2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤岡清高氏(以下、藤岡):現在の事業状況を教えていただけますか?
山下智弘氏(以下、山下):リノべるが取り組んでいるのは、古い住宅をその方に合わせてリノベーション、改装して、再流通させることです。
ターゲット層は初めて家を買う方です。今のお住まいの家をリフォーム、リノベーションしたいという方ではなくて、賃貸や寮にご家族と住まれていて、生活のステージが変わるときに新しく家を買いたい、そういう方々がターゲットになっています。
年齢で言うと平均が37.8歳、世帯人数で言うと2.1人です。ご夫婦お二人のお客さんが大半ですが、お子さんがいる世帯もあります。
シングルの方も最近増えてきています。これまではシングルの方の割合は10パーセント未満だったのですが、この3年でグッと増えてきて、今は2割超えたぐらいになってきています。女性、男性ちょうど半々ぐらいです。
背景に大きく2つの理由あると思っていますが、1つは金融機関がシングルに対しての緩和をしてきたことです。
僕たちはシングルの方にも住宅ローンを使って販売しているのですが、金融機関はそれを敬遠していました。要は「シングルの方たちが結婚した際に、その物件はどうなるんだ?」ということで、金融機関が融資に消極的でした。その辺がだいぶオープンになってきました。
もう1つは、シングルの方でも家を資産として持っておこうという方が増えてきているという市場の動きがあります。例えば、都心で賃貸ワンルームでも家賃が月10万円するところもあります。
であれば、今後結婚するかどうかは置いておいて、資産として持っておこうと買われる方が増えてきています。
払う金額がほとんど変わらないのであれば保有したほうがいいんじゃないか、ということです。海外だとそういう方が多くて、最近台湾に出張に行ったのですが、台北の働いている20代の女性たちに話を聞くと、不動産物件を持っている人が半分近くいました。自分で働いたお金を不動産に投資してるんですよ。
「なんでそんなことしてるの?」と聞いたら、「学校の教育で、投資の教育を受ける」と。親からも教育を受けるので、要はお金をどこで調達して、どんなふうに使っていって増やしていくという教育があるらしいです。
日本だと稼いだら使うので、お金が消えていきますが、その辺がすごく違いました。一方でまだまだ20代の方は少ないですけど、日本でも一部の方の不動産や金融に関するリテラシーがだいぶ上がってきていると感じています。
藤岡:自立した人には資産管理の意識やノウハウがあるということですね。
山下:そうです。大きな要因として、フィンテックの影響があると思っています。例えばマネーフォワードさん等の取り組みで、個人の資産が見える化してきているのも要因の1つだと見ています。
今まで一般の方は負債やB/S(Balance Sheet)をあまり見てこなかったと思いますが、それを自分でも手軽に見れるようになってきました。その際に賃料を払っていることがこれはもしかしたら馬鹿らしいのではないか、と気づかれる方が増えてきました。
今まではお金持ちにばかりプライベートバンカーが付き、情報が集まって、必然的にお金があるところにお金が集まる仕組みになっていましたが、それが少しずつ変わってきていると最近すごく感じます。
藤岡:リノべるのターゲットエリアは主要都市が多いですね、その狙いは?
山下:全体の売上6〜7割が首都圏ですね。しかし首都圏と言っても東京ど真ん中、山手線の中とかではなくて、もう少し外側のイメージです。
というのも、我々がターゲットにしているのは世帯収入がだいたい700〜800万ぐらいの方々です。旦那様が500〜600万ぐらいで、奥様がパートで働いているというイメージで、それぐらいの年収でベストな住み方は、東京のど真ん中の地面の一番高いところを買うよりは、少し外れたところが人気です。例えば、東横線沿いはすごく人気ですね。
藤岡:しかも、リノべるの物件は中古物件なので資産価値がそんなに落ちない。
山下:落ちないです。もう落ちきってるものですので。築20年以上の建物の価値が落ちきってるものを買っていただくというイメージです。リノベーションは基本的に建物の価値はゼロです。
逆にリノベーションのような中古ではなく、新築を買うと鍵を開けた瞬間に20パーセント、建物としての価値が落ちます。
ですから新築ではなく、中古のしかも建物の価値が落ちきってしまった物件を対象にしています。もちろん、新築すべてが20パーセント落ちるわけではありません。例えば広尾のど真ん中のピカピカの新築マンションは、落ちないかもしれないです。ですがそんな物件は手が出しづらい。
そう考えたら、不動産を資産として持つときに最も賢い方法は築25〜30年以上の古い物件を購入して、自分に合わせてリノベーションすることだと思っています。それが一番賢く、自分らしいお住まいを手に入れる方法と思って僕たちは広めています。
藤岡:リノべるはリノベーション分野でリーディングカンパニーとして取り組まれてきましたけど、最近大手やほかのベンチャーも含め、競合が増えています。経営にどのような影響が出ていますか?
山下:まずは、不動産大手がこのリノベーション市場に参入してくるケースが多いです。ただ大手が参入してくる場合の多くは、買い取り再販と言われる、物件を購入して、リノベーションしてから販売する戦略で、一度ポジションを取るという選択です。
これはなぜかというと、大手にはお金があるからです。ただ僕らはそれをしていません。情報としての物件情報はたくさんストックしていますが、物件は持っていません。ポジションを取らないというやり方は大手ではたぶん少ない。効率が悪いからです。
物件を買ってリノベーションして、そこに利益を乗せて売るのが従来の売り方なのですが、僕たちは情報をストックしているだけなので、なんの効力もないわけです。
つまり、売ろうとした物件がなくなっている場合もあります。しかし大手のように買ってしまうと、そういったことは起きません。結果大手さんはほとんど「100件買え、100件売れ」の号令でドカーンと買ってドカーンと売ります。
どちらのほうが儲かるかは時代によると思いますが、大手の買い取り再販戦略は、時代が良ければかなり儲かります。
まとめて10件、20件仕入れて2、3件すべったとしても、それでも儲かるモデルでやっています。このモデルだけで上場している会社もあります。ですがこれはリーマン後に一番潰れたモデルでもあります。
大手型の戦略でやっていた中小デベロッパー、いわゆる大手財閥のデベロッパーではない中小デベがリーマン前にだいたい500社ぐらいあったと言われています。そういった会社はリーマン後に百数十社まで減りました。
これは銀行の蛇口の開け方をみてやる商売なので、銀行がリーマン後には「貸さない」と言われると、もう潰れていくしかありません。
なので僕たちは、この会社を作るときに、「それはしないでおこう」と言って役員で判を付きあいました。銀行の顔を見ながら商売するのが嫌でしたから。
大手の戦略は今までの方法と一緒で、お客さんに現物を見せて売るので、売り方として悪くありません。不動産会社さんは見せて売るのが得意です。
ですから従来の方法を踏襲して再販会社というのは、すごく大きくなってきていたのですが、今はもう参入が増えてきてレッドオーシャンです。ですから、上場会社を見ると利益率がかなり厳しい。
僕たちは少し手間がかかりますが、物件を持っていないので運営スピードを上げられるという方法で、そこをこだわってやっています。僕たちのモデルは物件を買うためのお金は必要ないですが、人は要ります。
お客様に物件ではなく、リノべるに関心を持ってもらう、というところは、僕たちの一番の特徴です。そのために人が必要なんです。
今までの不動産は、見せて売るということしかできませんでした。リフォーム、リノベーションした物件、新築で作った物件をオープンハウスやチラシで見せて、実際に来てもらって現物を見せながら「これ、どうですか?」と売る。
一方で僕たちは「これ、どうですか?」と見せた物件がボロボロなんです。畳が腐っていたり、障子に穴が開いている。ですから現状ではなく、先のストーリーを描いて買っていただくことが必要で、まさにコンサルティングなんです。
僕たちは物件を持たない代わりに、お客様にリノベーション後のデザインを選べるようにしているんです。
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