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外食ビッグデータはアイデアの宝庫! 食のデータに見る生活者インサイト(全3記事)

今年のトレンドは餃子? ぐるなびの流行メニュー予測を支えるビッグデータ

プロモーションとクリエイティブの両輪から、ビジネス・マーケティングの効果を最大化させるためのノウハウを提供する「宣伝会議 プロモーション&クリエイティブフォーラム」。8月31日に行われた「外食ビッグデータはアイデアの宝庫! 食のデータに見る生活者インサイト」では、創業20年目を迎える「ぐるなび」が持つビッグデータの一例を紹介。過去の分析から未来の予測まで、食のデータが持つさまざまな可能性について語りました。

店舗データを活用して電波改善に協力

高橋俊也氏:もう1つ、我々にとって非常に重要なデータがあります。それが店舗の基本情報です。

当たり前のことながら、店舗名、エリア、業態、客単価というのがあるんですが、ぐるなびでは、もっともっといろんなものを持っております。

例えば、そのお店は分煙ができているんだろうかと。逆に言うと、そこのお店ってたばこ吸えるのと。お店選びの時に、スモーカーの方にとって重要かなと思っています。

ママ会をやろうといった時に、子連れをけっこう拒否するお店さんもなかにはいらっしゃるので、そもそも子連れを歓迎していますよというお店のフラグだったり。

あと、ペットも今大事なパートナーなので、ペット同伴可能ですよという、3つのフラグを持っていたりします。

当たり前のことながら、インバウンド時代において、外国語メニューがあるお店かどうかのフラグを持っていたりしまして。

我々としては、例えば、ユーザーに対して、これ、ぐるなびの検索のなかで絞り込みができるんですけど。ぐるなびで絞り込みをする時に、約140項目以上のなかから、ユーザーが自分にあったお店をセグメントしていくことができるということになっております。

なので、我々もこういったデータを使いながら、例えば過去やらせていただいたのは、通信キャリアさんと電波解析で、ソフトバンクさんが繋がるお店、ドコモさんが繋がるお店、auさんが繋がるお店というフラグを持っていまして、そういったところで、電波改善のお手伝いをやらせていただいたベースというのは、こういった店舗さんの基本情報があります。

さらに、我々はぐるなび加盟店様にそのお店が時にこだわっているところをPRしていただくためのウリ・こだわりページというのを持っておりまして。こちらに書いております。

例えば、「世界13種類のクラフトビールを楽しめますよ」とか。「目の前でお肉焼きますよ」というようなこだわりをPRするページを持っております。

こういった情報を使えば、例えばビールメーカーさんというのかわからないですけど、こだわりのお店でプロモーションしたりというようなところで、ビールにこだわりを持っているお店さんを抽出して、そこでなにかプロモーションしたりというようなこともできます。

調味料メーカーさんでいうと、ドレッシングのPRをしたいという時は、有機とか野菜にこだわっているお店をピックアップして、そこでプロモーションを展開するということに使えるんじゃないかということです。

マーケティングに役立つエリアの分析

メニューと分析ができるというお話をさせていただきました。さらに、エリアの分析もできるということで。

例えばクラフトビール、東京でどう取扱店舗数が推移していったかというと。東京都の地図にプロットしてみました。

まずは、2014年の7月なんですが、この時点でクラフトビールの取扱いのあったお店。これはおそらく山手線の東側なので、銀座、丸の内、新橋辺りかなと。こういったところで火が付いているという気配が見られます。

それを1年後見ていくと、だいぶ、新宿とか渋谷でも取扱が増えてきています。

これが今年の7月になると、こういうかたちで都内全域でクラフトビールの取扱店舗が増えてきたということで。

こんな感じで我々はプロットすることができます。

例えばなんですけど、ここはクラフトビール激戦区だねというのが見てとれるので、新たに参入してきた方の、例えば東京の西側でプロモーションしてみようかと、そういうところのマーケティングのお手伝いで、こういったデータが使えるかもしれないなとは思っております。

これを日本地図でプロットすると、さっきの焼きそばのようなかたちで見ていくこともできますし、いろいろな活用の方法はあるんだと思います。

検索履歴と取扱店舗数の相関

今まで申し上げたユーザーの検索数とか閲覧履歴、さらに店舗が発信するメニュー情報のかけ合わせの分析が可能です。

少し、「熟成肉」で、じゃあ、検索の履歴と取扱店舗数の相関ってどうなってるんだろう、ということを見てみました。「熟成肉」です。

(スライドを指して)青い折れ線グラフがユーザーの検索数です。そして、オレンジ色の棒グラフが取扱店舗数の伸びです。

これ、つまり外食に一般的な話なんですが、一定の取扱店舗数が増えるとですね、どのお店もシェフがこのメニューを取り入れようということで、それでシェフが人気メニューとして取り入れて、その後に検索が追いついてくる。というのが一般的な外食市場からのブームになる事例でございます。

続いて、家庭用のメニューっていうのもあるんですけど。これは少し違った動きを見せます。「塩レモン」。これ一昨年ですかね、けっこう流行ったと思うんですが。

「塩レモン」については、先に情報番組などのメディアで「塩レモンきてるよ」というので、ぐるなびもいくつか情報提供させていただいています。

朝の番組とかで「塩レモンきてるよ」と主婦の方にPRされて、検索が先に来ます。その後、「それがきているんだね」ということで、外食でも取扱メニューがどんどん増えていって、外食でも定着してきているというのを把握することができます。

なので、内食発祥メニューであっても、それがちゃんと定着したかどうかというのは、こうやって外食のデータを見ることが有効なんじゃないかなという感じです。

じゃあ、定着しなかったものもあるよねということで、もう1つの事例で、「ジャーサラダ」。これは去年爆発的にヒットしました。

じゃあ、どんな推移を見せたかというと、(スライドを指して)検索数のピークはここに来ているんですけど。その後いくつか「ジャーサラダ」を外食で取り入れた店舗さんもあるんです。

でも、いろいろな問題があったかもしれませんが、その後は取扱店舗数はもうぜんぜん増えなかったということで、つまり「ジャーサラダ」は外食では定着しなかったということが見てとれます。

これもまたどっちがいいか悪いかではなくて、なぜ定着しなかったかというところを分析するためにも、こういったデータが有効じゃないかと思っています。

ビッグデータを活用したマーケティング事例

さらに、我々の持っているデータの3つ目。営業でございます。

我々は1,000人の食のスペシャリストがいまして、日々飲食店さんとface to faceのコミュニケーションをとっております。

どういう人間たちがいるかと言いますと。加盟店への、こちら約400人で、販促を中心とするコンサルティング集団です。さらに、巡回スタッフということでキメを細かくサポートするようなかたちで約300人います。それでコールセンターも約250人。

さらに、ぐるなび大学という講座を持ってまして、約50人の専門の講師がおります。そういった人間が日々飲食店さんの生の声を収拾しております。

ちょっと定性的なものをいくつかピックアップしてきました。

例えば、「肉汁まで出るハンバーガーというネーミングにしたらけっこう売れているよ」とか。「肉系というのは問い合わせが好調だよ」とか。あと、「3時間飲み放題付きチーズフォンデュ女子会コースの反響が大きいよ」ということで、日々飲食店さんが言う定性的な情報も、我々はすべての営業マンにタブレットを持たせて集めている。それがぐるなびのデータベースに落ちてきています。

こういったものも分析することで、実際にどういうビジネスモデルのデータの持ち方をしているかと言いますと、ユーザーと店舗の発信するオンライン、ぐるなびのオフラインのインフラが日々収集しているオフラインのデータを掛け合わせたぐるなびのデータができてきています。なので、かなりオリジナリティが高いビッグデータかなと自負しております。

じゃあ、これを使ってなにをしているのというところなんですが、いくつかの事例を紹介させていただきたいと思います。

2014年なんですが、百貨店の売り場を作りました。「ボジョレー・ヌーボーの解禁日に合わせてユニークな売り場を作りたい」というお問い合わせがありましたので、その当時流行っているメニューはなんだろうということで見てみたら、トルコのメニューなんですが、「さばサンド」というのが、けっこう流行っていました。

ということで、ワインを飲みながらサンドイッチを楽しもうということで、「おつまみサンド」というコンセプトを立てました。

こちらワインを売っているんですけど、「おつまみサンド」で、ここはパスコさんにご協力いただいて、パスコさんの売り場とワインとこれに挟む、例えば、生ハムとか缶詰とかそういったものを、全部ここに集約して「おつまみサンド」という売り場を作りました。

わかりづらいんですけど、こちらにいろんなレシピがあるんですけど、ぐるなびのシェフが「おつまみサンド」に合うレシピを開発して、食べ方もご提案させていただきました。

実は、そのお店の平均的な購買年齢層が70歳代なんですね。でも、この売り場だけは40歳代ということで、あるお客様の動勢といいますか、客層を少し変えたということで、おもしろい取り組みだと評価していただいて、その後もいくつか検討を進めていっております。

世相を反映したメニューを選ぶ「今年の一皿」

さらに、我々はビッグデータから抽出された、トレンドを新聞社の弊社コラムでも展開しています。「塊肉」についても発表させていただいているんですけど、塊肉について、実は某製菓会社さんとは商品開発をさせていただいた事例がございます。

今、コンビニエンスストアさんの棚取りがけっこう大変になってきているなかで、某製菓会社さんは相当高い商品開発能力をお持ちなんですが、やはりそこに付加価値を付けて、ぐるなびの外食データをかけ合わせてなにかやりたいというようなお話をいただきまして、ちょっと肉に、ターゲットは、30代、40代で肉にこだわってみようということになりました。

そういったなかで見ると、赤身肉、熟成肉、ハラミステーキ、更に検索データ、肉バル、熟成肉の検索、すべて伸びているというのが我々のデータを見てわかりました。ただ、肉ってちょっと広いので、そのなかでもなにが一番伸びているんだろうと見たところ、「塊肉」というのが非常に伸びていると。

検索数で言うと、2,180パーセント伸びているということで、「よし、じゃあこれでいこう」ということになりまして、商品を発売させていただきました。

けっこうにんにくとか黒こしょうをきかせたポテトチップスを発売させていただきまして。実際にどうだったかということで、発売後ヒアリングをさせていただきました。

そういったところ、やはり数あるコラボレーションのなかでも外食のトレンドをしっかり反映している商品だったということで、同時期の売上で言うと、某製菓会社さんのなかでも非常に売上が高く、主要なコンビニさんの棚がすべてとれたとうかがっております。

我々は、もう1つ、一昨年からなんですが、世相を反映したメニューを後世に残していこうということで、「今年の一皿」ということを年末に発表していこうというふうに取り組みを行っております。

去年は、「おにぎらず」を発信させていただいて、一昨年は「ジビエ」を選定させていただきました。

これが発表した後どうなっているのかということで、またデータを見てみましょう。

ここで、2012年の12月に「今年の一皿」を発表させていただいた後、確実に「ジビエ」というのは浸透していて、検索数が伸びていっています。

今年流行するメニューは?

さらに、外食でのメニューバリエーション非常に伸びていて、「ジビエ鍋」、「鹿肉メンチカツ」といったかたちでメニューバリエーションが増えています。

今年もぐるなびは、農林水産省さんと組んで今度は家庭用のレシピをシェフに考えてもらおうということで、ジビエを使った家庭用のレシピコンテストというのを行いました。ジビエが今度家庭料理にどんどん普及してくるんじゃないかなと思います。

ちょっとお時間も押しているんで、もう1つ、ここはお伝えしたいというところ。

ぐるなびのチャレンジとして、トレンドを予測してみようじゃないかということで、分析エンジンを構築させてもらいました。これは東大の教授と真剣にやった、山勘じゃなくて、ちゃんとロジックがあって、作るものなんですが。

ご紹介するのは、2016年の4月に、この時期流行るだろうと、我々がエンジンで予測したものをお伝えします。

流行っているかどうかわかりませんが、1つ目、「餃子」です。今、餃子は女性を中心にしてけっこう流行っていますし、餃シャンスタイルということで、シャンパンとかけ合わせたり、流行っています。

あと、「ハンバーガー」、これはグルメバーガーがあります。さらに「シードル」「アボカドオイル」「肉巻き」ということで、我々はトレンドデータをこういうふうに予測するということをやらせていただいています。

これが当たるかどうかわからないんですが、我々のビッグデータで過去を掘り下げることもできますし、未来を予測することもできるということで、非常に多種多様な可能性を持っているんじゃないかと思っております。

今日会場の外に我々ぐるなびのブースを持っておりますので、細かいお話だとかそういったことはぜひブースに立ち寄っていただいて、お話できればと思っております。

こちらで私の講演を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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