2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
The Science of Alcohol: From Beer to Bourbon(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:食べ物や飲み物は今や私たちにとっては生きるための栄養源以上の役割を果たしていますね。これらは我々の歴史や文化に幅広い影響をもたらし、私たちの生活を支えていますが、なかでもとくにお酒はひと際強く我々の生活や文化に大きな影響を与えています。
ソフトリカーのビールやワイン、ハードリカーのウイスキーやウォッカなど、さまざまな種類のお酒が世界では飲まれていますが、一体どのようにして我々の先祖はこういった酒類を発見し、製造していたのでしょうか?
大昔の人々が発見した小さな菌や、長い時間、そして製造方法に関する知識に我々は感謝せねばなりませんね、そのおかげで我々は美味しいお酒を自分たちで簡単に作れるのですから。
今日、一般的にアルコールと呼ばれるものの正式な名称はエタノールであり、これは実はアルコールの一種にすぎないなのですが、このアルコールだけが私たちの体内で分解、吸収することが可能なので、たくさん飲んでも人体への害がないアルコールなのです。
エタノールは糖分からできており、発酵された糖分はエタノールとCO2に分解されます。そして私たち人間はもちろん、まだ人間ではなかった我々の祖先の体もエタノールを分解し、吸収することができました。
以前に行われたDNAの研究結果によると、私たちの祖先はおよそ100万年前からすでにエタノールを消化できる体を持っていたようなのです。我々がカクテルを作り始めるよりもずっと前からです。
ちなみに100万年前とは、私たちの祖先とチンパンジーの間にはまだ線引きがなかった時代です。エタノールを消化吸収できる体を持った我々の祖先は、酒類のほかにも発酵させたフルーツなども食べていたそうですよ。
進化過程だった我々の先祖は、発酵させた果物を好んで食べていたようです。そして彼らはすぐにアルコールがもたらす効果に気づき、果物を発酵させた飲み物を作るようになり、それはそのほかの文化をかたち作るものになりました。
さらに、我々のアルコールに対する欲望が穀物や小麦など、アルコールの原料となる作物を生産する農業の発達に繋がったようです。
最古のアルコール飲料の生成の跡が見つかったのは中国の黄河という場所で、この飲み物はおよそ9000年前のもので、米、ぶどう、はちみつを原料としたワインのような飲み物であったといいます。
2005年にはこの時発見された飲み物の本格的な化学分析が行われ、実際にこの飲み物を再現してみたそうなのですが、研究者たちいわく、「不思議な味」がしたそうです。
さらに考古学者たちはおおよそ同時期、中東で樽ビールやワインが製造されていたことを発見しています。
昔の人々はフルーツや穀物を入れた容器に蓋をして長時間放置し、その容器を開けたときの中身は当然アルコールの含まれるものになっていたというわけですが、その後1000年ほどはどのようにして原料がアルコールへと変化するのかは解明されていませんでした。
現代の科学に感謝しなければなりませんね、今ではアルコールの生成方法は科学によって解明されていますから。
ビールは発酵によって作られます。発酵という意味の「fermentation」はラテン語で沸騰させるという意味を持つ「fervere」という言葉を元にしています。これは穀物と水を混ぜ合わせ、発酵させる際に泡立つことからそう呼ぶようになったそうです。
ビールの基本的な原料は、麦、水、イースト菌、ホップのたった4つですが、違った種類の原料を異なる割合で混ぜることによりいろいろな風味のビールができるのですね。
ビールの醸造方法にも色々な方法があるのですが、ここでは基本的な醸造方法をご紹介したいと思います。
ビール作り最初のステップは、水と穀類を火にかけ、どろどろのペースト状にするところから始まります。熱を加えることにより穀物に含まれる酵素を活性化し、麦をペースト状にし、糖分を取り出します。この状態になったものは「マッシュ」と呼ばれます。
また、色々な種類の麦がそれぞれ違った種類のビールを作るのに使われます。深煎りされた麦はスタウトビールのような深いコクのあるビールに使われ、浅煎りの麦はピルスナーなどの軽いビールを作るのに使われます。
これらの麦はマッシュの状態にされた後は濾され、残った液体は火にかけられ沸騰させられます。この濾された後の液体は「麦芽汁」と呼ばれるものです。このマッシュから麦芽汁になった段階でビールの風味を左右するホップが投入されます。
ホップとは実は花の一種で木から採れます。大昔からビールの香りづけにはさまざまなハーブが使われてきました。いつから、どのようにホップが一般的になっていったのかは定かではありませんが、9世紀ごろにはホップはすでにビールの香りづけに使われていたようです。
ホップを加えることにより、ビールには麦からの甘味とホップの酸味の絶妙なバランスの風味が加わりますが、さらに重要なのはホップには防腐効果もあるのでビールを腐りにくく、また長期間保存することを可能にします。
ホップにはアルファ酸とベータ酸と呼ばれる殺菌作用のある物質が含まれるため、ビールの発酵に不可欠なイースト菌はバクテリアに侵されることなくのびのびと生きていられるのです。また、ビール特有の苦みもこれらの酸によるものです。
さらに、いろいろな種類のホップもそれぞれビールに柑橘系、フローラル系、ほかには松の木などのさまざまな風味をもたらします。
麦芽汁は沸騰された後はバクテリアの侵入や酸化を防ぐため急激に冷やされます。この過程によっておおまかなビールの風味が決まります。麦芽汁は冷やされた後、イースト菌を投入され発酵過程へと進みます。
ビールの発酵には出芽酵母という決まった種類のイースト菌が使われます。イースト菌は糖分を主なエネルギー源としているので、麦芽汁内の糖分を食べ、その副産物として二酸化炭素とエタノールを精製します。
二酸化炭素のおかげで麦芽汁はぶくぶくと泡立ち、エタノールのおかげでビールにアルコール分が含まれるわけですね。
一次発酵の段階では麦芽汁のなかにはたくさんのイースト菌が糖質をエタノールと二酸化炭素へと変換するのにせわしなく働いているわけですが、多くの排出された二酸化炭素は外へ逃げ出します。ですがエタノールはそのままです。
その後、最短で2週間ほどで、麦芽汁内に含まれる糖質はすべてイースト菌によって食べつくされ、イースト菌は死滅します。
ですが、時にこれらの麦芽汁は少々の糖質が含まれる状態でボトルへと詰め替えられます。残された糖質とイースト菌によってのボトルの中での二次発酵を促すためです。ボトルの蓋はしっかりと密封され、ボトル内で生成された二酸化炭素とエタノールはみんなが大好きなおいしいビールのなかで温存されます。
ワインの製造方法もビールのものと非常によく似ていますが、ワインには麦やホップの代わりにぶどうが使われます。もしあなたが過去に3ドルほどのワインを試したことがあるならおわかりになるでしょうが、ワインはぶどうの種類と処理の仕方によって味に劇的な違いが出ます。
ワイン作りはまず初めにぶどうを潰すところから始まります。昔は大きな桶いっぱいにぶどうを入れて足で踏みつぶしたりしていましたね、今では特殊な機械によって作業が進められます。
この潰された後のまだぶどうの皮や種が残されたままのぶどうジュースは「マスト」と呼ばれます。そして製造されるワインが白ワインになるのか、赤ワインになるのかはこの時に定まります。
基本的には白ブドウを使えば白ワイン、赤ブドウを使えば赤ワインになるというわけですが、使用されるぶどうの色が必ずワインの色を決めるというわけではありません。実際には赤ブドウから作られる白ワインだってあるのです。
赤ワインの色はマストに含まれる赤ブドウの皮に由来するものなので、ブドウから果汁を絞り出す際に即座に皮と果汁を別々に分けてしまえば赤ブドウから白ワインを作ることができるというわけです。
赤ブドウの皮にはポリフェノールを含むタンニンが豊富に含まれます。ポリフェノールとはたくさんの組み合わさった炭素、酸素と水素から成り立っており、このポリフェノールが赤ワイン特有の渋みをもたらし、さらに年を重ねるごとにワインの味、風味の深みを増すのです。
また、ビールと同様、ぶどうジュースがワインになるにはイースト菌が必要になります。昔はブドウについていた野生酵母が踏みつぶされることによりマストに混ざり、発酵を始めていましたが、現在ではブドウは絞られる前に殺菌されます。
ワイナリ―は風味をよりコントロールしやすいように独自に選抜したイースト菌を使用しています。イースト菌はマストのなかの糖分を食べエタノールと二酸化炭素へと変換していきます。
発酵が終わってイースト菌が死滅するか、ワインの色や風味に影響を与えるかもしれない死細胞が濾されてしまった後、ワインは時に何ヵ月間、または何年間も木の樽に詰められ熟成されます。樽のなかで熟成されたワインはさらに深みのある風味になります。熟成が終わったワインは最終的にボトルに詰められ世界中に出荷されます。
ビールやワインなどのソフトリカーは作り方を知っていくと、いくつかのコンディションが重なれば意外と簡単にできてしまうということがわかりましたが、もう少し派手なパーティがしたい時はどうしましょう?
ウイスキーなどのハードリカーの製造工程を見てみましょう。ウォッカやウイスキーのようなアルコール度数の高い飲料を精製するには、ワインやビールの製造過程にもうひと手間加える必要があります。それは「蒸留」です。
蒸留とは液体を蒸発そして冷却することによってより凝縮された液体内の物質を取り出すための一連の過程を言います。エタノールの沸点は水の沸点よりも低いためエタノールは水より先に気化し、凝縮されたエタノールのみを取り出せるのです。
また、ビールやワインの製造過程と同様、ハードリカー製造の最初のステップは発酵です。さまざまなハードリカーはフルーツや穀物、小麦などをベースに製造されます。
例えばウォッカはジャガイモから作られますし、バーボンはトウモロコシから、ラムはサトウキビから、そしてテキーラはリュウゼツランという植物から作られます。これらの原料に含まれる糖質をイースト菌は食べつくし、エタノールと二酸化炭素を作り出します。
こうして発酵された原料には10パーセントから15パーセントほどの低い比率のエタノールしか含まれません。ここからアルコール度数を上げるために蒸留するのです。発酵後の液体は蒸留酒製造所へと移されます。
蒸留酒製造所には大きな壺のような設備があり、その壺が熱されることによりエタノールをガス化させるのです。エタノールが気化してゆくにつれ、壺の中の温度もゆっくりと上がりエタノール以外の液体も気化を始めます。
気化した液体は壺の上の方へと上昇し、蒸留塔を通過することによって冷却、凝縮され壺のなかへ溜まってゆきます。さらに、この蒸留塔には特別な板が配置されており、アルコールの濃さや風味をコントロールすることができるのです。
液体に含まれる成分のなかで沸点が低いもののみ蒸留塔を通過でき、「ラインアーム」と呼ばれる蒸留された液体が貯蔵する壺のなかにたまってゆきます。
これらの蒸留物はそれぞれの沸点によって貯蔵先が分かれます。蒸留が始まってから一番最初に気化が始まる物質は「ヘッド」と呼ばれ、揮発性のもっとも高い物質となり、また沸点のもっとも低い物質です。
アセトンやエスターなどの物質がこのヘッドに当てはまるのですが、これらの物質を少量アルコールのなかに残しておくことででき上がった時のお酒の風味がよくなるそうです。
次に気化が始まる物質は「ハート」と呼ばれ、蒸留物のなかでもっとも重要な部分を占めます。なぜならお酒に含まれるエタノールがこのハートに当てはまるからです。このハートは蒸留が終わった後、風味をよくするために少量のヘッドと混ぜ合わせられます。
お酒の風味の調整はよくエタノールにほかの物質を加えることで成されます。例えばジンにジュニパーを加えるといったようにです。
ほかには再蒸留といった方法が用いられます。蒸留が終わったばかりの液体をもう一度蒸留するのです。
もちろん、ソフトリカーと同様にハードリカーも熟成によって風味を増しますが、ワインと同様、熟成のために使用される容器の形もお酒の味を大きく左右します。
例えば、バーボンの熟成にはスモーキーで濃厚な風味を出すために切られたばかりのオークの木で作られた新しい樽が使われますし、スコッチの熟成にはバーボンやシェリー酒の熟成に使われていた樽が使用されます。
また、同じ種類のお酒でも、付けたい風味によって熟成の期間が異なります。例えばホワイトテキーラは熟成されていませんが、レポサドテキーラは最低でも2ヵ月ほどオーク樽のなかで熟成されます。
世界にはたくさんの方法で蒸留されたエタノールから様々な種類のお酒を作り出す技術があります。たくさんの科学者たちが毎日蒸留所や醸造所でお酒の風味に関する研究を行い、よりコクのあるビールやより変わった風味のお酒を違った方法で作り出す方法を探っています。
そしてこれらの飲み物、大昔に作られたビールから最新の蒸留技術によって精製されたものまで、お酒は私たちの文化や歴史となってきましたし、きっとこれからも我々の文化を支える大切な飲み物であり続けることでしょう。
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