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【パネルディスカッション】 エンタープライズ IT を改革するデジタルトランスフォーメーションとクラウドコンピューティング(全3記事)

2016.09.23

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「読む」から「使う」新聞へ 日経電子版がクラウド化で仕掛ける次の一手

提供:アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社

AWSクラウドに関する最新技術や活用方法を紹介する「AWS Summit Tokyo 2016」。メガバンク、巨大モバイルキャリア、そしてメディアはそれぞれどのように新しいプラットフォームを取り込んでいるのか。第3世代プラットフォームを活用し、企業変革を行うために必要な意識や課題についてパネルディスカッションを行いました。本パートでは、日本経済新聞と三菱東京UFJ銀行、いわゆるレガシーな大企業がどのように新しいチャレンジに取り組んでいるのかが、紹介されました。

インターネットの大波のなか、どう生き残るのか

楠真氏(以下、楠):続きまして、渡辺さん、電子新聞のお話をお願いします。

渡辺洋之氏(以下、渡辺):ドコモさんの後では非常に小さい話になっちゃうんですけれど(笑)、そのぶん、みなさん身近にお使いいただいてるということだと思いますので、そういう目線で見ていただければと思います。

振り返っていただければわかるんですけれど、実はインターネットができてから、我々、従来メディアはものすごくやられっぱなしなんですね。今さらディスラプトもないぐらい、95年からずっとやられっぱなしです。思い出していただれば、一番最初にヤフーさんが登場して、その次に登場したのがGoogleさん。去年、一昨年あたり、スマホが普及したらキュレーションメディアとかって人たちがいっぱい出てきて。

最近になったら、AppleもFacebookもGoogleもみんなニュース好きになっちゃって(笑)、「ニュースやります」といって、ものすごく圧力がかかっているというのが、実は新聞業界・メディア業界です。

我々は、そのなかでどうやっていくのかと、まさに遅まきながらにデジタルトランスフォーメーションをやりつつ……敵がどんどん大きくなっているんですよね。ヤフーさんGoogleさん、最後はAppleも交えたプラットフォームが大きくなるのに対して、どう生き残るのか、どうポジションを見つけるのというところが会社としては非常に重要になってきています。

そしてサービスをやっていくなか、考えていくなかで、自然とクラウド化せざるをえなかったというのが現状であります。そんな話を少しさせていただこうと思います。

「絶対失敗する」と言われた日経電子版

みなさんもお読みになっていただいてると思いますが、今45万人を超えて48万人ぐらいまできました。月極で払っていただくと4,000円で利用できるんですけれど、これは月40ドルですね。

「2010年の頃、月40ドル取ってたサイト、サービスってなんでしょうか?」というと、世界中でアダルトサイト以外になかったんですね。あの頃、「日経はアダルトサイトを作るのか?」と世界中の人から指摘を受けて、「絶対に失敗する」と言われたプロジェクトです(笑)。

でもおかげ様で、やってみると、こうやって48万人ぐらいきていますので、売上的には100億円を超えるような事業。ネット事業の課金では、たぶん世界で今、一番高いサービス、一番高く取っているのはうちじゃないかってぐらいです。ある種、「ネット業界の奇跡」と言われているらしいんですけれど(笑)、今はアダルトサイトよりも高いお金を取ってるというところまで成長しています。

やはり大変だったのは、環境変化が我々にとってはすごいんですね。ディスラプトはどうやって起こるかというと、環境変化が起こるたびに起きているんですね。

先ほど言ったように、インターネットができたら、ヤフー。検索ができて、Google。スマホが流行りだしたら、キュレーションメディアみたいな感じなので、環境が変わるたびにチャレンジを受ける会社です。

今、我々が思っているなかで一番大きいのはモバイルとか、先ほど楠さんからもお話ありましたけど、AIとか。そして、クラウド。

実は、クラウドも、我々は使うものであると同時にチャレンジを受けるところでもあるんです。クラウドを使うサービスはどんどん出てきますので、そういうなかでどうやっていくかということです。

オンプレミスで立ち上げをして……

一番最初に電子版が出た時はまだまだのんびりしていた時代でした。Amazonさんは、活動されていてもほとんど日本ではなかったと思います。

ですので、実は我々は一番最初の立ち上げはオンプレミスで全部作りました。今だから言える“ウン10億円”をかけて、失敗したらクビが飛ぶどころではなかったんですが、そうせざるをえなかったということです。

その時代はやはりパソコンの時代でしたので、みなさん思い出していただければ、今は当たり前のようにスマホを使ってますけれど、その当時はガラケー全盛期ですので、PCとガラケーをやっていればいいという時代だったんですね。

それがこの年の6月ぐらいに、iPhoneが日本でも出るようになって、一番最初のiPhoneは当然遅かったですけれど、明らかにこれが来るということを、印象づけた年でした。

その頃、私も、もうガラケーの開発をやめさせて、「全部スマホにいけ」みたいな話をした覚えがあります。

その結果なにが変わったかというと、実はサービスに対する利用の仕方が変わるんですね。

先ほどのこれ(スライド)だと、朝、新聞を読んで、会社でPCというパターンなので、利用の仕方ってほとんど予想できる範囲内に収まるんですよね。

ですので、キャパシティプランニングを考えても、それほど大きなことはよほどじゃなきゃないだろうと考えていればよかったんですけれど。こう(モバイルの時代に)なっちゃうと、なにが来るかわからないんですね。

モバイルの時代になってなにが起きたのか?

スマホで朝刊・夕刊を届けるようになった途端に、新聞を読むだけではなくて、朝から朝刊を読む。7時半から8時半ぐらいに、思いっきりスパイクするんですね。

電車のなか、みなさんも通勤中にお読みいただいてるかと思うんですけど、意外と通勤のなかでも使われてしまうと。会社に着いたらPCは変わりません。

さらになにが起きたかというと、やはりスマホの時代になってソーシャルを利用するようになりますので、ソーシャルで、Twitterでリツイートされたり、Facebookで「いいね!」がいっぱいついちゃったりすると、もう突如としてスパイクするようになるんですね。

もうひとつ、我々自身にも変わったところがありました。みなさん覚えてらっしゃるかと思いますけれど、日銀のまさに「マイナス金利を議論」というのを、日本経済新聞社は、日銀の会合が始まる直前に流したりしました。

そんな話を流すと、今度は自分たちでプッシュ通知をするわけです。みずからスパイクを招くようなことがあるということで、もうそういう意味ではまったく利用の状況が変わってくるということです。

そんなことがあって、どんどんオンプレミスだけでコントロールするということは、ある意味ちょっと不可能という状況になってくるんですね。

しかも、先ほど言いましたように、「この人たちとどうやって戦うんですか?」ということを考えたときに、同時にキャパシティプランニングを含めたクラウドの利用であり、この人たちに対抗する手段も考えなきゃいけないという状況。

そこで、考えたのが、実はクラウド化なんですね。AWSを使ってるというのはそういうことです。

クラウド化によって起こった変化

こうなって設備投資の考え方が変わりますということです。

これは、ここ1、2年のスマホの利用状況ですけれど、簡単に2倍になっちゃったりしますので、どこに合わせて設備投資をしておくかって、大変なことなので、これをオンプレミスでやっていたら、もうありえません。

事業上は完全に過剰投資になって、「繁栄してても利益が出ない」の典型になってしまうので、ここにおいてはもう必ずクラウドにいかざるをえないということですね。

「読む」から「使う」新聞へ

また、これは我々にとってデジタルトランスフォーメーションであり、ビジネスモデルの変革であり、変わっているところなんですけれど。

プラットフォーマーと戦うためには、自分たちだけでは押し潰されてしまいます。先ほども楠さんもおっしゃったように、Facebookは18億人が使っている、電子版は50万人とか、登録ユーザーも含めると300万、400万人ぐらいという話ではぜんぜん違ってくるので、この人たちと戦おうと思うと、外と組まざるをえないということになります。

実は、我々、日本経済新聞社は、このEvernoteに出資をしてます。出資に伴う提携などもしていますので、そういうところと新しいサービス。それこそ、プラットフォーマーが買ってしまいそうなサービスも含めて新しいことををやっていく。

すなわち、ここに書いてありますけれど、新聞って「読む」というものだと思うんですけど、我々としては、これを「使う」ものに変えていきたい。この使うところをいろんなところとやっていきたい。

そうなると、当然、日経はクラウド化したシステムで、相手もクラウドをベースにしたサービスということなので、ある種、これから先も出るかもしれないですけれど、戦っていくためには、API対APIということを考えておかないと、もう回っていかないということなんですね。

電子版のほぼすべてをマイクロサービス化

そんなところを考えながら今やっています。そうは言っても、みなさんからすると、「サービスをAWS化しただけなんじゃないの?」ということだと思いますので、簡単に我々がどんなことをやってるかお話しします。

去年の8月、本格的にAWS移行を決めまして、ミッションクリティカルな「データ」。記事データとか顧客データは自分のところのサーバーに残しますけれど、サービス系のところは全部AWSに上げました。

そのために100台くらいを、去年8月にAWS化して。それだけだとつまらないので、今、一生懸命、現場には「クラウドネイティブなアプリに全部書き換えろ」って言っています。そうじゃないともうぜんぜんダメなんですね。

実は1回、クラスタリングとかを上げちゃったら、ぜんぜんネイティブに動かなくて、えらい目にあって。本当にもうちょっとでクビが飛びそうだったとかあるんですけれど、そんなことになってしまうので、クラウドネイティブにしようと言って。

どんなことをやっているかというと、今、電子版のサービスはほぼマイクロサービス化しています。かなりNetflixのアーキテクチャーみたいなものを、現場で研究させましたので、マイクロサービス化してます。

そのインフラにはDocker使っているので、かなりポータビリティが効くのと同時に、オートマチックにキャパシティが上がっていくような、そういう体制にもしています。

意外と、みなさんのサービスで身近なところ、今日から見ていただけるとわかるんですけれど、日経電子版には電子版の紙面ビューがあります。紙面を全部開く、そのまま見れるようなサービスがあるんですけれど、あの変換、データの変化のところで実はAWSを使っていて、AWSのLambdaを使ってます。

新聞社って、新聞の紙を作り終わってあげるのが3時か4時なんですよ。その頃になるとLambdaが1,000台ぐらいサーバーを動かして、数分で全部データ変換してやるようにしています。

というぐらいで、単にAWS化する、クラウド化するのではなくて、クラウドネイティブというところを一生懸命、今、やっています。

これからお話が出るかもしれませんけれど、話として我々の結論は、アプリケーションが少ないうちにやったほうがいいなと(笑)。

移行で苦労するのはイヤなので、本当に去年のうちにやっておいてよかったなと感じているのが、電子版の取り組みでございます。

FinTechが注目されている背景は?

:ありがとうございました。では、村林さん、お願いします。

村林聡氏(以下、村林):我々は今までのお2人のところのように、まだすごく活用しているわけではないので、今、話題となっているFinTechとクラウドについて少しお話を進めてさせていただきます。

FinTech、よくみなさんもご存知の言葉に最近なってきてると思いますけれど、これが起こりだした背景にこの3つのことがあります。

1つは、お客様の行動の変化。これは今、お客様がデジタル社会に生きていますので、そういうサービスを求めているという意味での、お客様の行動の変化。

それから、先ほど栄藤さんも言われていたように、誰でもこういうプラットフォームが使えるようになったので、モバイルとかクラウドの技術の変化によって、いわゆるアイデアのある人が金融サービスを簡単に作れるようになってきたということがあります。

それから、ビジネスモデルの変化ということで、オープンイノベーションを中心に、自前でなんでもやるというわけではなく、いろんな企業さんと組んで、また新たなサービスを提供していく。こういうことで、FinTechというのが始まったということであります。

MUFGはデジタルイノベーション推進部を設置

我々も、先ほど冒頭にレガシー企業と言いましたけれど、やはりきちんとこれに対応していかないといけないということです。

しかし、対応していくにしても、自分たちの既存の考え・組織ではなかなか難しいだろうということで、デジタルイノベーション推進部というのを、事業部門の外に立ち上げて、イノベーションを推進していっているということであります。

ちょっと銀行とは似つかわしくないようなオフィスを最近5月にオープンいたしまして、「イノベーションラボ」と言うんですけれど、そこでラボの人間、それからみなさま方、いろんな方に協力いただいて、オープンイノベーションを展開しているところです。

これはなにも日本に限った話ではありません。アメリカの西海岸から東海岸、それからシンガポール、世界中で今、FinTechの流れが起きてますので、それぞれにオフィスをおいて、クラウドでつないで、研究をしています。

自分たちだけでやっていてもいけないということで、昨年、アイデアコンテストを実施しました。かなりの応募をいただきまして、実際に3社のサービスと連携して、世の中に出していっています。これらもほとんどはクラウドサービスで提供されています。

それから、今年になって、「BRING YOUR OWN BANK!」ということで、ハッカソンを開催しました。これにもたくさんの応募をいただきまして、優秀賞とかを3つぐらい出しています。

これにはAWSさんのご協力を得まして、スポンサーとして賞を出していただきました。その賞を取ったのが、いろんな世の中の人じゃなくて、銀行のなかの1年生ががんばって取ったというのはうれしいところでありました。

クラウド活用がイノベーションを支える

それから、アクセラレーターというような取り組みもしています。インキュベーションプログラムですね。

いろんなアイデアとアプリケーションをもって世の中に出たいという人を支援して、場合によっては出資をして、起業家として起業するところを支援するというようなところまで今、取り組んでいます。

このような取り組みのなかで、我々が最近、世の中に出していってるサービスということで、ロボットを店頭においています。

これはドコモさんの、先ほど出てました「しゃべってコンシェル」とか、そういうのと連動してやっています。

それから、いろんなWatsonとか、人工知能を使ったようなものを使って、LINEでお客様のQAに答えたり、あるいはバーチャルアシスタントのようなものでやったり。まだまだ途についたばかりですけれど、こういうことができるようになったのも、やはりクラウド・サービスの威力かなと思います。

この回転は、イノベーションサイクルを支えるプラットフォームということです。

やはりクラウドというのは既存のシステムをそちらに乗っけかえるというものではなくて、企業のイノベーションプラットフォームだと思いますので、積極的に取り組んでいくということでやっていきたいと思っています。以上です。

デジタルトランスフォーメーションに立ちはだかる課題

:栄藤さん、渡辺さん、村林さん、ありがとうございます。

栄藤さんのお話は、パイオニアとして、あるいは仕掛け人として、NTTドコモを動かしていったというお話だと思います。渡辺さんは、とにかくAWSに飛び込んで、泳ぎきるぞというお話だったと思います。

また、村林さんのお話は、巨大な山のような組織を動かすために、まず組織を動かすための組織を作って、そこからリーダーシップをとって進めておられる、そういうお話だったと思います。

後段は、日本企業のデジタルトランスフォーメーションということで議論していきたいと思うんですが、第3世代プラットフォームでいろいろと動きが激しい。我々もどうにかしなきゃいけないということがある一方で、足元を見ますと、日本の大企業、私ども野村総合研究所も含めまして感じるのは、大企業病、それから従来型のビジネスモデルをどうしても変えられないとか。

それから、そうしたなかで「IT力」と言うんでしょうか。企業のなかでのITを作り上げていく力が、どうも昔と比べると弱体化してしまっているんじゃないかな、という感じを受けてる部分があろうかと思います。

それからもう一方で、外側を見ますと、既得権を守る規制がいろいろある。例えば、よく言われるのは、Uberが日本に入ってこられない理由として、日本のタクシー行政というのがあるんだ、というようなことがあります。

あるいは、どの業界にもそれに類似した業界の商慣習がございます。こういったものもデジタルトランスフォーメーションを阻むものになっているかと思います。

それから、IT業界そのものがデジタル化できないという部分もあるように思います。やはりオンプレミスの文化に慣れ親しんでるIT業界というものもあると思うんです。

大企業のなかでイノベーションを起こすためには

後段のディスカッションとしまして、どうしたらこういうことを打破してやっていけるのかという意味合いで、3点議論してみたいと思います。

まず1つが、「大企業におけるイノベーション」。どうしたら大企業のなかでこういったイノベーションを進めていけるのかということで、お三方からご意見をいただきたいと思います。

まず、パイオニアとしての実績をベースに栄藤さん、ひと言お願いいたします。

栄藤稔氏(以下、栄藤):大企業が一番できていないことは、私はDevOpsだと思ってるんです。開発と運用が分かれている。あと技術とビジネス部門が分かれている。だから、当然高速PDCAが回らないですよね。

DevOpsのいいところって開発手法じゃないですよね。いわゆる継続的デリバリーをずっとやり続けていく。もちろんNTTドコモはインフラの部分はちゃんとウォーターフォールでやっていて、1年半かけて開発をやっていくので、それはぜんぜん否定しません。

栄藤がなにか言うと、すぐに「ウォーターフォールを批判してる」と言われるんですけれど、ぜんぜんそのつもりありませんので、言っておきます。

LoTやAIの分野で日本は負け組になる?

さっきビックリしたんですけれど、渡辺さんのところの日経電子版がマイクロサービスをやっているって聞いて、ちょっと置いていかれた感じがしたんですけど。

マイクロサービスというのはBizDevOpsの究極のかたちだと私は思っているんです。要は小さな組織に切って、高速でガンガン、開発と運用とそれからビジネスの変更をやっていくということが、普通のネット企業はできているんですけれど、大企業は組織の問題がありますから、なかなかできません。

結局、一番下に書いてますけど、リーンな開発をしようと思うならば、ツールと環境と組織と文化もそれに合わせる必要があるんですが、なかなか変えることができない。

運用部門と開発部門を一緒にするなんてすぐにはできない。それから開発というのは、所詮ビジネスのリソースだって、そんなふうに思われているのでなかなかうまく回らない。そこがけっこう大きな課題だと思っております。

もっと危機感だと思っているのは、最近「第4時産業革命」とかって、IoTとかAIという分野でいろいろ言っていますけれど、なんかすごく負け組なざわざわ感があるんですね。

それはなぜかというと、ここに書いてますけど、今日はGEの話がありましたよね。欧米では「GEみたいな」というと言い方が悪いんですけれど、伝統企業でさえ自社の競争力をデジタル化している。いわゆるデータを重視する。

それからサービス化ですよね。サービスとして売っていくということをしていくなかで、日本企業の多くは世界がソフトウェアでできているという感覚がない。

開発手法も、オープンソースはもちろん「なにそれ?」という感じですよね。「GitHub、なにそれ?」「DevOp、なにそれ?」という感覚で。それで組織改革も当然できませんので、なかなかついていかない。これはものすごく焦りがあります。

デジタルデバイドが企業の明暗を左右する

見ていると、楠さんもたぶん感じられてると思いますけど、私は今、企業でデジタルデバイドが進みつつあるんじゃないかなと思っているんです。米国ではそういった言葉はないんですよ、企業に関しては。

ですけど、日本だとデジタルデバイドが、ついに「知ってる企業」と「知ってない企業」というふうに分かれていくような気がしていて怖いと思っています。

さっきの議論をまとめると、例えば、最近IoTとか人工知能とか機械学習とかビッグデータってけっこうやってるんですけど、「じゃあ、ここに投資したらうまくいくのか?」というと、そうじゃなくて。

実は根っこの部分で、「じゃあビジネス設計どうするんだ?」「DevOpどうやって回す?」「ICT人材どうやって育てていくんだ?」「システムエンジニアリングをもっと根底変えなきゃいけないよ」とかってことがある。そこに手を打たなきゃいけないということです。

村林さんがおっしゃったように、やっぱり企業のイノベーションプラットフォームとして、開発手法を変えるようなことをする、人材を変えるようなことをすることの契機として、パブリック・クラウドをちゃんと見ていかないといけないというのが、私のメッセージになります。

「一度やってみてから嫌いになればいい」

結局どんなことかというと、結局ずっと考えていて、「本当にセキュリティ大丈夫なのか?」「本当パブリック・クラウドは使えるのか?」「パブリック・クラウドは安くなるのか?」と、それをずっと延々とやってるいるようじゃぜんぜんダメだと思っています。

「御社に新しい技術に対する正しい知識がありますか?」。あと「勇気がありますか?」というところが課題だと思います。それをどうやって次のステップに回していくか。

一度やってみてから嫌いになればいいと思うんですよね。いつも私、「栄藤が嫌いだ」という人けっこう会うんですけれども、一度も会ったことがない人から言われるんですよね。会ってから言ってくれよと(笑)。

(一同笑)

ということで、パブリック・クラウドが使えないんだったら、一度使ってみましょうよ。我々はそれを使った上で、オンプレミスもやっております、ということを申し上げておきます。

ひとつの方法としては、村林さんの発表ですごく感銘を受けたんですけれども、別の部を作る。

大きな会社であれば、デジタルイノベーション推進部というものを作られて、そこでやっている。いつかはメインストリームになるプランBをやってもらうとか、そういう手もあると思いますし。

そんな余裕がないんだったら、社長直轄で2〜3人で触ってみるとかってやってみるのもいいのかなと思いました。

けっこう根っこは深いと思います。パブリック・クラウドが安いのか高いのかって、そんな議論じゃなくて、本当にやらなきゃいけないのは、会社の根っこの部分として、いわゆる開発手法とか組織とか、企業文化を変えることができるか、そういうところにきてるんだと思います。以上です。

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