2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
玉乃淳マッチレポート「海外でプレーする」上で必ず立ちはだかる「4つの壁」(全1記事)
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玉乃淳氏:キリンカップ2016「日本代表vsブルガリア代表」。港区立港南小学校・中学校様よりお招きいただき、巨大スクリーンによるパブリックビューイングでの「生」試合解説を担当いたしました。
関係者限定ながら、来場者数1,000名近くの地域密着ビッグイベントともなったこの企画は大盛況で、90分間日本代表選手に大きな声援をおくり続けていた子供たちの姿を見て、サッカーというスポーツが小さな心に勇気や元気を与えているのだなと、サッカー関係者としてうれしく思いました。
ダブル解説としてコンビを組んでいただいた、元日本代表の中西永輔さん、司会進行を完遂してくれた五月女結さんと過ごした時間は、個人的にも楽しく、充実のひとときとなりました。
素晴らしい機会をいただき、関係者のみなさまには非常に感謝しております。ありがとうございました。
さて、試合はご存知のとおり、日本代表が7得点で大勝しました。プレミアリーグ制覇という快挙を成し遂げた岡崎(慎司)選手を筆頭に、香川(真司)選手、清武(弘嗣)選手、吉田(麻也)選手、長友(佑都)選手など、いわゆる「海外組」の活躍が目立った試合となりました。
一緒に観戦した子供たちの、海外組の活躍に注がれる眼差しを見て、彼らと同じ世代に日本を飛び出して夢を追いかけた自分の姿が重なったこともあり、「海外でプレーする」ということはどういうことなのか? 今回は、僕自身の経験をふまえて考察してみました。
その土地の環境になじめないこと、転じて組織になじめないことを表現する慣用句的ですが、まさに物理的に「水が合わない」ことが海外でプレーするにあたり1つ目の壁となります。
うどんを香川県や徳島県で食べたことがあるでしょうか? そのおいしさを残念ながら東京で再現しているお店は見当たりません。
「水」はその国、地域によって異なることは言うまでもないのですが、すべての料理に使用されるため、当然食事の味や成分は「水」次第で変わってきます。四国で食べるうどんがおいしいのも納得がいくわけです。
食生活に直結する「水」は、アスリートの身体形成に極めて重要な要素であることは疑いの余地がありません。
最初マドリッドの水が身体に合わず、半年以上も下痢が止まらなかったのを覚えています。「海外でプレーする」ということは、「外国籍選手」という肩書きでチームに所属するわけですから、当然すぐに結果を求められます。
いかに早くその土地の水に順応するか、まさに水に慣れることが、はじめの一歩となるのです。
僕は、「ネイティブスピーカーにならないと真の友情(=信頼)は築けない」と思っています。言葉が通じる選手とそうでない選手がプレーの実力で並んだ場合、すべての場面で前者が優先されます。
言葉の壁が真の信頼形成を妨げるのです。日本語を忘れるくらい流暢にイタリア語を話す長友選手や数か国語を自国語のように操る川島(永嗣)選手、中田英寿氏を見れば、彼らの大活躍も頷けます。
監督やチームメイトに思いを伝えられないストレスは苦痛の極みで、さらにプレーに悪影響も与え、負のスパイラルに陥る可能性も。
そして語学修得は、年齢的に早ければ早いほど良いと思います。前掲の川島選手が若い頃から遠征先のホテルで寸暇を惜しんで学習していたのはあまりに有名な話ですし、中田氏も10代前半から将来の海外移籍を意識して、語学修得に時間を割いていました。
(フェルナンド・)トーレスやガビ(ガブリエル・フェルナンデス・アレナス)のように、アジア人に一切の偏見を持たない選手たちだけではありません。悪気なく何の気なく偏見でもなく、心のどこかで区別されることがあるのです。
FIFAが2014年ワールドカップで「Say no to racism」の人種差別キャンペーンを行ったように、サッカー界全体でいまだに大きくクローズアップされる人種差別問題ですが、とくに多感な時期に、露骨に髪や瞳や肌の違いを指摘されると意外と傷つくものです。
ただ、そこに腹を立てたり気にしたりせずに、違いを違いとして認識して、アジアの代表として日本人の代表として誇りを持つことが肝要かもしれません。そして自分がされたり言われたりして嫌なことは人にしないし、言わないことです。
そのうち好意的に接してくださるチームメイトや生涯の親友が生まれるはずです。
スペインのクラブでは、中学3年生になる頃から想像を超えるような筋力トレーニングを行います。週に3回練習前に1時間程度。歩くことすら困難になるくらい筋肉をパンパンに張らせてから練習にのぞむのです。
やがて彼らは、1年程度で急激に大人の体へと変貌をとげます。16、17歳になった頃に簡単にドリブルで抜けなくなり、マーカーから自由を遮られて日々増すように肉体的疲労が蓄積していったことは、今でもトラウマです。
大親友のギニア人、エミリアーノは、若年層時代の筋力トレーニングを禁止されていました。アフリカ系の選手は弾力性がある筋肉をもち、もともと強い筋力であるため、トレーニングの限界をこえた動きが怪我を誘発してしまうのだそうです。彼は、筋肉の使い方や能力の限界を教わっていました。
我々、日本人は……。フィジカル面でほかより優れていたわけではなかった僕が語るべきことではありませんが、各々の生まれ持った特性による何かがあるはずです。
大切なのは違いがあるということだと思います。その認識をもって焦らず自分にあったトレーニングを積み重ねることで身体の成長を果たせるのではないでしょうか。
大勝に終わった試合のあと、イベントに参加した小学生・中学生のなかで、香川選手や長友選手に向けられた声援から、いつか海外でプレーすることを夢見る子供たちも少なくないのではと、思いました。
今回は彼らや彼らのご両親の一助になればと思い、僕自身の体験をつづった次第です。いつか彼らが日の丸を胸につけ、スクリーンの向こう側で活躍する日がくることが、僕にとっても新しい夢となりました。
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