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高槻氏インタビュー(全2記事)

2017.02.13

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「働きたくても働けない」を少しでも減らすために--人手不足打開のカギを握る“潜在労働力の活用”

提供:株式会社リクルートジョブズ

近年、多くの企業が悩まされている“人手不足”の問題。特に多くのアルバイトやパートを抱える飲食・小売・サービス業を営む企業にとっては大きな課題となっています。少子高齢化が進んでいく日本において、避けては通れないこの大きな課題にどう立ち向かっていけばよいのか。株式会社リクルートジョブズ執行役員・髙槻洋介氏に打開策のヒントを伺いました。人手不足という状況下における、新しい働き方や企業側に必要な対策について、事例も交え、お話しいただきました。

人手不足の原因はどこにある?

――先日、有効求人倍率が25年ぶりの高水準というニュースがありました。今、多くの企業が人手不足に直面していると言えます。一体、何が原因となっているのでしょうか?

髙槻洋介氏(以下、髙槻):ここ数年、有効求人倍率は右肩上がりに伸びています。特に飲食・小売・サービス業において顕著ですね。例えば、飲食等のサービス業は、今、有効求人倍率が3.13倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」2016年11月)という非常に高い数値で、「人材を確保できない」ということが大きな問題となっています。

日本は少子高齢化社会と言われていますが、中でも特に人手不足と関係が深いのが、「生産年齢人口」の数です。「生産年齢人口」とは、労働力の中核をなす15歳~64歳までの人口を指しますが、この「生産年齢人口」が年々減っていくトレンドになっているという点が重要です。

データを見ますと、2015年~2020年の間におよそ7,682万人から7,341万人に減り、5年で約340万人強という、かなり早いペースで働き手が減少しているというトレンドです (国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口))。

それともう1つ、アルバイト・パート層の働き方も徐々に変わってきています。具体的には、アルバイト・パート層の働きたい時間が短時間・少日数にシフトしてきているという傾向が挙げられます。

例えば、平成27年度のアルバイト・パートのお仕事を探している方を対象にした弊社調査データでは、学生の求職者の約7割が週3日以内、約5割が1日6時間以内の少日数・短時間勤務を希望しています。主婦(夫)の方も同様に、約7割が週4日以内、約6割が1日6時間以内の少日数・短時間勤務を希望しています。

求人倍率が高くなっていることに加え、勤務日数・時間は短く働きたいと考えているので、企業側からすると、これまでの手法が通じず、より一層、アルバイト・パート労働力の確保に苦慮される状況になっていますね。

人手不足解消のカギは“潜在労働力”

――そういった課題がある中で、各企業が人手不足を解消していくために、何かできることはあるのでしょうか?

髙槻:働き手の希望にフィットするお仕事を提供していくことが、これからのアルバイト・パート労働力の確保の1つのカギになることは間違いないと考えています。

求職者が短時間勤務を希望する背景には、例えば子育て中の主婦(夫)であれば、育児の合間の時間で働きたいというニーズ、シニアの方であれば、働きたいけれど体力的な理由で短時間で働きたいというニーズがあります。このような求職者のニーズを叶えていくことが重要だと思います。

では、求職者のニーズに応えるために企業は具体的に何をすればよいのでしょうか。例えば、勤務シフトをより短く切って人材募集を行うといったことはシンプル、かつ非常に有効です。今までは「1日6時間以上で応相談」という時間帯でしか募集していなかったところに、「1日3時間からでもOK」と柔軟に扉を開く。

シフトを細分化されているほうが、働き手から見ると自分の希望に合わせて働くチャンスが増えますよね。そうすることで、時間的な制約がある主婦の方やシニアの方も応募しやすくなり、今まで働けなかった方々の潜在的な労働力を活用することができるのです。このような、働き手が応募しやすくなるような募集の仕方を、私たちからも企業様にご提案しています。

同時に、業務について細かく切り分けることも重要です。1人が幅広い業務をなんでも全てこなすという状況では、どうしても業務の習熟に必要となる期間が長くなってしまいます。それでは、短時間で働く方に任せるには難易度が高くなってしまいます。例えば、「棚の整理をする人」「食材の仕込みをする人」というように業務を細かく切り分けて、短時間で働く方を「この仕事だけを専門でやる人」というかたちにすれば、自然と短時間勤務化も実現できます。

業務の組み換えや見直しを行っていく分、工夫は必要ですが、専任の業務を限られた時間で対応できるよう変えることで、働く時間や日数に制約のある方でも、より働きやすくなります。このような取り組みは事例として増えてきている気がします。

今、働いているスタッフの“潜在労働力”も重要

さらに、今すでに働いているスタッフの潜在労働力を活用することも、より重要度が増してきています。私たちの持っているデータによると、アルバイト・パートの方が働きたいシフトを提出しても、その希望勤務時間のうち、約20パーセントが却下され働けないという実態があります。つまり、アルバイト・パートの方の多くが条件さえあえば「もっと働ける」「もっと働きたい」と思っていらっしゃるのです。

これは、今まで働きたいのに働けていなかった方々だけではなく、今働いている方にも「希望したシフト分はしっかり働きたい」という希望があり、企業が活用できていない潜在的な労働力があるということです。他のスタッフと働きたい時間が重複してしまったなど、希望時間帯で働けなかったとしても「働きたい」という意欲は持っているので、それをしっかり汲み取ることで、人手を確保できるようになるのです。

――なるほど。では、このような今働いているスタッフの潜在労働力は、具体的にどうすれば活用できるのでしょうか。

髙槻:単純な方法ですが、シフト管理者とアルバイト・パートの方との間で勤務時間の調整を頻繁に行うことが重要だと考えております。アルバイト・パートの方が提出した勤務時間の希望に添えなくても、「代わりにこの時間はどう?」と提案したり、シフトの確定からしばらく時間が経ったところで、改めて「この時間に出られるようになってない?」と確認したり、こまめに調整をかけることの積み重ねが労働力確保に繋がります。

特に学生アルバイトですと、「授業が休講になった」「遊びにいく予定がなくなった」など、週単位で予定が変わることも少なくないので、こういった変化をこまめにキャッチしていくことが重要です。

もう1つ、既存スタッフの潜在労働力を活用する有効な手段があります。それは、近隣店舗で協力し、店舗間でのスタッフ共有を機能させることです。例えば、同じエリア内にあるにA店舗では人手が余っているけれど、同じ時間帯、隣駅のB店舗では人手が足りていないということも少なくありません。この際に、人手の余っているA店舗からB店舗にスタッフを送ることができれば、もっと働きたいと思っていたA店舗のスタッフも、人手不足に悩んでいたB店舗も、双方にメリットが生じます。このように店舗間で密に連携を取り、人手が足りない時は近隣店舗に協力を仰ぎ、店舗間でスタッフを送り合い(店舗間のシフト共有)、人手不足を補っていくことが重要になってきていると考えております。

まとめますが、「制約があって今まで働けていなかった方を採用する」、「今働いているスタッフの“もっと働きたい”希望を汲み取る」など、今まであまり活用してこなかったような潜在的な労働力を上手に活用していくことが、人手不足の状況下において企業が取り組むべきテーマの1つだと言えるのではないでしょうか。

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