2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤岡清高氏(以下、藤岡):創業メンバーの5人から、どうやってここまで仲間を増やしてきたのですか?
池谷大吾氏(以下、池谷):現在、正社員は18人(2013年時点)です。正社員以外で100パーセントコミットしてくれている人を加えると、30人くらいのメンバーが当社の事業を支えてくれています。
当社は「モノづくり」をする企業ですので、優秀なエンジニアが必要です。最初は知名度のない会社なのでなかなか採用が難しかったのですが、いろいろな工夫をして採用につなげてきました。
労働時間や働く場所にはこだわらず、プロジェクトごとに仲間と相談して働き方を決めています。スキルと情熱があってネットでつながることができれば、労働時間や環境を拘束すべてきはないというのが当社の考え方です。
今、当社でトップエンジニアとして活躍してくれているメンバーは、週に3、4回は顔を出してくれるのですが、基本的に自宅で働いています。
彼はおもしろくて、毎晩夜9時に子供と一緒に寝てしまうんです。ただ、午前3時に起きて働いています。彼が一番活動している時間は午前3時から7時。それでいて開発効率がすごくいいんですよね。
ふだんフリーで活躍しているエンジニアの方も多く、業務委託やプロジェクトベースでの契約など、契約形態も柔軟です。
お子さんがいるエンジニアさんは、開発しているものを子供に見せて、楽しんで遊んでくれるのをみるのがうれしいと言って下さいます。そういったところも魅力なのかもしれません。
藤岡:エンジニア以外の人材はどのように採用されていますか?
池谷:ここはなかなか苦労しています。今のところは友達紹介が中心です。当社のビジョンや事業の新規性、社会的意義に共感して参画して下さる方が多いですね。「優秀な人は、優秀な知り合いを連れてきてくれる」という法則があるような気がしています。
藤岡:池谷さんが経営者として壁に突き当たったときに、どのように考えるようにしていますか?
池谷:性格が前向きすぎて、基本的にあまり困らないですし、壁を壁とも感じないんですよね(笑)。普通の人からしたら大事件でも、前向きに捉えていくような性格です。焦ってもしょうがないですしね。起業したときにも、みんなに「子供がいるのに、給料下げてよく起業するね」と言われたんですが、私からしてみると、やりたいことをやらないほうがリスクです。
家族にも話しているんですけど、万が一失敗したとしても稼げないということはないと思うんですよね。その気になれば、コンビニでレジ打ちもやりますし。
チャレンジできること自体が幸せだと思っているので、大変なことがあっても楽しいです。愚痴を言っていても明日は来るし、「へこんでいる暇があったら、モノ作れよ」って思います。いろいろ経験してきて、普通の痛みは感じない強靭な心になっている可能性もありますけどね(笑)。
藤岡:スマートエデュケーションと競合他社との違いは何ですか?
池谷:競合他社の多くは、既存の教育コンテンツをどうやってタブレットにのせるか、ということに目を向けられているように感じます。
よく「タブレットを使うと算数が速く解けるようになるんですか? 学習効果はどうなんですか?」というようなご質問をいただくんですが、私たちが目指すゴールはそこではありません。
解決しようとしている問題や目的意識が他社とはまったく異なっているというところが、当社のサービスの大きな競争力となっているのではないかと思います。
では当社が何を目指しているのかというと、「早いうちからスマートデバイスに慣れ親しむことによって、より広い世界に触れて、大きな夢や目的を持ってほしい」「スマートデバイスを活用して新しい情報を得たり、問題を解決したりできるような橋渡し役になりたい」というのが当社の目指すところです。
今の子供たちにとってスマートデバイスは、これからの人生を切り拓いていく上での大きな武器になるものです。IT技術と上手につきあっていくスキルが身についているかどうかで、差が生まれてくるように思います。
子供たちがIT機器を使用することについて、一般的には否定的な意見が多いようですが、インターネットそのものをブロックする必要はないと思っていますし、それよりも早く子供たちが自分が見ていいもの、いけないものの判断ができるようになって、自分が得るべき情報をいち早く得られるようになるほうがいいと思っています。
もちろんITがすべてではありません。外でも遊ぶし、今まで通り紙の本を読んだり、教科書やノートで勉強もする。こういったものすべてを使って賢く生きていく姿を理想としています。
目先の知識ではなく、ITを使いこなすことを含めて大きな意味での「生きる力を育てたい」という思想が根本にあるというのが、他社との違いです。
また先ほどもお話したように、当社のアプリは「親子」もキーワードになっています。アプリを通して親子の絆を深められること、アプリをきっかけに生まれる親子の会話から、子供がいろいろなことを学ぶことができるという点も、当社のサービスに価値を感じていただけている部分なのではないかと思います。
藤岡:収益モデルについて教えていただけますか?
池谷:スマートエデュケーションのアプリは基本的に無料で、どのアプリにおいても、最初の1曲、1話は無料で提供されます。いわゆるフリーミアムモデル(基本的なサービスを無料で提供し、追加の機能や付加サービスを課金するモデル)です。
音楽のアプリですと、「となりのトトロ」が無料でついてきます。「あまりおもしろくないものを無料で提供して、よりおもしろいものを購入してもらう」というのではなく、最初からトップコンテンツを無料で提供するというのが重要だと思っています。人気のコンテンツがついてくることで、最初から愛情をもって楽しんでもらえますよね。
本の流通に例えると、当社は出版社であり、書店でもあります。実際の出版業界では、出版社と書店はまったく別ですよね。自分たちでサプライチェーンのすべての役割を果たさなくてはならない分、全体で収益を上げるモデルを構築できるというのは、この業界のメリットでもあると思います。
藤岡:スマートエデュケーションがターゲットにしている市場規模の大きさは?
池谷:市場規模を明確な数字で申し上げることはできません。スマートフォンやタブレットアプリはいろいろな市場をまたいでいて、例えば当社のアプリでの楽曲販売は、教育市場関連でもあり音楽市場関連でもあります。
どの市場で戦うかを考えると、既存の幼児向け教育サービス市場かもしれませんし、玩具市場かもしれませんが、実は我々が狙っていくべきなのは、「子供や親の24時間の中からどれくらいの時間を当社のサービスが獲得できるか」ということだと思うんです。
例えば、大手のソーシャルゲームプロバイダーはスマートフォンを持っている大人の時間をかなり獲得していますが、当社としては、そのうちの何時間かを子供と一緒に当社のアプリで遊ぶ時間に使ってもらいたいわけです。
そう考えると、我々がターゲットとする市場というのは、かなり幅広いなと思っています。「グローバル展開」をかけ合わせると、狙うところは更に幅広くなりますね。
当社はすでに韓国や北米にも進出していますが、しっかりと仕組みを作れば、海外でも一気に市場は広がると思います。とくにこれからのアジア圏の発展は楽しみですね。
藤岡:スマートエデュケーションの直近と中長期の経営課題を教えてください。
池谷 : まずは人材採用です。中長期の課題というのはあまり考えていません。これからの半年から1年でどれだけ優秀な人材を採用して、どれだけ有意義な教材を作れるかが、中長期の課題にも関わってくると思うので、まずは「人」だと思っています。
藤岡:スマートエデュケーションが求める人材について教えてください。
池谷:「自らやるべきことを見つけられる人」「的確な課題解決方法を考えだして、実行できる人」というのが、当社で活躍できる人の人物像です。あとは「自分の居場所を探せる人」ですね。
実際、今のメンバーの大半が、採用するときに想定していたことと違う分野で活躍しています。変化のスピードが非常に速いので、そういったなかでも自分の居場所、いわゆる課題を見つけて、実行する能力が求められます。もちろんエンジニアについては、高い技術力が必要です。
当社の採用ポリシーは「部下は採らない」ということです。手を動かすだけの人を採用する気持ちはありません。まだ社員も少ないですし、1人が多くの職務を担当している状況です。
私自身も社長というのは単なる役割で、開発もしていますし、ユーザーサポートもします。思った以上に「現場」で活躍中です(笑)。
藤岡:最後に池谷さんの夢を教えてください。
池谷:私は2000年にHPに入社して以来、ずっとIT業界を歩んできました。ITの力で何とか教育業界に名を刻みたいという想いはありますね。
スマートエデュケーションのアプリで遊んでくれたたくさんの子供たちが、自分の力で自分の夢をかなえられる大人に育ってほしいと想いますし、そういう大人を育てなくてはいけないという責任も感じています。
彼らがふと子供の頃を振り返ったときに、その思い出の中に当社のアプリがしっかりと残ってくれていたらうれしいなと思います。「学校の勉強はできなかったけど、あの教材だけは夢中になって遊んだよな」というように……。
そしていつか、日本や世界を変えるような偉大な大人が誕生したときに、「小さいとき、あの葉っぱのマークの教材が大好きでした」というようなことを言ってもらえたら、そのときにやっと「自分の夢もかなった!」と思えるのかな、と想像しています。
藤岡:池谷さん、ありがとうございました!
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