築地市場に残るという選択肢は?

司会者:それではこれより質疑に入ります。私のほうで指名させていただきますので、社名とお名前を名乗ってからご質問をお願いいたします。

記者1:日本テレビのクノムラです。今回の発表に関して確認ですが、あくまで「延期」ということが決まったということで、「中止」ということは、結果次第では、視野には入っていらっしゃいますか?

小池百合子氏(以下、小池):プロジェクトチームにおきまして、今、最後にありました5つの課題ございますね、これらを1つずつチェックをしていただきます。その結果を待ちたいと思います。

記者1:結果次第では中止ということもありえる?

小池:プロジェクトチームの精査を待ちたいと思います。

記者2:読売新聞のハタエと申します。移転延期ということですけれども、築地市場に残る場合、衛生面ですとか、あとは崩落ですとか、雨漏りですとか、施設の老朽化ないしはアスベストの問題など、築地市場に残っても安全性に関する問題が残るのではないかと思うんですけれども。築地市場に残るリスクについてはどのようにお考えでしょうか?

小池:ご質問ありがとうございます。実際に市場に入ってみますと、壁が落ちたり、それから金具が落ちてきたりとか、ある意味たいへん危険な状況で仕事をされている。それから衛生上の問題点等々も指摘がされているところでございます。

それからアスベストの問題については、これまで適切な対策は取られてきたとはいうものの、やはり食料品を扱うところとのアスベストの関係というのは、私は重要な課題だと思っております。

先ほど、この延期に伴うさまざまな問題、例えば「リース代が発生してしまうじゃないか」、それから「冷蔵庫買ったけど、どうするんだ?」とか、いろいろと問題があろうかと思いますので、これについては、実際に主体となっておられる方々からのご意見等々の聴取をして、どのような対応ができるのか検討してまいりたいと、このように考えております。

延期することによってかかる費用

記者3:テレビ朝日のウチダです。PT(プロジェクトチーム)立ち上げということですが、どれぐらいの期間を想定されているのか? 結論は、今すぐというのは難しいでしょうけれども、だいたいどれぐらいの目処というのを教えていただけないでしょうか?

小池:例えば建築の関係であるとか、もうすでにできあがっていて、また使い勝手の点については、市場関係者の方々から「ここが使いにくい」というようなこと、「ここが危険じゃないか」というような話はすでに出ております。

ですから、PTを立ち上げて、そしてそれぞれの分野の専門家の方々がいらっしゃいますので、費用の話もございますが、そういった点と、先ほどの水のモニタリングでございますが、この結果が公表されるのは1月と聞いております。

これらの点を合わせながら、やはりどちらにしましても、みなさま方、市場関係者もたいへんご不安でございましょうけれども、これについては都民の不安を払拭する、もしくはちゃんと説明ができる、そのような体制を速やかにとってまいりたいと、こう思っております。

それから、市場関係者の方々からメールなども頂戴いたしておりまして、これによって1万人……どういう計算になるのか、「市場関係者約1万人はどうしたらいいんでしょうか?」というようなすごく率直なメールも頂戴いたしました。

確かに事業にあたっておられる方々からは、月々のお金の問題であるとか、ご苦労が絶えないことだと思いますが、私はその方も都民だし、それから「東京の胃袋」と言われている大切なこの築地、そしてまた新しい市場、こちらへの安全性を1,360万人の都民、これを考えるのも、都知事として必要ではないかと考えております。

よって、それぞれの分野の専門家の方々が、即作業に入れる方と、それからモニタリングの結果待ちのところと、その合わせ技でできるだけ速やかにプロジェクトチームとしての結論を出していただきたいと、このように考えております。

記者4:朝日新聞のヨシハマと申します。プロジェクトチームで、移転支援の措置というのを採用されるということなんですけれども。例えば、いま言われた費用の問題なんですが、リース代など、すでに発生するであろう費用を都のほうが負担する、という考え方はあるのでしょうか?

小池:それにつきましても、どのような費用がいったいいくらかかって、そしてまた「なんにもしなくたって何百万円かかるじゃないか」という説がございますけれども、これも精査をいたします。

動かしても動かさなくてもかかる費用、「いや、今はまだ動いていないんだから、払う必要のない費用、いったいそれがなんなのか?」ということで、お金の額が勝手に1人歩きしておりますけれども、1人歩きさせるのであるならば、何千億円のところをもっと1人歩きさせていただきたいと、まずこのように思います。

そしてまた、例えば、「冷蔵庫などを買いました」とおっしゃるのは、まあリースの場合もあるでしょうけれども、それはこれからの結果次第ですけれども、何ヵ月間になるのか、どうなるのかというのは、これからのプロジェクトチームの流れにもよることでありましょう。

ですからどのような対応、それがまたどれくらいかかってくるのか、そのことについては同じく当局のほうでもしっかりと関係者の方々の話をうかがってくるということになろうと思います。

私は、この延期で月々どれくらいかかるかというのは、よく精査していかなければならないと思いますけれども、1人歩きしているようなお金ではないと、このように踏んでおります。

市場の安全性を世界に伝えることが都の責任

記者5:共同通信のオンダと申します。モニタリングの結果が1月以降ということで、そうすると新たな開場時期の決断もそれ以降になるという認識でよろしいでしょうか。

小池:その通りでございます。今はまず、このモニタリングの結果を最低限見ていくということでございますので、まずはそれを待つということになろうかと思います。

記者6:ニコニコ動画のナナオと申します。先ほどの記者の方からも、築地のアスベストの指摘がありました。これは築地移転反対派にとっても、今、移転先のベンゼンだけが問題になっておりますけれども、築地の現状の問題もいろいろありますが、築地自体の環境調査も同時並行できちんと比較できるように情報公開することも大事だと思います。これについてはどうお考えでしょうか。

小池:築地か豊洲かという話、ネットでもいろいろと議論が行われているようでございます。アスベストについては、私がヒアリングしたかぎり、危ない部分についての吹きつけなどの適切な対応が行われていると聞いております。

しかしながら、存在することは事実でございますし、アスベストについては、私も環境大臣当時からいろんな陳情を受けて、それについての対策も練ってまいったところでございます。

いずれにしても、築地にしても豊洲にしても、食を扱っているということの大切さ、これを第一に考えていきたいと思っております。

築地にしましても、次の豊洲新市場、この2つとも食を扱い、そしてそれが日本の食文化の一番肝の部分であるということでございますので、だからこそ世界に「安全なんだ」ということをきっちりと伝えるというのは、私はこれは市場の経営主体であります東京都としての責任だと思っております。

記者7:NHKのタナカと申します。11月7日に移転が行われないと、環状2号線が間に合わないという指摘があるとおっしゃってましたが、これに関してはどのようにされるおつもりでしょうか。

小池:大変重要なご指摘だと思っております。当然、ホストシティ・東京でございますので、オリンピック・パラリンピックを成功させなければなりません。一方で、今回環状2号線の暫定道路等の建設のために、まだ都知事選が行われている最中に解体の業者が決まってしまったということに対して、この点でも驚いてはいたんですけど、それは要は、「道路を作らなければならないから」という論理が先にきていたわけですね。

逆に言えば、それほど道路が重要だと認識しているという東京都であることも事実であります。これはどのような方法・やり方で実現できるのか、それについても、工事のあり方についてもしっかりと検討し、そしてオリンピック・パラリンピックが快適な環境のなかでできるようなことを一応は想定しているところでございます。

いずれにしましても、PTのこれからの精査・分析を待って、A案・B案・C案といったようなプランを持つのも1つの方法ではないかと思っております。

私が以前書いた本のコピーがありますから、必要な方はあとでおっしゃっていただければと思います。