2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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猪俣武範氏(以下、猪俣):僕も、天明さんにおうかがいしたいんですけれど、クイズすごいじゃないですか。ああいう勉強はどうやってやっているのか、ちょっと知りたいんですよね。例えば、僕だったら眼科の知識はわかるんですけれど、産婦人科の知識はわからないわけですよね。
天明麻衣子氏(以下、天明):正直、あれはもう連想ゲームだったり、タイミングの問題だったり、運も大きいです。例えば、テーマが「芸術の秋スペシャル」だったら、芸術関係かなとか。「世界の偉人スペシャル」だったら、世界の偉人についてやるんですけれど。
世界遺産の問題の時に「この世界遺産の前にいる人は誰か?」みたいに、歴代の大統領とかが出てきたりして、世界遺産関係ないじゃんみたいなものもいっぱい出てくるので、そこはもう自分のなかの受験の知識とかをいまだに(笑)。
猪俣:すごいですよね。それをキープしているのは。
天明:いえいえ。でも例えば、医学部に入る時って、すごく勉強が大変だと思うんですけれど、医学部に入るための勉強と、入ってからいいお医者さんになるための勉強は、違うものなんですか?
猪俣:実際、違うと思いますね。もちろん知識も大切ですけど、知識以外のところがやっぱり大切です。そこでも僕、ちょっと問題だと思うのが、今の医学部はだいぶ変わってきたんですけど、やっぱり知識とかそういったところをメインで勉強して、さっき言ったみたいなリーダーシップとか、どうやって人に対して貢献するかとか、そういう勉強はあまりしないので。人がつらいときに関わる仕事なので、そういったところまでみんながしっかり理解しているといいのかなと考えています。
天明:コミュニケーション力は必要ですか?
猪俣:めちゃくちゃ必要ですね。みなさん病院に行って、たまに思うかもしれないですけど、お医者さんがすごくぶっきらぼうだったら嫌じゃないですか。「お願いします」っていったら、カルテばっかり見ていて「今日、どうしたの?」みたいに言われて、「じゃあ、おしまい」みたいな感じだったら、なんか嫌じゃないですか(笑)。
天明:自分のなかでもうまく症状が説明できなくてもやもやしているときに、そこをくみ取って質問してくれたりすると、すごく助かりますね。
猪俣:人と人との仕事なので、そういうところも大切にしないといけないですから、本当に考えているのは病院のリッツカールトン化じゃないですけど、気持ちいいサービス、気持ちいい対応ができるように、それぞれ研修医のころからもう少し勉強する必要があるかと思っています。
天明:やはりマネジメント的に言うと、人手が足りなかったり、今、みなさん忙しいですから夜遅くまで開けていてほしいと思っても、手が回らなかったり。そういう運営上の問があるんじゃないですか?
猪俣:やはりどうしても常に忙しいので、手が回らないとか、だんだん殺伐としてきてしまう人もいるのかもしれないです(笑)。ちょっとよくないですよね。それはそれで。
天明:MBA、ハーバード、医師というのは、今まで前例があまりなかったことだと思うんですけど、自分がその道に進むときに不安とか迷いってありましたか?
猪俣:実際、ありました。ただ、僕が考えていたのは、みんなと同じことをやるのではなくて、同じ分野で人を打ち負かすとか、他者より自分が秀でるとか、そういうことを考えるのではなくて、自分にしかできないことにチャレンジしたいなと考えていました。
せっかくハーバードに行く機会もありましたし、ビジネススクールにも行かせてもらえたので、そういったことも併せて、自分にしかできない医療の分野で自分にしかできないことにチャレンジしようと考えているので、実際、今はあまり不安はないですね。今は、わくわくする仕事をいっぱいやらせてもらっているので、本当に後悔してないです。
天明:私の場合は、逆にというか、自分と似たような経歴の人が少なくとも私より前に出てきてほしくないなと、実は思っていたんですよね。
猪俣:あ~、なるほど。
天明:というのは、組み合わせの新鮮味がポイントなのかなと自分では思っていて、例えば、東大を出て、地方、私の場合は仙台でキャスターをやって、そのあとクイズ番組で高成績を収めて、みたいな。そういう組み合わせのおもしろさにポイントがあるので、それを前に2人とか3人とかやっていると、その価値が薄れてきちゃうかなと思ったんです。
猪俣:たしかにそうですよね。ただ、だいたいそういうのって、3つ組み合わせると5パーセント以下になるとよく言われていて、自分の強みを3つ、関係ないところで3つ合わせると重ならないので、パイを重ねるように得意分野を作っておくと、その分野で有意な存在になれると思います。
天明:やっぱり1つの分野だけだと、自分より優秀な人っていくらでもいるじゃないですか。それを3つくらい重ねると、あの人は私よりこのAの分野では優秀だけど、Bの分野では私の方がいけるかもしれないとか。
猪俣:そうですよね。僕は錦織圭選手には勝てないですけど、医者のなかだったらけっこうテニスがうまいほうになるっていう、そういう組み合わせができるかもしれないという考え方ですね(笑)。
天明:なかなかその3つを揃えるために、また1から努力するっていうのもけっこう大変だと。
猪俣:今までの分野と違うことにチャレンジする時って、労力がかかりますもんね。
天明:そこは、今、自分のなかにあるものをいかに価値付けできるかということにも関わってくるのかなという気はしますね。やっぱり一番乗りになることってすごく価値があると思いませんか?
猪俣:僕も思います。一番最初にやるのって本当に大変ですもんね。前人未到って言いますけども。
天明:それが2番目、3番目との違いというか、そこである程度、自分の存在感を示しておくと、あとで楽になるのかなという気がします。
猪俣:そうかもしれないですね。
天明:MBA、ハーバード、医師というところから、今後どういうふうに進んでいこうと考えてらっしゃいますか?
猪俣:僕が今できることとしては、ビジネスの知識が多少あるので、医療機関とビジネスの場をつなぐ存在になれたらいいなとか、医療と新しい技術をつなぐ存在になれるんじゃないかなと考えています。そういった仕事をやりたいというのと、先ほども言ったように、今、本当にいろいろなわくわくする仕事をやっていて。
例えば、1つは、今、Appleと共同で、新しいアプリケーションを開発しているんです。ResearchKitというのを使って開発しているんですけど、これはいわゆるアプリなので、みなさんに無料で配布して、スタディみたいなのをやってもらって、それを僕らはビッグデータを集めて、一般の人にフィードバックするというのをやろうと思っているんですよね。
そうすることで、今まで病院って一方向だったじゃないですか。処方箋出して、「ここ治してくださいね」というのが。今度は双方向性のコミュニケーションで、僕らはプラットフォームだけを提供して、患者さんは、僕たちだったら点眼ですけど、点眼を使ったらどういう感想があるとか、何回やっているかとか、情報が医療機関に来て、僕たちは本当の情報を見てアドバイスする。
今、そういったものを研究しようと思っています。こういうアイデアってやっぱり医者だけだったら思い浮かばなかったなと思って、そういう意味でMBAが役立っているんじゃないかなと考えています。
天明:今、おいくつでしたか?
猪俣:今、35歳になりました。
天明:35歳というと、お医者様の世界でいうと、中堅? 若手?
猪俣:若手から中堅くらいになるんですね。10年目くらいになるので。
天明:そうなんですね。そうすると、優秀な若手がどんどん出てきたり。お医者様のなかでの成功者の定義って、なにかあるんですか? 「この人すごい」と仲間内で思われるというか。
猪俣:わかりやすいのは、やっぱり手術がうまいとか論文、研究がすごいとかですね。それが非常にわかりやすいと思います。名医とか良医とか言われる人たちが、いわゆる成功の定義かもしれないです。
でも、どうなんですかね。実際、そういう派手というか、前に出ている先生もいれば、そうじゃなくて1対1の診療を農村部でやっている先生もいっぱい見てきていますので、なかなか成功って難しいですね。
天明:名医というと、もともとの手術の腕だったりは、練習してうまくなるものなんですか?
猪俣:感じるのは、ある程度は誰でも同じレベルまではフラットでいくと思うんですよ。例えば、100件やれば、ある程度のところまでは全員うまくいくんですけども、そこからはやっぱりセンスが。スポーツと同じなんですよね。
手術の場合、その人特有のセンスみたいなものがどうしてもあって、そこが本当に手術のうまい先生との違いになるのかもしれないですけど、ほとんどが努力でカバーできると思います。ほとんどみんな同じレベルになりますから。
天明:そこで自分が名医になるまでのセンスがないなと思った時に、自分に価値付けをするために、例えば、ほかの人があまり行っていないようなところで治療しようとか、そういう生きる道みたいなものは、みなさん考えられるものなんでしょうか?
猪俣:するどいですね。それは僕もそう思っていて、常に同じ分野でいくんじゃなくて、トレードオフと思っています。自分の強みをどう活かせるかというので、医療でもいろんな分野がありますから。
今時はスペシャリストの時代なので、その分野でスペシャリストを目指すというのが主流になってきていますね。おっしゃる通り、するどいと思いますね。
天明:自分にとって医学ってなかなか縁のない世界なので、すごく勉強になります。私ばかり聞いてしまって、すみません(笑)。
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