3大会ぶり、悲願の金メダル 男子体操団体記者会見

司会者:おはようございます。お待たせいたしました。それではメダリスト記者会見。本日は、男子体操団体総合3年ぶりの金メダルを獲得しました5選手でございます。

手前から、山室光史、加藤凌平、内村航平、白井健三、田中佑典。

団体総合の金メダルから少し日にちが経ちました。家族とのふれあい、もしくは友人知人からの応援メッセージいろいろ届いていると思うんですけど、金メダルの重みを今どのように感じているか、今の心境をお聞かせください。

山室光史氏(以下、山室):前回のロンドンで僕自身怪我をして銀メダルだったので、今回はみんなで一致団結して金メダルを獲ろうということを言い合って、それで本当に獲れたので、ただただうれしいという気持ちが大きいです。

司会者:なにかふれあいやメッセージを受けて、いかがですか?

山室:いろんな人から本当にたくさん応援していただいて、そういうものが力になるなとあらためて思いました。

司会者:ありがとうございます。加藤選手、同じ質問です。

加藤凌平氏(以下、加藤):少し時間が経って、実感が少し湧いてきました。僕自身というよりも、周りから祝福されたり、父親はコーチとしてついてきてくれて、母親は応援に来てくれて、本当に今までで一番喜んでくれている姿を見れて、それで「すごいことなんだな」と。金メダルうれしいなという気持ちがどんどん湧いてきました。

司会者:内村選手、個人総合でも連覇されまして、8年連続の世界チャンピオンですけれども、あらためて一夜明けまして、今のお気持ちをお聞かせください。

内村航平氏(以下、内村):ブラジルに入ってから、ずっと気持ちを高めたまま昨日まで維持をしていて、ただただしんどかったなと。

昨日の個人総合の演技は、オリンピックで初めてノーミスで演技をすることができて、3回目にしてようやくオリンピックで自分のなかのいい演技を出すことができたので、かなり“やり切った感”というのはありました。

団体決勝のときの演技に関しては、ミスもあって、本当にチームメイトに助けられた試合で、5人で勝ち取れた金メダルだったなと感じています。

司会者:白井選手、同じ質問ですけど、ふれあい、あるいは自分のメダル、どのように受け止めているのか、今のお気持ちをお聞かせください。

白井健三氏(以下、白井):僕は2種目しか出場してなくて、周りの選手に比べても出るあまり種目は多くないんですけど、その分、床と跳馬にかかる責任はすごく大きかった。しかも予選であまり床でいい演技ができてなくて、団体決勝の最終種目の一番手という、ここ最近ないような状況での床だったので、かなり神経質にはなりました。

今まで自分がやってきた床なら絶対大丈夫だと思って、本当に仲間がいなければあの状況は耐えれてなかったと思うぐらい、けっこう張り詰めた空気だったので、本当に仲間に感謝したいなと思います。

団体で金メダルをとった感動もありますけど、昨日、航平さんの個人総合を見た感動というのもありますし、やってみても見てみても、いろいろな意味でオリンピックに来てよかったなと思うことが多いです。

司会者:田中選手、同じ質問です。

田中佑典氏(以下、田中):金メダルをとって、たくさんの人に「おめでとう」「やっとだね」とメッセージをもらったりして、自分の結果が振るわなかったときもずっと応援してくれていた人たちからのメッセージなので、本当にがんばってきてよかったなと。帰ったらみんなで喜び合いたいなと思います。

体操世界王者・内村航平が振り返るリオ五輪

司会者:それではみなさまからの質問をお受けしたいと思います。

記者1:朝日新聞出版のAERA編集部のフカザワと申します。まず内村選手、昨日の個人総合で金メダルを獲りまして、この4年間で世界の体操のレベルがどのように変わってきたのかということを聞きたいのと、残りの4選手に、昨日の競技後に内村選手が「僕が示したものを受け取ってほしい」ということをおっしゃっていたんですけども、内村選手の演技を見てみなさん4人がどのようなことを受け止めたのか、ぜひ聞かせてください。

内村:数年前までは6種目中、2、3種目で点数を稼げれば3番以内には入れるぐらいの流れだったんですけど、ここ最近では6種目すべてで15点台なかばくらいを取っていかないと、金メダルを獲るということに関しては、すごく難しくなってきているのかなと。

僕も長年世界チャンピオンでい続けて、(演技の)難度も上げて、守りに入らないで演技し続けたからこそ、周りの海外の選手たちも僕の姿を追って、僕よりも高い難度でやってきた選手がオレグ(・ベルニャエフ)選手です。

僕よりも1点以上高い難度点で、前まではあまり安定感がなかったんですけど、オリンピックにすごく調子を合わせてきて、今回は本当に負けてしまうんじゃないかってくらいのすごい気迫を感じました。

やっぱり一番の“バケモノ”は内村航平

記者2:山室選手、内村選手の個人総合を見て、演技の内容、世界的に見た意義などをどのように受け止めましたか? 見て感じたことを率直に。

山室:そうですね……まあ、長いことずっと世界チャンピオンでい続けてきて、オリンピックという舞台になるとやっぱり特別な意味があって、いつもより難しくなってくると思うんですけど。

ただただ「世界中に内村航平をアピールしてきて」というふうに送り出したので、それを見事にやってきたなと思いますし、団体の決勝で(加藤)凌平がすごくいい試合内容をして、試合が終わったあとに航平が「バケモノだな」って言ってたんですけど、昨日の試合を見た結果、やっぱり航平が一番のバケモノだったなというので収まりました(笑)。

加藤:やっぱりあれだけレベルの高いなかで、あれだけの接戦で最後の着地まで決めて金メダルを獲得するっていうのは、一番近くで見ていた僕にも気迫が伝わってきましたし、集中力がものすごいなと。

こうやって航平さんが示してくれたものを、僕とか建三はまだ若いので、もっともっと伸びしろはあると思うので、東京に向けてまたスタートを切れればいいなと思います。

白井:航平さんが示してきたものっていうのは、僕はずっと見てきていて、別に今回のリオで勝ったから航平さんを目標にするという感情はなくて、航平さんが初めて世界チャンピオンを獲ったときからずっと目標なので、今でも一緒にチームを組んで団体戦を戦えているということがすごくうれしいです。

本当に人間的にも体操選手的にも目標とする人なので、これからも追い続けていきたいですし、こういったすごくいい見本が近くにいるということに感謝して、いろんなことを教えてもらっていきたいなと思います。

田中:昨日はただただ感無量でした。まあ(航平さんも)いつかは負けてしまうんですけど、ここであってほしい……あ、ここであってほしいじゃない(笑)。逆だ。「ここではなくていいでしょう」という。

本当にここまで体操界を牽引してくれてて、僕たちと引っ張ってくれてて、団体で金というのをずっと言ってきてて、個人総合で……本当に大変だと思うんですよね。

それを予選から18種目やってきて、体を酷使しながらあれほどの演技で、本当にみんなに感動を届けてくれて、やっぱりキングはキングだったなと思いました。

「お尻思いっきり蹴っていいか?」金メダル獲得後の歓喜の瞬間

記者3:団体金メダルおめでとうございます。団体の悲願を達成するにあたって、合宿中あるいは予選から決勝までの間にそれぞれいろいろ会話したと思うんですけど、「あの人のこんな言葉が記憶に残った」みたいな、「あの人はこういうことをやっていた、だから金メダルが獲れた」とか、パッと思い出したことでいいのでお願いしたいです。

山室:(加藤選手に)なんかあった? 特別なことはないと思うんですけど、本当にみんなで出し切ろうという感じだったので……なんですかね。気合を入れるためにやったのは、試合前に円陣を組んだくらいですかね。

加藤:試合後でもいいですか? 航平さんの一面なんですけど、団体の決勝が終わったあとに、喜びを言葉で表現できなかったのか、僕のことをすごいほめてくれながら、「お前さすがだな、本当に……お尻思いっきり蹴っていいか?」って(笑)。

(会場笑)

加藤:言葉だけで表現できないような、本当に信頼されていて、うれしいなと感じました。

内村:団体決勝の床で建三がトップバッターで、僕は建三の演技を見る余裕もなく、ただ自分に集中してたんですけど、建三はこんなに若くして、すごくメンタルが強いというのをみなさんご存知だと思うんですけど。

そんな建三でもこの床は……緊張ではないでしょうけど、やはりいつもと違うなにかを感じてたという周りのチームメイトから聞いて、やっぱり建三でもああいう舞台ではそういう感じになるのかという、人間らしい部分を感じられたかなと思います。

白井:僕も団体決勝終わったあとなんですけど、航平さんが上のビジョンを見ながら、「俺たちオリンピックチャンピオンだぞ!」って言ったのを聞いて、僕は初めてのオリンピックだったので、予選で「オリンピックってこういうものか」って本当に初めて知った身だったので、初出場で初優勝というのはすごくぜいたくな経験なんですけど。自分たちはそれだけのことをやったんだなっていう充実感をその言葉を聞いて実感しました。

田中:なんでしょうね……いろいろあったんですけどね、ぜんぜん出てこないっすね。航平さんがずっと「(表彰式のときに)オリンピックチャンピオンってアナウンスで言われるのは気持ちいいよ」っていうのをずっと言ってて、それをすごく楽しみにしてたんですけど、思っていた以上にあっさり「オリンピックチャンピオン」って言われて、「あ、こんな感じか」って現実を見ました(笑)。でも(表彰台に)立てたことはすごく幸せでした。

記者:内村選手に確認なんですけど、昨日の演技で腰を痛めたとおっしゃってましたけど、1日経って今の状況はいかがかということと、種目別までに回復できそうかということを教えてください。

内村:昨日の終わった直後の姿を見てもらえればわかるんですけど、歩くのも困難な状況で、痛みもかなりあるんですけど、種目別に向けて気持ちはぜんぜん切れていくことはないし、種目別の床はメダルのチャンスがあるし、出られる状況であればぜんぜん出たいと思っているので、自分のなかではぜんぜん諦めてないです。

司会者:ありがとうございました。