費用しかないと思っていたのに、その3回が失敗してしまったので、我々はなんとか資金をかき集めて、ぎりぎりで4回目の打ち上げをし、ありがたいことにその4度目で2008年についに成功したのです。それは本当に苦しかったです。

2008年末にはNASAが我々と初めてのメジャーオペレーショナル契約を結んでくれました。それはカーゴを再補充して宇宙ステーションへ運び、それのカーゴを持ってくるという仕事です。そして数年後に、「ファルコン9バージョン1」の初めての発射を行い、それで軌道まで10トンの力量を持っていましたから、「ファルコン1」の20倍もの力量を持っていました。それに「ドラゴン・スペースクラフト」の課題も果たしました。

そして2010年には我々の宇宙ステーションへの初めてのミッションがありました。それゆえ、「ドラゴン」の開発を終えることができ、2010年に宇宙ステーションとドッキングさせました。間違えました、2010年には「ドラゴン」を犠牲にしました。2012年に宇宙ステーションへカーゴを運び、そこからカーゴをまた戻しました。