意志の力は最適な“投資先”に使う

DaiGo氏:「確実に続く習慣を設定するには」ということで、これ意志力の最適な投資先というところをお話していきたいと思います。これは常連のみなさんにはお馴染みの、意志力の研究ですね。

ケリー・マクゴニガルさんやロイ・バウマイスターの研究でも明らかになってますけれど、意志の力というのは限られてるんですよ。限界があるんですね。それで瞑想とかでトレーニングできるんですけれど、これをどこにつぎ込むかがめちゃくちゃ大事なんです。その最適な投資先を探しましょうということなんですね。

だから、なにが言いたいかというと、意志が強い人と意志が弱い人の違いというのは、その意志の力をどこに使っているかというところが重要になってくるんです。意志が弱い人というのは、目の前の問題をその場その場で対処するために、意志の力を使ってるんですね。

意志の力が強いと言われる人、例えば僕も習慣化するのが得意なので、「意志が強いですね」「よく続きますよね」って言う人がいるんですけども、意志が強い人ほど、意志の力を使ってないんですよ、毎日続けているその習慣に対して。

なぜかというと、「やろう!」と思ってやってないんですね。だから、「やろう」と思わなくてもできるところまで習慣を身につけるために、意志力を使いましょう。自分の意志の力を使いましょうというのが、いわゆるそのコツの部分ですね。瞑想の習慣化なんかはいいと思います。

意志の力「Will Power」を無駄遣いしない方法

その次です。「一定期間WPをつぎ込めば自動化」と書いてありますけども、WP、Will Powerですね。Will Powerをつぎ込めば自動化しますよと。だから、習慣を身につけたいと思ったら、1個ずつ身につけたほうがいいです。これもやって、これもやって、これもやってって、絶対できないんです。

意志力っていうのは、みなさんのこの額の奥2、3センチにある前頭葉の力で、みなさんの集中力とか「やろう!」と思ったことをやったり、やってはいけないことをやらないようにしたり、あとは未来を考えて計画的に行動するとか、そういうのをつかさどってる前頭葉の力のことをWill Powerと言うんですけど。

このWill Powerを、現代人は分散させすぎなんですよ。ダイエットもしたい、仕事もしたい、勉強もしたい、これもしたい……というふうに分けちゃうんですね。それで分けると、いつになっても習慣化されないんです。習慣化されないとどうなるかというと、ずっと意志力を食い続けるんです。だから、よろしくないと。

お金に例えるんだったら、毎月毎月お金を払わなくちゃいけないものと、1ヶ月ボンってお金を払っちゃって、それ以降は一切お金を払わなくていいサービスだったら、ボンって払ってお金を払わなくていいサービスのほうがいいですよね、普通に考えたら。

習慣を身につけるために必要な日数は?

なので、簡単に言うと、習慣化したいと思うことを1つに決めてください。1つに決めてそこにつぎ込みましょう。それで、何日続ければいいのかというのを、ここからお話します。

大抵の習慣は、これはロンドン大学の研究なんですけど、昔よく「21日間で習慣は身につく」って言ってる人がいたんですけど、確かあれは言語学者のリチャード・パンドラー。

NLPの創始者のリチャード・パンドラーがよく「21日間で身につきます」みたいなことをNLPのなかでも言ってるんですけど、ロンドン大学がちゃんと調べてみたら、21日間で習慣が身につくっていうのは迷信だったんですね。

もちろん個人差もありますし、その習慣自体がどれぐらい難しいかによっても変わってきます。例えば、食事をした後に水を1杯飲むみたいな簡単な習慣だったら、確かに21日間でも身につくんですけど。

例えば、毎日スクワットや腹筋をやるみたいな、こういう運動に関するものだったり。身につけるのが大変と言われているものに関しては、21日よりもけっこう時間がかかって、だいたい66日間で習慣が身につくと考えてください。66日続けなくちゃいけないんですね。

だから、約3ヶ月。ちょっと多めに考えて3ヶ月続けると、習慣が身につきますよという話なんですね。だから、1つのことに集中して、意志力をつぎ込んでやっていって、そのスパンがだいたい3ヶ月ぐらいです、ということなんです。

一生続けたい習慣を身につけられるとしたら?

だから、そうすると、あれこれ習慣を身につけようという感覚も減るんですよ。「3ヶ月に1個しか身につけられないんだったら、年に4つしか習慣を身につけられないじゃないですか」と言う人が時々いるんですね。

もちろん慣れれば、66日なんで、だいたい……3ヶ月は言いすぎましたね、2ヶ月ぐらいですね。ただ、慣れてないうちにあまり急いで習慣を身につけようとすると挫折するので、だいたい、3ヶ月とか2ヶ月。じゃあ、2ヶ月としたら、新しい習慣が6つ。3ヶ月としても4つ身につけられますよね。

それで、みなさんにお聞きしたいんですけど、「もう、自分の人生の中でこれを一生続けたい!」と思うような習慣を、年に4つも身につけられたら十分すぎると思いません?

毎日、例えば、本を20冊読むって習慣を身につけたとしますよね。例えば3ヶ月ぐらいで、本を読む習慣を身につけました。週に3回ジムに行く習慣、これを身につけました。3つ目は、例えば……みたいに、適当な習慣を身につけるんじゃなくて、「もう、これを一生続けたい!」と思うような習慣に絞ってやっていけば、年間4つ、3ヶ月に1個習慣を身につけたら、十分に人生は変わるんですよ。

年1でも十分なぐらいなんです、というふうに考えてみてください。だから、あれこれやろうとしないで、1個に意志力を投下する。すべての自分の意志の力をつぎ込むことが重要ですね。

トリガー、時間、場所を固定する

習慣化のためには当たり前のことなんですけれど、トリガー、時刻、場所を固定することがすごく大事で、人間の体っていうのは生活リズムを作ってますよね。だから、寝る時間とか起きる時間がグチャグチャになってくると、どんどん習慣って身につきづらくなってくるので、トリガー、時刻、場所が大事なんですね。

だから、なにかをするときは、必ずきっかけになるものを決めましょう。例えば、朝起きたらこうするとか、お昼ご飯を食べたらこうする、風呂から出たらこうするみたいに、その前になにをするかを決めます。

さらに、何時にやるかを決めてください。時間を完全に守る必要はないんですよ。守る必要はないんですけれど、だいたいこのぐらいの時間、午前中、午後という考え方でもいいし、10時より前とかでもいいんですけど、だいたい決めてください。そうすると、習慣化してくると、同じ時間にやりたくなってくるので。

さらに、場所ですね。人間ってやはり、場所でやる行動を決めたほうがいいんですよ。だからよく、ダイニングとか食事をする場所で勉強をしたり、食事をしたり、アニメ観たり、趣味のことをしたり。あとは自分の部屋とかでするって人がいるんですけれど、いちいち場所を変えたほうがいいです。

読書するときはここ。ここは読書のスペース、ここは食事のスペース、ここはアニメ見るスペース、みたいに変えちゃったほうがいいんですよ。お金に余裕があったら、部屋を分けるとかぐらいしてもいいと思うんですけど、余裕がなければ、場所を変えたり、向く方向を変えるとか、ちっちゃい部屋のなかでもできます。

そういうふうに場所も使って固定していくというのが、非常に重要になってきますね。

(コメントにて「ワンルームの場合は?」)ワンルームの場合も同じです。ワンルームの場合でも場所を変えていくやり方もできますし、あとは椅子を変えるとか、座布団を変えるとか。そういうことが重要になってきますね。

だから、僕なんかお風呂に入った瞬間に瞑想を始めちゃうんですよ。風呂のなかは瞑想スペースって決めてるんで。こうすると、どこに行ってもできるようになります。

場所を選ばない方法も

ちなみに、場所を選ばないという方法もあるんですね。アガサ・クリスティーさんという有名な作家さんが、ぜんぜん場所を選ばないでやっていたんですよ。例えば、ダイニングにあるちょっとしたちっちゃいテーブルみたいなところでずっと書いて、あれだけの名作を作ってるんです。

だから別に、場所を選ばないのも大事です。よくいるのは、机に座って全部きれいにして、フカフカしてるすごい椅子に座って、たいそうな机に座らないと勉強できない人は、仕事が忙しくなったりしたときにできないんですね。

だから、別な条件を決めてもいいです。例えば、パソコンをパカって開いたらすぐに始まるとか。物で決めるというのもありです。

本当はパソコンとか分けたほうがいいんですよ。アニメとか自分の趣味とか買い物をしたりするためのパソコンと、仕事するためのパソコンは、絶対に分けたほうがいいです。

本当はスマホとかも分けちゃったほうがいいんですよね、もし2台持てるんだったら。余計なアプリは入れないとかね。連絡用のスマホとか。あとは勉強するときに、よく辞書とか使ったりする人とかいると思うんですけど、スマホ今、いろいろついてるんで。

この辞書機能とかは、分けてもう1個スマホを持っていたほうがいいです。LINE使いとかをする普段のスマホをしまって、辞書とかしか引けないスマホを出す、というやり方がいいと思います。ついついやっちゃうんですね。

(コメントにて「電子辞書でいいじゃん」)もちろん電子辞書でもいいと思います。