インターネットの大波のなか、どう生き残るのか

楠真氏(以下、楠):続きまして、渡辺さん、電子新聞のお話をお願いします。

渡辺洋之氏(以下、渡辺):ドコモさんの後では非常に小さい話になっちゃうんですけれど(笑)、そのぶん、みなさん身近にお使いいただいてるということだと思いますので、そういう目線で見ていただければと思います。

振り返っていただければわかるんですけれど、実はインターネットができてから、我々、従来メディアはものすごくやられっぱなしなんですね。今さらディスラプトもないぐらい、95年からずっとやられっぱなしです。思い出していただれば、一番最初にヤフーさんが登場して、その次に登場したのがGoogleさん。去年、一昨年あたり、スマホが普及したらキュレーションメディアとかって人たちがいっぱい出てきて。

最近になったら、AppleもFacebookもGoogleもみんなニュース好きになっちゃって(笑)、「ニュースやります」といって、ものすごく圧力がかかっているというのが、実は新聞業界・メディア業界です。

我々は、そのなかでどうやっていくのかと、まさに遅まきながらにデジタルトランスフォーメーションをやりつつ……敵がどんどん大きくなっているんですよね。ヤフーさんGoogleさん、最後はAppleも交えたプラットフォームが大きくなるのに対して、どう生き残るのか、どうポジションを見つけるのというところが会社としては非常に重要になってきています。

そしてサービスをやっていくなか、考えていくなかで、自然とクラウド化せざるをえなかったというのが現状であります。そんな話を少しさせていただこうと思います。

「絶対失敗する」と言われた日経電子版

みなさんもお読みになっていただいてると思いますが、今45万人を超えて48万人ぐらいまできました。月極で払っていただくと4,000円で利用できるんですけれど、これは月40ドルですね。

「2010年の頃、月40ドル取ってたサイト、サービスってなんでしょうか?」というと、世界中でアダルトサイト以外になかったんですね。あの頃、「日経はアダルトサイトを作るのか?」と世界中の人から指摘を受けて、「絶対に失敗する」と言われたプロジェクトです(笑)。

でもおかげ様で、やってみると、こうやって48万人ぐらいきていますので、売上的には100億円を超えるような事業。ネット事業の課金では、たぶん世界で今、一番高いサービス、一番高く取っているのはうちじゃないかってぐらいです。ある種、「ネット業界の奇跡」と言われているらしいんですけれど(笑)、今はアダルトサイトよりも高いお金を取ってるというところまで成長しています。

やはり大変だったのは、環境変化が我々にとってはすごいんですね。ディスラプトはどうやって起こるかというと、環境変化が起こるたびに起きているんですね。

先ほど言ったように、インターネットができたら、ヤフー。検索ができて、Google。スマホが流行りだしたら、キュレーションメディアみたいな感じなので、環境が変わるたびにチャレンジを受ける会社です。

今、我々が思っているなかで一番大きいのはモバイルとか、先ほど楠さんからもお話ありましたけど、AIとか。そして、クラウド。

実は、クラウドも、我々は使うものであると同時にチャレンジを受けるところでもあるんです。クラウドを使うサービスはどんどん出てきますので、そういうなかでどうやっていくかということです。

オンプレミスで立ち上げをして……

一番最初に電子版が出た時はまだまだのんびりしていた時代でした。Amazonさんは、活動されていてもほとんど日本ではなかったと思います。

ですので、実は我々は一番最初の立ち上げはオンプレミスで全部作りました。今だから言える“ウン10億円”をかけて、失敗したらクビが飛ぶどころではなかったんですが、そうせざるをえなかったということです。

その時代はやはりパソコンの時代でしたので、みなさん思い出していただければ、今は当たり前のようにスマホを使ってますけれど、その当時はガラケー全盛期ですので、PCとガラケーをやっていればいいという時代だったんですね。

それがこの年の6月ぐらいに、iPhoneが日本でも出るようになって、一番最初のiPhoneは当然遅かったですけれど、明らかにこれが来るということを、印象づけた年でした。

その頃、私も、もうガラケーの開発をやめさせて、「全部スマホにいけ」みたいな話をした覚えがあります。

その結果なにが変わったかというと、実はサービスに対する利用の仕方が変わるんですね。

先ほどのこれ(スライド)だと、朝、新聞を読んで、会社でPCというパターンなので、利用の仕方ってほとんど予想できる範囲内に収まるんですよね。

ですので、キャパシティプランニングを考えても、それほど大きなことはよほどじゃなきゃないだろうと考えていればよかったんですけれど。こう(モバイルの時代に)なっちゃうと、なにが来るかわからないんですね。

モバイルの時代になってなにが起きたのか?

スマホで朝刊・夕刊を届けるようになった途端に、新聞を読むだけではなくて、朝から朝刊を読む。7時半から8時半ぐらいに、思いっきりスパイクするんですね。

電車のなか、みなさんも通勤中にお読みいただいてるかと思うんですけど、意外と通勤のなかでも使われてしまうと。会社に着いたらPCは変わりません。

さらになにが起きたかというと、やはりスマホの時代になってソーシャルを利用するようになりますので、ソーシャルで、Twitterでリツイートされたり、Facebookで「いいね!」がいっぱいついちゃったりすると、もう突如としてスパイクするようになるんですね。

もうひとつ、我々自身にも変わったところがありました。みなさん覚えてらっしゃるかと思いますけれど、日銀のまさに「マイナス金利を議論」というのを、日本経済新聞社は、日銀の会合が始まる直前に流したりしました。

そんな話を流すと、今度は自分たちでプッシュ通知をするわけです。みずからスパイクを招くようなことがあるということで、もうそういう意味ではまったく利用の状況が変わってくるということです。

そんなことがあって、どんどんオンプレミスだけでコントロールするということは、ある意味ちょっと不可能という状況になってくるんですね。

しかも、先ほど言いましたように、「この人たちとどうやって戦うんですか?」ということを考えたときに、同時にキャパシティプランニングを含めたクラウドの利用であり、この人たちに対抗する手段も考えなきゃいけないという状況。

そこで、考えたのが、実はクラウド化なんですね。AWSを使ってるというのはそういうことです。

クラウド化によって起こった変化

こうなって設備投資の考え方が変わりますということです。

これは、ここ1、2年のスマホの利用状況ですけれど、簡単に2倍になっちゃったりしますので、どこに合わせて設備投資をしておくかって、大変なことなので、これをオンプレミスでやっていたら、もうありえません。

事業上は完全に過剰投資になって、「繁栄してても利益が出ない」の典型になってしまうので、ここにおいてはもう必ずクラウドにいかざるをえないということですね。