30代半ばでベンチャーを始めたのはなぜ?
大企業出身・遅咲き起業家のリアル

「大企業を辞めてベンチャーをはじめた理由」 #1/2

ベンチャーDive!Vol.4
に開催

2016年9月28日、リクルートキャリアが運営するサンカクとスペースマーケットの共催によるイベント「ベンチャーDive!2016 Autumn」が行われました。当日は2つのトークセッションがあり、第一部は、「『自由なはたらき方』の現在そして未来」というテーマで、SNS media&consulting 株式会社 ファウンダー 堀江貴文氏、Ascent Business Consulting 株式会社 代表取締役社長 北村貴明氏、司会は株式会社スペースマーケット 代表取締役/CEO 重松大輔氏が登壇し、意見を語り合いました(そちらのレポートは特設サイトにて動画で配信中です)。 今回は、第二部の、スペースマーケット・重松大輔氏がモデレーターを務め、ココナラ・南章行氏、ストリートアカデミー・藤本崇氏の3名が「大企業を辞めてベンチャーをはじめた理由」をテーマに、自身のキャリアを振り返ったトークセッションをレポートします(サンカクは、現職を辞めずに、社外の経営や事業に触れることができるディスカッション参加サービスです)。

提供:株式会社リクルートキャリア

「大企業を辞めてベンチャーをはじめた理由」

重松大輔氏(以下、重松):ではまず、自己紹介タイムということで、南さんからお願いします。

南章行氏(以下、南):株式会社ココナラの代表をしております南と申します。(スライドを見て)キャリアはこんな感じです。

もともとは銀行員で三井住友銀行、当初は住友銀行でしたけど、5年ぐらいいました。その後は企業再生がやりかったので、アドバンテッジパートナーズという、当時は20人程度の小さな投資ファンドに入りまして、7年ほど企業買収をやっていました。その後、今の会社をつくっています。

転機としては、企業買収をやっていたから起業に流れていったというよりかは、会社で働きながら、週末の活動として、「ブラストビート」と「二枚目の名刺」というNPOを2つ立ち上げました。

ブラストビートは高校生・大学生向けの社会教育プログラムです。二枚目の名刺は、こういうところにくる人だと、名前ぐらい聞いたことある人がいらっしゃるかもしれませんが、そういったものを発起人として立ち上げたというのが(起業の)きっかけです。

会社は今、社員31人ぐらいで、「知識やスキル、経験を教えます」とか、「アドバイスしますと」いった、モノではなくてサービスをオンラインで販売できるプラットフォームをやっています。

基本的に1対1の非公開でオンラインで完結するものです。実際に会って相談とかじゃなくて、オンライン上で相談にのってあげますというサービスをやっていて、今4年ぐらい経っていて、売られているサービスが約9万件、毎日1,500〜2,000件がマッチングしているというサービスです。

重松:毎日2,000件マッチングするんですか?

:1,500〜2,000件ぐらいだと思います。事業紹介は、調べればココナラがどういうものかわかると思うので、興味があったら調べてください。

すごい雑な説明ですけど……大丈夫ですか? あと先月、「ココナラ法律相談」という新しいサービスを出しました。

匿名で弁護士に無料相談できるというサービスで、今までオープンな掲示板に、何かを書いて、(弁護士が)書き込んでくれるというものはあったんですけど、やっぱりオープンな場だと、詳しいことが書けないと。

でもクローズドで、弁護士しか見えない場なので、けっこうガチで相談できると。それで最大5人までの弁護士から回答がきて、一番いい人を選んでそのまま対話すればいいという。それが無料で使えます。

弁護士はまだ100人ほどしかいないんですけど、1年後、2年後に1,000人ぐらいになると思うので、会社の労務問題に困っているとか、転職しようと思ったら大変なことになっちゃったとか、離婚でもめているとか、そういったことがあったら、まず無料で相談できるので、ぜひココナラ法律相談で、ということでございます。以上です。

「教える食べログ」を目指すプラットフォーム

重松:ありがとうございます。では、藤本さん。

藤本崇氏(以下、藤本):はい。南さんのプロフィールを読んだんですけれども……。

重松:かぶってますよね(笑)。

藤本:そう、僕も企業買収ファンド出身で、年齢も1個下ですし、今スキル系のサービスをやっていて、創業時期もほぼ一緒です。ですが、今日はこういう場なので、私のバックグラウンドを(お話します)。

実は私、元々は金融系の人間ではなくて、FedEx(フェデックス)という大きな輸送系の事業会社にいました。その前は、新卒でユニバーサルスタジオというところに入って、遊園地の乗り物設計をしていました。

別に「大企業 VS ベンチャー」でもなくて、「起業 VS 会社勤め」でもなくて、けっこういろんなキャリアを転々としているので、そういったところをお話できるかなと思っています。

直近では、4年前から「ストリートアカデミー」という、教えたい人と学びたい人をつないで、MBAとか行かなくてもなんでも数千円で学べる世の中にしちゃおうという(サービスをやっています)。

新しいことを学びたいと思ったら、どんな街にも、どんな時間帯にも、どんなプライスレンジでも、なんでも教えている先生がいるという。今、8,000人ぐらい教えているんですけど、入会金もなくて、単発で何でも学べます。

うちのプラットフォームで予約はするんだけれども、対面でリアルで出会うというマッチングプラットフォームを運営しております。

個人も法人も乗っかっているので、教える側で言うとソニーミュージックさんや博報堂さんなども講座を出品しているし、学ぶ側では法人契約したベンチャー企業の社員さんなんかも学びに来ています。講座の具体的な開催例としては、カフェで英会話を学ぶとか、コワーキングスペースでプログラミング学ぶとか、お寺でヨガとか。

思いつくあらゆるジャンルで教えたい人をたくさん生み出して口コミで評価することで、「教える食べログ」みたいなものを目指しています。実際に先生デビューを果たして口コミが溜まったことで、著書の発表につながった人なんかも出てきてます。そういうプラットフォームです。

それで、個人の先生を輩出するために様々な活動や支援をして、結果として学びというものをを自由にすることで、従来の専門学校・スクールにはなかった選択肢がたくさん出てきます。

(そこから)必要なものを学んで起業する人なんかも出てきましたという感じで、個人がスキルを共有する文化を広めることで、学びを自由にして、個人が新しいことに踏み出す最初のステップを簡単にしようと。そういうサービスをつくっております。以上です。

30代半ば、遅咲きの起業に踏み切った理由

重松:ありがとうございます。では、次の質問。「ベンチャーを始める前はどんな仕事をしてましたか?」。南さん、イギリスでは起業したんでしたっけ? けっこう遅咲きなんですよね。

:そうですね。会社を辞めたのが36歳になったとき。その辺で勇気を与えられれば……「こいつバカだ」と思われるところでいくと、36歳で辞めて、専業主婦の妻と子供が2人いて、そんなところで起業しました。

重松:専業主婦だもんね。

:10年間ぐらい働いてなかった専業主婦です。1年間無休でやって、なんとかサバイブできたみたいなところでいくと、まあまあ運がよかったですね。銀行口座の底は2回ぐらい見た感じです(笑)。

重松:(笑)。藤本さんは(会社を辞めたのは何歳)?

藤本:35歳です。

重松:奥さんは?

藤本:専業主婦でした。それで、すぐ派遣会社に登録させて。

:無茶するよね。35歳でよく会社辞めたよね。自分のことはなんとでもなるけど、人の話だったら止めるよね。

重松:やることは決まってたんですか?

:僕は最初、ヘルスケアをやろうとして、3人で起業したんですけど、準備をして3ヶ月後に「これはないね」「どうしよう」と。

重松:その3人は?

:今もそのままです。今「FiNC」って会社あるじゃないですか? あそことほぼ同じことをやろうとしていました。

僕らは「ちょっとヘルスケア難しいね」「どうする?」というところから、今のアイデアが出てきてやっているので、まあムチャクチャですよ。

1年ぐらい経ったところで3人で集まって、「ぶっちゃけみんなの貯金とか知らないんだけど、あと生活費何ヶ月分あるの?」と。3人で「せーの!」で言ったら、3人とも「2ヶ月」って(笑)。

重松:危ない(笑)。

:「そろそろ給料ないんでヤバい」「投資家探そうぜ」と言って、一生懸命投資家を探しました。(資料が)パワーポイントしかないんだけど、2,000万円出してくれる人が見つかって、それでなんとかサバイブできたという。

なので、あんまりオススメしないですね。「起業は危ないぞ」と。新しい事業をやるんだったら、立ち上がったベンチャーに入るほうがいいですよ。本当にリスクがあるので。

起業するなら稼いでいる奥さんをもらうべき

重松:藤本さんは?

藤本:僕は起業したいという願望はあって、最初はヘッドハンターから、「ベンチャー企業にCFOとして紹介する」みたいな話があったんですよ。

重松:キャリア的にね。

藤本:キャリア的に。それで「いきなりCFOって華麗なる転職とはこのことだ」と思って面接したら、ファウンダーも「すぐ入ってくれ」と。トントン拍子でいったら、最後に社外取締役が出てきて「ダメ」「やめたほうがいい」と。

「うまくいかなかったら、CEOもクビにするつもりだけど、それでも来る?」みたいなことを言われて、周りの人と相談したら、「よく考えろ」と。

ベンチャーって、もがいて何もなくなったときに、残るのはその人と一緒に過ごした思い出が青春になって残るんだと。だから最後は人で決めたほうがいい。(結局)その人と一緒に働いてよかったと思える人かどうかを判断しろ、みたいなことを言われて、「ちょっと会ったばっかだしな……」と思っていて、一応上司には「辞めてベンチャー行きます」とは言ったんですけど、「ちゃんとその会社のことを調べてからもう一度考えてみろ」と言われて、結局踏みとどまってしまって・・・それから2年ぐらいふつうに会社で勤務してました。

:その会社はまだサバイブしてるんですか?

藤本:その会社は、実は、グルーポンの前に日本で最初に共同クーポンサイトを始めた会社で、飛んじゃったんですよ。その後にアメリカからグルーポンが上陸してきて、2社目の会社を買収してボーンって行ったんですけれども、最初の会社はうまくいかなくて飛んじゃったんです。

重松:M&Aされてもないんだ。飛んじゃったんですね。

藤本:減資までされて、VCがお金を引いちゃったという。

:今日って、転職促すような空気つくんなきゃいけないんじゃなかったっけ ?(笑)。大丈夫ですかね。

藤本:まあ、とにかく信用できる人とやる、人を見たほうがいいということだよね。

重松:人は見たほうがいい。僕は奥さんがVCをやっていて、わりとその起業テーマを早目に決めて、わりと段取りよく立ち上げたかなというところです。

:奥さんが収入ある人はチャレンジしたほうがいいよね。

重松:そうそうそう。これがけっこう大事で、男性の方は(会社を)やろうと思うんだったら、絶対に稼いでいる人と結婚したほうがいいですね。

:絶対ですね。

重松:子供がいたりするととくにね。

大企業とベンチャー、ストレスが大きいのはどっち?

重松:では次のテーマ。ベンチャーをやってみて感じた大変さとおもしろさ。もう大変なことばかりだと。でも面白味はあると。これが難しい。じゃあ、藤本さんから。

藤本:大変だったのは、やっぱり個人としてできることと、「事業を動かせる力」ということのギャップを感じてもがいていた最初の2年ぐらいでしたね。やっぱり頭でっかちになっていて、MBAにも行ったし戦略もよく知ってるはずなんだけれども、「描いた戦略が実行できない……」みたいなことが苦しかったですね。

ただおもしろさはそれと表裏一体で、サービスをローンチすると思ってもみない話がいきなり来たりします。ちゃんとホームページを立ち上げて、事業を営んでると、いきなり知らない大企業やテレビ局やいろんなところから、「初めまして……」みたいな話があって、意外なコラボやメディア露出につながったりするので、それはやっぱり企業勤めしているとなかなかない体験なのでおもしろいですね。

重松:そうですね。大企業にいたらないですね。

:大変なことだらけなんですよね。ただ、経営の仕事って意思決定じゃないですか。ロジカルに答えが出ることを決めるのは意思決定とは言わないなんですけれども、頭よければ誰でもできるので。それは別に部下がやればいい話なんです。

経営者の仕事というのは、もう価値観で決めるしかないとか、もうどっちに行っても辛いみたいなところを決めるしかないので、それを経営の仕事だと思ったらすべてが大変。でも、それが楽しいからやっているという話なので。

ただ、大企業のときと比べると、起業してからのほうが圧倒的にストレスが少ないんです。要は、決めなきゃいけないという意味では辛いんですけど、コントロールできるものと、コントロールできないものがあったときに、ストレスはコントロールできないものから感じるものだと思ってるんですよ。

だから、上司がこう言っているとか、環境がこうせざるを得ないみたいなときは、すごいストレス。自分のコントロールできない上司からしんどいこと言われたら最悪じゃないですか。

でも、(経営は)自分が決めるのが辛いという苦しみなんで、これはストレスじゃないですよね。だから、起業してからほぼストレスがなくて。

胃が痛くなるお金と人の苦労

唯一あるのは、お金絡みと人絡みですかね。採用したいけど入ってくれないとか。コントロールできないじゃないですか。「えー! 入るって言ったじゃん」「入るって言ったから募集の人断っちゃったよ」みたいな。そういうのがすごく胸が痛む。

重松:そうそうそう。ありますね。

:あとはお金。資金調達の直前とか、これはコントロールし切れないので。もう胃に穴が開きそう。でもそれは社長の仕事なので、周りの人はもうちょっと楽なんじゃないですかね。そんな大変な話はないです。

重松:大変さのところでいくと、やっぱり資金調達は社長の一番大事な仕事で、これはけっこうしびれますね。もう本当に、最後の最後までわからないですね。

:最後の最後、ちょっと(資金調達の)交渉が長引いて、創業者だけ給与遅配でやったことがあるんですよ。社員にはちゃんと出せたんですけど、創業メンバーは資金調達が終わるまで給料なし。これは胃が痛いです。

藤本:胃が痛いですね。いつまで続くかわからないんですよね。 自分は調達を見込んで先に採用をしてしまって、資金調達のクロージングが半年遅れた時が一番堪えました。人を口説いて入ってもらう際に「お金は大丈夫だから俺を信じろ」まで言って、入った後に「VCに渋られている。でもそれは俺のせいじゃないんだよ」って言えないじゃないですか。そこだけは、みんな「あなたを信じて来たんだからね」って言ってきているので。

ベンチャーの規模による経験の違い

:今日厳しい話ばっかり言っているような気がして。ベンチャー怖いとか。でも、そういうものを一緒に乗り越えたときの喜びは半端ないですよね。

重松:半端ないです。やっぱり喜びはそこだと思っていて、そういう辛さをサバイブしていって。

:そういうのを創業メンバーと一緒にサバイブしたいんだったら、社員1桁のベンチャーに飛び込んだら、一緒にその苦しみを味わえて、喜びも何倍になると。

そこまでのチャレンジはあれだけど、ちゃんと資金調達できてお金の心配もなく、自由な場で新しい事業をつくりたいんだったら、何億か調達している社員20〜30人の会社に入ったらいい。ちょうど今の僕らぐらいのところは、もう楽しさしかない。新しいことをつくれるし、自由だし、金はあるし。普通の大企業よりよっぽどいい。

重松:おっしゃるとおり。使える金があるからね。

:使える金がでかいんで、そういう人は僕らサイズ(の会社)がいいです。

重松:そうですね。でも数人規模だと、その会社がなくなる可能性もあるんでね。

:なくなるリスクもあるので。

重松:それはけっこうあるよね。

:この人と、この夢にかけるなら、会社がなくなっても半年で潰れても本望だと思えるんだったら、1桁のサイズの会社に飛び込んだらいいけど、中途半端な気持ちで1桁社員になりたいですとかやっちゃうと危ない。

重松:基本的に何パーセントぐらいサバイブできるんですかね? シード期を超えるのは。ひっそり消えていくからね。実は10パーセントもなかったりするんでしょうね。

藤本:でも潰れはしないですよ。法人から受注とかもらったりしたら、けっこう資金繰り続いちゃったりするじゃないですか。アメリカは資金調達したらVCがシビアなんで、ちょっと立ち上がりが遅かったり上手くいっていなかったら、見切られてすぐ「やめて清算しろ」とかありますけど、日本にはそういう株主はいないですよね。そういう意味では、お先真っ暗みたいなリスクはけっこう少なくて、かなり生き延びれる。

重松:生き延びれるけど、まあ生き延び方ですね。

藤本:生き延び方ですね。

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