美容業界は既得権益まみれ?
新進気鋭のベンチャーが上げた“反撃の狼煙”

ビューティガレージ・野村秀輝氏 #1/2

アマテラス代表・藤岡清高氏が、社会的課題を解決する志高い起業家へインタビューをする「起業家対談」。今回は、株式会社ビューティガレージ・野村秀輝氏のインタビューを紹介します。※このログはアマテラスの起業家対談を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

ビューティガレージ起業の経緯

藤岡清高氏(以下、藤岡):ビューティガレージを起業するまでの背景を教えてください

野村秀輝氏(以下、野村) :もともと起業しようと考えたときには、美容業界をなんとかしたいとか、この業界でインターネットビジネスをやりたいと強く思ってたわけじゃなくて、何か事業がやりたいという発想だったんですよ。

ずっと会社員、組織人としてやってきて、起業したいという思いがずーっと強くありました。ただ、サラリーマンとして長く勤めているうちにすごく快適な環境と条件と待遇の中で、一歩足を踏み出す勇気がなかなか出ないわけですよね。それなりに快適だから。

だけどやっぱり、34、35歳くらいになったときに、「もう今がラストチャンスかな」というのがあって、起業したわけですけど、何をやるかを決めて起業したのではなくて、とにかく一歩踏み出さないと前へ進まなくて……。

当時おにぎりのファストフード展開をやろうかなと思ったこともあるし、格安宅配ピザのチェーンをやろうとしたこともあるし、水がこれから来ると思ったので、ウォータービジネスやろうと思ったこともあります。けっこう試行錯誤しながら飲食店もちょっとやったりもしましたし、銀座でバーをプロデュースしたりとか。

けっこう揺れ動いて迷っていた時期があって、そんななかで、たまたま縁があって、現COOの供田と出会いました。

東京ビッグサイトで開催される「ベンチャーフェア」に出展する中古理美容器具販売・買取事業の事業計画作成の仕事を請け負ったのがきっかけです。

結果的にベンチャーフェアでは出資してくれる方はいなかったのですが、自分なりの判断としては、この事業は有望で大きなポテンシャルがある、このまま潰してしまうのはもったいないと思い、供田と彼を紹介してくれた弟を巻き込み、渋谷のワンルームマンションの一室でこの事業を立ち上げたのがはじまりです。

だからもともと美容業界に対して何かすごい熱い理念とか思いがあったわけではなくて、どっちかというと、自分の事業意欲の具現化というか、そこからスタートしてるんですけれども、改めて理美容業界にまったく門外漢の私が参入して思ったことは、実は「なんだこの業界は?」ということなんですよ。

だからこそ逆に参入するチャンスがあると思ったわけですけれども、そこを変えることが自分たちのテーマだなと強く思うようになったのは起業してからです。

それで、うちはインターネットで最初中古品の販売をしていたわけですけれども、やってるうちに思いのほかお客様から支持をいただき、喜んでもらえたことに使命感のようなものを感じるようになったわけです。

もともと広告代理店に勤めていましたが、広告代理店ビジネスって虚業感がすごくあって。もちろんやりがいはあったんですけど、まあ何もモノはなく、企画とアイデアで勝負していくんですね。だからこそおもしろかったというのはあるんですけれども、いざ売れても、喜ぶのはクライアント。まあ裏方ですよね。

それに比べて、ビューティガレージのビジネスは、ダイレクトにすごくお客さんからの喜びの声を聞けるじゃないですか。それがすごくうれしかったというのがやっぱり僕の中にはあって。

そういうリアルな思いという部分と、美容の既存業界、メーカーさんや流通さんから大バッシングを受けたので、そういうことに対するナニクソという思いも含めて、もう変な話、自分の人生で何かやるべきことを見つけたみたいな気持ちになって今やっているというのが、まあほんとのところです。だからもう、なんか人生をかけてというか、死ぬ気でやるという思いでやってます。 

既得権益でガチガチの美容業界

藤岡:ビューティガレージさんは、どんな社会的課題を解決する会社でしょうか?

野村:美容業界では既得権を持った人たちが、すごく強くて、大手メーカー、大手問屋、さらにはいろんな組合とか協会とかいろんな団体があるんですけれども。

そういうところがもう、すごく業界を牛耳ってしまって、言い方を変えると、すごく高い参入障壁ができてきていて、もう外の参入を拒むような仕組みを作り上げちゃっているんですね。

実際、商品の技術でも大手のメーカーさんがマーケットを寡占化し、その下に多くの問屋があって、ディーラーがあってという複雑な中間流通構造があって、値引き販売がご法度だったりとか、インターネットを使った販売がご法度だったりとかがあって、「本当にここは日本の資本主義の自由主義経済のマーケットなのか?」ということを疑うぐらいのガチガチな流通で……。

結果何が起こっているかというと、もちろんいい面もあったのかもしれませんけど、ユーザーであるサロン側がすごく高いものを買わざるを得ないということが起こっています。ひいてはそれがサロンに行くお客さんにもかぶってくるわけです。

そういうすごくおかしな業界を変える、言い方を変えれば当たり前の業界にするというか、近代化するということをしていきたいと思っています。

もっと自由競争のある、当たり前の市場にするということがビューティガレージの取り組むテーマになると思うわけです。

結果的に何が起こるかというと、ユーザーさんからすると、いろいろな選択肢があって、それは高額な新品だけじゃなくて、中古もあればアウトレットもあれば、あるいはもっとリーズナブルな新品もあれば、買う物としての選択肢がいっぱいあって、買う販路、経路としての選択肢もたくさんあって、というのはほかの業界からしたら別に当たり前ですけれども、そういう適正化を行いたい。行うことが当然のこと、大きな命題かなと思っています。

当初の目標は「既得権益者をぶっつぶす」

藤岡:いろんな壁に突き当たってきたと思いますが、野村さんの困難や壁に突き当たったときの考え方について教えていただけますか?  

野村:壁を壁と思わずやってきたのは正直あります。確かにいっぱい壁があったのですけど、実はこの壁を乗り越えるのに本当に悩み苦しんで、死ぬ思いで突破したという感覚はないんですよ。もちろん悩み苦しみはしたけど、楽しくてとか、やりがいをもって取り組んできましたね。

まあ美容業界に反発する気持ちの方が強かったかもしれません。「では、どうやって対処しましたか?」というと、「無視した」みたいな話になっちゃうでしょうね。(笑)

正直に言えば、最初にちゃんと業界のドンというかお偉いさん方にちゃんとごあいさつに回るとか、しっかり仁義を切るとかやっていればこんなに苦労しなくても済んだのかもなということは今さらながら思いますよね。

最初に血気盛んというか、若かったので、ちょっとムキになってしまったというところがあったので。そこはもうちょっとうまいやり方があったのかなと思います。

今は「追いつき、追い越したいと思っております」というように、ちょっと言い方を変えております。実は昔、“ビューティガレージ成功の7か条”というのがあって、そこには「既得権者をぶっつぶす」というのが最初に書いてあったんですけどね(笑)。

それが多少学習していくなかで、日本社会においてはあんまりそういうスタイルってよろしくないなということを思うようになり、ホリエモンの件を含め、謙虚さが美徳というかね……あるじゃないですか。(楽天)三木谷さんスタイルというか。

戦略として、それが正しいかつ勝つための戦略であればいいんじゃないかなということもあって、今はちょっとスタイルを変えて、少し控えるようにしています。

藤岡:野村さんのその反骨心というか、ポジティブシンキングは昔からなのでしょうか?

野村:打たれると伸びるって、実はサラリーマンの頃にも言われてたことですよ。それがすごいイヤだったんですけど。だから上司とかから強く、厳しくされるんですよね、伸ばすためにって言うんですが(笑)。

確かに反骨心というのが人一倍あるのかもしれないですね。経営者同士で集まって、というのも好きじゃなくて。ちょっと一匹狼的なところはすごくあって、学生時代のサークルとかもすごく苦手で、あまり群れるのが好きじゃないという感じですね。

大手メーカーからの供給を絶たれて…

藤岡 : 実際にビジネスをする中で美容業界の既得権者が作った壁とはどのようなものですか?

野村:例えば最大のことで言うと、ビューティガレージは最初中古品のネット販売でスタートしてるじゃないですか。そうすると、圧倒的に強い大手メーカーさんがあるので、そこの中古品を扱うのがメインになるわけなんですよ。クルマで言うと、トヨタみたいなものですね。

商品の7、8割がそのメーカーのもの。それで中古ですから、部品の入手・修理とか。最初の1、2年はそのメーカーから買っていたんですよ。

そのメーカーは、ビューティガレージが誰か知らないから対応してくれるわけですね。部品を買いたいと言ったら売ってくれてましたし、修理してと言ったら修理してくれた。

ですが、ビューティガレージが中古品販売を行う会社ってハッキリわかったときに、取引停止になりまして、中古業者の生命線とも言える部品の供給やメンテナンスを一切やってもらえなくなったというのはありましたね。

社内はすごい動揺したんですよ。「この会社どうなるんだ?」みたいな勢いで。でも、結果それがあったから実は今があって。

どうしたかというと、そういう事態があって、まず修理する能力を自ら身につけるという方法に動いたんですよ。メンテナンス力の強化をせざるを得なくなった。

実際にパーツの供給に関してはほかの中古品からの部品取りを行なったりして。いろいろやりましたよ、違うところに卸すメーカーさんを迂回して買うみたいな。でも見つかると止められるんですけど(笑)。

藤岡:いたちごっこですね。でもそういう背景があるからPB(プライベートブランド)商品の比率を増やしたんですか?

野村:そういうことなんですよ。だから修理に関して強くなったのですが、最大のポイントはメーカーさんが商品を卸してくれないことでした。

そういうナニクソという思いから、だったらもう自分たちで商品を開発しようということになって、商品開発能力なんかゼロだったんですけど、自社でブランドを立ち上げて商品開発をするようになったんです。

今のビューティガレージでは、中古販売の割合は全体の1割以下です。実は9割以上は新品なんですよ。新品の中の6割ぐらいがPB商品です。

大手の後発参入への対抗策

藤岡:ビューティガレージさんは、立上げ期に資金繰りの苦労はされましたか?

野村:資金繰りにはまったく苦しまずに来たのが正直なところで、一度もなくて。まず、ビジネスモデル作るときに、資金繰りに苦しまないビジネスモデルにしたというところがあるんですよ。

在庫は持ちますが、中古ということもあり、そもそも仕入れ値が安いんですね。原価率がとても低い。それを仕入れて売るんですけども、既存の流通の方というのはみんな売掛販売なんですよ。

長い売掛で数ヶ月だったりします。しかも、それを小さな美容室から回収するのは大変なわけですよね。それで苦しんでるのがわかってたので、前払いにしてもらいました。一切売掛にはしないというかたちです。そして、販売は現金またはカードか代引き。カードであれば取りっぱぐれがないですし。

藤岡:このビジネスに対する大手の後発参入にはどう対応されたのですか?

野村:そうですね、最初の頃、最大の脅威に思っていたのは大手の参入でした。大手が参入してくる前に負けないだけの態勢を作ろうということが当時の最大の課題だったので、そういう意味で全国に買取のネットワークを作ろうってことで拠点を作り出したんですよ。そのためには後発が来る前に、スピードが勝負という思いがありました。

中古の戦いって、結局は商品点数の勝負になるじゃないですか、商品を多く持つにはどうしたらいいのだろうと考えました。

その答えは全国に買取拠点を作ることでした。買取ネットワークを作るのが急務でした。ただ、せっかくだったら買取をして、その場所をそのままショールームにすればいいんじゃないかと思いました。

当時三位一体という言い方をしてたんですけど、ローコストオペレーションの実現ということで、買取拠点、兼、販売拠点(ショールーム)、兼、物流拠点という発想で拠点を作ってましたね。拠点開発のお金が必要だったので、資金繰りについては2005年1月にはVCからの出資を受け入れました。

会社を作る前に、3か年の事業計画書を作ってたんですけど、実際にビジネスを始めると反響がよく想定以上に伸び続けました。売上もあがり、資金調達も順調でした。

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1 美容業界は既得権益まみれ? 新進気鋭のベンチャーが上げた“反撃の狼煙”
2 目指すは「美容業界の総合商社」IT×中古品販売ビジネスの強み

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