2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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仲山進也氏(以下、仲山):井手さんとは「楽天大学チームビルディングプログラム」でご一緒したのがご縁ですので、組織の話をうかがいたいと思います。
「ピーターの法則」というものがあります。僕は楽天に入る前に大手電機メーカーにいて、「もっといっぱい働きたいから小さな会社に行こう」と思って転職しました。
大きな会社って「働かないおじさん」がたくさんいるんです。
楽天に移ったとき、20人くらいだったのですけど、「ここは全員働いている、気持ちいい」と思ったんです。そんなことを思いながら、あるとき本を読んでいたら「ピーターの法則」というのを知りました。
能力主義でヒエラルキー型の組織では、能力のある人は昇進していきます。昇進したポジションで、成果を上げるとまたもう1段階上のポジションにいきます。
それが繰り返されるわけですけど、逆に言うと、自分の能力を超えたことを要求されるポジションについてしまうと、パフォーマンスが上がりません。そうすると、そのポジションで止まります。
ということは、組織のなかにいる、ある程度上の層の人たちは全員、自分に向いていない仕事をするところで留まっている人たちになっちゃうよね、というのがピーターの法則です。能力主義のヒエラルキー組織では全員無能化するという、恐ろしい法則です。
さらにそのあと、ダニエル・ピンクさんという人が、ピーターの法則をアレンジした「ピーターアウトの法則」というのを言っています。
組織の構成員は昇進していくと、管理をしなければいけなかったりして、プレーヤーの楽しみというのがだんだん減ってくるから、つまらなくなって、やる気がある人は外に出てしまう。
やる気のある人は外に出ていって、やる気のない人というか、外に出て行く勇気もない人だけが会社にどんどん残っていく。だから、フロー理論でいう「退屈」ゾーンのおじさんばかりになるよね、という話なんですけど、そういうのが大きめの企業のなかで起きているのかなと。
(井手さんは)このような話を聞いてなにを思いますか。今は(会社の)人数が増えている途中だと思いますが、今はどんな感じですか?
井手直行氏(以下、井手):とてもみんなやる気があって、楽しく仕事をしています。ただ、新しく入ってくる人も多いので、全員がそうなっているかというと、新しい人を中心にまだ途上なんですけどね。
ただ、3年以上経った人はとても楽しく、やりがいを持ってやってくれています。というのは、そういう従業員アンケート調査をやるんですよ。世界的な基準のアンケート調査を模擬でやったら、うちの会社は超高得点なんですよね。世界的にもハイレベルの、トップ10に名前を連ねるぐらいの点数なんですよ。
働き方に関するアンケートで、「非常に満足している」「満足している」ばかりなんです。「うまくいっているな」なんて思います。
ただ一方で、新しく入ってきた新卒も中途も……とくに新卒かな。まだ慣れていないなかで、僕らみたいに自由に、指図も受けずに、自分たちで考えながらやっていくというスタイルに戸惑ったりとかね。まぁ当たり前なんですけど、楽しみ方がまだわからないというスタッフが何人かいます。いろいろと経験を積ませていって、レベルを上げていきたいなとは思っているんですけれども。
現段階の組織では、こういうの(ピーターの法則)はないし、もっともっと楽しくやりがい持って仕事ができると思っています。ある程度になってくると、さらに上を目指したくなるので、全員が「非常に満足」という組織にしたいなと思っています。
ただ、僕もいろいろ転職してきて、今の会社で4つ目なので、こういうの(ピーターの法則)は容易に想像がつくし、店長さん仲間、経営者さん仲間といろいろお話をすると、ほとんどの会社、ほぼ全員が組織の話で悩んでいるので、こんな法則があるんだなあというのは理解しますけどね。
仲山:井手さんとはチームビルディングプログラム3ヵ月ご一緒させていただきました。2007年に1期をやってから今21期まできているんですけれども、おそらく300人くらいの店舗さんが参加してくれていると思います。そのなかで井手さんがダントツに、元を取ってくれているというか(笑)、活かしてくださっていて。
僕ともう1人、チームビルディングファシリテーターというチームづくりの専門家と講座をやっているんですけれども、3ヵ月、体を動かすゲームのようなアクティビティをやったりしながら、チームでなにかを成し遂げるという視点を考えるというものです。
井手さんはそれを社内にどう持ち込もうかというのを考えて、「わからないから全部コピーしよう」と言って、講座でやったことを自分なりにまるまるコピーして、3ヵ月のプログラムを組んで会社で実践するという持ち帰り方をされた唯一の人なんですが、その辺の経緯をうかがってもいいでしょうか。
井手:はい。ちなみにチームビルディングプログラムを受けられた方ってどれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
さすがに学長の講座だから、十数人くらいいらっしゃいますね。チームビルディングプログラムって、3ヵ月かけて延べ5日やって、とっても大変なんですね。大変なんですけど、とてもよくって。
僕は創業メンバーなんですけど、オーナーではないんです。7人で起業した時、最初は営業をやっていて、途中で2008年に社長をバトンタッチされて、2代目の社長なんですね。
仲山:最初の社長は、オーナーの……。
井手:そうなんです。リゾート業で最近有名になってきた、星野リゾートの星野佳路(よしはる)というのが、創業者で。彼はだんだんリゾート業が忙しくなってきて、僕らの仕事をやってくれなくなって、それでしょうがなく1人で楽天市場とかやりだしたっていう感じなんですよ。
会社の創業メンバーだし、ほかの人もだんだん辞めていっちゃって古株は僕ともう1人くらいしかいなくなったので、それまでも一応ずっとリーダーで、会社をよくしようとはやっていたんです。2008年に社長になって名実共にトップになったから、自分の責任で会社をよくしようと思って、売上も大事なんだけど、とりあえず組織改革をしようと思って、一番最初に着手したんですね。
その時に自分でいろいろとやってたんですけど、ぜんぜんうまくいかなかったんですね。自分でも組織をまとめるのが上手だと思っていなかったんですよ。
みんな反抗したり、言うことを聞いてくれなかったり。お通夜みたいな会社だったので、毎日が暗い感じでやっていたんですよね。みんな一生懸命やってはいたんですけれども。
この意識改革をするにはどうしたらいいんだろうと悩んでいた時、チームビルディングの(講座の)評判を聞きました。時間も掛かるし、お金もけっこう掛かるので悩んでいたんですけど、自分の力じゃダメだと思って受けて。
なにかしら学びを持ち帰ろうと思って、一生懸命、とくに後半は日々の生活がチームビルディングでいっぱいになりました。仕事も当然やりながら、夜とか休日にチームビルディングの活動をいろいろやるんですけど、講座を終えた時にとてもよかったんですね。
僕は人生が変わるくらいのすごい学びを得て、これはすばらしい取り組みで、「これはやっぱりうちの会社で取り組む必要があるんだ。これこそいま大事なことなんだ」と改めてわかったんです。それで、どう持ち帰ろうかいろいろと考えたんですけど、一番手っ取り早いのは、自分が学長になって、同じことをやることだと思いました。
でも、そういう(ファシリテーター側の)立ち位置で見ていなかったから、記憶が曖昧なんですよね。怒涛のごとく過ぎた3ヵ月なんで、よく覚えてないんですよ。大体は覚えているんですけどね。
テキストは残っているので、テキストに書いてあるメモを見ながら、「あのときこんなことをやったな」と。あとは講座の同期14、5人ぐらいのメーリングリストのやりとりが何千通ぐらい残っているから、それを全部見て。
仲山:そうだ。あの時まだ、Facebookグループとか使ってなかったですね。
井手:そうそう。何回も見て。今年も全部見返しましたね。数千通のメールを全部。それで、「この時はこんなことがあった」というのを読みながら、会社に持ち込んで3ヵ月かけてやりました。すると、すごくいい感じになったんですけど、参加していない人間はもうボロカスに言うわけですよね。
仲山:最初に社内チームビルディングを始めたときは社員20人くらいでしたよね。
井手:20人くらいの時に、希望者を募ったら7人手を挙げてくれて、僕と一緒に8人。会社にいると仕事が気になるから近所の体育館みたいなところを借りて。
あの大変だった3ヵ月間、丸5日をやってみたんですけど、20人くらいの会社で8人だから、忙しいのに平日の仕事中に半分近くが抜けるわけです。
だからもう、当たり前なんですけど、参加していないメンバーからは「なんでこんなことやるんですか」とか「プライベートでやってください」「せめて冬にやってくださいよ」とか。
なにを血迷ったか、講座が終わったらすぐの4月か5月に始めちゃったんですよ。ビール屋って夏が一番忙しいんですけど、夏に突入する最盛期にやったんです。
でも僕は、「これは一刻も早くやるべきで、みんなに混乱をかけているのは本当に申し訳なくて、しわ寄せがいってるのはわかるんだけども、これはとっても大事なことだから、ぜひ我慢してほしい」と言ったんです。それでもほかのメンバーは、「社長が変な宗教に騙されて帰ってきて」という感じで(笑)。
仲山:僕もよく宗教っぽいと言われます(笑)。
井手:だって考え方が別人になって帰ってくるわけですよ。今までと違うキャラの人間が会社にポツっと戻ってきちゃったわけですよね。
今までぜんぜん言わなかったのに「チームビルディング、チームビルディング」とか言い始めて、「ああ、なんかうさんくさいところに洗脳されてきたんだな」みたいな(笑)。
しかも、関係ないんだったらいいけど、自分たちにしわ寄せがきている、みたいなね。ほかのメンバーの気持ちは当たり前なんですけどね。そういう非難轟々浴びたんですけど、そこは責任を持って、押し切ってやりました。
卒業生が日々の結果をだんだんと出すようになったんですけれども、終わったあとにすぐ「第2期だ」と言って間髪入れずに人を募ったら、残りの人が手を挙げてくれるかなと思ったのに、1人しか手を挙げなかったんですよ。だからできなくて、第2期は流れちゃいました。
それでまた1年後の年明けにもう1回募集したら、今度また7、8人くらい手を挙げてくれたんですね。そこで第2期を開いて、それからは毎年1回やるようになりました。今年もやって、第7期が終わったんですよ。12月から3月くらいにかけて。延べ50数人の卒業生がいます。
仲山:社員数の3分の1以上が参加していると。
井手:はい。周りの参加していないメンバーのなかには、パートさんとか、出たくても出られない人もいるので、卒業生たちが中心になってだんだんとそれを広めています。今の会社は、チームビルディングに対してものすごく理解があって、会社自体がチームビルディングでできているようになってきていますね。
仲山:今の話を聞いても、「チームビルディングってなんのことかな?」という方が多いと思います。どこから共有するとわかりやすかなと今、考えていました。
これ(スライド)が、チーム作りの考え方の基礎になるところです。
左側が人が集まって「はじめまして」みたいな状態。最初はお互いのことは知らないし、自分の役割もよくわからない。なにか思うことがあっても、「あいつなんか浮いている」とか「変な奴」と思われたくないから空気を読んで遠慮して黙っておこう、という態度をとりやすい。あとは、「偉い人からやれと言われたことをそのままやる」ということが起こりやすいのが、第1ステージのフォーミング(形成期)という状態です。
たぶん、世の中のほとんどの組織がこのフォーミングの状態で仕事を進めているのではないか、という話をチームビルディングプログラムのなかでしています。下にグループと書いてありますけど、まだチームになっていない状態です。
そのうち、コミュニケーションの量が増えてくると、どんな人がいるのか、どんな考え方の人なのかというのがわかってきて、「この関係性なら、自分がこんなことを言ってもそんなに非難はされないかな」というラインが見えてくる。そして、みんなが自分の意見を場に出せるようになってくるというのが、第2ステージのストーミング(混乱期)です。
ただ、みんなが意見を言うということは、バッティングする意見もあるわけなので、「対立しているけど、どうしようか」という話をしていきます。「じゃあこういう調整をしながらやってみよう」とか、やりながらうまくいったアイデアを選んで、チューニングしていって自分たちのやり方を決めていくとか、そういうコミュニケーションが進んでいって、第3ステージのノーミング(規範期)に進む。ノーミングとは規範とかルールという意味です。
そうやって試していくうちに結果が出やすいやり方が見えてきて、この場合はこういうふうに動く、この人はこういう役割をする、というのが自分たちのルールとして見えてくるのが第3ステージです。こうなってくると成果が出始めて、チームっぽくなってくる。
要するに、意見を出し合うストーミングを超えるとグループがチームに変わる、そういう考え方です。
井手さんの会社だと、ストーミングみたいなことが日々行われている感じですかね。
井手:そうですね。ただ、新しい人が毎年10人も20人も入ってくるので、会社としてはトランスフォーミング(第4ステージ、変態期)にはならないんですけど、入れ替わりが少ないチームは、比較的早くノーミングになります。
僕たちはユニットと呼ばれる小集団がいっぱいあって組織が成り立っているんですけど……。
仲山:だいたい何人くらいですか。
井手:少ないところで3~4人、多いところで30人くらいのチームです。人が入れ替わるところはフォーミングやストーミングだったり、あんまり新しい人が入ってこないところはノーミングとかトランスフォーミングっぽいところがあったりします。
チーム横断的にプロジェクトを組んでいるので、そういうところではストーミングが起きたりしますね。僕がいるとよくストーミングは起きるんですけど……。
仲山:いると起きる。普通の会社は社長がその場にいると、みんな社長の顔色を見て黙るので、社長がこうしようかと言ったことをみんながやるみたいになりがちです。社長がいるとストーミングが起きにくて、フォーミング状態に留まりやすい。それが井手さんの場合は逆なわけですね。
井手:当然、僕にいろいろと言ってくるメンバーもいるんですけど、僕はファシリテーター的なこともやるので、この人の意見にこの人が納得していないなと思ったら、「大丈夫?」みたいな。
仲山:意見を引き出すような。
井手:そうそう。あとは黙っていたりしたら、「言いたいことは言ったほうがいいよ、大丈夫だよ」と言って、20分くらい待っていると、ばーっと思いを吐き出したり。
ストーミングのあとの世界がバラ色だっていうのはわかっているので、僕はストーミングを起こそうとします。ただ、リーダーはほとんどチームビルディングの研修をやっているんですけれども、わかっていてもやはりストーミングは怖いなというところがあって、遠慮しているリーダーもなかにはいたりしますね。
なので、チームによっては新しい人たちが入ってきてバランスが崩れて、ストーミングが起きずにまだフォーミングというところもありますよね。
ただ、チームビルディングを理解している人が圧倒的に多いので、大なり小なり、ノーミング状態になっているところも多いですけどね。
仲山:僕がよなよなさんを見ていて思うのは、「超宴(注:ヤッホーブルーイングが開催するファンイベント)」なんかはお客さんとチームビルディングをやってる感じで、まさに2日間が1つのアクティビティ。「みんなで盛り上げよう」というお題があって、みんなでそれに取り組んでいるというふうに見えるし、だから終わったら絆が強まっている感じがします。
あとは協力先の大手ビールメーカーさんともチームビルディングをしている感じがするし。チームビルディングしかしていないように見えるんですよね。そういう視点で考えたりしますか?
井手:めちゃめちゃしますよ。
昨日「熱狂的ファンをつくる」のコンサルタントの社長さんが来て、2時間くらい取材をしていました。社長さんは友達をたくさん連れて参加してくれていたんです。それで、「あんなにファンが熱狂するイベントは見たことがない」と。
そして「客層がもともといい客層なんですか」というのと、「それを狙ってコンテンツを作ってますか」と聞かれたんです。
確かに、客層としては割高のビールを買うから、ちょっと所得に余裕があって、いろいろと好奇心旺盛な、いい客層がつくような市場構造にはなってはいます。でもやっぱり、僕らの会社自体が和気あいあいとフレンドリーな感じでやっていますし、価値を提供するみたいなレベルが高い目標を立ててやっているので、それに共感してくれている。
もう1個、「コンテンツの仕組みもあって、うちのスタッフが自発的にコンテンツを考えるんだけども、チームビルディングがそのベースになっているんです」っていう話をしたんですよ。
ファンのイベントのコンテンツを作る時に、うちのスタッフはチームビルディングの研修を受けている人が多いから、無意識に社内でやっている楽しいことの手順をちゃんと踏んでコンテンツを作っているんですよね。
例えば、まずファンが自己紹介をやるんですよね。僕らのイベントはファン同士がニックネームで呼び合うんですよ。初めて会った人も気軽に呼びやすい。
あとはチーム分けをしていて、チームごとに自己紹介をやったり、チームでクイズ選手権をやったり、一体感を醸成するようなことをコンテンツのなかに入れているんですね。
それで、お酒を飲んだあとの夜のクールダウンの時に、昼間に飲んだからまだみんな酔ってはいるんですけど、キャンプファイヤーが異様に盛り上がるんですよ。
1列になってダンスしながら、先頭の人がじゃんけんで負けたら、その列の後ろにつながっていくというのをやるんですけど、最後の人が勝つまでやってものすごく盛り上がるんですよね。
ああいうのもみんなが一致団結して、自分のチームが勝ったらみんなで喜んで、音楽に合わせて踊りながら「よっしゃあ。次はあっちのチームを倒しにいくぞ!」なんて言って、「じゃんけんぽん。わー、負けたー」とかね。
そういうふうに、ゲーム感覚でみんなで盛り上がって仲よくなるという構図をいろんなアクティビティを通じてやっています。社内でもチームビルディングの取り組みとしてやっていることを、お客さんにも応用していますね。
「僕らを慕って来ているくらいだからもともといい客層だし、僕らがコンテンツを作る時には、ベースにチームビルディングの考え方が根底に脈々と受け継がれているから、全員が初対面なのに盛り上がる。それで平和な感じで幸せを追い求める、プラスのエネルギーしか出ないようなイベントになっているんですよ」という話をしたら、すごく納得していました。
客層のところもわかるけど、僕が言ったのは「ファンイベントにチームビルディングのコンテンツを入れている会社って世界的にもほとんどないんじゃないですか」ということです。その両方あります。
しかも僕らの会社はチームビルディングを入れてうまくいっているので、レベルがけっこう高いんですよ。仲間意識とか楽しくするとか、そういう意識もありますし、代理店とかイベンターとかじゃなくて自分たちが提案してやっているので、より一体感が出て盛り上がるんじゃないですかね、という話をしました。お客さまもそうだし、取引先ともチームビルディングをしていますね。
仲山:そのニュアンスは伝わっていた感じですか。コンサルタントの人に。
井手:伝わってましたね。「なるほど、それは確かにそうかもしれない。そうじゃないとあの状況は理解できない」と言ってましたね。
仲山:言ってみれば、社内的にチームビルディングを知らない人たちのハードルが強制的にちょっとずつ上がっていく流れになっているんですね。
井手:この会場のなかでチームビルディングに参加していない人たちはあまりピンと来ないかもしれないですけれども。
でも、みなさん全員そうだと思いますけど、ほとんどの会社ってチーム作りがあまりうまくいっていないんじゃないですかね。どうですか? 正直なところ。「うちの会社は絶対よなよなさんよりも楽しくて問題ない」みたいな人ってどれくらいいらっしゃいます?
(会場挙手)
あ、すごい、いるいる。いますね。じゃあ、ちょっと会社がギスギスしていて、ちょっとなんか問題があるんじゃないかって人はどれくらいいますか?
(会場挙手)
おー、やはり多いですよね。だからみんな、チームビルディングを受けたほうがいいですね。今の話だけ聞くと怪しい感じなんですけれども、チームビルディングを受けた人は頷いていると思います。
ただ、難しいんですよね。チームビルディング研修を受けたからといって……ほかの店舗さんに聞いていると、それを自社に持ち帰ったときに、それを広げていくことが難しいみたいなんです。うちがよかったのは、素人の僕が、チームビルディング研修をやってそれを持ち帰ったんですけど、それを7年間やり続けたということにたぶん意義があると思ってるんですよ。
僕自身が、学長がやったチームビルディング研修を1回、受け身でやってるでしょ。あとは主催者として7回やったので全部で8回。毎年チームビルディングをやっているんですけど、1回やるとまた忘れちゃうんですよ。忘れちゃうけど、またやると「あの感覚、そうだ!」っていうのがある。
学校の勉強もそうじゃないですか。1回やっても忘れちゃうじゃないですか。それをしぶとく毎年やり続けていたら、自分の習慣になる。僕はほかの受講生に比べると習慣化されていて、ふつうの振る舞いがチームビルディング前提のものになっています。
組織作り、社員との関係、顧客との関係、取引先との関係、協業している協力先大手メーカーさんとの関係もそういうものになっていますね。ちなみにそのメーカーさんってとっても真面目な会社で、シーンとしているんですけど、僕らのところに見学に来るときだけニコニコ、ワイワイ、ガヤガヤしてるんですよ。
大きな会社なので、やっぱり上下関係がすごいんですよね。部長さんが「おいおい、これやれ」って言うと「はい!」となるんですけど、僕らと接する時は、お願いもしていないのにニックネームを付けてきてくれるんですよ(笑)。
みんな「タツマッキーと呼んでください」とか「コニタンと呼んでください」とか楽しそうに言うわけですよ、重役の方たちが。でも会社に戻って仕事する時は普通にしていて。
仲山:コニタンって呼んだら怒られる?(笑)
井手:もう、そんな感じかもしれません(笑)。とにかく僕らといるとそんなふうになっちゃって、とても楽しそうにしてくれるんです。
こういう感じを、会社のカルチャーとして浸透して受け継いできているから、うまくいっているんだと思うんですよ。1回でやめていたら、こんなふうには絶対なっていないなと。
一番上のトップが何回もやっているから、そこの大事さがわかっているし、年々僕もチームビルディングのファシリテーターが少しずつ上手になってきて、理解度も上がるし、毎年新たな気付きもあるし。こんなパターンのチームになるんだとか。ここのチームはこんな問題が起きるんだとか。メンバー構成が変わるとぜんぜん違うんですよね。
僕自身も学びになるので、チームビルディング以外でも人との接し方とか、いろんなタイプの人をうまく受け入れることがなんとなくできるようになったと思うんですよね。
仲山:井手さんがすごいなと思うのは、「うちの会社を変えるときは一気に変える」とおっしゃっていたじゃないですか。あれってチームビルディング的に言うと、みんなでゲームアクティビティにチャレンジしてみようということを日常的にやっていることだと思うんです。
ストーミングが起きやすいアクティビティの条件として、誰もやったことがない、できるかどうかわからない、やり方もわからない、みんなで「どうする?」って考え始めるようなお題のほうがストーミングに移りやすいというのがあるんです。
それを考えると、お題の設計が絶妙だから、会社がうまくいっているのかなと思うんですけど、どうですか。
井手:まず、僕が難しい仕事をわざと投げるんですよね。例えば、新人が入ってくる毎年4月には新人研修というものがみっちりあるんですけど、その時に僕らがやりたくても忙しくてできていないリアルな課題を新人に丸投げするんですよ。
僕らが忙しくてできない、難易度が高いもの。でも、「うちの新人だったら、みんなで解決してくれるだろう」とすごく重い課題をポーンと投げて、1ヵ月の間に研修の合間を縫ってそれをみんなで解決してもらうという。
ここ1、2年、僕が忙しすぎて、ファシリテーションができていなくて、ほかのスタッフに任せているので、ちょっと心配なところがあるんですけど、そこでけっこう揉まれています。
「こんなの無理だよ」「冗談でしょ」と言う人が毎年いるんですけど、「これ、マジで出しているんだよ」と言うんです。
仲山:例えば?
井手:例えば、4年くらい前に出したお題でいうと、僕らの事業がだんだん大きくなっていた時に、飲食店を経営したいなと思っていたので、「ビアレストランを初めて出店しよう」というお題。ビアレストランを僕が作りたいと思っていて、それを新人メンバーで考えてくれ、とかね。
仲山:全部新人さんが考えたんですか。
井手:はい、新人が考えていいプランを練ってきたので、それを元にそのあとプロジェクト化して、詰めていってできたのが、「よなよなビアワークス」というビアレストランです。
今、赤坂含めて4店舗とビアガーデンが2つあって、もう3年ぐらいで今6店舗になっていますけれども、それも発端はそのプロジェクトですし、今日話題に出ていた「超宴」も4年前の新人のお題だったんですよね。
1,000人のファンイベントを考えてくれって出したんですよ。当時は100人くらいが最大だったんですけど、東京ドームツアーやりたいから、1,000人目指してやってと。
「嘘でしょ」となったんですけど、「これは仕事だから」と言ってやってもらいました。とってもいい企画があったから、それをプロジェクト化して、研修が終わったあとに、そのメンバーが中心になって、「ほかのメンバーも募っていいから、リアルに実践してくれ」と言って投げたんですね。
そうしたら、もう少しプロジェクトメンバーは増えたんですけど、紆余曲折あって、その後2年間ずっと考えて動き続けて、3年間がかりでようやく去年実現したんです。それで今年が2年目だったんですよ。
その時のプロジェクトリーダーはさあやという女の子なんですけど、4年前の新卒だから今26歳くらいの女の子がリーダーになって、先輩方も含めた70人くらいのスタッフを仕切ってやっているというね。
だからプロジェクトに参加している人たちはすごいレベルが高いですよ。だって、自分たちで1,000人規模のイベントを企画から運営まで、収支管理までやっているので。
それは一見、無謀には見えるんですけど、もちろん僕たちもサポートしながらやっています。こんなことをしょっちゅうやっているんですよね。
仲山:それのせいだと思います(笑)。全員が夢中な会社の状態ですよね。
楽天株式会社
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