日本のマーケティング業界を牽引する豪華登壇者たち
江端浩人氏(以下、江端):これからパネルディスカッションを開始させていただきたいと思います。こちらから順に、お呼びいたしますのでみなさん拍手でお迎えください。まずシンフォニーマーケティング代表取締役、庭山一郎さんです。よろしくお願いします。
(会場拍手)
それからブルーカレント・ジャパン代表の本田哲也さんです。よろしくお願いします。
(会場拍手)
日本アドバタイザーズ協会理事、国際委員会委員長の山口有希子さんです。
(会場拍手)
アジャイルメディア・ネットワークCMO、徳力基彦さんです。
(会場拍手)
みなさん、よろしくお願いします。たぶん、今まででいちばん緊張するパネルディスカッションかなと思うんですけれど、庭山さんどうですか?
庭山一郎氏(以下、庭山):いや、平和大事ですよね。ご存じのとおり、僕はBtoBの専門なので、BtoBのマーケティングって、実はすごくソーシャルと遠いところにいるんですね。
我々のクライアントの会社さんとしてはもちろんCSRとか、世界平和にものすごくインベストメントしてやっているんですけれど、我々の日々のマーケティングの活動というのはコンポータルの売上をどうする、あるいは、どうやって案件作るといったところで本当に地べたでやってるので、マーケティングは本当に世界平和に貢献できるのかなと、自分自身はちょっと懐疑的なところがあったりもしています。
26年間、BtoBマーケティングに注力
江端:ありがとうございます。今スライドが出ていますので、もしよろしければふだんのお仕事をお話しいただければと思います。
庭山:BtoBしかやっておりませんで、マーケティング用語でいうデマンドジェネレーションといいますけれど、案件を作ってそれを営業さん、あるいは代理店に安定供給するという仕組みを作るというところのコンサルティング、それからアウトソーシングをやっています。
たぶんBtoBマーケティングとか、来年ぐらいからアカウントベースドマーケティングとか、そういったキーワードがどんどん日本に入ってくるんですけれど、そういうところだけを26年間延々やっている、ちょっと変わった会社です。ですからクライアントも、本当に中堅以上の、とくに製造業が多いんですけれど、本当にBtoBだけにサービス提供している会社です。
江端:26年間ずっとやってて、私の大学の授業にも昨年来ていただきまして、非常に生徒から好評だったんです。やっぱり、最近BtoBのマーケティングって、26年間やっていて盛り上がっていると感じられるのかなと、どうでしょうか?
庭山:26年間やってきまして、たぶん5年ぐらい前まで、よくマーケティングの関係者に言われたのは、「いいねえ、ブルーオーシャンで」って言われていたんですね。「誰も競合がいなくて、シンフォニーさんだけやってて」と。
江端:オンリーワンだったんですね。
庭山:ブルーオーシャンって、住み心地が極めてよくないんですね。エサがいないんですよ。なので、今は言ってみればレッドオーシャンなんですけれど、ものすごく住み心地がよくて(笑)。やっぱり豊饒(ほうじょう)の海はレッドオーシャンなんだと思っている今日このごろです。
江端:ありがとうございます。ようやくやわらかい感じになってきました。次に本田さん、自己紹介をお願いします。
戦略PRのプロ・本田哲也氏
本田哲也氏(以下、本田):ブルーカレント・ジャパンの本田です。今日はよろしくお願いします。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私はPRという領域でずっとやっています。うちの会社は戦略PRの専門会社ということで、マーケティング全体のなかでは、マーケティングコミュニケーションのなかのPRという、伝え方というところで日々仕事をしています。
この「次世代マーケティング(プラットフォーム研究会)」が一番最初の時にご一緒させていただいて。
江端:LINEの田端(信太郎)さんと本を出された時ですよね。
本田:その時は広告とかメディアとかの話が中心だったので、非常に話しやすかったんですけれど、今回は「平和」ということで、非常に大きいテーマだなと。
ただ、PRって「Public Relations」というぐらいですから、みなさんご存じのように、そもそも公共的なものとか、社会的なものとの相性というか、もともとそういうところから生まれてきているので、そういう観点ではいろいろ話ができるかなと思うんですけれど、でも、平和という大きなテーマではなかなか……。
さっき藤井さんもおっしゃってましたけど、これは世界的なPRの業界でもまだまだないんですよね。ですから、今日は私も半分勉強かなと思ってるんですけれど、PRの観点からお話しできればと思っています。よろしくお願いします。
マーケティングと平和の相性は?
江端:先ほど、藤井さんから「マーケティングと平和って本当に相性がいいのか?」といただいたので、そこで話をしようかなと思ってるんですけど。本田さん、今、10年でしたっけ?
本田:はい、会社はちょうど10年ですね。
江端:このあいだ、Facebookで「10年前に比べて、今はすごくやりやすくなった」ってコメントされてらっしゃいましたけど。
本田:確かにそうですね。PRも10年前は、本当に理解がなかったですから。業界、とくに日本の広告業界は。そういう意味では10年で考え方が進んで、やりやすくなりましたね。レッドオーシャンとブルーオーシャンのあいだぐらいかもしれないですけど、そんな状況です。
江端:あと本田さんは、カンヌのクリエイティビティ・フェスティバルで、去年はスピーカーをされたり、今年は講師をされたり。
本田:はい。そのあたりはあとでお見せできたらと思うんですけど、PR、広告も含めて、世界的にも社会に対してどのように貢献できるかということはホットなテーマになっているので、最先端でどういったことが起こっているかというのはお話ししたいなと思います。カンヌの事例も持ってきました。
江端:よろしくお願いします。さっき庭山さんになかったけど、2人に拍手を。
(会場拍手)
マーケター歴20年の山口氏
では、山口さん、自己紹介を。
山口有希子氏(以下、山口):みなさん、こんばんは。山口と申します。本日は日本アドバタイザーズ協会ということで、広告主・マーケターの協会なんですけれど、そちらのメンバーとして参加させていただいています。
私自身は、いろんな企業でマーケティングコミュニケーションを担当しておりまして、かれこれマーケター歴は20年、歳がバレますけれど(笑)、やっております。
現在はIBMという会社において、マーケティングを担当しておりまして、まずブランドコミュニケーションというところで広報、会社の広告宣伝、社会貢献チーム、インターナルエグゼクティブコミュニケーションチームというのをまず最初に担当させていただいています。
最近、実は8月からコンテンツマーケティング&サービスという、社内エージェンシーチームみたいなところを立ち上げまして、コンテンツマーケティングにも注力しています。
世界平和とマーケティングという、かなり難しいお題なんですけれど、先ほどもコメントであったんですけれど、世界をよりよくするために企業がいろんな企業活動をするということはものすごく、(腹に)落ちるんですね。
そのためにどういうCSR活動をするか、PR活動をするかというのは、すごく連携がしやすいですね。そのまた次のレベルの世界平和というところになった時に、どういうふうにコネクトするのかというのは、いろいろみなさんの意見を聞きながら議論ができればと思います。
江端:はい、ありがとうございます。拍手をお願いします。
(会場拍手)
アンバサダープログラムを取り巻く環境は?
では、徳力さんお願いします。
徳力基彦氏(以下、徳力):アジャイルメディア・ネットワークの徳力と申します。今回「ワールド・マーケティング・サミット」のアンバサダーもさせていただくということで、壇上に呼んでいただいたと認識しています。
どちらかというとうちの会社は、ソーシャルメディアとかアンバサダープログラムとかをやっている会社で今回のテーマには遠いんですけれど、今日はどちらかというとブロガー的な立場、1ユーザーとして、みなさんにお話しを聞ければというスタンスで参加しております。よろしくお願いします。
江端:徳力さんもアンバサダープログラムみたいなものの日本では先駆けだったと思うんですけれど、やはり最近すごく受け入れられてやりやすくなったんじゃないかな、なんて思うんですけど。
徳力:どうですかねえ。うちはソーシャルメディアマーケティングバブルを経て反省して、どちらかというと、マーケティングというと従来通りの宣伝っぽく聞こえちゃうので、そうじゃなくてコミュニケーションプログラムだというのを強調するために、アンバサダープログラムと名称を変えて今、2年、3年ぐらいやっています。
そういう意味ではたぶん、20年前の庭山さんぐらいのポジションなんだと思うんですよね。
江端:まだプロモーションですか。
徳力:業界がなくって、ブルーオーシャンというと聞こえがいいんですけれど、現状は市場がない状況です。どちらかというとアンバサダープログラムをやりたいという企業がそもそも世の中にいないから、近しいニーズを持っているお客さんに「この課題だったらこれが合うんじゃないですかね。実験させてください」と言って、無理矢理お願いしてやってもらっているみたいな感じが強いですね。
ネスレの成功事例を目指して
江端:でもネスレさんの「ネスカフェ アンバサダー」プログラムでだいぶ変わったんじゃないかなと思うんですけれど。
徳力:あれは別格で、ビジネスモデルとして確立しているところに、我々がWeb側をお手伝いしているという順番なんです。アンバサダープログラムというものの知名度はすごく上がっていますけれど、あそこまでビジネスモデルと組み合わさって業績に影響を出しているプログラムは、まだネスカフェアンバサダーしかないと思うんですね。
当然、我々も他社さんも、ネスカフェアンバサダーを一つの理想としてやっていますけれど、では、僕たちが企業の経営のトップのところから入って、ゼロからビジネスモデルを作り直せるかというと作り直せないですよね。ある程度、未来は見えているんですけれど、現在の我々がお手伝いしているのはどちらかというと、もっと本当に手前のカンブリア紀ぐらいの感じです。
ネスカフェまでいけば恐竜とか哺乳類とかになるのはわかっているんだけど(笑)、まだそこまで行くには時間がかかるケースが多いと、個人的には思っています。
江端:じゃあ、あと15年ぐらいすると庭山さんみたいな立場になると。
徳力:なれたらいいなという感じですけどね。意外にレッドオーシャンのほうがいいというのは、けっこう目から鱗のコメントでしたね。
江端:そうですよね。それもあとで聞いていきたいと思います。ありがとうございます。拍手をお願いします。
(会場拍手)
参加メンバーを繋ぐさまざまな巡り合わせ
(スクリーンに映したWebサイトを見ながら)徳力さんの下に出てる江端でございますけれど、私もワールド・マーケティング・サミットのアンバサダーを2年、やらせていただいています。
さっきの加治(慶光)さんのご縁みたいな話をいたしますと、実は湯崎(英彦・広島県)知事は、私がスタンフォードのビジネススクールに行っていた時の1こ下で、1年重なってます。まさか知事になるとはその時はぜんぜん思ってなかったです。
徳力:すごいっすねえ、スタンフォード(笑)。
江端:本当に巡り合わせで、あとは(加治氏が所属する)アクセンチュアからも(江端氏が所属する)IMJに資本が入ったというすごい巡り合わせだったと思っております。
あともう1人、これは昨日リリースが出ているんですけれども、マーケティング4.0的なところと、アンバサダーに女性がいなかったので、米良はるかさん。
彼女は「READYFOR」、クラウドファンディングを立ち上げた方で、次世代マーケティングプラットフォーム研究会に出ていただいたことがあるんですけれど、みなさんの自己実現をお手伝いするような立場で、今回アンバサダーとして参加されるということでございます。