小池都知事「引き継ぎやチェックがいい加減で、責任感が欠如していた」豊洲市場問題の調査報告

豊洲市場問題に関する調査報告 #1/2

9月30日、小池百合子都知事が定例記者会見のなかで豊洲市場問題の調査報告を実施。引き継ぎやチェックがいい加減だったことを問題だとし、再発防止のために、都庁マネジメント本部を設置したと発表しました。

豊洲市場問題で重要な点は2つ

小池百合子氏(以下、小池):それでは、本日の定例記者会見を始めますが、今日はまたテレビ台数が多くて、すごいですね。

今日は4点お伝えすることがございます。まず、フラッグツアーを行う件でありますけれども、オリンピック・パラリンピック、2本の旗が揃いました。それを、都内各地に、私がまさしく旗振り役としてみなさまにお披露目をし、そしてそれぞれの地域でのオリンピック・パラリンピックに向けた機運を高めていこうという、そういう趣旨でございます。

10月8日に小笠原村、そして翌9日には奥多摩町へ赴きます。そして、フラッグの方でありますけれども、八王子のシルク生地で制作されたものとなっております。八王子の産品、繊維生産品ということでお願いをしたものでございます。

そして、視察先でございますけれども、小笠原村では、小笠原のビジターセンターなど。それから奥多摩町では、小河内ダム水道水の水原林などを予定しておりまして、そのほか檜原村も訪問をする予定でございます。私にとりましては、フラッグとともにそれぞれの東京都内を視察をするといういいチャンスになろうかと考えております。 

次に、こちらもオリンピック・パラリンピック絡みとなりますが、今回のリオ大会のメダリストの表彰式を10月12日に開催をいたします。今回、大変活躍をしてくれました、オリンピック・パラリンピックの選手のみなさん。多くの都民に大きな感動と活力を与えてくれたみなさまに対して、都民を代表して敬意を表するという趣旨でございます。

今大会メダルを獲得いたしました、東京に縁のあるアスリートは、合わせまして51名であります。その功績をたたえて、「都民スポーツ大賞」を贈呈いたしまして、お祝いを申し上げると。

そして、その中でも9名のアスリートが金メダルを獲得しておりまして、こちらは加えて「東京都栄誉賞」をお送りすることになっております。次の東京大会では、さらに多くの東京アスリートが活躍することを期待しているところでございます。

詳細については、オリパラ局(注:東京都オリンピック・パラリンピック準備局)にお尋ねいただければと思います。

それから3番目でございますけれども、いわゆる豊洲市場の地下空間についてでありますけれども、自己検証をするように、ということで9月いっぱいを期限といたしましてまとめるように指示をしておりましたところ、事務方からその報告が届きましたので、お知らせをさせていただきます。

まず、基本的な考え方として、都の職員が自ら問題に向き合う、そして問題の原因を解明するということが必要と考えまして、まさしく都政改革本部にあります、第一の「自立改革」ということで、都の職員自らが今回なにが問題であったのかということを、この調査にあたらせた、検証にあたらせたところでございます。

そして、この会見の後に事務方から調査結果についての詳細なご報告について説明をさせますけれども、私の方から重要な2点についてお伝えをしておきます。

まず1点目でありますけれども、「いつ、どの時点で誰が盛り土をしないということを決定してそういうことになったのか」という点であります。論点が、「いつ、どの時点で誰が決定して、盛り土をしないことになったのか」。

2点目。「なぜ、都議会、都民などへの説明責任を果たしてこなかったのか」ということであります。都民への、都への説明責任ということでありますけれども、例えば、ホームページ上でずっと「建物の下にも盛り土があるという説明図をそのまま掲載し続けた」という点でございます。都議会における答弁などでも明確な事実を伝えていなかったという点などがございます。

いつ・誰が決定したのかをピンポイントで示すのは難しい

まず1点目の「いつ、どの時点でだれが決定して盛り土をしないことになったのか」という点でございますけれども。

当時、そして現在の幹部職員へのヒアリング、過去の資料などを精査いたしまして、その結果として、盛り土をしないことを決定したプロセスといたしましては、大きく分けて5つの段階があっただろうということであります。

まず第1段階として、平成20年~21年頃、その時期は技術会議が開催されて、土壌汚染対策工事の内容と一緒に、モニタリングや万が一の際に作業するための空間の必要性が議論されていたという時期であります。

そして、これに並行しまして、市場当局の技術担当部門では、空間を地下に設ける場合の技術面での可能性と課題について検討を開始したということでございます。時系列でチェックをすると、そういう流れがまず第1段階でございます。

第2段階でございますが、基本設計の時期となっておりまして。平成22年の11月に基本設計の起工が決定され、この際の特記仕様書には「地下」とは書かれておりませんけれども、「地下」という2文字はありませんけれども、「モニタリングの空間設計等は本設計に含む」という文言で明記がされている、ということであります。

その後の設計事務所とのやり取りのなかで、都の側から地下空間のイメージ図が提示されるということなどで、地下を想定していた検討がなされてきているということでございます。

それから3段階目になりますと、平成23年8月18日、中央卸売市場新市場整備部におけます部課長級の会議でございますが、この会議においては、地下にモニタリング空間を設置する方針を、部のレベルで確認したと考えられております。

それから4段階目でありますが、平成23年9月に、実施設計の起工の決定が行われた時期となっております。仕様書として、地下空間が建物の下全体にわたって示されている断面図が添付された資料がございました。

この実施設計、実施設計起工の決裁が、局として地下に空間を設ける組織決定となったということでございます。ですから、この第4段階のところで実施設計が具体的に明記されているということであります。

第5段階でありますけれども、実施設計完了の時点となりまして、高さ・寸法が明記された地下空間が建物下全体にわたって示されておりまして、この時点をもって、建物の下に盛り土がないことを最終的に確定した、と判断されるわけでございます。

つまり、基本設計から実施設計に向けたこの一連の流れのなかで、地下空間を設けるということ、そして盛り土をしないということが段階的にかたまっていった、ということが考えられまして。

まあ、ここが問題なんですが、いつ・誰がという点については、ピンポイントということで指し示すのはなかなか難しい。逆にいえば、それぞれの段階で、なにか流れのなかで、空気のなかで、進んでいったということで、それぞれの段階において責務が生じるものと考えております。

引き継ぎなどもいい加減で、責任感が欠如していた

次に2点目の、なぜ都議会・都民等への説明責任を果たしてこなかったのかという点でございますけれども。都議会での答弁で「全体に盛り土」と表明してきたことの原因については、組織運営上の問題に行き着くと言わざるをえません。

具体的には、土壌汚染対策を担当する土木のセクションと、それから建物管理を担当する建築セクションとの縦割りによる連携不足があるということと、市場長など管理部門のチェックもなされていなかったということで。

そして、そういう管理、まあ縦割りのなかで。で、答弁は前に使った答弁をそのまま活用してしまったという話でございまして、非常に遺憾、残念な流れがここで見られるということであります。

いずれにしても、事実と異なる答弁を行っていたことは明白でございまして、結果として都議会、そして都民、さらには市場関係者のみなさまに対しての説明責任を果たしたとは、残念ながら、到底言えないということになります。

それで、ホームページに掲載し続けてきたわけでございますけれども、その誤った図について、専門家会議、まあ当時からの土壌汚染対策を説明する、いわば概念図をずっとそのまま使用してきたという話でございます。

誰も気づかなかったというか、「情報公開してたよね」ということで、そのあとのチェックさえなされていなかったという、恥ずかしい状況でございました。

それによって、都民・市場関係者に誤解を生じさせるおそれがあるということは、当然、本来ならば予見できたはずでございますけれども、これについても、都民に対する説明責任をまったく果たしていないと言わざるをえないわけでございます。

以上、主な2点について申し上げたわけでございますけれども、やはり業務を把握すべき立場の歴代の市場長がいます。

それと都民・業界の方々などに説明していた、「盛り土をしない」ということを知らずに決裁を行ってきたという話。

それと安全対策に関わってきた方々に対して、これは平田先生をはじめとして、環境に関する専門家会議がございますよね。まあそれを一度閉じていたから、ということもあるんでしょうけど。

その歴代の部署の引き継ぎなどもいい加減であったということでございます。ですから、そういう過去の流れをチェックもせずに、そのまま進めてきてしまったということでございまして、企業で言うならば、まさしくそういった情報の共有、そしてコンプライアンスが欠けていたと言わざるをえないのが正直なところでございます。

また、事実と異なる答弁をしていながらも、組織の誰も「あれ、おかしいな」と異論を唱えなかったということでございます。

ひと言でいえば、今回の事態を招いた最も大きな要因というのは、ガバナンス、責任感の欠如ということになります。

内部告発を制度化

加えまして、先ほど申し上げた、前の答弁をそのままコピーするといった点、それからチェックが不足している点、さらには意思決定のプロセスが不備であると。

それから上司と部下の間、土木と建築の担当、あるいは技術職と事務職といった職種間での連携の不足、そういった点があげられると思います。

1人個人の問題もありますでしょうが、ひと言でいえば、組織運営上のシステムの問題ということもございますが、だからこそ問題なのだと私は思っています。だからこそ「都政大改革」なのだと思っています。

「まあ都庁は伏魔殿でしてねぇ……」と、評論家のように言っているわけにはいきません。ですから、ここはしっかりと改革を進めていって、このような事態が起こらないようになにをするかという意味で、今日ここでご報告させていただいた検証については、まずは自ら「なにがどうなってたんだ?」ということを検証した、その報告書ということでございます。

今回の調査、職員自らの手で行ったことについては、私は一定の評価はいたしますけれども、しかしながら、これが十分かというと、十分ではありません。

そしてまた、市場の担当の部門だけで完結しているようなところがございますけれども、これまでの関係しておられた方々等々、もっとヒアリングも重ねていかなければならないと思いますが、そういう個人の問題とこれからの組織としての問題と、さらに深掘りをすることによって、「東京大改革」という私が掲げている大きなテーマが1歩でも前に進むのではないかと思っております。

よって、今回のこの報告書をもって終わりとするというのではなく、とくにシステム的な問題を精査していくということからも、昨日、都政改革本部のほうで、情報公開調査チームの検討状況のところでお知らせいたしたんですけれども、情報公開調査チームが、これから公益通報制度を設けるということの準備をしています。その旨をご報告させていただきました。

公益通報というのは、職務遂行上の法令違反行為を通報する制度、「ホイッスルブロワー」という言葉があります、笛を吹くということでありまして、一種の内部告発であります。一種のというか、そのものでありますけども。

このシステムを現在整えているところでございます。匿名・実名どちらもOKというかたちで。そしてまた、通報の仕方については今、受け皿を整えているところでございまして、弁護士事務所になる予定でございます。また整い次第ご報告することになるかと思います。

これまでの通報制度というものは、すでに公益通報者保護法にもとづいて実施もされています。つまり内部告発者がそれによって不利益を受けない。「あいつが言いつけたんだ」みたいな感じで、結局組織から阻害されるということの無いようにするための法律でございますけれども、これはすでに実施はされているところでございますけれども、より情報を出しやすくするための工夫をしている最中であるということでございます。

いずれにいたしましても、まずはこの報告書をベースにいたしまして、今回のこのような問題が再び起こらないように。そしてまた豊洲の市場の問題は非常に複雑化しているなかにおいて、とくに安心安全で地下水のモニタリングが十分でないということで、来年9回目の採水の結果を待って、ということで(市場移転を)延期しているんですね。

この空間が地下にあった、盛り土がされていなかったということではなくて、安心安全の観点から、2年間のモニタリングをしっかりと終えて、そして1月半ばに出てくる結果を見ないと、本当の意味で安心安全ではないという宣言が、私として、都知事としてできないということを申し上げてきたわけでありまして。

今日出てきた報告書というのは、組織の中で情報共有ができていなかった。情報公開が間違った情報を公開してきた。それから、この巨大組織の中で、建築、土木、そして環境。それぞれが縦割りであって、それぞれの責任の所在が不明確であったという別の問題が途中から生じてきたということでございまして。

そういった意味で今回の報告。これはむしろさらに都庁の構造問題につながってくると思いますので、今のような方法でさらにこの組織、都庁のガバナンスがしっかり働くように。そしてまた、都庁の職員が高い志と士気を持って、都民のみなさまのためにこれからもしっかりと元気に働けるような、そんな環境をもう一度取り戻していくためにも、そういったかたちで進めていきたいと、このように思っております。

ヒアリングについては、これからもいろいろな関係者の方々に情報を提供してもらおうと考えておりますが、たぶんご関心のある、これまでの知事の方のヒアリングというのは、まだ時間的な調整はできておりません。

「都庁マネジメント本部」を設置

それから、これに関連するんですが4番目のご報告であります。今の問題につながるんですけれども、都庁のマネジメント、ガバナンスの機能強化をしなければならないという考えをベースにいたしまして、このたび、「都庁マネジメント本部」なる組織を設置いたしました。

これは、今回の市場問題で情報が共有されていなかったこと、それから責任の所在が曖昧であったこと。そしてさまざまな都政運営上の数々の課題が浮かび上がったわけでございますけれども。それではどうするかということで、都政の信頼を取り戻すというためには、マネジメントをもっと強化していく、そして重要な情報をきちんとそれぞれが縦割りを超えて共有していこうということ。それを行うための会議でございます。

今、市場問題から立ち上がってきた問題点が書いてあるんですが、じゃあどうするかということで、都庁マネジメント本部を設置したところでございます。そして、今日の午前中にすでに1回目の会議を開催いたしました。

ここは、4人の副知事、そして各局長等々が参加いたしまして。いい情報を分かち合うのも楽しいんけれども、むしろ今はなにが大変か。今は大変なことばかりなんですが、今後大変な事態が起こるかもしれないといったような。今後将来的な問題点等々、良い話よりも悪い話から共有していこうと。いずれにせよ、情報を共有していこうというものであります。

国で言うところの閣議というのもあるんですが、閣議もこれまではどちらかと言うとサイン大会みたいな話になったりいたします。もうすでにでき上がったものに、大臣はサインするだけという「サインマシン」などと言われているわけでございますけれども。そういう形式的なものではなくて、中身のあるものにしていきたいと思っております。

これまでもさまざまな知事のもとでいろんな会議体があったりなかったり、途中でやめちゃったりとかいろいろあったそうなんですが、私はぜひ、今回の問題を解消していく、解決していくための方法として、まずはこの都庁マネジメント本部を設けたということでございます。

そしてこの会議で、都民目線で都庁全体に横串を刺していく。そして一丸となって信頼回復に向けて邁進をするということを、貫いていきたいと思います。担当は制作企画局でございますので、詳しくはそちらの方でお聞きいただければと存じます。

私の方からお伝えする4項目は以上でございますので、それでは幹事社に戻します。

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