奥田浩美氏「会社の仕事しかしない人間はいらない」女性起業家は出産・育児・介護とどう向き合うか

「Female Entrepreneur Summit」 #4/4

SAMURAI ISLAND EXPO2016
に開催

2016年6月25・26日の2日間にわたって、「人類の多様性と共感」をテーマにしたカンファレンス「SAMURAI ISLAND EXPO'16」が開催されました。セッション「Female Entrepreneur Summit」では、モデレーターを務めるサムライインキュベート・矢澤麻里子氏、アイスタイル・山田メユミ氏、ウィズグループ・奥田浩美氏、エニタイムズ・角田千佳氏の4名が登壇。本パートでは、山田氏、奥田氏、角田氏が女性起業家として出産・育児・介護などのライフイベントと向き合う心がまえを語りました。

女性起業家が活躍するために必要なこと

矢澤麻里子氏(以下、矢澤):ありがとうございます。3番目の質問に移りたいと思います。「女性が起業家として活躍するために必要なこと、重要なこと」ということです。

もちろん環境もありますし、個人の問題もありますし、どういったことが必要なのかということをみなさんに聞きたいなと思っております。(山田)メユミさんからお願いいたします。

山田メユミ氏(以下、山田):私自身は仕事をするうえで、つい最近まで男女ぜんぜん関係ないと思ってきた人間で、自分が女性だからこういう働き方をしているとか感じたことがなかったんですね。常に男性に交じってやってましたし。

意識がなかったんですけど、子供を持って自分が育児をしながら、家庭を持ちながら仕事をする環境におかれている今は、男女差はあるなと思い知ってます。

女性活躍支援とかいろいろ政府もやってますけど、両立はしんどいですし、正直泣きそうになるんですが。ただ、自分だけでやろうと思っちゃダメだというのはあらためて感じました。

これは男女関わらず、自分が病気をしたり、介護とかいろんな状況が男性の方も含めてあるとは思うんです。けれども、チームで経営することの重要性というのも思い知りましたし、日頃から周りに助けてくださる方々を自ら動いて作るみたいなことをすごく意識するようになって、あらためて女性が、子供を持ちながら起業することは、すごくハードだなと感じます。

矢澤:逆に、「こういうことがもっとあったらいいな」ということはありますか?

山田:今は、奥田さんの時代と比べて、環境面ではとても恵まれてますよね? だから、それはもう自分の考え方と人と、あとはいかにサポーターを増やせるかということのような気がします。

矢澤:ありがとうございます。では、奥田さん。どうですかね?

ブルーオーシャンに行けば男女は関係ない

奥田浩美氏(以下、奥田):今、恵まれてるという話がありましたけれども、逆に私たちの時代のほうが、ある意味起業家としては恵まれていたのかなと。

つまり、ほかの人やほかの社会に期待せず、「自分で作っていくんだ」というチャレンジができた。保育園がなければ「保育園作っちゃえ」とか、「こういう人に預ける仕組みを作っちゃえ」というような人が私の周りには当たり前に何人もいましたから。

この話題でいうと、例えば私はほとんど男女関係なく、初めてやる分野のところしか起業してこなかったので、「人生すべてブルーオーシャン」というのが私の考えなんですけども(笑)。ブルーオーシャンに行けば、男女関係なく泳ぎに出た人が勝っていくんですよ。

そこに常に挑戦していたので、男女関係ないとずっと思ってました。ただ、子供を産んでそれから娘が今高2になるんですけども、ここまでずっといろんなことをやってきて、1つみなさんにお伝えできることがあるとすれば、ほんの短い時間だけ女性を意識すべきときがあるということ。

例えばリード・ホフマンが「起業家というのは、崖から飛び降りながら飛行機を作るようなものだ」という表現をしてますよね。

でも、お腹に赤ちゃんのいる女性は飛び降りれないんですよ。つまり、飛び降りるときのいろんなことを生理的にも時期的にも飛び降りることができない。

例えば、海の向こうに陸が見えてるから、大陸に向かって漕ぎ出そうというのは私が子供がいないときは、男女同じように行けた気がするんですけども、身ごもってる状況のときは、おそらく生理的にもマインド的にも泳ぎ出せません。

つまりなにが言いたいのかというと、人生はそういう意味で女性の体の特質に対するサイクルがあることを先にわかっておけば、「それ以外は男女関係ないんだね」ということがわかる。逆に、そこさえわかっておけばいい。

もう1つは、男女の社会問題を女性ということだけに絞るんじゃなくて、男性でもうちの夫とかは週に1回病院に行かなきゃいけなかったりするんですけども、つまり、そういう時期になにか病気をするとか介護をするとか、男性にも全力でやれない時期があるという理解につなげる。

「人生はサイクルがあって、そこをうまく組み合わせながらやることをコントロールしながらできるのは起業家だよ」というようなマインドでいるので。

私は女性だけが働きにくい社会じゃなくて、そこのわずか1年とか育児も含めて3年みたいなところに、不満や不安を感じるような社会は、男女両方にとって不満や不安の社会なんだということを、ずっとやりながら考えてきたので。

男女同じこと、あるいはサイクルが変わるという意味で、それも男女同じことだなと感じています。

会社の仕事しかしない人間はいらない

矢澤:なるほど。奥田さんの話を聞いていると、かなりマインドセットというか、奥田さんが自分で自分のことを変えられる人だからこそそういった行動ができるのかなと思うんですけど、そういった人たちが周りもにいたからできていくのかなと思っていて。そういう人たちをたくさん周りに作るコツがあるんですかね?

奥田:逆にうちの会社は、会社で8時間働くだけの人は1人もいなくて、ほとんどがほかの事業を持っていたり、副業を持っているか、あるいは子育てしている、介護をしています。

つまり、先ほど私が「3分の1ずつに分けてます」と自己紹介したその3分の1くらい人間としてなにかやらなきゃいけないことというのを持っていない人は社員にしません。

矢澤:むしろ社員にしない。

奥田:なので、8時間とか12時間働いて、うちの会社の仕事しかできないような人間はいらない。

矢澤:なるほど。そういうことを言っていると、そういう人たちがどんどん集まってくるんですかね?

奥田:そうですね。自慢げに「僕、介護があって」とか「病院行かなきゃいけなくって」とか、「副業があるので、この割合で」という人のなかで、誰でも受け入れるわけではないですが。それで、仕事がまかなっていけるし、さらにほかの会社よりも素晴らしい仕事ができる人とやりたい。

矢澤:ある意味、究極の効率化という感じですね。

奥田:たぶん、本当に仕事だけの人間はうちに1人もいないです。

働く女性は楽観的であれ

矢澤:ありがとうございます。では、角田さん。

角田千佳氏(以下、角田):はい。私は今まさに、男女関係ないと言ってる、ど真ん中にいるので(笑)、その話なんですけど。

どうなるかわかんないですし、結婚するかしないかすらもわからないし、もしするにしてもどういう人かわからない。しかも、子供が生まれるかどうかもわからない。

でも、そのときまで心配しすぎなくてもいいのかなという考えで、今生きていて、こういう事業もやっています。

私は事業を立ち上げてから現時点で大事だなと思っているのは、諦めないというのはもちろんで、あともう1つ楽観的であることも重要であるのかなと思っています。

毎日毎日、とくに私の場合は失敗の連続なんですけれども、それでいちいち落ち込んでたら前に進めないので、それを経験して受け止めて前に進める力というのは、楽観的な考え方から生まれるのかなと。

そうすると、諦めないことにもつながって、成長していくことができるのかなと思っています。

矢澤:その楽観的というのは、最初はそうではなかったのですか? けっこうへこんだりしてたんですかね?

角田:もちろん、へこんでましたね(笑)。でも、もしかしたら一般的な平均から考えると、そこは受け入れる力は大きかったのかもしれません。

それはわりとポジティブにすぐに切り替えて、受け入れてきたから今があるんだなと思います。日々、楽観的になっている感じです(笑)。

矢澤:かなり楽観的になってきてるようですね(笑)。ありがとうございます。じゃあ、次の質問。こちらで最後になるんですが、私がすごく聞きたかったこと。

女性は出産とか育児とか、いろいろなところでライフイベントに応じて休まなきゃいけないこともあると思うんです。

先ほどお話にも少しありましたけど、チームや家族といかにやっていくか、実際にプライベートとの両立はどうされているのかなというところを、おうかがいしたいと思っています。それでは、(山田)メユミさんからお願いします。

家庭を持ってから意識する仕事の効率化

山田:うまく両立できてますと言えない(笑)。子供との時間も作りたいなと思いながら、でも自分も仕事を欲したりやりたいこともあるので、苦しみながらではあります。

ただ、なにがいいかってもうわからないですし、今できることをがんばるしかないかなというのが今の心境です。やれることをがんばる、くらいしかないですかね。あと、子供ができて一番意識が変わったのは、生産性をいかに上げるかをものすごい意識するようになりましたね。

矢澤:さらにですか?

山田:仲間とダラダラ飲んだり、リサーチも含めて他社のサービスを触ったりしながら会社にずっといたり。とくに会社を立ち上げた頃なんて、会社に寝泊まりしてるような状況だったので。もちろん、それぞれ意味のある大事なこととは思うんですけど、両立するとなったらそういう働き方はできないですよね。

生産性というのは意識してたつもりだったんですけど、まだまだ無駄があったなというのは反省しています。

矢澤:ちなみに今、共働きですか?

山田:はい。

矢澤:旦那さんのご理解は最初からあったんですか?

山田:仕事をしてる自分と結婚した人なので、理解はないわけはないんですけど。

でも、両者の役割分担は仕事をしてることでぶつかることも多いので、パートナーも働いてますので、お互い折り合いをつけながらできることをできるほうがやるしかないのかなと。期待しすぎないということがたぶん一番重要なポイントじゃないかと思っていますね。

矢澤:ありがとうございます。では、奥田さん。

女性起業家・奥田浩美氏の子育て

奥田:実は両立を一切考えたことがなくて。家事はもともと私、15歳からずっと妹を育てながらやってたので、人間誰かが絶対にやらなきゃいけなくって、男女関係なくやらなきゃいけないというのが私の芯にあるので。結婚したから、育児してるからという意味で両立しようと思ったことはないです。

さらに言うと、これまた起業家の発想になっちゃうんですけど(笑)。起業家は、もともとなにかを作るために人を巻き込む。どれだけたくさんの人を巻き込んでいけるかというのが資質だと思うんですけど、私はそういう意味では自分の子育てにも10人くらいの人を巻き込んでやってます。

例えば、娘を育てる。娘は17歳なんですけども、だいたい週に2回は女性の起業家の子供のいない人のところに預けてその人のサービス作りを手伝わせたりとか。いろんなワークショップに入れたりとか小学校からやっていて。

私は支援する先に預けて、そこにちょっとだけ育児代みたいなのでお金を出して預けてるんです。私はそれは娘を預けるためのお金でもあり、出資的な一部でもあるんで(笑)。起業家に預けてるというのはそういうことです。

例えば、10万円くらいを子供を見てもらうお金として出してるんですけど、家庭教師代としては高いかもしれないですけども、その人の事業がうまく軌道に乗るようにという意味で出してるので、そういった先に考えていくと、発想はどんどん転換していけば投資すら育児になるよと(笑)。

教育ビジネスとか、そういうことの先に娘を託しちゃおうみたいな発想です。だから、家事代行ビジネスとかもそこに出資してるつもりでいれば、いくらでも女性は使い道あるんじゃないかなと。

例えば、エニタイムズみたいなものも出資してるつもりになったら、自分の子供も一緒に見てもらいながら事業を手伝わせるのではないでしょうか(笑)。そういう発想は、起業家にこそできるものじゃないかなと。常にぶっとんだ回答に思われてますね(笑)。すみません。

矢澤:発想の転換は、いかようにも相乗効果が生み出せますよね。

奥田:ただ家事に10万円は使いたくないけど、家事代行のサービスを作っているような会社の10万円はいいじゃないかと思うと、すごくいいことをしてるような気になると。

矢澤:なるほど(笑)。ありがとうございました。最後に角田さん、お願いします。

角田:私はとくに仕事とプライベートの区別を考えたことがなくて、今やっていることすべてが人生の一部と考えているので。なので、ある意味この事業もプライベートでもあります。なので、参考にならないかもしれないんですけども。

土日は休日にはなってるんですけども、そういう時に元同期や同級生たちと会います。ママ会で、私だけいつもママじゃないんですけど。そこで子育ての相談や悩みの声があって、それが自分でも気付かないうちに事業につながってたりとか。

そういうこともあるので、一つひとつが今の自分の場合だと事業につながってたりして、とくにプライベートと仕事の区別がないと言う考え方なので、とくにないかなと思います。

矢澤:ありがとうございます。そもそも、両立と考えてたら間違ってるなと気付きました(笑)。ありがとうございます。

それでは、お時間になりましたので。本日は素敵なパネルディスカッションをありがとうございました。

(会場拍手)

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