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稼ぐ営業術--福山敦士&芦名佑介(全7記事)

「逃げたいと思ったらとりあえず逃げる」仕事のモチベーションが下がったときの対処法

営業マン限定で開催されたセミナー「稼ぐ営業術」。登壇したのは、新卒でサイバーエージェントに入社し、子会社の取締役に就任した後、現在は株式会社レーザービームと株式会社モスキートーンを2社経営している福山敦士氏と、電通コピーライター時代にプルデンシャル生命にヘッドハンティングされ、史上最年少で営業所長になった後、ハリウッドで俳優に挑戦し舞台デビューを果たすという異色の経歴を持つ芦名佑介氏。ファーストキャリアが営業ではなかった2人が、営業の世界で圧倒的な成果を出せた理由について語りました。

「なぜ」と問い続けることで価値観を鋭くする

司会者:2人にお話していただいたんですけども、みなさんもいろいろ聞いていただいて、「こんなこと質問してみたいな」ということがたぶんたくさんあると思うので、挙手制で。

質問者1:今日はありがとうございました。芦名さんに1点質問なんですけど、自己紹介の時に「肩書き」と「価値観」というお話があったんですが、価値観が明確な方って少ないと思うんですよ。

明確じゃない人間がたくさんいるなかで、「こうしたら価値観が明確になるよ」であったりとか、いろんな方にアドバイスされていると思うんですけど、どうアドバイスをしているのかを具体的に教えていただければと思います。

芦名佑介氏(以下、芦名):はい。価値観を明確にするとか、価値観を鋭くするというのは、自分に対して「なんでか?」というのをひたすら問い続ければいいと思います。それで、けっこう理由を出せば出すほど、人間ってすごく醜いものだったりするわけですよ。すごく恥ずかしいというか。

例えば「なんで今の仕事をしてるの?」って言われたら、「実はただ稼ぎたいだけなんだ」。それが価値観なんですよ。「じゃあなんで稼ぎたいのか?」って言ったら、「周りからいいって思われたいから」というのが価値観かもしれないし、「自分の親を助けたいんだ」ということかもしれないし。

「じゃあなんで親を助けたいの?」って言ったら、「親に対してこういう気持ちがあるから」というのがどんどん深掘れると思うんですよ。

で、深掘れない人というのは、自分が本来持ってる自分のピュアな感情に目を背けてしまってるんですよ。ただモテたいだけでもいいと思うんです。ただ「周りからチヤホヤされたい」でいいと思うんです。だいたい自分が思ってる欲求、感情的なものなんか、だいたい汚いものなんで。

(会場笑)

芦名:それをちゃんと自分で認めてあげる。そんなことができたらうまいこと価値観はできるのかなと思います。

あとはそれをしっかりと、「これ、どう思われるかな」って思うかもしれないけど、それをまずは伝えてみる。そうすると、こっちがピュアであればあるほど、もうものすごく最強の状態だと僕は思うんですよ。赤ちゃんってものすごくピュアじゃないですか。だからうんこ漏らしてもみんなかわいがってくれるわけですよ。

(会場笑)

芦名:その状態になれれば勝ちです。

質問者1:ありがとうございます。

逃げたいなと思ったら逃げる

福山敦士氏(以下、福山):テクニック論で言うと、人生における決断の背景を語ることです。とくに、進路選択時の決断をした時の時の自分の心理状況というのは、けっこう価値観を表してると言われていて。リクルートの方に学んだんですけども。

なぜ野球を選んだかというのは、親に勧められたから、兄がやってたからとかあるんですけども、そこから「なんで」と何回か掘り下げて。僕は中学で野球部ではなく、クラブチームを選んだんですけども、それはなんでかとか。学級委員をやっててたのはなんでかとか。

そういう自分の決断と、さっきは未来年表の話だったんですけども、自分の過去の年表を分析する。年表の中で、自分で決めて道を選んできたという経験に、いちばん自分のどうしても隠せない価値観があったりするので、そこから考えていくと見つけやすいかなと思います。

質問者1:ありがとうございます。

司会者:はい、ありがとうございます。では、後ろの方。

質問者2:とても魅力的な講演ありがとうございました。今のお話の中で、モチベーション高いお話があったり、価値観の話があったと思うんですけれども。実際に仕事をやっている中で、目の前のことから逃げてしまったりとか、妥協してしまうような経験はありますでしょうか。

もしもあるようでしたら、そこから立ち直った方法であったりとか、いきさつを教えていただければと思っております。

芦名:僕はあります。その時は、モチベーションが下がってないふりをしていました。逃げてないふりをしてました。でもそれって自分がすごくつらくなるだけで、今はどうしてるかというと、逃げたいなと思ったら逃げる。それでいいと思うんですよ。

自分が居心地が悪い、自分がやりたくないこととか逃げたいことは、とりあえず逃げてみて考えるんです。とりあえず逃げてみて、サボってみて「やっぱりこれやったほうがいいな」と思ったらやればいいし、サボってみて「これサボったほうがいいな」と思ったらサボればいい。

だから、いったん逃げてみたらいいんじゃないですか?

(会場笑)

芦名:って、本当に思います。

質問者2:ありがとうございます。

思い切って携帯の電話をOFFにしてみた結果……

福山:同じ話になっちゃうかもしれないですけれども、さっき申し上げた、ヨミ会がつらかったのでヨミ会をやめるとか、1つの例かなと思ってまして、やっぱりやりたくないことをやると、どんどんつらくなって、知らない間に笑顔がなくなったりとか、ハリがなくなったりとか。

それこそ「自己紹介して」って言われて、「あれ? 価値観なんだっけ? 会社のためにしか働いてないな」ということになるので、逃げるってすごく大事かなと思うんです。

個人的なエピソードで言うと、インターネットの仕事をやってたんですけれども、インターネットってけっこう自動化とか仕組み化できるはずなのに、まったくそれをせずに、ずっと8時間おきにサービスに掲載されている広告を更新するみたいなことをやっていた時があって。

要は、8時間おきにインターバルがある感じだったんですけど、寝れないんです、怖くて。やばいやばいって。「更新されてなかったらユーザーから怒られる」みたいな感じでやってたので、その時にもうけっこうつらくなっちゃって。

1回なぜかわかんないですけども、兄が長野県で働いてるんですけども、気づいたら新宿にいて、バスに乗って、長野県に行ってたということがあって(笑)。それで、突然涙がこぼれてきちゃって、「なにをやってたんだろう」ということになりました。その時に、もうその勢いで(携帯の)電源をOFFにしてみたんですね。のちほどすごい怒られたんですけども。

(会場笑)

福山:家にいる時に電話来るのがやっぱ営業マンはすごく心理的負荷になったりとかすると思うんですね。それを1回遮断してみた時に、むちゃくちゃ楽で、あと40何時間ぐらい我慢して、月曜日にちょっと怒られればなんとかなるんだって。

実際、意外となんでもなくて。自分の思ってる以上に、自分が土日がんばらなくても回るんだって気づいた時に、けっこう楽になったという経験がありました。長野県がおすすめです。

(会場笑)

司会者:あはは(笑)。困ったら長野県。

芦名:僕が電通を辞めたのはまさにそこでした。決断して次のことを選ぶということは、同時に捨てることも選ぶことなんで、つまり逃げることなんですよ。僕は電通を辞める時に、周りから電通から逃げたって思われるんじゃないかと思ったんですよ。でも、電通から逃げてるんです、それは。事実として。決断というのはそういうことなんで。

だから、僕は電通から逃げてプルデンシャルに行ったし、プルデンシャルの営業から逃げて僕はマネージャーになったし、マネージャーから逃げて僕は俳優をやってるし、ただそういうふうに逃げ続ければいいんです。

決断するということは逃げることだと思っていれば、その決断も怖くない。

質問者2:ありがとうございます。

入り口は丸パクリでも、出口はオリジナルになる

司会者:ではお隣の方、お願いします。

質問者3:今日は貴重なお話ありがとうございました。お2人にご質問ですが、「量は質に転化する」というお話があったかと思うんですけれども、具体的にやってきたエピソードとか内容のところで、業務におけることだったり、自己啓発のところだったりとかそれぞれあると思うので、おうかがいできればと思います。

福山:そうですね、僕の場合はスポーツの経験がいきてきたんですけれども、あえてビジネスの話をすると、100件アポ行くという前に、実はもう1個話があって。アプリを作る時に……サイゲームスという会社をご存知でしょうか。

今ちょっと有名なサイバーエージェントグループのゲーム会社で、もう5年ぐらい前の話なんですけど。

当時、サイゲームスの会社の社長に、「お前どういうサービス作るの?」って言われて、「広告サービスです」「競合はなんだ?」「競合はこういうとこです」「その競合のサービスの仕様、全部完璧に言えるか?」「言えないです」と。そしたら「じゃあなんで作れるの?」って言われて、「作れないです」って。

じゃあ、そのサービスのwebページとか見て、その画面遷移とかを書いていって、それの完コピを始めました。そしたら意外と知らないこととか、「こんなページだったのか」とか、「こんな注意書きがあったのか」というのを、全部書ききるのにだいたい1週間ぐらいかかりました。それを書ききった時に、「こうやって全体像を理解するんだ」って思って。

その後に自分がサービス作る時は、競合サービスをちゃんと完全にコピーというか、完全に把握した上で作るということをやるようにしました。

実はそれって営業に行ってても同じようなことがあって、最初に作ったサービスがデバッグサービスっていって、アプリとかのバグをとって不具合をなくすサービスですけれども。

その営業ってどうやってやるかわからなかったんで、デバッグ会社に営業に来てもらって、無礼なやり方ですけれども、「サービスを作ろうと思っているけど、デバッグをどうやったらいいかわかんない」って言って営業してもらって、その人の営業を全部真似てやって見て、というのを繰り返していく。

入り口は丸パクリなんですけれども、出口はオリジナルなので。100パーセントのコピーってだいたいできないので、そんなことを繰り返しているうちに、だんだんオリジナルになっていきます。

とにかく人に会って自己紹介しまくった

芦名:はい。僕は、電通のコピーライターの時に、いちばん最初になにをやらされたかというと、『コピー年鑑』というこんなぶっといですね、毎年のすばらしいキャッチコピー集みたいなのがあるわけです。

みんなコピーライターはそれに載ることを目指していくんですけど、それをひたすら「写経」っていって、ひたすら書き写すということを……完コピですね。(書き写す仕草をしながら)「そうだ 京都、行こう」みたいなそういうことを(笑)。

(会場笑)

芦名:ひたすら書くんですよ。やってるうちに、コピーのリズムとか、どこに点を打つかとか、どこに丸を打つかというのがわかってくるって言われるんですけど、ぜんぜんわかんなくて。それで、モチベーションがそもそも上がんないんですよ、写経なんてやったって。

だから僕が実際やったのは、とにかく人に会ったんです。人に会って、僕がなにを考えてるかというのをひたすらアウトプットする。自己紹介しまくったんです。だから福山とかには、めちゃくちゃ会ってます。

で、「僕はこう思う」「でもこれってこうじゃない?」「あ~。僕はこう思う」、そのブラッシュアップをひたすらやってるわけです。そうするとどんどん自分の価値観がどんどん鋭くなってくるんで、すごくこういうきれいな言葉になっていく。そういうイメージ。

なので、量が質に転化するというのは、やり続けないと自分は気づかないんだという、そんなイメージです。だから、自分が気づくために量をやる。

質問者3:ありがとうございます。

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